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世界の環境関連ニュース(2021年12月第3週)

11月より何度か掲載しているEU廃棄物輸送指令の見直しの件で、BIRが2025年以降の非OECD加盟国への金属スクラップの全面輸出禁止の可能性を示しています。これは、国際リサイクル局(BIR)の鉄鋼取締役会会長でドイツのリサイクル大手企業「TSR」のCOOであるDenis Reuter氏がFast Marketの独占インタビューで述べたものです。この指令の見直し案では、加工された金属スクラップも「廃棄物」と見なされる事が決まっており、廃棄物でないものは、廃棄物由来であっても超純度(95%以上相当)の再生材料に限られます。指令が正式に採択された後、3年後には完全適用になります。この概念が本格的に世界(といっても欧米西側諸国)に普及すると資源の流れが脱炭素で大きく変わりそうです。
https://bit.ly/33FkoB6

S&P Global Plattsが来年の銅需給をレポートしています。
2021年は需要が供給を上回り価格が高値圏で維持されていましたが、2022年は新規の精錬所の開設も含めて精錬容量が世界で3.9%増加(これは過去8年間で最大の増加)、銅需要は2.4%増加為、供給が需要をわずかに上回る、としています。新規プロジェクトと既存の銅鉱山の拡張により、鉱山の生産量も3.9%増加する見込みです。ただ、欧州とアジアでの需要は(驚異的な)急増を維持する事から供給不足になる可能性もあり、価格は楽観視(大きく下がらない)されています。英国のブローカー「Liberum」の予測は2022年に平均で$ 7,800 / t、2023年に$ 6,698 / t、$ 6,635 / tであり、スタンダードチャータード銀行の予測は2022年に$ 9,150 /t、2023年に$ 8,300 /tです。コメルツ銀行の予測は来年平均が$ 9,500 / tです。
https://www.spglobal.com/platts/en/market-insights/latest-news/metals/120721-feature-copper-market-to-be-well-supplied-in-2022

島国であるイギリスで、遂にプラスチックのケミカルリサイクルのパイロットPJTが行われる事が発表されれています。昨年まで、トルコとインドネシアに大量に輸出されていた「リサイクルできないプラスチック」の埋立て問題は、日に日に増しています。ドイツを本社とし欧州に数か所の拠点を持つオレフィンとポリマー材料を製造する「INEOS」が英国のプラスチックリサイクル技術を開発する「Plastic Energy社」と英国でプラスチックのケミカルリサイクルの試験を開始します。場所はスコットランドのINEOS Grangemouth工場で、2022年第1四半期に予備試験を開始する予定です。廃棄物の対象は、軟質包装などの「リサイクルが難しいプラスチック」で、FDA品質の再生プラスチックを製造します。Plastic Energy社は、独自の熱分解油化技術を持ち、廃プラスチックをTACOILという名前の液体原料(オイル)にします。
https://bit.ly/3E6XSNQ

米国労働省労働統計局(BLS)が、下記のリンクにある最新のリリース(LATEST RELEASES)で、今年の「致命的な労働災害の人口調査」(Census of Fatal Occupational Injuries )を2021年12月16日」に発行しています。 廃棄物収集とリサイクルが米国で6番目に死亡に至る危険な職業であり、ランキングは昨年度と変更がありません。全体の死者数は減りましたが、資源回収施設(リサイクル施設:MRF)での死亡者数は、2019年の3人から2020年には4人に1人増加しています。米国でも固形廃棄物は多くのレベルで危険な産業であり、怪我や危険の増す作業をする従業員に意識を高めるために共同で取り組む必要がある、としています。
https://www.bls.gov/bls/newsrels.htm

また1社、特別目的会社を経由してNY証券取引市場に上場する廃棄物管理とリサイクル会社が現れました。 ソフトウェアを利用した廃棄物管理とリサイクルのイノベーション企業である「ルビコン・テクノロジー(Rubicon Technologies))が「Founder SPAC社」と合併してNY証券市場に上場する事を発表しています。合併は2022年の第2四半期に完了する予定です。ルビコンの今年度の純利益は4500万ドル、2022年度の純収益は7700万ドルを予想し、2024年度の売上は15億ドルになる見込みを示しています。廃棄物管理にもIT化の付加価値を売り出す会社が上場するという流れになりました。
https://www.rubicon.com/investors/

「SIMS」が米国でリサイクル会社の買収を発表しています。買収する会社は「Atlantic Recycling Group(ARG)」で商号は『United Iron&Metal』及び『Montgomery Scrap』です。買収金額は3700万ドル+運転資本の移転が含まれます。買収の理由はARGの共同創設者が亡くなった事によります。この買収によりSIMSは米国の東海岸の事業拠点を拡大する事になります。
https://bit.ly/3H3aoA7
https://scraparg.com/

脱炭素の為のエネルギー転換問題でEUが行き詰まる中、原子力と天然ガスをグリーン投資分類に含めるという議論がEU内で過熱しています。現在もEUではエネルギー価格が高騰しており、電力を使う製造業や素材産業への影響が大きくなっています。その為、EU内でも原子力開発と天然ガス開発をグリーン投資に含めるという議論が出ており、意見が2分しています。既に脱炭素がイデオロギー化しているので反対派も多く、この議論はしばらく続きそうです。
https://bit.ly/3qd3UHZ

