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世界の環境関連ニュース(2021年11月第5週)

英国の大手スーパーマーケットの1つである「モリソンズ」がプラスチックのリサイクル施設に出資してリサイクルに乗り出します。英国では大手の小売店が自社でリサイクルに取り組む初の例となります。「Yes Recycling社」が保有する施設に投資する事で、2025年までに自社のリサイクル施設内で市場に投入したのと同じ量のプラスチックをリサイクルもしくは再利用し、自社ブランドのプラスチック包装を50%削減する、としています。
https://www.westpakuk.com/morrisons-to-co-own-world-leading-soft-plastic-recycling-site-in-uk/

鉄鋼業にとって影響のある水素エネルギー問題の課題が欧州で徐々に本格的な議論になっています。欧州では水を電気分解して得られる「グリーン水素」を水素戦略の柱としており、その電力源が大きな問題になっています。昨年発表したEU水素戦略では、原子力を電源に使う事は盛り込まれていませんでしたが、現実的に再生可能エネルギーでは容量が足りない為、原子力を含める事を本格的に検討し始めています。鉄鋼、セメント、化学薬品等は電力だけでは対応出来ないため、水素が必須な産業となっています。多くの科学者は2050年までに水素が4分の1のEUのエネルギー源になる事はコスト的に不可能との見解を持っています。日本の鉄鋼メーカーは現実的な解をどのようにするのか?先行する欧州でもかなりの難題になり始めています。
https://www.euractiv.com/section/electricity/news/nascent-hydrogen-market-needs-low-carbon-nuclear-power-eu-official/

欧州でのエネルギー価格暴騰によって、英国では8月から3ヶ月で、既に25社のエネルギー卸売業者が倒産しています。英国だけでなくドイツやフランスでも同じような事が起こり始めています。最大の原因は特に風力の再生可能エネルギーを急速に進めた結果、容量不足が起こりガスに過度に依存する結果となった為です。
https://uk.finance.yahoo.com/news/why-many-uk-energy-providers-103527045.html

11月10日に発行したEUの非OECD国への廃棄物輸出制限(相手国との同意必要)により、EUから中国への金属廃棄物の輸出が止まっている事がFast Marketで伝えられています。中国の基準値が高く、BIRも今後中国向けの輸出に影響が大きい事を伝えています。
https://www.metalbulletin.com/Article/4018288/Scrap-and-secondary-Ferrous-scrap/EU-scrap-exports-to-China-halted-amid-no-consensus-on-waste-regulation.html

プラスチックオフセットが米国で拡大しつつあるようです。日本では言葉すらほとんど無い状況ですが、世界では炭素市場と同じく着々と動きつつあります。2019年にフィリピンで開始されたプラスチックのオフセットサービスを行う「Plastic Credit Exchange(PCX)」が、米国でサービスを拡大する事を発表しています。オフセットに参加する企業は、「Peanut Butter&Co.」、「ペプシコフィリピン」、「コルゲートPalmoliveフィリピン」が含まれています。「Ernst&Young」や「PWC」などの大手第三者機関が監査法人として加わっており、正当性を高めています。
https://bit.ly/3pdGRwf
https://www.plasticcreditexchange.com/

米国の大手独立系リチウムイオン電池リサイクル専門会社の「Li-Cycle」についてのニュースが幾つか発表されています。まず、Li-Cycleが英国の商用電気自動車の新興企業である「Arrival」と提携する事を発表しています。Arrivalは商用電気自動車を開発製造する新興メーカーです。Li-Cycle社は今月初頭に米国のバス大手製造で電動化を進める「NFI Group」とも提携しており、商用の大型リチウムイオンバッテリーのリサイクルへ進出しています。Li-Cycle社は特別目的会社を買収した後に、今年8月にNY証券市場に上場したばかりです。また「Koch Investments Group」が子会社を通じてL-Cycle社の転換社債を購入する事で1億ドル(113憶円)を同社に投資する事を発表しています。このセクターへの投資と提携が米国で速い速度で進んでいます。
https://li-cycle.com/newsroom/
https://www.marketwatch.com/story/li-cycle-to-get-100m-investment-from-koch-strategic-platforms-271632920681?mod=mw_quote_news

