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世界の環境関連ニュース(2022年1月第2週)

グレンコアが2021年度版の気候変動レポートを発行しています。同レポートで北米での電子機器スクラップの回収とカナダとノルウェーの精錬所によるニッケル、及びコバルトを含む二次材料の加工で世界最大規模に達している事を伝えています。今後も使用済みの電子機器、バッテリー、バッテリーに使用する金属のリサイクルに注力していく方針が記載されています。
https://bit.ly/3eWnRh7

世界最大の木質バイオマス燃料を製造するエンビババイオマスがMLPからC Corporationに変更になった事が発表されています。市場はNY証券取引場のままです。既に昨年10月に発表されていました。これは、米国の現政権でMLPに対する税制変更法案が出ており、MLPへの投資機会が減り始めた事が大きな要因です。エンビバが投資会社と思わせるのは、会社法上の登記変更(MLP⇒Inc.)に伴い、メリーランド州ベセスダに本社であった会社がデラウェア企業になった事です。デラウェア州はタックスヘイブンではありませんが、デラウェアの会社法は経営者の裁量を拡大しており、経営者が投資家有利に決定を下しやすい環境下にあります。デラウェア州はアメリカで2番目に小さな州ですが、アップル、グーグル、マクドナルド、アマゾン、フェイスブックを始め、米国の主要企業を主に28万5000社、更にFortune 500企業の内、68%がデラウェア州に登記しています。タックスヘイブンではありませんが、事実上節税環境が良く、経営者裁量が最大限尊重される為、米国内にあるタックスヘイブンとも呼ばれています。
https://bit.ly/3q78NDq

フィンランドのヘルシンキが本社の「メッツォアウトテック(Metso Outotec)」が金属リサイクル事業の売却を発表しています。同社は50ヵ国以上で15,000人以上を雇用し、売上高は2020年に約39億ユーロ(5000億円)でナスダック・ヘルシンキ市場に上場している大企業です。売却にはリンデマンとテキサス・シュレッダーのブランドが含まれています。売却先は、スウェーデンの投資会社である「ミミール(Mimir)」の子会社です。売却額は非公開です。投資会社への大型売却(投資会社の買収)となります。投資会社による買収、上場による資金調達、大手精錬や製鋼の金属リサイクル業の買収は去年から大きな流れになっています。
https://www.mogroup.com/corporate/media/news/2021/12/metso-outotec-to-divest-its-metal-recycling-business/
http://mimirinvest.com/news/

欧州版のFinancial TimesやBloombergでも特別寄稿で中国の出生率低下のニュースが掲載されていましたが、日本語のYahoo Newsでも伝えられていましたので、リンクを添付します。この問題は中国政府が最も危惧するもので、既に一部は情報統制(統計局の数字から抜ける)の対象になっているようです。グリーンインフレーションで公共投資は続くと思われますが、欧米の主要経済紙では不動産の民間セクターは価格が過去のように上昇し続ける政策を容認せず、(建設関連に)影響が出るものと見られています。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6e8ed73ffe3ebba087cfe5aae22c42e09f8831bb

ハンガリー企業「Volta Energy Solutions(韓国資本のSolus Advanced Materials Co. Ltd.の子会社)」にEU政府がLiB用銅箔の工場建設費用の援助として2400万€(約35億円)の投資援助を承認しています。この援助がなければ、EU以外での生産をするとメーカーが交渉した為、EU政府も危機意識をもったようです。ウォールストリートジャーナルでは、今現在は中国/韓国がLib生産のイニシアチブを握っているが、いずれ最先端技術では米国が中国を抜くとレポートをあげています。派遣争いと熾烈な誘致合戦はしばらく継続しそうです。ただし、原材料の価格上昇によるバッテリーコスト増で自動車メーカーの生産するEVの利益率が極めて低いという現状があります。
https://www.volta-energysolutions.com/en
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_182
https://www.wsj.com/articles/in-the-race-for-batteries-one-scientist-has-seen-it-all-11641733205

複数の専門メディアで伝えられていますが米国のニューヨーク市が以前より検討されていたプラスチック包装廃棄物に関するEPR(拡大製造者責任)を採用する方向と伝えられています。欧州でも同様の議論がありますが、米国では既に複数の都市で採用が始まっています。EPRは廃棄物管理の切り札と言われていますが、生産者の負担増から多くの地域で具体的な規制にまで発展していません。EPRが始まると輸入する承認については一部輸入者が責任を追う事になる場合があり、安い新興国製品が避けられる可能性があります。
https://earth911.com/business-policy/packaging-waste-states-tackle-producer-responsibility/.

英国の超高級車メーカーの「ベントレー(VW傘下)」が史上最高レベルの販売台数を2021年に記録したと発表しましたが、今度は「ロールスロイス(BMW傘下)」が同じ様に記録的な販売台数を続けている事が伝えられています。コロナ禍で裕福層の海外旅行が制限され、可処分所得の一部を高級車購入に充てている、という事が大きな理由として報道されていますが、それ以外にも、資産価値が落ちにくい超高級社や超高級スポーツカーはインフレ社会ではある意味で投資対象です。富の偏在の1つの象徴となります。
https://www.theguardian.com/business/2022/jan/10/rolls-royce-covid-has-spurred-record-sales-of-our-cars

