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世界の環境関連ニュース(2022年5月第4週)

ドイツのリサイクル会社である「Albaグループ」の金属リサイクル部門の3社を買収したばかりの欧州最大の鉄鋼メーカーである「アルセロールミッタル」が、鉄鋼メーカーの脱炭素化プロジェクトを援助するよう、欧州議会に求めています。アルセロールミッタルは、水素還元のDRIと再生可能エネルギーを使った電炉の建設を欧州で進行中です。これらのプロジェクトはベルギー、フランス、ドイツ、スペイン政府からの投資支援を受けており、欧州委員会による資金援助の承認が必要ですが、まだ承認を得られていません。欧州の鉄鋼産業が2030年までにCO2排出量を30%削減する為には、設備投資に310億ユーロ、営業費用に550億ユーロ、EU ETSの炭素クレジット購入に年間84億ユーロが必要となり、DRI-電炉製造への移行期間には、その他も含め多額の投資を行う必要がある、としています。
https://corporate.arcelormittal.com/media/news-articles

欧州政府がEUの防衛能力、産業、及び技術基盤を強化する為の指針を発表しています。この問題がなぜ重要かと言えば、ニッケル、チタン、白金類等の金属の「特需」が考えられる為です。各国間の軍需産業と防衛装備への投資ギャップを埋める為、2022年の第3四半期に、欧州委員会は欧州防衛投資プログラム(EDIP)規制を提案する予定です。また、加盟国が欧州防衛能力コンソーシアム(EDCC)を結成する為の条件を確立します。軍需品は兵器によっては民生品とは一桁数字が違い、高価かつ高品質のものを使う為、特定の金属需要に影響があります(現在の欧州ニッケルは軍需特需の面もあります)。
https://bit.ly/3sLmrgs

Argusが18日にスイスで開催されたコバルト研究会の内容を一部伝えています。その中で、欧州内でLIBリサイクルを推進していく事の重要性が強調されています。コバルトの産地であるコンゴでは、炭鉱労働者の劣悪な環境がESGの観点から欧州では問題になっており、小規模鉱山でも炭鉱夫の数を減らし機械化を推進する動きが活発になりはじめています。また、炭鉱夫からコバルト鉱石を買い取る時に低品位になるよう評価を落とすなどの行為が行われており、様々な問題が表面化しています。既に政治的な問題に発展しており、今後のLIB生産の為の供給源として、リサイクルが最も注目され投資先になりつつあります。
https://on.mktw.net/3NhHpeW
https://bit.ly/3wwulgf

19日に、デンマーク、ドイツ、オランダ、ベルギーが共同で2050年までに150 GWの洋上風力発電を達成する目標を発表しています。これだけではなく、英国でも新たに1億6000千万ポンドの浮体式洋上風力発電プロジェクトがスタートする等、欧州で大型洋上風力発電の計画や目標が出されています。グリンフレーションは続く模様です。
https://bit.ly/3yPFdHC

欧州では「EV生産が自国内で行われるか」を巡り、政治問題化しつつあります。昨年12月にチェコ共和国の首相Petr Fiala が、欧州の急激なグリーンディール政策実現への準備が出来ていない事を批判するメッセージを出しています。これは、政府が主要産業である自動車産業の電動化への準備(補助・インフラ及び、産業政策)が整わず、各国政府間の競争に発展している事によります。チェコ共和国は、自動車産業がGDPの10%近くもあり50万人を雇用、スロバキアは自動車産業がGDPの14%を占めており、メーカーが部品点数の少ないEVの生産を現在の工場に残す事を決定する為には、政府による多くの政策・インフラ準備が必要となります。チェコ共和国、ハンガリー、ポーランド、スロバキア、スペインは、それぞれ競争に晒されており、政治的な問題になりつつあります。これは端的な例で、EV化により安い労働力だけでなく、資源確保とサプライチェーンの構築に各国政府がどれだけ準備ができるか、という事に生産の維持へのコンセンサスがシフトしているようです。
https://politi.co/3LEEXht

