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NEWSCONの気になるNEWS(2023年3月第4週)

6月からボーキサイトの輸出を禁止する予定のインドネシアが中国のアルミ製錬企業の受け皿となる可能性がある事が伝えられています。世界最大のアルミニウム生産国かつ消費国であり、一次アルミニウム生産の世界の約59%のシェアを誇る中国ですが、南西部での電力供給不足に苦しんでいる為、主にインドネシアに生産能力の一部を移転することを検討しています。中国では政策もあり年間生産上限4,500万トンとなっており、2022年末には既に生産能力は4,430万トン/年に達しています。中国の製錬所は、国の供給改革政策より新しいプロジェクトを行う、もしくは能力を拡大する場合には、一次アルミニウムの「生産能力割り当て」を政府から確保する必要があります。この政策により中国は2017年以降、非効率で汚染を引き起こす複数の工場を閉鎖してきました。近年、中国の幾つかの製錬所は、中国南西部、特に豊富な水力資源がある雲南省と四川省に生産能力を移転しました。しかし頻発する水不足や電力不足に苦しんでいます。特に2022年に四川省で発生した前例のない熱波により、95%以上のアルミニウム製錬所が一時的に操業を停止する事を余儀なくされました。こうした事情があり、生産の一部をインドネシアに移管する事が検討されているようです。
https://www.spglobal.com/commodityinsights/en/market-insights/blogs/metals/031723-southeast-asia-may-hold-the-key-to-chinese-aluminum-smelters-production-woes

米国を中心とした環境団体のモンガベイが、日本、EU、英国のバイオマス発電による炭素排出基準は不十分で抜け穴だらけである、という評論を自身のHPで展開しています。木質バイオマスを燃焼させる発電所の「煙突」からの温室効果ガス排出量は、国際的な炭素会計では「排出ゼロ」としてカウントされます。しかし多くの科学者は、森林バイオマスは単位当たりのエネルギー炭素排出量では石炭よりも多くの炭素を放出する事に同意しています。日本の名前も名指しで上げており、日本がカナダから輸入する木質ペレットは樹木の伐採、収穫、生産、出荷で1メガジュール当り60gのCO2しか炭素を発生しないと公式発表で述べられていますが、サプライチェーン全体では約450 g CO2/MJeと計算しています。こうした事実にも関わらず、欧米日ではバイオマスをカーボンニュートラルな燃料として補助金の対象としています。欧州ではこの問題は巨大利権が科学に常に優先するという長年の繰り返しの象徴として語られ始めています。
https://news.mongabay.com/2023/03/japan-eu-uk-biomass-emissions-standards-fall-short-full-of-loopholes-critics/

米国コロンビア大学で行われた「2020年代の株式公開会議」にて、米国証券取引委員会(SEC)コミッショナーのUyeda氏が、米国でのIPO数の減少とESG情報開示規制との関係について言及しています。Uyeda氏は過去20年以上にわたる上場企業数の減少の理由の 1つは「規制負担」にあるとし、その規制が産み出す企業内のコストを挙げています。具体的には気候変動、人的資本、サイバーセキュリティ、及び自社株買いであり、これらは特定の投資家にとって重要かもしれないが、合理的な投資家が会社の株式に投資するという決定においては重要であるように見えない、と言及しています。Uyeda氏は「非財務的要因」に焦点を当てることに反対し、明らかな財務的影響がなければ、非財務的要因に対する合理的な投資基準を確立することは難しい、との認識を示しています。また、それらの開示規則は企業に多大なコストを課し、そのようなコストは民間企業が上場する意欲を削ぐ可能性がある、と発言しています。更に今後新しく出る規制が負担増になり、重要でない開示要件が将来課される可能性がある為、非公開企業が株式公開について慎重になる可能性があるとの懸念を示しています。SECのコミッショナーからこのような強烈な批判が出るという事は珍しく、今後物議となる事が予想されるようです。
https://www.lexology.com/library/detail.aspx?g=8347cafa-38b0-48ac-a293-84008b940638

