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世界の環境関連ニュース(2022年5月第3週)

台湾の大手電子機器メーカーの「Foxconn (Hon Hai Technology Group)」 が米国オハイオ州の新興EV企業である「ローズタウン・モーターズ(Lordstown Motors))の工場を買収する予定である事を発表しています。買収額は2億3000万ドルです。両社は『MIH EV Design, LLC』という合弁会社を設立し、FoxconnのMobility-in-Harmony(MIH)プラットフォームを使用してEV製品を共同開発する予定です。このJVの為、Foxconnは1億ドルを追加投資し、Lordstown Motorsは4,500万ドルを投資する予定です。いよいよ電子機器メーカーが本格的にEV生産に乗り出す計画が現実的になってきました。
https://cnb.cx/38vzGei

大手飲料メーカーのコカ・コーラが小規模な「ドリンク・オンデマンド」用のディスペンサーを発表しています。コンパクトフリースタイルマシンと呼ばれ、消費者が自分のボトルや容器を使用し飲み物を「パーソナライズ」するスマートディスペンサーと、位置付けています。コカ・コーラは2030年までにパッケージの25%を再利用出来るものにする、という目標を最近発表しており、このコンパクト・スマート・ディスペンサーはファーストフード店での利用を前提としています。同社は現在のエネルギーと商品価格上昇の影響を最も受けている地域において、こうした装置の拡大を検討しており、「再利用と補充」が消費者の購買力の低下をある程度回復させる事ができる、としています。
https://bit.ly/39NhPQm

欧州委員会が全てのプラスチックに対してリサイクル材料を含めるよう義務化する包装法の見直しを計画している事が伝えられています。これは欧州委員会の幹部がイベントで発言したもので、包装品等の全てのプラスチック製品に対し、廃棄物を削減し、リサイクル材の含有を義務つける、というものです。この考えに対しペットボトルのリサイクル含有量目標を促進している業界は、ペットボトル廃棄物量の低下と繊維や他の低グレード製品への転用が進む為、ペットボトルのリサイクル循環が妨げられる恐れがある、として反対しています。全てのプラスチック製品に対象が広がる事は、かなりのインパクトになると思われます。
https://bit.ly/37GlYF8

スウェーデンのリチウムイオン電池メーカーの「ノースボルト(Northvolt)」とノルウェーのアルミ製造及びエネルギー関連企業「Hydro」の合弁によるバッテリーリサイクル会社の「ハイドロボルト(Hydrovolt)」が自社工場の操業を開始した事を発表しています。Hydrovoltの発表では、同工場は欧州最大のEV用バッテリーリサイクル工場で年間12,000トンのバッテリーパックを処理する能力を備えています。この能力は、ノルウェーの使用済みバッテリー市場全体をリサイクルするのに十分で、リサイクルによるマテリアルの回収率は最大95%です。Northvoltは2030年までに生産するバッテリーの50%がリサイクル材料を含むようにする、という目標を掲げています。Hydrovoltで回収されたアルミニウムは、Hydroに送られ、商用規格を満足させるアルミニウム製品に再循環されます。Hydrovoltは、2025年までに約70,000トンのバッテリーパックをリサイクルし、2030年までに30万トンのバッテリーパックをリサイクルするという長期目標を掲げています。実際に商業稼働を始めた精錬リサイクル工場は欧州ではまだ少なく、本格的な規模での操業は、同社が一歩リードしています。
https://northvolt.com/articles/hydrovolt/

米国の電子機器及び電池リサイクルの新興企業である「Ace Green Recycling」が米国と海外の計4拠点でリチウムイオン電池リサイクル事業を拡大する事を発表しています。場所は、タイ、インド、米国です。その他にもシンガポールでの工場建設も計画中です。4工場は独自に開発した低温湿式精錬工程を持ち、廃棄電池から98%以上の原材料の回収率を持ちます。同社は最近、米国テキサス州にある主力の鉛蓄電池とリチウムイオン電池のリサイクル工場計画を発表しています。同工場は、2025年にフル稼働した場合、年間最大10万トンの廃鉛蓄電池と2万トンの廃リチウムイオン電池をリサイクルする能力を持つ、としています。
https://www.acegreenrecycling.com/

欧州鉄鋼協会が欧州域外への鉄スクラップの輸出を禁止するよう、欧州議会の環境委員会に向けてプレスリリースを出しています。今後改訂する欧州廃棄物輸送規則に向けての提案となります。スクラップ業界は大反対しています。現在の基準では輸出先国で適切に処理ができる場合は、輸出が可能です。欧州鉄鋼協会は、欧州の環境基準が他国よりも高く設定されている事から、輸出先での「適切な処理」は欧州よりも環境に優しくない、として輸出の禁止を求めています。欧州の方がスクラップを鉄鋼製品に戻す際の環境基準が高く、よりコストが掛かる事から海外に原料を出す事で安価な製品が欧州に輸入される可能性を憂慮し禁輸を提案しています。スクラップ業界団体はスクラップ発生量が処理量を上回り余剰になる事から反対しています。
https://bit.ly/3NfgO1T