電子機器リサイクルとそのシステムを開発する英国企業の「Exurban」が、米国のインディアナ州に製錬工場を建設する為に3億2400万ドル(およそ400億円)を投資する事を発表しています。新工場は「世界初の廃棄物ゼロ製錬所」になる、としており、主に電子機器廃棄物と非鉄スクラップをリサイクルします。同社は、インディアナ経済開発公社(IEDC)からインセンティブベースの税額控除を受ける事で最大250万ドル、更に条件付きトレーニング助成金に20万ドルを受ける予定です。新工場は、2026年末までに最大200人の新規雇用を生むという事です。同社は、州知事及び米国商務長官からもサポートされており、Waste Managementにおける海外進出の為の現地政府への対応を十分に準備しています。米国は埋立て費用が安い為に廃棄される電子機器も多く、製錬まで一体となったリサイクルはインセンティブの面では有利な可能性があります。
https://bit.ly/38ajgrH

欧州ではB2B向けの「リータナブル/リユース・ボトルの利用を促進する動きが大手飲料メーカーで始まりつつあります。コカ・コーラ・ユーロパシフィック・パートナーズ(CCEP)が、フランスで、自社ブランド製品を納入するホテル、レストラン、カフェ等で、再利用可能な250mlのガラス製ボトルの提供を始める事を発表しています。コカ・コーラオリジナル、コカ・コーラゼロ、およびコカ・コーラチェリーでは、既に350mlのリターナブルガラスボトルの提供を行っています。空になると、返却可能なガラス瓶は専用の箱に保管され、工場に返送され、洗浄された後に中身を補充します。ガラス瓶は最大25回まで補充でき、2022年には年間1,500万本以上の使い捨てガラス瓶を減らす事が出来ます。これにより、温室効果ガス(GHG)排出量が3分の1になると発表しています。
https://bit.ly/3G9YdC8
https://bit.ly/3NpOaLy

ダボス会議、世界経済フォーラムの年次会議が開催されています。今年は例年参加していたロシアの政治家や富豪、中国の政府要人、一部の多国籍金融機関、各国の要人(首相・大統領)は参加していないようです。ドイツのシュルツ首相と欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は演説を行う予定です。世界が共有できる課題をアジェンダとして提供し、そのルール作りを行う事で求心力を高めて来たWEFも、今回は冷戦2.0の議論に傾いているようです。WEFの求心力や方向性に若干の変化があるか可能性が見て取れます。特徴的な事は、世界のビリオネアトップ10人は、パンデミックの期間の2020年3月から2021年11月までの間に、総資産が2倍以上になったという事です。
https://cnn.it/3sSkSNZ

インドが鉄鋼関係の関税を変更した事で様々な影響が表れ始めている事が伝えられています。関税の変更は、鉄鉱石の輸出関税を30%から50%に引き上げ、ペレットの関税をゼロから45%に引き上げ、原料炭とコークスの輸入関税を撤廃しています。さらに、鉄鋼製品8品目に15%の輸出税を課しました。ただし、実際には国内に多くの備蓄がある為、逆効果になるという見解もあります。インドの鉄鋼メーカーは、ロシアのウクライナ侵攻によって供給が打撃を受けた欧州の市場シェアを拡大することを目論んでいましたが、この措置により欧州からのキャンセルに対応をせざるを得ない事例が多々あるようです。一時的に中国やアジアでも原材料に影響が出ています。
https://bit.ly/38fHlxq

