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世界の環境関連ニュース(2022年1月第1週)

(貿易などの指標となる)名目実行為替レートではなく、国(とその通貨)の対外競争力の全体的な尺度と見なす事ができる(物価やインフレを考慮した)「実質実効為替レート」で「日本円」の実力が2010年を100とした場合2021年10月には70を切る69にまで落ち込んでいます。地域別の経済データを示す「GeoFRED」によると、日本円は2021年11月時点で、過去11年間でロシアのルーブルやトルコのリラと同じカテゴリに入るパフォーマンスの弱さを示しています。韓国、インド、アルジェリア、ペルーに負けています。加重平均なので一概に比較する事は大げさになりますが2010年に100円を持って海外に出かけて買う事ができた100円相当のモノ(例えばマックのハンバーガー)は、今現在では、143円持って海外に出かけないと買えない事になります。日本企業、特にドメスティックonlyで外貨や対外資産の無い会社は、より海外から買いやすくなり、日本から見た場合は逆です。企業の10年戦略にも大きな影響が出ます(特に資源、食料、エネルギーは海外から輸入している為)。10年後にはハワイ旅行は「夢のハワイ」になるとも言われて始めています
https://fred.stlouisfed.org/series/RBJPBIS

スウェーデンのLiBメーカーである「ノースボルト」が最初のバッテリーセルを製造しています。欧州単独資本としては初の(テスト)生産です。同社は2030年までにヨーロッパで少なくとも20〜25%の市場シェアを目指すため、Skellefteaにある工場を60ギガワット/時(GWh)の生産能力にする事を目指しています。既に顧客であるBMW、Fluence、Scania、Volkswagen、Volvo Cars、Polestarなどから300億ドル以上の契約を獲得しています。
ちなみに、LiBリサイクルでは、独立系企業のカナダ(&米国)の「American Manganese社(アメリカン・マンガニーズ)」がカナダのベンチャーキャピタル市場から米国のナスダックに上場、資産規模を20倍以上にし、キャッシュを10倍以上にし、商業施設の着工をしています。アメリカン・マンガニーズはLiBに特化した湿式精錬の会社で昨年度の収支は13ミリオンの赤字ですが、資金は世界のお金が集まる米国メジャー市場であるナスダックを通じて調達しています。同じく独立系の米国「Li-Cycle社」は、LG化学との協業をベースに特別目的会社を買収する事で来年NY証券取引市場に上場予定です(ナスダックの可能性もある)。その資金を目当てに今年一気に拠点を3倍増する計画を発表しています。欧州でのウェビナーや政府系会議にも盛んに講演し、プレゼンスを広げています。
独立系は資金確保に専念して多くの資金を獲得、今後の拡大ロードマップを発表しています。2021年は独立系の資金確保と事業拡大のロードマップの元年でした。そのスピ―トには目を見張るものがあります。 欧州では独立系は資金ショートで規模拡大が難しく、OEMメーカーであるメルセデス、フォルクスワーゲン、ルノーは自社で、ノースボルトも自社でのLiBリサイクルに取り組む事を発表しています。理由は、多分に欧州指令の法律格上げによるサーキュラーエコノミーの義務化の動きです。このあたりは世界の動きをよく知る必要があります。
https://northvolt.com/articles/first-cell/

幾つかの専門ウェブサイトに掲載されていますが、太陽光電池のコストと効率を大幅に向上させるペロブスカイト太陽電池の安定化のブレークスルーが報告されています。メリットが多く次世代の太陽光電池として日本を始め、世界で研究開発が進められているペロブスカイト太陽電池ですが、ペロブスカイトは酸素や水分の影響を受けやすく、電子が材料内を効率的に移動できなくなるという決定的な欠陥があり、この問題を解決できない限り、プロブスカイト太陽電池が既存の太陽電池に代わる事が無い、と言われています。この課題に対しケンブリッジ大学の研究チームが問題を解決する方法を見つけScienceに研究結果が報告されています。まだ研究室段階の技術の為、実装に至るかは分かりませんが、専門誌では大きく取り上げられています。
https://www.azooptics.com/News.aspx?newsID=27294
https://souken.shikigaku.jp/11769/

