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世界の環境関連ニュース(2022年2月第3週)

アルセロールミッタルが2021年の決算を発表しています。EBITDAは194億ドルと2020年度の43億ドルから4倍以上となっています。2022年には純投資が3億ドルまで伸びることが予測されています。また、2022年(今年)の鉄鋼出荷量が前年比で3%増加すると予測しています。この決算発表と同時に今後更に低酸素生産プロジェクトに投資する計画も発表しており、以下が含まれています。2030年までに世界生産のCO2を25%削減する(欧州内生産ではCO2を35%削減する)。2022年末までにベルギー初のスマート・カーボン・プロジェクトを実施する。2024年から2025年にハンブルクでの水素プロジェクトを実施する。スペイン、カナダ、ベルギー、フランスでの脱炭素プロジェクトを今年中に発表する。
https://bit.ly/3JhUbb9

電気自動車(EV)の磁石とバッテリー製造に使用される金属と鉱物の認証スキームを開発する計画が発表されています。EV用バッテリーに使われる金属や磁石に使われる希土類は、EUでは「Cretical Raw Material(重要な原材料)」として登録されており、認証スキームの重要性が増していました。この計画は欧州の公的資金から援助を受けたプロジェクトとして進められます。開発の主体は、オランダのブロックチェーンの開発企業である「Circularise社」で、製品(EV)に使われる希土類の持続可能性を評価するため、Circular Syste(CSyARES)と呼ばれるシステムを開発する3年間のプロジェクトになります。このシステムは希土類産業協会(REIA)、英国のMinviro、ドイツのBEC GmbH、デンマークのGrundfo社と共同開発を行い、助成金は、欧州政府とEIT Raw Materialsによって提供されます。
https://bit.ly/3gCJfsu
https://www.circularise.com/

Euractiveによると、ドイツ自動車工業会(VDA)が、電気自動車用のインフラス拡張整備の目標を大きく下回っており、2030年の目標を達成できない可能性がある、という事です。この問題はドイツだけでなく、欧州の主要な国々でも徐々に問題になり始めています。欧州では2035年までに6,500万台の充電ステーションが必要で、2030年までは毎年50万台ずつ増やす必要と予測されています。その後、2030年から2035年迄は年間100万台が必要と見積もられています。この数量で使われる非鉄類はかなりの量になると思われます。
https://bit.ly/3HCwqu2
https://www.businesstimes.com.sg/energy-commodities/europe-needs-65m-electric-vehicle-chargers-by-2035

英国のバーミンガム大学と 英国の「Stopford社」が超臨界水を使ったプラスチックの熱分解技術の運用について合意した事を発表しています。Stopford社は、自社開発した熱水分解技術である『CircuPlast』を持ち、この技術を拡張し超臨界水を使う事でさらに技術的な拡大を目論んでいます。水の「超臨界」とは374.5 Cと217気圧の臨界点にまで水を高温・高圧にする事で、水分子がガスのような浸透力を持つため、それを利用してプラスチックを短鎖化し熱分解するものです。原理的にはプラToプラの基本技術と同じようなものです。
https://bit.ly/3HNxtYf

ベルギーの「ユミコア社(Umicore)」が、フランスの「Automotive Cells Co.(ACC)」とLibリサイクルについての契約を締結した事を発表しています。ACCは、フランスの石油化学会社トタル(Total)の子会社でバッテリー技術開発企業Saft社、新興のモビリティー企業であるStellantis社(スティランティス)、自動車メーカーのOpel(オペル)の3社によるベンチャー企業です。契約内容は、ユミコアが開発した次世代リサイクル技術をACCのフランスのパイロット工場で利用するものです。ユミコアの次世代最新リサイクル技術では、以下が報告されています。
– コバルト、ニッケル、銅の抽出効率が向上。95%以上の回収率。
– リチウムの大部分を回収する初の技術。
– 搬送・輸送の自動化で手作業の最小化。工程の堅牢性と効率が向上。
この技術は2022年中には導入予定です。ユミコアは既に2011年よりLibリサイクルに取り組んでおり、この技術が次世代の新技術であると伝わっています。
https://bit.ly/3JlbV5w

コカ・コーラカンパニー(The Coca-Cola Company)が、2030年までに、世界で少なくとも25%の商品を「詰め替え可能」または「返却可能な」ボトルや容器で販売するという“industry-leading goal”(業界をリードする目標)を発表しています。Coca-Colaは、2020年に製品の16%を詰め替え可能または返品可能なパッケージで販売した事を報告しています。同社は既に2025年までに主要な消費者向け製品のパッケージをリサイクル可能にし、2030年までにパッケージに50%のリサイクル素材を使う事を発表しています。
https://bit.ly/36dTXUo