欧州の廃棄物輸送規則(WSR)の改正提案の焦点となっているマテリアル・リサイクルされた金属、すなわち鉄・非鉄スクラップを「廃棄物」として取り扱う提案に対し、欧州リサイクル連盟であるEuRICが反対の立場を明確にしています。この問題は政治問題化しつつあり、今後も様々な議論が尽くされる可能性があります。
https://bit.ly/3wBER4n

環境保護団体の「NRDC(Natural Resources Defense Council)」が、現在多くの企業が採用している森林保護による炭素クレジット創出で、企業の温室効果ガス排出量削減を補う事が出来ない、と報告しています。排出量ネットゼロを誓約している企業の多くは、森林の「カーボンクレジット」購入によるオフセットによりネットゼロを目指しています。これは大気から炭素を吸収する森林の活動によって樹木や土壌に大量の炭素を貯蔵し、炭素排量を実質ネットゼロに出来る、という考えです。このコンセプトは理論上よく見えます。
しかし、森林保護によるクレジット創出は単純ではなく、クレジット創出プログラムは、その質がプロジェクト毎で大きく異なります。質の悪いものは、ほとんど炭素削減効果を発揮しません。特にオフセットする炭素クレジットが将来も伐採の危険が無いような「森林を保護する」だけの場合は、気候に対する追加のメリットがありません。また重要なのは、森林を保護したり新たに森林を生み出しても、その量と同じかそれ以上の森林が地球全体のどこかで伐採されていれば、全体としては森林がもたらす炭素吸収は減る事になります。カーボンオフセットを評価する非営利団体「Carbon Plan」は、最近カリフォルニアの森林カーボンクレジットの完全性を分析し、29%が過大評価されていると推定しました。炭素会計は常に公平性や完全性の面で問題があり、過小評価される事は、まずあり得ません。
https://on.nrdc.org/37QbUcI

日本でも4月の企業物価指数が42年ぶりに2桁に伸びた事が報じられており、欧州でのエネルギー危機も言われて久しいですが、米国でも深刻なエネルギー価格の高騰が伝えられています。ロシア産のガス輸入量を減らす欧州が米国産のガス輸入を増やす事で米国内でのガス価格も高騰し、輸送業、製造業への負担が重くなっています。米国の天然ガス先物価格は、2022年初頭は3.730ドルでしたが先週末は7.854ドル/mmBtuへと急上昇しています。現在欧州での価格は31ドル/mmBtu、アジアでは24ドル/mmBtuと米国を遥かに上回る価格となっています。欧州でのロシア産を減らす試みが続いており、価格は高止まりする予定で、急激なインフレ=消費者マインドの冷え込み⇒景気後退というシナリオが色々な所で発せられるようになっています。米国では輸送に使うガソリンやディーゼルも、更に上がる可能性が指摘されており、大きな政治問題に発展しています。
https://reut.rs/3wl4c3H
https://cnn.it/3FWjtev

日本では販売していない為、馴染みがありませんが、フォルクスワーゲン傘下のチェコの自動車メーカーで欧州では大衆車としてシェアの高い「シュコダ社」が、電気自動車用のバッテリーシステムの製造(バッテリーそのものの製造ではない)を開始した事を発表しています。フォルクスワーゲングループが利用する車のプラットフォームMEB用の電池システムで、フォルクスワーゲングループのドイツ以外では、初めてとなります。この発表に伴い、遅くとも2023年に場所を決定する予定の現在検討中のグループの第4のバッテリーギガ工場が東ヨーロッパになる事を期待しています。東ヨーロッパではポーランドに韓国のLG、スロバキアにサムスンSDIがギガファクトリーを建設中です。現在英国に工場予定のブリティッシュボルトやエンビジョンAESCを含め、複数のギガ工場が建設中で、欧州では2025年頃には原材料需要が急増する見込みです。
https://bit.ly/3lgDAun
https://yhoo.it/3G0xTKQ

欧州委員会がロシア依存の削減とエネルギー市場への対応の為、RE Power EU計画を発表しています。この計画は欧州のエネルギーシステムをグリーン化と脱ロシアに大きく変革するものです。2025年までに太陽光発電容量を2倍にし、2030年までには600GWの能力を設置、新規の公共・商業ビルと住宅ビルにソーラーパネルを設置する法的義務が段階的に導入、ヒートポンプの導入率を2倍にする、2030年までに域内の再生可能水素生産量1,000万トン、輸入量1,000万トンを目指す、等の指針が示されています。
https://bit.ly/3aauvRG

S&P Global Plattsによると、中国の鉄鋼生産の減少が近いうちに解消される可能性が高い事が伝えられています。ロックダウンの解除スケジュールが示され、まもなく正常に戻る可能性があり、建設や製造活動にこれ以上の悪影響を与える可能性は低い事と、住宅購入者の不動産ローン金利を0.2%引き下げた事による不動産業への支援が挙げられています。輸出も堅調に推移しており、4月に見られたロックダウによる減産と需要減は回復する見込みだ、との報道です。
https://bit.ly/3woY0YI