「Nature Sustainability」が発表した最新のレポートについて、ヨーロピアンサイエンティストが言及しています。過去30年のデータを分析したレポートで、世界のどの国も発展に伴う人間の基本的なニーズを満たす以上に資源を浪費してきた事が示されています。このような分析は初めてだという事です。英国リーズ大学のチームの研究では、先進国では国民経済を発展・改善するのに必要な量以上の資源を利用する事で自然破壊を助長しており、逆に途上国では資源を浪費しても人々の生活水準は浪費分に見合うだけ向上していない、というものです。科学的には資源の効率的な利用だけでは持続可能性は不可能、との結論を出しているようです。
https://www.europeanscientist.com/en/environment/nations-overuse-natural-resources-and-still-cant-meet-basic-human-needs/

ノルウェーの「Norsk Hydro ASA」が米国のミシガン州で生産能力年間12万トンの「最先端アルミ・リサイクル工場」の建設投資を発表しています。生産する製品は、スクラップが少なくとも75%含まれているHydro Circalと名付けられた押出インゴットで、製造技術はルクセンブルクとスペインの自社工場で開発したものです。投資額は約1億4000万ドル。米国の顧客も低炭素、脱炭素への要求が高まっており、ニーズに反映するものとしています。10万トン単位ですので、米国発のアルミスクラップに影響があるかもしれません。
https://www.hydro.com/en-US/profiles/aluminum-extrusions-manufacturer-in-michigan/

ドイツの精錬メーカー「Aurubis」と金属地金メーカーであるドイツの「SMS」が米国での工場建設に乗り出す事を発表しています。ジョージア州オーガスタに予定されている工場は、2022年半ばに建設が開始されます。試運転開始は2024年前半でリサイクル処理能力は年間約90,000トン。また両社は長期的なコラボレーションも発表しており、協定にも署名しています。サーキュラ―エコノミーへの投資が拡大している欧州メーカーが需要の拡大が予想される北米に「規模の経済」で乗り出す良い例だと思います。
https://bit.ly/3EbhEIS

ルクセンブルクのステンレスメーカー「Aperam SA」がドイツのステンレスと合金スクラップ処理業者「ELG」の買収が年末までに完了する事を伝えています。欧州委員会による承認を得て正式に決定したようです。ELGは従業員1,270人、世界に拠点があり年間取扱量は約112万トンと、リサイクル業者としても欧州で大手です。
https://www.elg.de/en-de/about-us/

EUのインフレが急上昇しており止まりません。ユーロ圏全体のインフレ率が11月に4.9%になり、1997年に本格的にユーロが導入されて最高レベルになっています。エネルギー価格とサプリチェーン混乱によるものですが、10月の米国もインフレが6.2%と上昇しており、コモディティやその他の市場にも影響が出そうです。最近はイギリスでも普通に食品が1割値上がりする事もありますので、途上国並みのインフレです。
https://uk.finance.yahoo.com/news/inflation-eurozone-soars-4-9-142725582.html

TOMRAの大規模なプラスチック選別設備を入れたIVAR社が大幅なプラスチック廃棄物のリサイクル率向上を発表しています。これは、TOMRAとIVARのあるノルウェー国の地方自治体で行われた結果で、自治体がプラスチックの個別収集を停止し、混合廃棄物を設備導入した工場で分別するようにした結果となります。廃棄物のリカバリー率(リサイクルに回す率)を28%から82%に引き上げ、リサイクル率56.4%を達成した、と発表しています。リサイクル工程では、硬質系のプラスチックを分別し、PP、HDPE、PS、PET、LDPEフィルムに分別します。今後、プラ新法によって欧州と同じような収集体制になる日本でも数値化による評価は参考になるかと思います。
https://recycling.tomra.com/blog/mixed-waste-sorting-ivar-iks-norway
https://www.ivarryfylke.no/

「Research And Markets.com」が「プラスチックリサイクル – グローバル市場の軌跡と分析」という新しいレポート発行しており、その概要をYahooが伝えています。世界のプラスチックリサイクル市場は2020年に330億ドルであったものが、今から5年後の2026年には473億ドルに達するとしています。これは、年間の伸び率にすると、およそ6.1%となるようです。最近、特に欧米では機械的リサイクルに加え、ケミカルリサイクルとサーマルリサイクルへの投資が一段と増していることも要因のようです。
https://uk.sports.yahoo.com/news/global-plastic-recycling-market-report-120800759.html
https://bit.ly/3xGeVF9