本日、欧州委員会の環境総局がEU域外に輸出される廃棄物数量の増加と違法出荷の検出数増加を示す報告書を上げています。この報告書は2016年から2019年までの期間により行われたもので、廃棄物輸送規制の実施に伴い記録されたものです。報告書は2つの傾向を明らかにしています。第1に出荷した廃棄物の量は報告期間を通じて安定していたが、出荷された有害廃棄物の総量は2001年の390万トンから2019年の810万トンへと2倍以上に増加した事です。有害廃棄物の輸出はOECDの限られた第三国へ向けられる事に限定されています。第2に検査によって発見された違法な廃棄物の出荷量が増加した事です。報告書では、欧州議会と理事会で現在議論されている「EU廃棄物輸送規則改定案」についても言及しており、上記の様な状況から現在の厳しい提案に正当性がある事を主張しています。
https://environment.ec.europa.eu/news/waste-shipment-regulation-report-2023-03-20_en

今年EUでは製品に関する拡大生産者責任が様々な分野で追加される予定です。更にもう1つ重要なものは、欧州委員会が進めている「デジタルパスポートイニシアチブ European Digital Product Passport (DPP) initiative」です。これは欧州政府が推進する循環経済行動計画(CEAP)によるもので、2026年迄に包装と食品を除く主要産業でDPPを段階的に導入する為の枠組みが決まります。DPPでは、製品とそのサプライ チェーンに関するデータを収集し、これをバリューチェーン全体で共有する事を要求します。消費者を含む全ての利害関係者が、使用する材料や製品の出所、環境影響をデータとして共有する事が出来ます。DPP内の情報には、持続可能な製品生産、サービス及び修理の提供、消費者の購入決定の為の情報、遵守義務等が含まれる為、必要とされる製品情報は現在のレベルを「はるかに超える」ものとなります。DDPが実装された場合、EU 内でビジネスを行う全ての企業は、サプライヤーとの関係を完全に見直す必要があります。これには数年掛かる可能性がある為、実施後に早急な対応を迫られる事になります。欧州委員会は今後数ヵ月でガイドラインの作成に入る為、企業は常に情報をアップデートする必要があります。
https://whattheythink.com/news/114320-ecoveritas-europe-takes-lead-sustainable-growth-digital-product-passports/
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_22_2013

米国NY州のエリック・アダムス市長はリチウムイオン電池による火災を防止する事を目的とした5つの法案に署名する予定です。主にリチウムイオン電池が原因で、今年NY市で33件の火災が発生、3人が死亡し、42人が負傷しました。火災は略全てのケースで電池や製品に認証されていない物を使用していたか、アフターマーケットでデバイスが改造されている事が判りました。特に電動スクーターや電動自転車は改造によるトラブルで危険が増す状況である事が判っています。現在、同問題に対する連邦レベルの安全機関や安規制がありません。NY州に限らずリチウムイオン電池が増加するにつれて火災の件数が比例して増加しており、今後、各地の法規制だけでなく保険を含めた様々な対応が検討されています。
https://abc7ny.com/lithium-ion-battery-fire-nyc-fdny-eric-adams/12981231/

Credit Swissの件で、イングランド銀行が、欧州の規制当局と共に破綻した「銀行の株主」はAT1債(Additional Tier 1)の保有者より先に損失を負担すべきだ、との見解を示しています。これはCredit SwissのAT1 債について言及したものです。Credit SwissのAT1 債務の内、約160億スイスフラン(172億4000万ドル)がゼロに減額される予定です。しかし通常、返済の優先順位が債券よりも低い「株主」が、今回のUBSとの取引(合併)に基づいて32億3000万ドルを受け取る事が出来るというスイス当局の(合併による)解決方法に言及したものです。この取引により「スイス当局は神聖な原則を無視した」との評価がありました。スイス当局はこの件での説明をしていません。バーゼルIIIの要求により自己資本比率を高める必要のある金融機関はAT1債により資本を厚くしてきました。欧州中央銀行は「一般的な株式商品は最初に損失を吸収するものであり、それらが完全に使用された後にのみ、AT 1 を減額評価する必要がある」との見解を示しています。13日に英金融大手HSBCが米シリコンバレーバンク(SVB)の英国法人を1ポンドで買収しました。SVBの株式が1ポンドとほぼ無価値で譲渡され、AT1債も全額損失となりました。スイスによる今回のアプローチは、潜在的に大きな結果をもたらす可能性があります。AT1債が以前に想定されていたよりもリスクが高いと認識された場合、銀行はそれらを発行するために高金利を設定する事になり、時間と共に価格に波及効果をもたらし、資金調達コストが上昇します。世界中で2,750億ドルの金融商品が発行されていると考えられているため、干渉するのは小さな市場では無いとの認識です。スイスの中央銀行が大量のドルの流動性を提供した事で銀行業界の緊張は緩和されました。しかし、AT1 事件の長期的な影響は未知数です。このあたりの事は、Guardian紙が下のリンクで詳細を説明している為、興味のある方は読んでみて下さい。
https://www.theguardian.com/business/nils-pratley-on-finance/2023/mar/20/credit-suisse-bondholders-bonds-banking-system