7月に発表される予定の自動車からの排気ガス制限規則であるユーロ7規制にブレーキからの微粒子(PM10, PM2.5 )排出物が含まれる事が決まっています。EVは車体が重い為、ブレーキに掛かる負担が掛かり、不利な面がありますが、エネルギー回生システム(ブレーキのように減速する)等により解決を目指す事ができますが、ブレーキシステムの素材の変更やフィルターの装着が必要になる可能性があります。HVやEVのような電気エネルギーを持つ車はエネルギー回生システムを採用可能ですが、エンジンのみの車は基本的にエネルギー回生システムが装着できない(しない)為、よりEV化に前進する可能性があります。ユーロ7を巡っては、2021年末までに規制が発表さえる予定であったものが、自動車メーカーのロビー活動により半年延期されています。
https://bit.ly/3MGIlK3

インドで廃電子機器(E-Waste)の収集規則強化案が同国の環境省より提出されているようです。公開された草案では、一般消費財を製造・販売する企業及び電子製品メーカーは、2023年までに電子廃棄物の少なくとも60%を収集・リサイクルし、2024年と2025年には、それぞれ70%と80%に増やすことを目標としています。この規則では、収集・リサイクルの比率が上記に届かない場合、カーボンクレジットに似た取引システムを実施する事で補う事が可能になるように設計されている、という事です。電子機器の収集とリサイクルに関する法律は2016年に最初に定められ、2018年に修正されています。今回の改正は 8月までに発効する予定、としています。
https://bit.ly/3NA2MrS

銅の短期予測が出ており、中国と先進国が要因で下落すると見られています。銅の主要な消費国である中国と経済規模の大きな先進国済国の減速が懸念される為、価格が一定レベルで安定する前に一旦下落する予測が出ています。長期的な見通しは、新しい鉱山への投資不足とグリーンエネルギー転換によって需要が喚起される為、依然として強い状況です。アナリストは、今後3ヶ月から年末に掛けて8,500〜8,700ドルになると予測しています。
https://bit.ly/3lG26VV

バルセロナで開催されている(5月22-25日)BIR(Bureau of International Recycling)の年次総会についての詳細がRecycling Todayにて伝えられています。欧州廃棄物輸送規制の改正が大きな話題となっており、リサイクル業界とその幹部から政策についての懸念が複数伝えられています。バーゼルの厳格適用と昨年末に発行された改正廃棄物輸送規則で非OECD諸国へのスクラップ輸出手続きが煩雑になっただけでなく、将来の改正の焦点が、処理されたスクラップ原料を「廃棄物」としてラベル付けするか、という事で懸念が相次いでいます。特に鉄スクラップは電炉の原料として国際的にも需要が高まる事が予測されており、多くの懸念が出ています。World Steelによると、世界の高炉の生産量は、2021年に13億8,100万トンとほぼ横ばいでしたが、電炉の生産量は2020年と比較して14.4%増加し、5億6,300万トンに増加しています。
https://bit.ly/3NwqxBa
https://bit.ly/3lNCFSl

世界経済フォーラム(WEF)の年次総会の様子が欧州の各メディアでは毎日大きく取り上げられています。英ガーディアンはライブで伝えており、この会議の方向性が相変わらず欧州(欧米)の政策に重要なものである事を示しています。脱炭素に関連がある話題としては、First Movers Coalition(ファースト・ムーバーズ・コーリッション:FMC)がメンバーを拡大し、低炭素技術を推進する事で、特に重工業と長距離輸送部門を脱炭素化する動きがあった事です。今回FMCに加わったメンバーは、Alphabet(グーグル)、BHP、Fedex、Ford、Microsoftを含む20の企業・団体で、全体では55社・団体に増えています。いずれも欧米の大手多国籍企業です。この連立は、アルミニウム、航空、化学、コンクリート、海運、鉄鋼、トラック輸送を対象とし、脱炭素化を推進するものです。これらの分野の脱炭素化は最も困難ですが、パリ協定の目標達成には不可欠な産業です。メンバーは、2030年までに商業規模で実施される事を支援する為に、低炭素技術の購入に高度な取り組みを行っています。しかし、年次総会の大半のセンチメントは目の前の問題となりつつある「世界経済へのリスク」という事です。
https://bit.ly/38PzAhZ
https://bit.ly/3sVxp30
https://reut.rs/3abcAKu

