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特別コラム:横行する欧米企業のグリーンウォッシングと規制の遅れ

2022年2月、炭素市場分析と気候変動に対する政策活動を行うベルギーの「カーボン・マーケット・ウォッチ(Carbon Market Watch:NGO)」が、気候変動の研究とプロジェクトを支援するドイツの「ニュー・クライメット・インスティテュート(New Climate Institute:非営利目的有限会社)」と共同で、気候変動及びグリーン誓約活動で先進的と認識されている多国籍企業25社の実態を調査したレポートを公開した。
(https://bit.ly/34EtYEE)

レポートの文言を借りれば、調査結果は驚くべきものであった。 気候変動に向けて積極的に活動していると広く認識され、先進的な取り組みを公表し、持続可能性を広く宣伝しているこれらの企業は、実際には様々な「抜け穴」を利用したり、データを省略したり、炭素排出量が多い開始日を選択する事で将来の削減率を有利にしたり、独自の誤った気候変動対策を作成したりするなど、様々な「グリーンウォッシング」のトリックによって、消費者や規制当局が誤解を招く「グリーン誓約活動」を行っている、というものであった。これらの企業は将来の「温室効果ガス発生ネットゼロ」を公約しているが、多くの場合は公約している数十年後の削減率は、平均でわずか40%に留まる可能性がある事を指摘している。

レポートでは企業ブランド(屋号)の実名を挙げている。最悪の例として、気候変動や持続可能性を自社戦略としてアピールしているネスレ(Nestle)、カルフール(Carrefour)、ユニリーバ(Unilever)、イー・オン・エナジー(E.On)等のブランドを公表している。また、「企業に気候変動対策の圧力が掛かるにつれて野心的な主張が行われ、多くの場合には、それらは実体を欠いており、消費者と規制当局の両方を誤解させる可能性がある。比較的うまくやっている企業でさえ誇張している」と伝えている。

2022年3月、市場原理を持続可能なものにする活動を行うオランダの財団である「チェンジング・マーケット財団(A Changing Markets Foundation)」が、英国とヨーロッパのファッション業界のグリーンウォッシングを調査したレポートを発行した。分析された46のブランドのうち60%がグリーンへの取り組みについて誤解を招く、または単に虚偽の主張をしている、と報告した。グリーンウォッシングを行っている企業の中には有名ファッションブランドが幾つか含まれており、実名を公表している。
(https://bit.ly/39pK4oa)

2022年4月、金融機関による気候変動対応活動を研究するフランスの「リクレイム・ファイナンス(Reclaim Finance)」と3団体のNGOが共同で、世界の大手投資及び資産運用会社30社が化石燃料プロジェクトに投資している額、もしくは化石燃料プロジェクトで所有する資産額の詳細を調査したレポートを公開した。
(https://bit.ly/3vJCqww)

調査対象の投資・資産運用会社30社の内、25社は2050年までに気温上昇を1.5℃以下にし、2050年までに温室効果ガス排出ネットゼロに向け投資を支援する為の組織「ネット・ゼロ・アセットマネージャーズ・イニシアチブ(NZAM)」のメンバーである。 調査の結果、それら30社が行っている新規の石炭プロジェクト開発に持つ資産は820億ドル(約10兆円)、石油、及びガス会社(とその新規プロジェクト)に持つ資産は4,680億ドル(58.5兆円)に上り、気候変動対策の為に投資慣行を根本的に変更しておらず、石炭、石油、またはガスの投資を削減していない実態を明らかにした。 レポートでは企業名を公表しており、順位付けと点数によるランク分けをしている。詳細は下記のリンクの15ページ目に記載されている。
(https://bit.ly/36WKTnG)

このように、欧米の気候変動及び持続可能性に対する活動を先進的に行っている企業の多くが、現実的にはアピールしている程に活動を行っていない可能性が示されている。これは、当局による厳しい規制や罰則がまだ整備されていない事と、消費者が実際に企業の活動を検証する手段を持たない、という背景がある。

英国政府は、増え続ける企業のグリーンウォッシングに対応する為2021年10月に消費者向けにガイドライン
「Green claims code for shoppers」を発行した。
誤解を招く持続可能性と環境に関する企業の主張について、レビューを行っている。
https://bit.ly/35aNNUn

欧州政府は、「製品とビジネスの環境パフォーマンス–主張の実証(Environmental performance of products & businesses – substantiating claims)」というイニシアチブを立上げ、規制に向け、欧州委員会による事案採択の段階に入っている。
https://bit.ly/3yFPPbS

現在、英国及び欧州については、規制に動いているが、その他の地域では野放しの状態である。今後も規制強化が無い状態が続けば、企業によるグリーンウォッシングは減る事は無く、その実態が世の中に出る事も殆どないであろう。実態の伴わない欧米のグリーン推進企業の宣伝を鵜呑みにしてはならない。

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