世界第三位のコンテナ海洋輸送会社である「CMA CGM」が今後プラスチック廃棄物の輸送を行わない事を発表しています。これは先週、フランスのブレストで開催された国際ワンオーシャンサミットでグループCEOが発表してもので、同社のウェブサイトでも発表されています。プラスチック廃棄物は自国でリサイクルや埋立て廃棄するよりも輸出した方が安価な場合が多く、リサイクル会社(貿易会社)から海外の途上国向けに輸出されてきました。廃棄物貨物はその品物価値により低運賃を求める為、伝統的に低い利用率で運航されている西側諸国から(工業製品や農業製品の生産国へ)の帰り便を埋めるのに役立ってきました。今回、船会社が動いたことで、プラスチックの廃棄物海上輸送に関する制限がより増す方向になる可能性があります。
https://cmacgm-group.com/en/news-media/one-ocean-Summit-the-CMA-CGM-Group-decides-it-will-no-longer-carry-plastic-waste-on-its-ships

米国エネルギー省(DOE: The U.S. Department of Energy)が、本格的な希土類元素(REE)の回収を目的とした実現可能性を実証するための新しい施設の設計、建設、運用に関する情報要求(RFI: Request for Information)を発表しています。鉱物の抽出、及び分離精製所を予定しています。インフラ法から1億4000万ドルの投資を行い設立する予定で、次世代のクリーンエネルギーに不可欠な鉱物資源や希土類を回収する高度な技術を構築し、国内のサプライチェーン構築を支援します。目的は、現在米国全体で廃棄されている鉱物を含む廃棄物からの資源回収です。それらの廃棄物には、数十億トンの石炭廃棄物及び灰、酸性鉱山排水、生成水が含まれています。また、下のリンクにあるように、同省は、電気自動車(EV)やエネルギー貯蔵等のクリーンエネルギー産業に不可欠な高度なバッテリーの生産を促進する為に29.1億ドルを提供する2つの通知を発行しています。同じくインフラ法によるもので、電池材料の精製とその生産工場、電池セル、及びパック製造施設に向けられます。この資金提供には電池のリサイクルも含まれています。
https://www.energy.gov/articles/doe-launches-140-million-program-develop-americas-first-kind-critical-minerals-refinery
https://www.energy.gov/articles/biden-administration-doe-invest-3-billion-strengthen-us-supply-chain-advanced-batteries

欧州議会の中の、環境、公衆衛生、及び食品安全に関する委員会(ENVI)が、先週末にバッテリー製品のライフサイクル全体を管理する強化された規則案を支持する事を採決しています。この採決は欧州委員会の提案に賛同するもので、現在の法律を見直し、e-バイクなどの「軽輸送手段(LMT)用のバッテリー」の新しいカテゴリーの導入を含むいくつかの分野で規定を修正する事が含まれています。修正案で最も厳しくなるのは廃棄後のバッテリーの「回収率」で、携帯用バッテリーでは2025年までに70%、2030年までに80%、eバイクなどの小型モビリティ(LM)バッテリーの最小収集率は2025年までに75%、2030年までに85%となっています。自動車、産業、電気自動車の廃バッテリーは100%回収する必要があります。
https://www.europarl.europa.eu/news/pt/press-room/20220202IPR22435/meps-want-to-strengthen-new-eu-rules-for-batteries

昨年より欧州と北米での電炉新設プロジェクトが相次いていますが、先般報告した欧州鉄鋼大手のアルセロールミッタルがスペインとカナダでの低炭素プロジェクトを発表しています。スペインでは、メインスポンサーの1社となりスペインの「HyDeal España社」の世界最大の再生可能水素プロジェクトを行います。アルセロールミッタルと同じくプロジェクトに出資する1社である「Grupo Fertiberia」と共に、20年間で660万トンの再生可能水素を購入し、それぞれ、グリーンスチール、グリーンアンモニアを生産する予定です。カナダでは、同社が持つオンタリオ州に持つ高炉をDRI(250万トン)+電炉(240万トン)に転換する為におよそ10憶ドルの投資計画を既に発表しており、カナダ政府から3億1500万ドル、今回オンタリオ州政府から3億9400万ドルの支援を受けると報道されています。現状発表されている各社の電炉新設によるスクラップ購入の増加ペースを鑑みると、プロジェクトがスタートする2023年末~25年に掛けて、スクラップ需要が世界でプラス900~1000万トンを超えるペースです。鉄スクラップ価格の下値が一段上がる可能性もあります。
https://bit.ly/3sHqnOM
https://bit.ly/3GTLWAv