英国をベースとする多数のメディアで報じられていますが、廃棄物管理の世界的な大手企業であるフランス資本の「ヴェオリア社」が、英国で自動車用リチウムイオン電池のリサイクル工場を設立する事を発表しています。2022年第3四半期に小規模でテスト稼働、2024年に処理能力を年間1,000トンにまで伸ばす予定です。ヴェオリアは、化学メーカーの「ソルベイ」、自動車メーカーの「ルノー」との提携をフランス国内で発表しており、英国でのLibリサイクル事業進出の理由は、2024年に英国で発生する自動車用Lib廃棄物が年間5,000トンに達するとの予測が出ている為です。
https://bit.ly/330zcud

米国で廃棄物管理会社による廃棄物管理ソフトウェアプラットフォーマーの買収がありました。ニューヨークで廃棄物の収集とリサイクル管理を行う「Recycle Track Systems、Inc.」の親会社(RTS Holding)がオハイオ州の「Elytus社」の買収を発表しています。Webベースのソフトウェアプラットフォームである『WINstream』を持ち、調達から支払いまでの廃棄物サービスに関する処理をウェブ上で行います。同社のシステムはカナダとプエルトリコで既に運用されています。ニューヨークではプラスチック包装にEPRの適用が検討されており、プラットフォームシステムの利用価値は大幅に高まると見られています。
https://bit.ly/3tgsEC9

欧州委員会は、OECD金融教育国際ネットワーク(OECD-INFE)と共同で「成人向けのEU / OECD-INFE合同金融能力(向上)フレームワーク」を発表しています。このフレームワークの目的は、個人の財務スキルを向上させ、金融をよりよく理解することで(個人が)金融を管理し、より安全に金融市場に参加できるようにする事です。その為に教育機関、業界による公共政策、金融リテラシープログラム、教材の開発を支援します。米国では、ある年齢になると誕生日に親がMutural Fundの口座をプレゼントしてもらったり、働き出すと401Kの加入や個人資産運用は社会人活動の一部です。欧州で、欧州政府がこのような教育を成人向けに行うという事が、今後の社会構造の変化を想像させます。日本の個人金融資産は2000兆円で過去30年にて倍増ですが、同期間に米国の個人金融資産は6.7倍、さらに日本の金融資産の5割が現預金に対し、米国のそれは株と投信で5割と内容が大きく異なります。世界がインフレと高金利時代に突入しつつあり、この問題は、もう少し大きく取り上げられても良いと感じています。Cash Is Kingの時代が少しずつ変化している裏付けとなるニュースです。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_283

Recycling Todayが伝えていますが、電子機器の再生と販売をビジネスとするニューヨークの「Back Market」が総額で$800ミリオンの資金を調達している、と伝えられています。この資金は、再生技術とその利用の為に使われる予定です。リユース市場にこれ程の資金が動くというのは、サーキュラーエコノミーとネットでの大規模な販売網というインフラ、更に多数の拠点化が考えられます。
https://www.recyclingtoday.com/article/back-market-funds-raised-2021-2022-electronics-repair/

既に昨年よりフランスと米国テキサス州での提携及び工場設立の発表がありましたが、フランスの石油会社大手の「Total Energies」と英国のプラスチックリサイクル技術会社の「Plastic Energy社」が、更にスペインでケミカルリサイクル工場を設立する計画を発表しています。処理能力は年間33,000トンで、稼働は2025年初頭です。米テキサスとほぼ同規模のプラントになる予定です。既に昨年より活発化しておりますが、石油化学メーカーによるプラスチック廃棄物のケミカルリサイクルへの投資が続いています。
https://bit.ly/34zzlFa

英国が欧州連合から離脱した理由の1つが記載されている面白いニュースです。Eruactiveによると、ロンドンの独立した国際金融センターとしての地位は、今後も変わらず継続して行くという事が伝えられています。昨年EUを離脱したにもかかわらず、株式市場で上場した企業数は122件、リーマンショック前の経済最高潮の2007年以来の記録的な数で、更にそれらの時価総額は168億ポンドと、いずれも記録的なものでした。お金を生むのが労働ではなく資産によるという現代の資本主義の王道を示す結果となっています。本社機能や支店をEUに開設してドイツ、オランダに多数の金融機関が移動しましたが、それでも英国の地位は変わらず(米国がNo1なのも)、独立性を担保してより強化されています。
https://www.euractiv.com/section/economy-jobs/news/uk-finance-reigns-in-europe-despite-brexit-fallout/

米国大手EAF鉄鋼メーカーの「Nucor」が新たな工場計画地を発表しています。以前の同社の発表では投資額27億ドル、年間生産能力が300万トンのEAFを増設する事を示していましたが、場所は選定中との事でした。それがウェストバージニア州となり、工場の設備は84インチのシートライン、76インチのタンデム・コールドミルと2つの亜鉛メッキラインが含まれる、という事です。新たに東海岸で300万トン以上の鉄スクラップ需要がある工場が設立される事で、東南部の湾岸業者には影響が出るものと予測されています。
https://www.nucor.com/news-release/#item=18696

金融の大手情報誌ForbsのWeb版が「次に来るもの?」として「プラスチックのオフセットか」という記事を上げています。Forbsの下記の記事にあるように、透明性の高いクレジットは、グリーンウォッシングと批判がある中でも需要が一定量増す事が予測されています。
https://bit.ly/3fkY1DB

英国政府の歳入庁がプラスチック包装税のウェブページをアップデートしています。対象となる各カテゴリーの商品についてのリストが明記されています。今後それらには、リサイクル材(プラスチック)の含有量が30%未満の場合は、商品が課税対象となります。ただし、運用に関してはリサイクル材を含める事が困難なものもあり、実際に課税されコストアップを消費者が受け入れる事になるものや、曖昧な点もあり議論が起きつつあります。追って変化があればご連絡致します。
https://bit.ly/3K5BxEF

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