大手化学企業のダウとシンガポールの文化・コミュニティ・青少年省傘下のスポーツシンガポール(SportSG)が「廃シューズ」をリサイクル加工して運動場の路盤材とするプロジェクトを進めていました。2022年7月、ロイターは11足の靴底に追跡用のチップを入れたも作り、7月14日から9月9日の間にシンガポール周辺の様々な寄付箱に入れました。その後、それらを6ヵ月間追跡しました。結果、11足は1足もシンガポールでリサイクルされる事なく、10足が(闇で)シンガポールの中古品輸出業者手に渡り、中古市場で転売される為に輸出業者の施設に行き、インドネシアに持ち込まれました。残った1足はリサイクルされる事なく近隣の住宅地で追跡タグの反応があるまま存在していました(寄付箱から盗まれた可能性が高いとの結論となる)。靴は転売の為にかなりの距離を移動しました。ロイターは「特別レポート」としてこの状況を纏めて2月末に発表しました。3月20日にシンガポールの文化大臣は、今後このプロジェクトは「抜き打ち検査の対象になると」との見解を示しています。これは典型的な例ですが、東南アジアやアフリカに世界の違法廃棄物が辿り着くのは、そこに廃棄物の不法取引で利権を得る業者があり、政府も「そで下」で関与するという環境がある為です。結果的にダウはグリーンウォッシングをした事になります。多分ロイターもこの結果を証明する為、ある程度中古市場で売れそうなモデルの廃シューズを寄付箱に入れた可能性も高いと思います。しかし、廃棄物や「中古品」の名の元に流通する廃棄物は常に「グレーゾーンとの知恵比べ」と「正義感との戦い」である事が分かる端的な例と言えます。これが無くならない限り廃棄物の違法輸出の撲滅は不可能で、特にトルコやアフリカで発展していると言われる闇ルートの存在は、先進国の出荷規制強化の理由となっています。
https://www.reuters.com/investigates/special-report/global-plastic-dow-shoes/
https://www.reuters.com/markets/asia/singapore-tighten-shoe-recycling-controls-after-reuters-report-2023-03-20/

「ESGロンダリング」という新しい造語が生まれています。これはマネロンを模倣したもので、投資家が化石燃料やその他の有害な投資から得た資金を使用して、ESGに投資する事です。厳密には投資家の資金がESGに準拠せず有害なものから得ており、その資金をESGに投資する事で資金の「洗浄」を行う事を指します。ファンドマネージャーは既に規制が強化されている厳格なマネーロンダリング防止法は遵守しています。持続可能なソースから資金を調達することを保証させる法律はありません。基本的に持続不可能なソースの資金をESG投資に回す事で評価が悪くなり、将来の資金調達に影響が出るといった社会的モラルによる制限しかありません。EUでは金融市場参加者による持続可能な透明性を高める為、持続可能な財務開示規則(SFDR)が定められています。SFDRは持続可能な投資商品の透明性を向上させ、グリーンウォッシングを防止する為に導入されたESGロンダリングの為の規制とも言えます。
http://bit.ly/3n1FHX3

