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世界の環境関連ニュース(2022年3月第4週)

欧州のエネルギ―転換目標に黄色信号の警告が報道されています。EUの目標である2022年末迄にEUのロシアガスへの依存を3分の2に削減するという提案は、非現実的であるとのアナリストの見方をEuractiveが報じています。世界のガス市場はタイトで価格は記録的なレベルに達しており、EUは、3ヵ月連続で記録的な量のLNGを米国から購入しています。その価格は1年前の10倍に達しているという事です。また現在の数ではヨーロッパのLNG輸入ターミナルは貨物荷受け能力に限界があり、新しいターミナルの計画も完了するまでに何年も掛かります。
https://www.euractiv.com/section/energy/news/europe-faces-struggle-to-escape-russian-gas-this-year/

EU議会では、エネルギー価格の上昇からEU排出権取引に暖房と輸送セクターを含める事(元々の提案)に対する反対意見が出され、全会一致で決められる新しい気候変動政策については、政治的にかなり敏感な問題となっています。
https://www.euractiv.com/section/energy-environment/news/high-energy-costs-intensify-debate-over-eu-plan-to-decarbonise-heating-and-transport/

ドイツの製錬メーカーであるAurubisがハンブルクの工場でリチウムイオン電池リサイクルのテストを開始した事をリリースで発表しています。同社はリチウムイオン電池のリサイクルを「成長分野」として昨年積極的に取り組む事を発表していました。このテスト・プラントは湿式製錬工程で、BM(ブラックマス)からリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、グラファイトなどの金属を高い回収率で抽出する事を目指しています。
https://bit.ly/3JsIC1p

Bloombergが中国のアフリカ投資について実態をレポートしたものがYoutubeに掲載されています(英語版ですが)。中国によるアフリカへの投資の実態とそれに対する欧米の対応は、殆ど知るところが無いと思います。コバルトに対するコンゴへのインフラ投資とそれに伴う中国への輸出税優遇等も含まれています。南米や南アジアも似ていますが、世界は「別の物差し」でよく見る必要がある、という事をあらためて認識させてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=_-QDEWwSkP0

HSNWのコモディティーニュースによると、中国の山東省、安徽省、漢興省、河北省の多くの高炉が再稼働を開始している為、一部は下げましたが、全体として鉄鉱石価格が上昇圧力にある事を伝えています。
https://bit.ly/3NbdYf5
同じニュースソースですが鉄鋼製品(半製品)の供給ショックによる価格の高騰は、来年まで長期化しないという分析が出ています。2022年Q4には徐々に落ち着く見込みである、としています。理由は、中国の総鉄鋼需要の減少です。絶対量が多い為、多少の減少でも影響が出る、としています。2020年の中国総需要10億トンに対し、5.5%減少した2021年は量で言えば5500万トンの減少になり、この数量が2022年も不動産の減速もあり(大きい為)供給ショックをバランスする、としています。
https://bit.ly/3L3p5VQ

リサイクルPETボトルの安全性についてのニュースです。この問題は色々なところで言われていましたが、初期の研究結果が出され一般紙でも取り上げられています。今後よりコストが上がる可能性があります。ブルネル大学ロンドンの研究によるとペットボトルから飲み物に浸出する化学物質は150種類で、そのうち18種類は規制を超えるレベルで発見された、としています。リサイクルPETを使用した飲料では、新しいPETを使用したものよりも高濃度の化学物質が含まれている可能性があることを発見しています。この研究結果はJournal of Hazardous Materialsに掲載されています。PETボトルなどのリサイクル性の高い製品は設計が不十分な場合、「循環」に適さない可能性がある為、リサイクルの原則と廃棄物(の内容)を改善する必要があることを示しています。特にリサイクルを含めた全体のインフラの管理は重要との見解を示しています。
https://bit.ly/3D5LjDU
https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0304389422001984

英国では2月下旬よりコロナの症例が規制を全面解除後に増加し続けています。これは、BA.2サブ・バリアントという亜種の感染が理由です。その為、ブースター接種の2回目を75歳以上に実施する事を発表しています。ピーク時に比べ入院患者数は大幅に減っている為、特に新たな規制を行う計画は無いようです。
https://www.independent.co.uk/news/uk/home-news/covid-cases-uk-booster-vaccine-tests-b2040278.html