英国のAI選別技術開発会社の「Recycleye社」が英国の大手リサイクル会社である「Bryson Recycling」に本格的なロボットピッキングシステムを導入した事を発表しています。Bryson Recyclingは、北アイルランドに本部がある社で、家庭から出る一般ごみの中から50%以上をリサイクル材料として処理しています。同社はイギリス全体で9か所の処理施設を持ち300人以上を雇用しています。Recycleye社はファナックとの提携によりピッキングロボットとAIを直接通信するシステムを持っており、既にフランスのVeoliaとは食品包装に特化したプラスチック廃棄物のリサイクルを進めており、このAI選別+ロボットピッキング技術は「電子すかし」と並び、製品の廃棄物リサイクルを根本的に変えると言われています。
https://recycleye.com/bryson-recycling-brings-automation-innovation-to-recycling-in-northern-ireland-with-recycleye-robotics/

Bloomberg New Energy Financeが脱炭素鉄鋼の将来について最新レポートを発行し、その内容の一部がGuardian紙やRecycling Todayに記載されています。代替エネルギーが最も困難な産業の1つである鉄鋼業では、脱炭素の為に2050年までに総額で2,780億ドル(約30兆円)もの費用が必要になると見積られています。レポートでは2050年までにグリーン水素が鉄鋼生産の31%を占める可能性があり、45%は再生可能エネルギー利用のEFA(リサイクル材料を)利用します。残りは炭素回収システムを備えた、古い石炭火力発電所を利用したEAFとDRIになる可能性が高い、としています。現在、世界で製造される鉄鋼製品は70%が石炭利用の高炉、25%が電気炉(スクラップ材利用)、5%は直接還元鉄(DRI)です。脱炭素の為には、生産のかなりの部分を水素に変換し、より多くのDRIと電気炉(EAF)が必要になる、としています。このシナリオでは2050年には高炉の生産量は18%に低下します。ただし、現在欧州でも様々な補助金PJTで水素還元鉄のトライを行っていますが、販売価格と生産量に問題があり、商業ベースで注文を取るような流れにはなっていません。
https://bit.ly/3Df2qBt
https://www.recyclingtoday.com/article/steel-decarbonization-scrap-hydrogen-roles/

11月初めに自社の持つソーシャルメディア関係資産を全て売却し、11番目の金属リサイクル工場を開設、金属リサイクル事業に投資を集中するとしていた米国の中堅金属スクラップ業者「Greenwave Technology Solutions社」が40億円程(3,770万ドル) の私募債を発行して資金調達した事を発表しています。このニュースで重要なのは、米国のインフラ法案で今後米国の鉄鋼生産が年間300-400万トン増加すると見込んでおり、プライムスクラップの需給が逼迫する為、米国での金属スクラップ業が非常に収益性の高い産業部門となると同社が見込んで、集中して投資を加速している事です。同社はNASDAQまたはNYSE(NY証券市場)の要件を満たし、プライム株式市場への進出を狙っている最終段階にある、としています。米国ではスクラップの大幅な需給不均衡は少なくとも2025年まで続くと予想されており、特にインフレ圧力が持続している事から金属の価格は当面高いままであると同社は考えています。このような中規模業者がNY市場に上場するという事は、米国の金属スクラップ業が収益性の高い業種になった事を示しています。
https://bwnews.pr/3df9O5a

一部の専門メディアでドイツ国内の新聞情報として伝えていますが、ドイツのダイムラーが自社と子会社のメルセデスベンツの為のリチウムイオン電池リサイクルの工場建設を正式に認めたようです。ダイムラーは大手トラックメーカーで、その子会社がメルセデスベンツです。工場はフランスとの国境沿いのクッペンハイム市に建設予定で、稼働は2023年を予定しています。このリサイクル会社(工場)は、「Licular GmbH」という名前で、ダイムラートラック AGとメルセデスベンツAGが50%ずつ出資します。ただし、ダイムラーはリサイクル工場(新会社)の活動範囲の詳細を明らかにしていない為、リサイクルがどの範囲(湿式精錬も含めるのか)になるのかは定かではありません。VWに続き、自動車メーカーそのものが本格的なLibのリサイクルに進出し、更に専門の独立会社を設立するというのは初めてで、欧州での流れになる可能性がありそうです。自動車メーカーそのものがリサイクル会社を設立するという事は、材料確保と新たに法制度が変わる欧州ELV指令を見込んだものと推測できます。
https://www.electrive.com/2021/11/20/daimler-battery-recycling-plant-to-be-in-kuppenheim/

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