トルコリラが再暴落しています。更にトルコ中銀の金利が14%に対し市中銀行の貸し出し金利は最大30%にまで暴騰しています。一部の銀行は、当座貸越口座に25%〜30%、さらには約35%のレベルのローン金利を課している、としています。これは政府が発したリラ防衛スキームでリラ預金をより多く引き付ける為に預金金利を引き上げた事で、連動して貸し出し金利も大幅に引き上げた事によります。鉄鋼メーカーだけでなく様々な産業に影響が出ているようです。トルコミルのスクラップ買い減速の理由は需給や在庫レベルだけではないようです。
https://www.dailysabah.com/business/finance/turkish-banks-urged-to-be-more-conscientious-amid-leap-in-loan-rates

イギリスではリサイクル工場や廃棄物置場で火災の発生が相次ぎ、環境省による監査が各地で行われました。 先週もアイルランドの金属リサイクル・センターで大規模な火災が発生して消火には数日かかる見込みとしています。大半がリチウムイオン電池によるものです。通常は混入するものでは無いのですが、絶対多数が増えてきた為に事故が発生しています。
https://www.thejournal.ie/belfast-fire-5642710-Dec2021/

12月初頭に世界経済フォーラムが「これから必要な職務履歴書に記載する5つのスキル」、という表題でCNBC Make itが調査した内容を記載しています。世界経済フォーラムがこのような事を伝える事にはそれなりに意味がある為、また、それ程困難でなく共通して役立つスキルなので一読の価値はありそうです。
https://www.cnbc.com/2021/12/07/types-of-skills-to-add-to-your-resume-today-says-ceo-who-read-over-1000-resumes-this-year.html

パーム油が来年トン当たり1000ドルを超える可能性がある事が報じられています。エネルギー価格の高騰で肥料の元になる窒素とリン酸塩価格が世界的に高騰しており、肥料の散布量を減らし収穫量が減る事、更にコロナで労働力不足もあり生産・供給力が減っているにも関わらず、需要は増加している為、としています。この価格高騰は生産量の減少が関わっている事から、PKSの生産量にも間接的に影響があると思われます。
https://www.reuters.com/markets/commodities/palm-oil-prices-stay-high-fertiliser-costs-limit-output-cpopc-2021-12-30/

スロベニアで新興LiBメーカーのプロジェクトが一時停止する事が伝えられています。中国企業の「Haidi Energy Technology」と合併会社を設立して2022年上半期に工場を立ち上げる予定であったスロベニアの「Tovarna Akumulatorskih Baterij社」がプロジェクトの延期を発表しています。主要な自動車メーカーは実績のある大手電池メーカーとの契約を既に終わっており、欧州での新規参入では初めてのPJT中止(延期)となります。
https://seenews.com/news/slovenias-tab-suspends-50-mln-euro-li-ion-battery-factory-project-report-767488

既に昨年から色々と言われていますが、2022年に注目すべき1つは暗号通貨(crypto-currency:民間発行)やデジタル通貨(Digital Currency: 政府発行)です。2つは発行元の違いから、その性質、流通ルート、資産価値が異なります。ジャマイカ政府が中央銀行のデジタル通貨をロールアウト(開始)する事を伝えています。中国も既にデジタル人民元のテストを開始する事を発表しています。デジタル通貨も暗号通貨も脆弱性は許されず、広く使われている米ドル(基軸通貨)やユーロでは対応が難しいと言われています。仲介業として銀行の役割、個人や企業の資産の透明性や秘匿性及びその価値、企業活動そのものにも今後少しずつ影響が出ると言われています。デジタル化の流れとは逆に、欧州中央銀行(ECB)によると2021年11月には計27,640,019,753枚のユーロが紙幣(総額1兆5,190億ユーロ)が流通しており、この数は20年前の3倍です。更に、合計310億ユーロに相当の1,410億枚のコインが流通しています。欧州のような巨大通貨圏ではデジタル通貨は脆弱性の問題から現在の技術では難しいと言われていますが、小国では可能です。
https://markets.businessinsider.com/news/currencies/jamaica-central-bank-digital-currency-q1-2022-pilot-cbdc-bank-2022-1

