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世界の環境関連ニュース(2021年9月第2週)

流通業では一般的なハブ&スポーク・システムを工場拠点整備の戦略に用いている米国のリチウムイオン電池リサイクル大手「Li-Cycle社」がアラバマに「スポーク」施設を建設する事を発表しています。以前レポートしましたが、同社は水中破砕法を用いる独自のリサイクル技術を持ち、収集と破砕を各地で行い、それらを1個所の湿式精錬工場に集約する、という事業モデルです。完全な独立系として、米国では地位を築きつつあります。 アラバマ州は、韓国メーカーが多数拠点を設けている場所で、現在も増加を続ける廃棄Libに対応する為、としています。
https://bit.ly/3Ef1r6f

既に幾つかの専門サイトでは報道されていますが、韓国の大手「LGエレクトロニクス」が2030年までに60万トンのリサイクルプラスチックを製品に利用する事を発表しています。今までの目標は2025年迄に20万トンです。昨年の実績はわずか2万トン。この目標を達成する為に、廃棄電子製品の収集力を強化する、としています。2030年までに800万トンを収集します。昨年の実績は307万トン。耐熱、耐候、強度等、品質面で再生材が条件をクリアする為には、細分化された収集と選別が必要な為、このような動きはメーカーの参入を加速させることになります。
https://bit.ly/3hiK0aO

Euractiveによると欧州委員会が、EUのグリーンファイナンス分類法に原子力エネルギーを含めるという提案を今後数か月以内に提出する予定だと内部情報から伝えています。環境負荷が「重大な危害」というものでなければ、グリーンファイナンスとして原子力への投資を可能とする事が内容となっています。ドイツは、グリーンファイナンスに原子力を含める事に最も強く反対しており、フランスは原子力大国として強力に推進する国です。内容を読めば分かりますが、「グリーン」の定義は、欧州でも化学ではなく極めて政治が作るルールブックという事が多分にあります。
https://bit.ly/3E4L5wU

英国政府が国際海運業に対して2050年までに海運業が温室効果ガスの発生を完全ネットゼロにする目標を設定するよう呼び掛けています。英国の運輸長官が行ったもので、今週行われるロンドン国際海運週間の開始に先立って発信されたものです。欧州内でも現在、海運部門を排出量取引制度(EU ETS)に含めるか激しい議論が行われています。既に欧州議会では海運業を含める事に合意していますが、国際海運業協会が猛反対をしています。現在コンテナ船はアンモニアとバイオディーゼル燃料の併用エンジンへの転用が有力視されていますが、まだ実用段階に入っておらず、商用ベースになったとしても価格が大幅に上がる事は間違いありません。
https://bit.ly/3npYBFn

欧州最大の石油メーカーの1つである「Shell(シェル)」がプラスチック廃棄物のケミカルリサイクル工場の設立に動きます。配下の会社シェル・ベンチャーを通じてオランダプラスチック廃棄物のケミカルリサイクル技術会社である「Blue Alp社」と合弁会社を設立し、オランダに工場を建設予定です。工場は2023年に稼働予定でシェル社の化学工場向けの原料として熱分解後の発生油を100%供給します。シェルは2025年までに世界の化学工場で年間100万トンのプラスチック廃棄物をリサイクルするという目標を掲げています。やはりプラスチックのケミカルリサイクルは、最終的には石油や化学メーカーの参入による独占的な業種になっていく流れができ始めています。
https://go.shell.com/3zhNu3L
https://www.bluealp.nl/

米カリフォルニア州の上院が、製品包装のリサイクル可能性表示を義務化する法案を賛成多数で可決しています。案はSB343と呼ばれるもので、最終承認は州知事による署名が10月10日までに必要となります。この法案により、2024年1月1日までに、カリフォルニア州資源リサイクル回収局(CalRecycle)は、製品及びその包装が州内でリサイクル可能か、またどのような材料が使われているかを評価し、それらの情報を一般に提供することが必要となります。これらに基づき、製品へのラベルに情報を入れる事が必要となります。ただし、プラスチックや化学業界からは、この法案が「より多くの梱包材を埋め立て地に送るという意図しない結果をもたらす可能性がある」として反対しています。
https://bit.ly/3C9zCue

ユーロ圏のインフレ期待のデータが2015年半ば以来の最高レベルに上昇した、と報じられています。欧州では最近数ヶ月の予想よりも強いインフレ率となっており、インフレ上昇が一時的なものなのか持続的なものか議論となっています。欧州中央銀行(ECB)が追跡する長期市場インフレゲージのインフレ率が1.8207%に上昇し、ECBの新目標の2.0%に近づいています。2.0%を超えると金融引き締めに入り一気に市場が反応する恐れがあります(コロナで引き締めには慎重になるとは思いますが)。日本だけ別世界で特殊ですが、世界はインフレの上昇とマネーバブルで「いつ」引き締めに入るかという議論が徐々に出始めています。
https://yhoo.it/3k6ybqb

グリーンスチールについては欧州では既に現実の商売ベースの話に発展しています。スクラップにも多いに影響がある分野の為、Argus情報ですが、是非一読を。
https://bit.ly/3Cb1ldL

米国とEUが地球温暖化に対するメタンを削減する合意を行う、と伝えられています。11月に行われるCOP26サミットに先立って、この合意の支援を主要な排出国に参加する事を促している、という事です。削減目標は、2030年までに現在の3分の1と報道されています。メタンは、そのほとんどがエネルギー、農業、廃棄物産業のそれぞれで発生しており、事業に大きな影響を与える可能性があると言われています。今はCO2ですがメタンの規制が入るとかなり大きな事になりそうです。
https://reut.rs/2YWSOgj