調査会社のウッドマッケンジーパワー&リニューアブルズが最近発表したリチウムイオン電池の種類における将来の占有率について、報道されています。リチウム鉄リン酸塩(LFP)は、2028年までに、ニッケル・マンガン・コバルト(NMC)バッテリーよりシェアが上回るとの予測を出しています。リチウムイオン電池の需要は、2030年までに3,000GWhを超えるとしています。これはEVの需要だけでなく、定置型のエネルギー保存施設ですでにLFPが多く受け入れられている事が主な要因です。
https://www.energy-storage.news/lfp-to-dominate-3twh-global-lithium-ion-battery-market-by-2030/

Euractiveが軍事増強を迫られる欧州でタクソノミーの原則についての議論が起きている事を伝えています。
欧州は武器生産を社会的に有害な活動として分類しタクソノミーに反映するかを検討し始めています。過去はESGとして武器産業を分類していませんでした。スウェーデン最大の銀行SEBは、長い間武器生産への融資を行わない方針でしたが、これを撤回しています。ドイツは安全保障産業協会の最高経営責任者がEUの武器製造業者をESG準拠と見なすよう求めています。理由は「安全がなければ持続可能性は達成できない」というものです。チェコの中央銀行総裁も武器産業を社会的に有害と見なさない、という見解を示しています。欧州ではエネルギー政策やESG投資の方針がウクライナ戦争で180度変わってきています。自己都合でのルール変更は欧州の得意とするところなので、過去がどうであれ、あっという間に変わっていきます。
https://www.euractiv.com/section/politics/short_news/arms-production-to-change-label-in-eu-taxonomy/

World Steel Association(世界鉄鋼協会)が2022年2月の世界の鉄鋼生産を掲載しています。アジアは最大の生産地域で102.6 ミリオン・トン(Mt)を生産したが、7.1%減少、CISは5.8%減、EU27ヵ国は2.5%減、欧州その他は2.7%減、南アメリカは7.0%減と、何れも減少しています。増加したのはアフリカの4.1%増、中東の2.8%増、北米の1.8%増です。国別では、中国が10%減、トルコも5.7%減となっています。それに対しインドは6.6%増となっています。アジアの生産に関しては今後も伸びが抑制される可能性を示しています。
https://worldsteel.org/media-centre/press-releases/2022/february-2022-crude-steel-production/

HSMWが欧州での鉄鋼製品価格の急騰と混乱を報告しています。ロシアのウクライナ侵攻前はエネルギー価格の高騰にも関わらず、需要が有る事から価格を引き上げる努力をしていました。しかしコイル系の在庫が多く、価格引き上げは思うように進まない部分もありました。その後、ウクライナ紛争を機に市況は急速に変化し、欧州の鉄鋼メーカーは需給と価格を再査定する為に見積もりを全て撤回しました。在庫を持たず生産を短期間に集中して限られた製品量をリリースするという方針を採用しています。これが繰り返される度に、メーカーからのオファー価格が大幅に上昇しています。流通業者も同じで、在庫を持たずに製品を流通させています。工場によっては、エネルギー追加料金を過去の契約にまで遡って適用する用意があり、現在の契約価格での取引が継続できるか分かりません。引続き、欧州では鋼材価格の上昇圧力があります。
https://bit.ly/3ty8lQm

LMEがロシアのニッケルとアルミについて今後も市場取引を続ける意向を本日示しています。今後もノリリスクのニッケルと銅、ルサールのアルミニウムなど、ロシア生産者からの金属を禁止する計画が無い事を発表しています。これは、政府が定める制裁の範囲外で、LEMが独立した行動を取る予定はないという見解です。
https://www.reuters.com/business/lme-says-it-has-no-current-plans-ban-russian-metal-its-system-2022-03-22/

欧州の2つの「自転車」の業界組織がパッケージの持続可能性とプラスチック削減を目指すキャンペーンを実施しています。欧州自転車産業連盟(CONEBI)と欧州自転車産業(CIE)が実施するもので、自転車関連産業企業60社以上がコミットしました。自転車の梱包材を持続可能なものにする事と、プラスチックの削減内容については、英国のエレン・マッカーサー財団の「新プラスチック経済イニシアチブ」のビジョンを踏襲、密接に連携している、と伝えています。
https://www.conebi.eu/bicycle-industry-has-launched-a-sustainable-packaging-commitment/