ペットボトルリサイクルに関する欧州での調査結果をコンサルタント会社「Eunomia」が発表しています。調査は、ゼロ・ウェスト・ヨーロッパが行ったものです。EU市場のペットボトルにはリサイクル率が約50%で、平均で17%のリサイクルPETの使用が確認されています。調査報告書では、リサイクルされたPET材が新しいボトルで再使用される比率は少なく、代わりにプラスチックトレイ、ストラップ、繊維等の低品質の製品によく利用されています。欧州各国で異なりますが、例えばドイツでは、消費者がボトルを返還する際にデポジットリターンシステム(DRS)を導入しており、高い回収率となっています。それでも、全て回収ボトルが再生プラスチックになり新しいボトルに戻されてはいません。ボトルから排出される180万トンのリサイクルフレークの内、31%のみがボトル用のペレットになり、残りの69%は他の低品質のPET製品になります。実際にはPET材料が「ダウンサイクル」され、高品質のボトルへとループ(循環)されるのではなく、大半が「非循環製品」になったことを意味しています。完全循環するには技術やコスト面でまだ課題が残ります。
https://zerowasteeurope.eu/wp-content/uploads/2022/02/HCIP_V13-1.pdf

韓国(と英国)のリチウムイオン電池開発製造会社である「Eurocell」が、およそ1,000億円(£6億)を投資して欧州にギガファクトリーを設立する予定である事が報じられています。同社の特徴はリチウム酸化チタンのアノード材と高電圧(対応の)リチウムマンガン酸化物のカソード材を使う事で、バッテリー寿命を25年以上に伸ばす事が出来る、という事です。生産能力は2023年初頭に小規模生産開始、2025年までに年間約4000万セルとなります。場所は発表されておらず、英国、オランダ、スペインの3か所を検討中です。既に韓国では同種の電池の生産を開始しています。
https://bit.ly/3sKs7Xn
http://www.eurocell.co.kr/kwa-219599?pc=p

三菱マテリアルのアルミ事業や昭和電工のアルミ缶事業を買収した「アポロ・グローバル・マネージメント」が、リサイクル材と堆肥可能なプラスチックパッケージの大手である米国の「Novolex社」を買収した事を発表しています。同社の従業員は10,000人以上、2つのプラスチックリサイクル工場を含む57工場を北米とヨーロッパで運営しています。株式の購入は「カーライル」からです。アポロ・グローバル・マネージメントはオルタナティブ投資(伝統的な株や債券以外の投資)を行う世界有数の投資会社で、その分野(狙った特定分野)の企業をいくつか買収し、拡大していく戦略を得意とする会社と言われています。昨年、欧州最大の木質ペレットメーカーである「Graanul Invest」を買収しています。オルタナティブ投資会社の対象が持続可能性を事業とする分野に本格的になっている情報の1つと解釈できます。実質実効レートで対外的に日本円の価値が大幅に下げている中、日本にも(買われる対象として)波及する可能性があります。
https://novolex.com/news/apollo-funds-to-acquire-majority-stake-in-novolex/

欧州精錬大手の「ユミコア(Umicore)」が2021年の決算を発表しています。数字は下記のリンクで詳細が確認できますが、注目すべきは、Energy&Surface Technologies事業での電気自動車(EV)向けカソード材料の販売量の増加、更にリサイクル部門での大幅な収益増です。既にリサイクル部門は2020年に過去最高レベルの結果を出していましたが、それを上回る結果となっています。リサイクル部門は、引続き2022年も強力なパフォーマンスを発揮する予定である事が述べられています。
https://www.umicore.com/en/newsroom/news/full-year-results-2021/

自主的炭素市場の新たなプラットフォーム「Carbon place」に多国籍な銀行組織が複数行参加しています。欧米金融機関のグループが立ち上げた、自主的炭素市場での炭素クレジット取引決済プラットフォームのイニシアチブであるCarbon placeに、新たに3行が加わる事が伝えられています。参加する銀行は、UBS, Standard Chartered, BNP Paribasです。このプラットフォームは2022年末迄の稼働予定で進められており、特徴は、透明性と国際的に信用あるクレジットを創出して扱う事です。欧米では自主的炭素市場の参加者が着々と準備を進めており、今後はコンプライアンス市場との垣根が減り、より広く利用可能なものへと制度として進化しつつあります。
https://carbonplace.com/
https://bit.ly/3rW2ALB

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