欧州議会の法務委員会は全会一致で環境犯罪に対するより厳しい規則であるEU環境犯罪指令の改訂に賛成票を投じました。罰則金は企業の世界売上高の10%になる事や懲役刑をも含むものです。犯罪リストには、新たに違法な木材取引、水資源の違法な利用による枯渇、船舶による汚染、EU化学物質法違反等を追加しました。この改定により環境に対する犯罪で有罪判決を受けた企業は過去3事業年度の世界平均売上高の10%に当る罰金を課される可能性があります。更に公的資金へのアクセスの禁止や許認可が取り消される可能性があり「汚染者負担の原則」に従って、損傷した環境を回復させ、被害者に対する補償を行う義務が生じます。施行に際して欧州検察庁(EPPO)が欧州連合刑事司法協力庁(Eurojust)と共に主要な検察機関として指定さています。同指令は来年のEU議会選挙前の決定を目指し、今後数ヵ月後に行われる欧州議会、欧州委員会、EU 27加盟国間の3者会議に臨みます。
https://www.euractiv.com/section/energy-environment/news/eu-lawmakers-back-heavy-fines-jail-sentences-against-green-crimes/

米国ユタ州が米国では22番目の州となる「高度なリサイクル施設」を固形廃棄物リサイクル業としてではなく、「製造業」として規制する法律を発効しています。これは「固定廃棄物管理法の改定」によるもので、既に他の州でも同様な改定がされています。「高度なリサイクル」とはプラスチックのケミカルリサイクルを指し、技術的には熱分解、ガス化、解重合、接触分解、改質、水素化、加溶媒分解、化学分解等が含まれます。この法律ではプラスチックの焼却、エネルギー回収、燃料化は「高度なリサイクル」には含まれていません。廃棄物を原料として新たにポリマーを製造するという定義になります。この法律により廃棄物管理の規制が無くなる為に、より投資がし易い環境が生まれます。
https://le.utah.gov/~2023/bills/static/HB0493.html

西側諸国がロシアへの制裁を行い、米国はロシアのアルミ二ウムに200%の関税を掛け、カナダは輸入の禁止措置を決定していますが、ロシアから中国へのアルミニウムの輸出が前年比で3倍以上になっている事が伝わっています。中国のロシアからアルミの総輸入量は2023年の最初の2ヵ月間で105,300トンとなり、前年同期の28,759トンから急増しています。2ヵ月の平均価格はLME アルミニウムの1-2月の平均価格より安く、ディスカウントでの購入となっています。先週スイスのグレンコアがロシアのRusalとのアルミニウム購入契約(160億ドル)の更新を行わない事を発表していましたが、結局、西側の制裁でもBRICsがディスカウントでより多くの資源をロシアから調達している現状では、間接的にBRICsを支援している事になりかねない可能性があります。
https://www.nasdaq.com/articles/china-jan-feb-aluminium-imports-from-russia-more-than-triple-on-year

BYDが生産を一部縮小しています。深圳工場のシフトを3 シフト/日から2 シフト/日に減らし生産を調整している背景には、補助金の終了と共に需要が減退した事に加え、在庫が増加した事で価格競争が激しくなっているという事が要因としてあります。このような状況から中国では地方政府がEV生産を回復させる為に補助金政策を復活させるところが増え始めています。LIBの材料価格は地方政府の補助金政策による影響を暫くは受けそうです。 https://www.reuters.com/business/autos-transportation/byd-reduces-shifts-two-ev-assembly-plants-china-sources-2023-03-21/

Recycling Todayによると、北米のRMDAS鉄スクラップ指標が緩やかに上昇している事が伝えられています。地域や品種によって多少バラツキがあるものの全てで上昇傾向を示しています。米国の鉄鋼生産量は年初から先週末までに前年同期比で4.7%減少していますが、先週はその前週より0.5%上昇しており、過去4週間の内、3週間は生産量が緩やかに上昇しています。「適度に安定した輸出需要」により、米国内の鉄鋼工場からの需要は大きくないものの、全体のスクラップ需要が供給を上回る可能性がある事を示唆しています。またスクラップの発生自体もやや減少しており、五大湖地域のリサイクル業者によると、入荷が20-30%ずれている(期待より少ない)という事も伝えられています。
https://www.recyclingtoday.com/rmdas/