国際通貨基金(IMF)のトップであるリスタリナ・ゲオルギエバ氏(Kristalina Georgieva)が、世界経済の景気後退よりも「これまで統合されていた世界経済を分断し、より細分化された世界に足を踏み入れるリスク」に懸念を示している事が伝えられています。これは、世界経済を構成する「貿易圏と通貨圏」の2つがグローバリゼーションの中で今まで統合されていたものが、ウクライナ戦争により分断されている事に対するリスクを述べています。ダボス会議のセッションで語ったもので、過去30年継続したグローバリゼーションが崩壊の危機にある事を「鉄のカーテン」を例にして述べています。今回の戦争でロシア側についたり、中立を保ち欧米の制裁に参加しない多くの国は民主化されておらず、それらの地域に投資するリスクは、貿易圏と通貨圏が非統合の世界では、かなり高まると見られています。
https://reut.rs/3LOGC43

家庭や小規模商業施設の暖房の脱炭素化に向けて「ヒートポンプ」が次の世界的な競争の1つになりそうなニュースです。米国の上院では、ヨーロッパへの輸出を目的として国内ヒートポンプメーカーを強化する為の税額控除法案が提出され、また中国の欧州向けのヒートポンプも過去5年で年率17%伸びています。欧州メーカーは過去にソーラパネルで競争力を失い、中国に敗れた失敗を繰り返さない為に生産能力を伸ばし需要に対応する準備を進めているようです。オランダやドイツではヒートポンプ設置の法制度化も進められており、ヒートポンプの需要は確実に伸びる予測となっています。エアコンに似た機械構的造を持つヒートポンプは日本メーカーも欧州で製造しており、今後の需要増が金属需要を押し上げる事が予測されます。
https://bit.ly/3wO9TaI

既に様々な形でリサーチされていますが、リチウム不足が深刻化する目前に来ているようです。価格が過去1年で500%増となり、最大消費国である中国では政府がサプライヤーとメーカーに低価格化に向けて「合理的な利益」(つまり儲け過ぎない事)を要求するよう呼びかけています。Macquarie Groupによれば「永続的な供給不足」が懸念され、Citi groupは2022年の価格予測をほぼ2倍にしています。今後「極端な」価格上昇が来る可能性を示唆しています。供給逼迫による価格の上昇は、電池メーカーと自動車メーカーが供給を確保する為に買収と合弁事業の急増を促しています。また、政府間の資源ナショナリズムを呼び起こし、フィッチ・ソリューションズによれば、リチウムが「戦略的鉱物」になった、と定義付けられています。今後、より一層の「政府介入の高まり」を警戒する必要にも触れています。
https://bloom.bg/3wQnMUD

Market Watchが現在の米国のインフレとグリーン化に伴う金属や資源の供給についてのオピニオンを掲載しています。これは欧州でも当てはまるもので、英国ではインフレ抑制が不可能との意見も多く出始めています。不況となってもインフレが抑制できないとの見解が広まっており、その場合はスタグフレーションとなります。政策的な失敗に加え、「構造上の問題」では、ロシアとウクライナの農産物、肥料、石油、ガス、金属が今後何年にもわたり西側へのサプライチェーンにダメージを与え、「不足の問題」では急激なグリーン化に金属供給が追い付かないという欠陥、更に「石油の争奪戦」という課題が残る、としています。パンデミック前の10年に比べ、今後10年間は、はるかに困難になると予測しています。デフレの日本では考えられないかもしれませんが、エネルギー価格が数倍、住宅価格が年率20%近く上昇するという事が実態です。グローバリゼーションで安価な地域から確立されたサプライチェーンが分断された為、その恩恵に預かった地域(欧米)が最も影響を受けているのが実態のようです。
https://on.mktw.net/3sYUWjD

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