中国の恒大集団の事が欧州の主要紙で一斉に報道されています。内容は、デフォルトの警戒があるレベルに流動性が危機的状況に陥っている、というものです。アナリスト一部は、同社の債務問題が中国の金融システムに広範なリスクをもたらす可能性があると伝えています。同社については、債務返済の為の資産売却に苦労しており、他の開発者も重債務リスクにさらされていると見なされる可能性がある、という事が言われ続けています。中国でも最大級の不動産ディベロッパーの為、影響が心配されています。
https://bbc.in/2VFOYH3

自主的炭素市場で最もランキングの高い「Air Carbon Exchange(ACX)」が、S&P Platsの中で今後の自主的炭素市場の方向性について言及しています。同社のGHG取引量は急速に増加しており、2021年上半期だけで3百60万トン、過去2カ月だけでも2百10万トンと、この市場が急速に拡大している事を示しています。ACXは、世界の企業がより透明性の高い標準化されたクレジットを求めており、自主的炭素市場はその方向に急速に向かっている事を示しています。国際標準が完成した場合、投機資金が一気に流入して通常のコモディティと同じ様な市場商品になる、としています。現在コンプライアンス市場の炭素価格は70ドル以上になっており、自主的市場は13ドル付近で、標準化によりこの市場の炭素がデファクトとして通用するまで昇格した場合、恐らく世界の炭素を取り巻く状況は一変すると思われます。欧米の投棄筋はその方向に既に準備をしています。
https://bit.ly/3tDrezO
https://www.aircarbon.co/ef2021-win

米国の大手アルミニウム・リサイクル業者の1社である「Spectro Alloys」が1,000万ドルの投資を発表しています。既に自動化と機器制御アップデートの為に先行して300万ドルを投資しており、今回の追加投資は環境設備と倉庫が含まれます。生産、出荷、受け取りの合理化、施設に出入りするトラックの交通量削減、そして建物は太陽光発電用に最適化されエネルギー消費量を削減する、としています。またリサイクル工程で発生する熱を再利用してエネルギー消費量を削減します。グリーンメタルへのプロセス投資をどのように先行して行うか、という事が大きな流れになっています。欧米では大手が先行して投資を拡大しています。
https://bit.ly/2XgwKMM

現在、南・東EUと英国ではエネルギー価格、特に電力価格が急上昇している事が問題となり始めています。石炭発電を止め太陽光と風力に切り替える中、自然環境により再生可能エネルギーの発電量が弱まると、GHGの発生が石炭より少ない天然ガスによる発電で補う為、ガス価格が高騰し電力価格に反映されている、という構造的な問題となっています。また、価格上昇の5分の1がEU ETS(EU排出量取引制度)による炭素価格の急上昇がもたらしている、としています。冬の到来でガス価格が上昇した場合、発電にかなりのコスト負担になると言われており、グリーンエネグリーへの移行が現実問題として理想的な程、容易ではない事を伝えています。石炭⇒ガス化は日本を含めどの国でも同じ流れです。
https://politi.co/3kdLmpc

プラスチックリサイクル材とリサイクルの為にポリマーに混ぜる「添加剤」をBASFが発表しています。リサイクル業者を含む幾つかの再生材製造メーカー向けに目的に応じた数種類の添加剤となります。例えばリサイクルHDPE材の場合、バージン材と同様の「長期的な熱安定性」を持たせる必要があり、添加剤としてその目的を達成する為に開発されたものです。これにより、リサイクル材の性能が向上し、品質管理に大きなメリットとなります。プラスチックリサイクル材を使う為に化学メーカーが提供する一つの解としては新しい取組です。
https://on.basf.com/3lqiqK6

現在、米国では希土類磁石生産税額控除法案(the Rare Earth Magnet Manufacturing Production Tax Credit Act:HR 5033)が提出されており、審議に入っています。この法律は、米国内で希土類を使用する磁石生産を税制面でサポートするものです。希土類の中国依存(世界の90%以上のシェア)を減らす動きは欧州や英国でも進みつつあり、米国でも法案化に進みつつあるという事が希土類の重要性を示しています。モータリゼーションの電動化で最も懸念されている希土類は、各国ともに政府援助が増しています。
https://bit.ly/2XtarDW

自主的炭素市場( (VCM) )が今年8ヶ月で60%以上拡大し、2021年は10億ドル市場になると報道されています。8ヶ月で売買されたクレジット(炭素1トンあたり)数は2億3,930万(クレジット)で売上額7億4,820万米ドル。主的炭素市場のスケーリングに関するタスクフォース(TSVCM)によると、2030年までにGHGを現在のレベルから半減、2050年までネット・ゼロにする場合、コンプライアンスと自主的両方の炭素市場を通じた取引行動を2030年までに15倍、2050年までに2020年レベルから100倍に増やす必要がある、としています。
https://bit.ly/3CjM7Di

温室効果ガス削減(GHG)活動のスポークスマンの最大の1人であるアル・ゴア米元副大統領がバックアップする新たなGHGデータプロジェクトが米時間の本日、発表を行う予定です。衛星からのデータと高レベルのコンピューター分析を利用する新しい技術で世界のGHG排出量をより正確に把握する、というもので、石油とガス生産のGHG排出量が以前に考えられていたものの2倍になる可能性がある、との事です。恐らく発表後に欧米の各種メディアで取り上げられると思います。
https://reut.rs/3kcPeGW
https://bit.ly/3AlgAQM

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