3月22日に欧州委員会は「グリーンクレーム指令」と呼ばれる重要な法律を発表しています。これは主に透明性の確保とグリーンウォッシング防止を目的にしたもので、企業が行う「グリーンクレーム」を対象としています。例えば「30%再生プラスチックを含むパッケージ」、「ミツバチに優しいジュース」、「カーボンニュートラルな乗り物」、「製品の生産に関連するCO2排出量の比較」等の企業が行うグリーンの主張(クレーム)は、今後「立証される事」が要求され、それらの立証は事前に検証されなければなりません。更に環境ラベル制度にも対応し、私的なラベルの拡散を止め、ラベル制度の透明性と安定性を確保します。欧州委員会はEU内の製品に関する環境に対する主張(クレーム)の40%程度は「根拠のない」ものであると推定しています。この規制により、消費者団体等が消費者の利益を保護する為に法的措置を講じる事が出来るようになります。この指令により、企業は「疑いのあるグリーンクレーム」に対する訴訟リスクを負う事になります。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/qanda_23_1693

世界最大の銅トレーダーであるTrafiguraが非常にタイトな在庫を理由として、今年銅価格がトン当たり$12,000超える可能性があると言及しています。これはFTが主催するCommodities Global SummitでTrafiguraのKostas Bintas氏が述べたのもので、同氏によると「昨年末の銅在庫は3.5日分しかなく、市場での銅不足を考えると、世界で最も重要な金属となった銅の(価格上昇を)強調したいと」と 発言したものです。銅の最高値は昨年3月の$10,845でした。先週末には、ムーディーズ・インベスターズ・サービスが米国と欧州でのビジネス環境の改善により、金属及び鉱業の世界的な見通しを「マイナス」から「安定」に変えています。ムーディーズは卑金属に対する需要増加の兆候があり、価格は限られた在庫によって下支えられていると報告していました。銅価格については、歴史的に低い在庫と進行中の供給の混乱によって下支えされている、との見解を出しています。アルミについては様々な要因により、2024年初頭まで平均的な過去の水準を上回ると予想しています。
https://www.mining.com/web/trafigura-sees-fresh-copper-price-records-within-a-year/

中国の金の購入が2月に急増していた事が伝わっています。中国人民銀行は2022年11月に公式に金の購入を再開しました。中国の公式報告によると過去4ヶ月間で中国の金準備高は102トン増加しています。現在、金は中国の総準備金の3.7%を占めています。中国は2022年に1,343トンの金を輸入しました。これは2018年以来最高の輸入量で前年比では64%も増加しています。更に中国は簿外在庫として数千トンの金を保管しているとの憶測があります。中国による金の購入が2023年もこのまま続くとすれば、世界全体の金需要が高まります。2022年の世界の金需要は18%増加し、過去11年間で最高の需要となりました。中国は保有する米国債を減らし続けており、2022年12月末の保有額は8670億ドル(約116兆円)となり、約12年半ぶりの低水準でした。米国債を減らして金保有を増やす、その中で戦争により米中対立が増す、という大変嫌な雰囲気になっています。
https://oilprice.com/Metals/Gold/Reopening-Of-Chinese-Economy-Spurs-Gold-Buying-Spree.html

中国で小規模な炭酸リチウムの生産企業が価格の急落を受け倒産している現状が伝えられています。炭酸リチウムは昨年11月から下落し始め、ピークから50%下落しています。価格の急落は中国でのEV販売の減速と供給過剰の両方が重なって起きています。炭酸リチウムのメーカーは販売を試みていますが、下流の需要家は様子見状態となっており、一部海外顧客からの注文がキャンセルされている事も価格の下落に拍車を掛けています。20日にはバンク・オブ・アメリカ証券のアジア太平洋地域の基礎材料アナリストが「2023年には鉱山からの供給が38%伸び、年を通じて供給が余剰に転じる可能性がある」と述べています。LIBのもう1つの重要な金属であるコバルトも価格がピーク時から50%以上急落しています。
https://www.yicaiglobal.com/news/small-chinese-lithium-carbonate-firms-shut-down-as-prices-fall-insider-says