ロシアがロシアに制裁を課した国(日本を含む非友好国)にガスの支払いをロシア通貨であるルーブルに変更する事を発表し、欧州で大きな混乱が起こっています。欧州の殆どのガス購入会社がコメントを控え、対応に苦慮する中、ガスの価格が急騰して英国では18%増、同時にルーブルも上昇する可能性があります。ロシア産の石油は出来るだけ避けている企業もあり、石油製品の価格も高騰が続き、既に様々な影響が出ています。
https://reut.rs/3It2K2c

英国の国際アルミ二ウム研究所が2月の世界の1次アルミ生産量を更新しています。マップでは様々な指標がアップデートされるため、国際的な生産分布や強度を見る事ができます。また、同研究所は23日、2030年までの世界のアルミ需要予測を出しています。レポートによると世界のアルミニウム需要は2020年の86.2Mt(ミリオン・トン)から2030年には119.5Mtになり、約40%増加する、としています。10年で生産を33.3 Mt増やす必要があります。主に増加する産業セクターは詳細がリンクに記載されていますが、輸送(特にEV)、電気、包装、建設が最大の成長を遂げるものとなっています。
https://bit.ly/3IAdz2A
https://bit.ly/3JFftQF

欧州では2021年からハロゲン化難燃剤を含むプラスチックを使用する電子機器の販売を禁止しています。これに対し業界団体が異議を申し立てていましたが、EUの裁判所が異議申し立てを却下しています。ハロゲン系の難燃剤には塩素系と臭素系があり、欧州委員会は臭素系の難燃剤がプラスチックのリサイクルの妨げになる、との見解を示し使用を禁止しています。それに対し、国際臭素評議会(BSEF)は、臭素系の難燃剤がプラスチックのリサイクル性を低下させる事はない、との見解を示しています。日本難燃剤協会も欧州臭素評議会と同じ見解を出しています。米ニューヨーク州でも同様の禁止措置が2024年から導入される見込みとなっています。
https://bit.ly/3LecsHm
https://bit.ly/36qW8V1
https://www.frcj.jp/docs/halogen/index.html

リチウムイオン及びリチウム電池の航空輸送の規則が4月1日より変更になる模様です。既にIATAが危険物規則の第63版の梱包指示書965および968を「重要な変更と改訂」として発表しています。4月から、リチウムイオン電池とリチウム金属電池の両方をセクションIAまたはIBで宣言する必要があります。今回の規則変更は、機器に含まれている、または機器が空輸された状態で梱包されたリチウム電池の出荷には適用されない、としています。
https://bit.ly/3tCzNwE
https://theloadstar.com/lithium-battery-shippers-higher-costs-as-airfreight-rules-change-again/

気候変動に取り組む多くの大企業がイメージを向上させるためにグリーンウォッシングを行っているという研究結果が、カーボン・マーケット・ウォッチによって伝えられています。これはNew Climate Instituteとカーボン・マーケット・ウォッチの共同研究によって明らかにされたもので、同サイトのCorporate Climate Responsibility Monitorのレポートで詳述されています。全文は下記リンクからダウンロードできます。
世界の大企業1000社の内、既に「カーボンニュートラル」、更には「カーボンポジティブ」を公約しているところは5分の1になっています。同研究では、それらの企業が「カーボンニュートラル」と公約したにも関わらず、実際に約束した「将来の排出削減量」は平均して40%に留まる事を伝えています。更にこれらの削減の多くは2040年か2050年に達成される予定で、将来の世代に直接負担を負わせる、としています。この問題は欧米でも言われる事があり、今の政治家や企業経営者が自己の責任でカーボンニュートラルを行うのではなく、現時点では達成可能な科学的な根拠が乏しい中で将来のコミットメントを「今」決めるという事により将来世代に負担を背負わせている、という事で一部では議論になる事もあります。
https://bit.ly/3qxMua1
https://carbonmarketwatch.org/publications/ccrm_2022/

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