オランダ政府が2026年を目途に化石燃料を使用する暖房を禁止し、ヒートポンプを義務化する計画が進んでいる事が報じられています。この報道がなぜ重要かと言えば、ヒートポンプの構造はエアコンと基本的な構成部品が似ており(ほぼ同等)、銅やアルミを多く利用する為です。ドイツでも2024年にはハイブリッドヒートポンプを義務付ける計画があります。暖房用に使うガスの使用量を減らす事が目的です。この動きは欧州でエネルギー戦略として加速しつつあり、場合によっては、大きな銅&アルミ需要の製品になります。
https://bit.ly/3MppdQh

日本ではプラ新法が開始したばかりですが、欧州では包装および包装廃棄物指令(PPWD)の改定を欧州委員会が模索している、と報じられています。これは、欧州特有の事情もあり、製品に貼るラベルや包装の再利用など、多くの分野での国ごと国内措置が定められており欧州全体で見た場合、各国の市場ごとで規制が断片化されている為です。生産者は、国による個別の措置を考慮してラベルを張り、出荷を行う事になります。7月20日にPPWDの改訂案を提示することを目指している、という事です。この措置により欧州全体で統一したラベル規則やリサイクル処理等の規制が課される予定です。
https://bit.ly/3wADxin
https://bit.ly/37Z9JUo

英語圏以外に報道される事がありませんが、今後の米国の気候変動政策に影響がありそうな出来事がありました。大富豪であるテスラの創業者のイーロン・マスク氏が長年バックアップしてきた米国の民主党(マスク氏自身は民主党員ではなく無党派)から共和党に投票する、として話題を呼んでいます。これはテスラがNY株式市場のS&P ESGインデックスから外された事に端を発し発言したものです(S&P 500には留まります)。ESGインデックスとは、「持続可能性基準を満たす証券のパフォーマンス」を測定する指標です。ESG インデックス上場廃止の経緯は下記のリンクを読んで頂きたいのですが、それ以外にもカリフォルニア(民主党地盤)からテキサス(共和党地盤)に本社を移転した事だけでなく、ツイッター買収計画後に言論の自由を唱えて民主党による行き過ぎたポリコレ主義を批判し政争の火種となった事も理由の1つです(殆ど報道されませんが、米国の大手ソーシャルメディアは基本的に気候変動に対する懐疑論を掲載禁止する内部コードがあります)。現政権の人気は史上最低レベルまで急落しており、左寄り(民主党寄り)のCNNでさえ、現政権の最新の世論調査での不人気を伝えています。景気が悪化しインフレが加速しているにも関わらず、気候変動対策に多額の予算をつぎ込んでいる事も理由の1つとなっており(インフレ加速要因でもある)、共和党はこの点を政争の1つとして攻撃し続けています。共和党は気候変動対策に消極的な為、11月の中間選挙後には、動きが見られると思います。
https://bit.ly/3wrAc6e
https://bit.ly/3sJyXgF
https://cnn.it/3wulnjE

フランスの大手石油化学及びエネルギー会社である「トタル・エナジー(Total Energy)」と米国の「New Hope Enegy社」が米国テキサス州にプラスチックのケミカルリサイクル工場を設立する事を発表しています。New Hope Energy社は2018年からテキサス州で小型のテスト工場を運営しており、本格的な工場の設営により「世界最大の熱分によるプラスチックのケミカルリサイクル工場になる」としています。使用する技術は、「Lummus Technology社」と共同開発した熱分解によるリサイクルとなります(特許取得済み)。商業稼働は2025年を予定しており、廃プラスチックの投入キャパシティーは、年間31万トンとなる計画です。トタル・エナジーは、テキサスの自社生産工場で年間100,000トンのリサイクルポリマー原料(RPF)を使用し食品グレードの高品質のポリマーを製造する予定です。トタル・エナジーは、2030年までに30%のリサイクルポリマーを利用する事を目標としており、本計画はその一環となります。予想した通り、大手石油・化学メーカーが主体となり相次いでプラスチックのケミカルリサイクルへの投資を拡大しています。
https://bit.ly/3FWNif7

既に各種専門メディアで取り上げられていましたが、脱炭素系企業に専門的に投資するプライベートエクイティの「Ara Partners」が、本格的にLIBリサイクル分野に投資し、米国とヨーロッパに5か所以上のLIBリサイクル工場を建設する事を発表しています。投資する企業は「Blue Whale Materials社(BWM)」で、共同でLIBリサイクル事業の拡大を目指します。投資額は、8000万ドル(約100億円)です。Blue Whale Materials社については詳しい情報がありませんが、公開されている情報では、米国の50州の全ての地域で廃LIBを収集するパートナーシップを持ち、欧州でも廃LIBを収集するルートがあるようです。現在、湿式精錬は行っておらず、恐らくこの投資がBMと湿式精錬の両方に向けられると思われます。欧米では材料確保が喫緊の課題との認識が浸透しており、相次いでリサイクルへの投資や協業が行われています。
https://www.bluewhalematerials.com/blue-whale-materials-release
https://prn.to/3wr2spB

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