22日に欧州委員会は「商品の修理を促進する一般規則に関する新しい指令の提案(Proposal for a Directive on common rules promoting the repair of goods)」を発表しています。この指令案は、消費者が簡単かつ対費用効果の高い方法で商品を修理できる為の規則となります。生産者と販売業者はより持続可能なビジネスモデルを開発する事が奨励されています。修理やリユースを促進する施策では、販売業者は製品販売後に保証期間・保証範囲内の場合には、修理した場合に交換よりも費用が掛かる場合を除き、顧客に修理を提供する事を求めています。また消費者は、法的な保証が切れた場合でも、簡単かつ利用しやすい「修理」を選べる権利が得られます。生産者は、修理義務がある事を消費者に伝える必要があります。消費者の「修理する権利」は、この指令によりEU 法に基づく最低2年間の製品保証期間を超えて延長される事になります。この指令はリユースと修理を推進する事で廃棄物削減に寄与するものです。「適切な修理業者」を簡単に特定する為に修理業者を検索する為の様々な基準を表示する「オンラインマッチメイキング修理プラットフォーム」が導入される予定です。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_23_1794

中国では現在3.1GWhしかないナトリウムイオン電池の生産容量が、計画や建設中のものを含めると2030年までに100GWhに達する可能性がある事が伝わっています。背景には、高価なリチウムの代替品を求める動きが加速している事があります。工場の数は計画中と稼働中を合わせて2030年迄に28ヵ所に達する見込みです。2月23日に中国で行われた「第2回全国ナトリウム電池セミナー」では中国科学院傘下のハイテク企業 HiNa Battery Technologiesと中国の自動車メーカー JAC Group が共同開発した5人乗りの乗用車Hua Xianziが展示されました。電池の仕様は、エネルギー密度が140Wh/kgで容量が25KWh、1回の充電で最大250kmの航続距離という事で注目を集めていました。
https://source.benchmarkminerals.com/article/over-100-gwh-of-sodium-ion-battery-capacity-planned-for-2030-as-industry-seeks-alternative-to-lithium

インフレ削減法以来EV関連投資が大幅に増加している米国で、LIBのリサイクルと材料を製造するCirba Solutionsがサウスカロライナ州のリチウムイオンEVバッテリーリサイクル工場設立に3億ドル以上を投資すると発表しています。工場の操業は2024年後半に計画しており、毎年50万個以上の高品質グレードの材料を提供する能力を備える予定です。既にLIBリサイクルはBM生産だけでなく化学処理である溶媒抽出や湿式(乾式)製錬からの前駆体は当たり前で、その次の電池グレードへの精製処理をも含めたトータルのソリューションへ大きく動き始めています。VWとUmicoreの合弁会社も欧州政府からの承認を受け、欧州での正極活物質(CAM)及び前駆体材料(PCAM)の大規模な生産を開始する予定です。2030年迄にCAM /PCAM材料をEV約220万台分に相当する量を生産する計画です。UmicoreはLIBの大手リサイクル企業でもあります。
https://www.cirbasolutions.com/world-class-ev-battery-materials-facility-in-south-carolina/
https://www.powerco.de/#

約3,000億ドル(約39兆円)という膨大な負債を抱える中国最大の不動産デベロッパー恒大集団が、計画しているドル建て債務の見直が不調となっている事が伝えられています。現在、恒大集団は約227億ドルのオフショア(海外)債務を抱えており、その全てが債務不履行と見なされています。中国恒大集団のオフショア債務の再編案は、現在資金が不足している不動産セクターに対する投資家心理のテストの色合いが強く注目されていました。しかし提案されたものは、返済期間が長く、また債権者も資金が不足している事から、上手くいかなかったという事です。あるドル建て債券の保有者は、恒大による債務再編計画を「誰かにバケツ一杯の米を貸して、年に2粒ずつ返済するようなものだ」と例えています。傘下のEV製造会社である中国恒大新能源汽車集団でも資金不足から生産を中止する可能性が指摘されています。恒大集団の債務再編は額が額だけに要注視案件と思われます。
https://www.asiafinancial.com/no-cheer-for-evergrandes-long-awaited-dollar-debt-revamp-plan

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