米国の「ビルドバックベター法案(総額200兆円)」が上院で賛成多数を得られない公算が高くなっています。殆ど報道されていませんが、この法案にはグリーン水素に対する補助金が含まれており、その額は1Kgあたり3ドルで、米国での実質的なグリーン水素製造のコストを考えるとコークスの代替えとしての価格に現実味を帯びてきます。グリーンでなくともブルー水素にも半分程度の補助金が出ます。他地域での水素製造(グリーン&ブルー)はオーストラリアや天然ガスが取れる中東・ロシアを除き米国の倍以上のコストが掛かる為、米国のこの税制優遇は、米国鉄鋼業界が水素化を目指す大きなステップになると見られています。水素還元DRIとEAFの組み合わせが動き出すキッカケになる法案でしたが、修正を迫られる為、来年以降になりそうです。
https://bit.ly/3Eiu1C9

既にメルセデスやボルボもスウェーデンの鉄鋼メーカー(HYBRIT社とH2Green Steel社)に出資していますが、スウェーデンがグリーンスチール製造でパイオニアになるという予測を調査会社のWood Mackenzieが伝えています。スウェーデンは欧州で最大級の鉄鉱石の埋蔵量があり、かつ化石燃料によるエネルギーは10%前後で、グリーン水素製造の条件が整っています。鉄鋼は脱炭素化が欧州でも最もハードルの高い産業と位置付けられており、100%のカーボンニュートラルには、かなりのイノベーションが必要か、他の方法(炭素貯蔵やオフセット)が必要との認識があります。
https://bit.ly/3JiJR3I

ウィーンに本社を置く国際的な総合石油・ガス・化学会社である「OMV」は、自社が開発した『ReOil』という特許技術を利用したプラスチックのケミカルリサイク工場を建設する事を決めています。稼働は2026年です。この技術は高圧を利用することで熱分解の温度を下げる事が特徴で、プラスチック廃棄物を合成原料に変換します。
https://bit.ly/3GZ4ujp

欧州(ドイツ)から出荷されたプラスチック廃棄物をバーゼル・アクション・ネットワークと環境団体がドイツに戻すよう、ドイツ連邦環境庁に書簡を出しています。ドイツのプラスチック廃棄物が入った37個のコンテナをピレウス港(ギリシャ)で船積みする事を禁止し税関当局がコンテナを滞留させています。トルコを経由して他国に輸送される予定でしたが、ドイツに戻すよう書簡は求めています。欧州のプラスチック廃棄物は、過去、インドネシアやアフリカ、ギリシャ経由でトルコに輸出され、他国に流れていました。こういった動きが大々的に報じられる事で、一層EU内でリサイクルできないプラスチックが滞留して埋立てに回り、その対策でケミカルリサイクルへの投資が増えるという循環になっています。
https://bit.ly/3Fg2SBj

直近では世界最大級のパーム原油(粗パーム油)輸入国になっているインドが精製されたパーム油(精製油)の関税の引き下げを発表しています。報道では、この措置はインドネシアとマレーシアの生産者を助ける可能性がある、という事です。また、2022年末まで精製したパーム油の輸入も許可するという事です。関税は17.5%から12.5%になります。これは、急増するインドのパーム油需要への対応によるという事です。インドは食用油の内製化を進めていますが急増する需要に追いつかず、全体としては70%余りを輸入に頼っています。EUでは森林破壊による農産物規制を盛り込んだ法案が欧州委員会で提起されており、ターゲットの1つとしてパーム油が挙げられていました。
https://www.reuters.com/markets/asia/duty-cut-could-lift-indias-refined-palm-oil-imports-dent-cpo-purchases-2021-12-22/
https://ec.europa.eu/environment/publications/proposal-regulation-deforestation-free-products_en

電炉関連の買収が続いています。英国で鉄や非鉄製造の技術サービスを展開している「Vesuvius 社」が、米国ペンシルバニア州で電炉の製造装置を開発販売している 『Universal Refractories社』を買収しています。買収金額は5,710万ドルです。クリーン水素製造インセンティブ法が上院を通過すれば、DRIへの投資もより活発になると見込まれています。
https://www.bglco.com/press-release/bgl-advises-vesuvius-plc-on-acquisition-of-universal-refractories/

欧州では、エネルギー価格の高騰が続いており、既に英国ではエネルギー卸売業者の半分が倒産しています。オランダでは年初と比較して電力価格が8倍、ドイツで5倍になっており、既にエネルギー集約業の一部は操業を止めて、定期補修に当てています。その為、セメント、鉄鋼、金属、肥料産業の各業界団体は共同で声明を発表しています。このまま電力料金の暴騰が続く場合は、EU域外に生産拠点を移さざるを得ない、としています。EUのグリーンディールはグリーン技術革新で雇用を増やす事を最も重要視してきましたが短期的にはあまり成功していません。イデオロギーと地政学(安全保障含め)を優先させた結果ですが、短期的には強烈なエネルギーインフレを招く結果となっています。ちなみに現在イギリスでは10%アルコール混入のレギュラーガソリンは1Lで約215円です・・・・。
https://uk.finance.yahoo.com/news/heavy-industry-urges-eu-tame-113556639.html
https://uk.finance.yahoo.com/news/energy-bills-could-rise-50-085852448.html

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