既に昨年より欧州でニュースとなっていましたが、米国カリフォルニア州で食品や農業残渣であるオーガニック(有機性廃棄物)残渣類を分別回収処理する事が法律として制定されています。これは、有機性廃棄物が埋め立てられた際に分解してメタンを生成する為です。メタンは二酸化炭素の80倍の温室効果をもたらす事が知られています。米国の場合は国土が広い事もあり、分別処理せずに、殆どの一般家庭廃棄物は埋め立てられているという現実があります。今年から随時、各郡や市で行われていきます。
https://www.latimes.com/california/story/2021-12-26/organic-waste-composting-law-2022-recycling

日本ではあまり大きな潮流にはなりにくいと思いますが、欧米では肉食に対するビーガンという事が商業的にも重要な提供サービスの1つになっています。ハンバーガー大手のバーガーキングは、既に2030年までにメニューを50%「肉なし」にするという誓約を掲げており、その一環として明日より英国全土でビーガンナゲットを発売すると、報道されています。50%ミートレスにする目的の1つは、2030年までに温室効果ガス排出量を41%削減するという目標にあります。脱炭素の為に農作物からバイオ燃料やビーガン食品を大量に製造する事、更にエネルギーの為に木質バイオマスや他のバイオマスを利用する事で、かえって環境に逆効果と言われていますが、企業別でみれば、目標達成でESG投資を得られやすいという状況を作る為、この問題は結構奥が根深いです。
https://uk.finance.yahoo.com/news/burger-king-launching-vegan-nuggets-104000025.html

既に複数のメディアで伝わっていますが、北米で最大のリチウムイオン電池のリサイクル工場の計画が伝わっています。米国の「Battery Resourcers社」がジョージア州で開設するもので、投資額は43ミリオン(約45億円)。工場は2022年8月に操業を開始する予定です。Battery Resourcersは2023年に前駆体とカソード活性材料の生産施設を建設する拡張戦略を発表しています。以前にもお伝えしましたが、Li-Cycle社やAmerican Manganese社のようにNY証券市場で上場して一気に資金を調達して拡大するというタイミングが今年になりそうです。
https://www.batteryresourcers.com/news

ベトナムの自動車メーカーである「VinFast」が北米での電池工場を設立する事が伝えられています。VinFastの親会社はベトナム最大のコングロマリットである「Vingroup JSC」という事で、グループのCEOが電動車に大きく舵を切り、国際的なプレゼンスを高める事を自ら伝えています。Vingroupは2022年には世界の販売台数目標を42,000台としており、さらに米国での株式上場を目指しています。42,000台と少量で、更にどのような車輛プラットフォームかは明確ではありませんが、小型高性能・高耐久の内燃機関の必要性が無くなるEVは、新興国にとっても1つの商機です。
https://www.reuters.com/markets/us/vietnams-ev-maker-vinfast-plans-build-us-battery-factory-ceo-2022-01-05/

欧州のインフレが継続しています。 ドイツの12月のインフレが5.2%に達した事が伝えられています。イタリア、英国もインフレ率は高止まりしており、金属を含めたすべてのセクターに渡っています。欧米先進国が軒並み高インフレの中で、日本だけがデフレという構図で、本来は大幅な円高になってもおかしくないのですが、尚も円安基調で、一層円の実質実効レートを下げる要因になります。
https://www.reuters.com/markets/europe/regional-data-point-further-rise-german-inflation-2022-01-06/

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