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NEWSCONの気になるNEWS(2023年10月第2週)

ニッケルの構造的な供給過剰懸念が日増しに大きくなっています。今年インドネシアは、上半期にニッケのル生産量を26%増加しました。この量は世界のニッケル供給を13%以上増加させています。しかし世界のニッケル需要の伸びは2.4%でした。オーストラリアの産業省は来年に掛けても供給過剰が続き、価格は上値が重い状況が続くと見ています。インドネシアのニッケル開発は中国企業の進出と並行しており、短期間の内に供給網が構築され需要と均衡しない供給増が起き、価格の下落を招いています。この価格下落はニッケル生産企業の事業戦略にも影響を与え始めています。
https://www.afr.com/companies/mining/bhp-braces-for-indonesian-supply-surge-as-nickel-hits-two-year-low-20231005-p5ea3d

韓国の大手自動車メーカーの起亜自動車は、韓国国内で初めての官民パートナーシップによるLIBリサイクルのプロジェクトを開始しました。プロジェクトは使用済み電池のリサイクル・エコシステムを構築するもので、数社とのパートナーシップの下で行われます。提携協定を締結したのは、現代グロービス、エヴァサイクル、プロエコ、慶尚北道政府、慶北テクノパークで、リサイクル会社、素材サプライヤー、自治体が連携して電池リサイクルシステムを構築することになります。これは韓国における初の取組です。
https://www.kedglobal.com/batteries/newsView/ked202310060010

米国のリサイクル誌Recycling Todayは資源ナショナリズムがリサイクラーに与える懸念を取り上げています。過去数年に亘り非鉄金属スクラップに混入している有害物質やプラスチック等が環境問題を引き起こす事から、各国は非鉄スクラップの輸出や輸入に制限を設けてきました。米国のリサイクラーにはその影響はそれ程大きくなく経過してきました。しかし今年8月に「銅」が米国エネルギー省により正式に「重要なマテリアルリスト」に追加された事により、環境問題でなく「資源ナショナリズム」による影響を受ける可能性が高くなっています。今回のリスト入りにより、米国でもEUと同様に特定の半製品やスクラップ材料の流出を防ぐ為の保護主義的措置を進める原動力になり得ると警告しています。
https://www.recyclingtoday.com/news/copper-recycling-trading-international-barriers-critical-strategic-status/

EU首脳会議が開かれ、経済安全保障戦略の策定が進められています。これは主に中国を念頭に置いたものと言われています。産業上の競争力を維持する為、EUは他国への依存を制限し、グリーン製品への移行を支える為の戦略を検討しています。中国による希土類元素やリチウムの加工への依存は懸念されており、EUは国内での採掘やリサイクルの強化を目指しています。2030年迄に主要鉱物の65%以上を第三国からの供給に依存しないようにする事を目指しています。
https://www.consilium.europa.eu/en/meetings/european-council/2023/10/06/

英国でのEV販売の実態が明らかになっています。英国では9月の新車登録台数が前年同期比で21%増加し、14ヶ月連続で伸びています。EV全体の登録台数も19%近く増加しています。しかし一般個人が購入したEVの売上高は14%も減少しています。EV販売の増加は、主に企業、政府機関、レンタカー会社等の法人向けに販売されたものでした。法人向けのEVが増加している理由は、内燃機関自動車よりも遥かに低い税率の為です。しかし一般個人の購入者にとっては、それほど多くのメリットはありません。その結果が顕著に表れています。今後EVに対する自動車物品税の免除は2025年に終了する予定です。ドイツでもEVは法人向けが大半を占めるという、ほぼ同じような事が起きています。補助金の終了により近い将来、本当の商品価値が試される事となります。多くの自動車メーカーはこの点をかなり懸念し始めています。
https://jalopnik.com/private-ev-sales-are-nosediving-in-the-uk-1850903209

国際銅研究グループICSGは、最新の銅の中期予測を発表しています。ICSGによれば銅市場は2023年には需給がバランスしていますが来年には供給過剰に移行する見込みです。2024年の生産量は需要を上回り、市場は供給過剰となる可能性があります。2024年の生産量は使用量を467,000トン上回ると予想されており、4月にICSGが発表した予想である297,000トンの供給余剰から大幅に上方修正されています。この情報修正は、市場で驚きを持って受け止められています。西側の需要が低下し、中国の生産が強まっている傾向も見られます。世界経済は厳しい状況ですが2024年には供給過剰の中でも需給がやや改善する方向になると予想されています。
https://icsg.org/press-releases/

英国では上場企業や金融会社が2050年迄にネット・ゼロ経済に移行する為に、二酸化炭素排出量を削減する計画を詳細に策定する必要があります。この「移行計画」は既に気候関連の開示に準拠する必要がありますが、今後は国際持続可能性基準委員会(ISSB)の新しい基準に置き換えられる予定です。英国の移行計画タスクフォース(TPT)はISSB基準とグラスゴー金融同盟(GFANZ)の取組を参考にして詳細な青写真を公表しました。企業はこのフレームワークを利用して2025年以降の移行計画を開示することが求められており、2026年には最初の報告を出す必要があります。
https://transitiontaskforce.net/launching-the-gold-standard-for-transition-plans/
https://www.brighttalk.com/webcast/20025/594186?utm_source=TPTinvitation&utm_medium=brighttalk&utm_campaign=594186

米国財務省は、EVの新車で最大$7,500、中古車で最大$4.000の税額控除を来年1月から利用できる方法と条件を網羅したガイダンスを発行しました。IRAでは税額控除の対象となる車両は北米で組み立てられる必要があり、対象となるモデルの70%近くが廃止されました。また対象となるEVには価格上限と購入者の収入制限が適用されるようになりました。2022年4月にはバッテリー部品と重要な鉱物の調達に関する新たな規則を導入しました。現政権は今後EVのクレジットの対象から外れる条件である「懸念外国企業」(例:バッテリー部品の外国企業の利用、重要な鉱物の外国企業からの調達)について、詳細な規則を発行すると見られています。
https://home.treasury.gov/news/press-releases/jy1783

7月にEmberによる調査で木質バイオマス発電所が最も炭素排出量が多い可能性がある事が指摘され、先週英国の保守党大会で木質バイオマス発電への補助金に対する懸念が起きています。既に何年も言い続けられており、世界で1千人を超える科学者が署名し、認めている木質バイオマス発電の環境破壊と炭素排出問題ですが、長年欧米の業界を席巻する投資会社と政治家によってこの問題は放置されてきました。今回英国政府のバイオマス戦略に対する懸念が発せられ、内容は家庭の光熱費、生物多様性、土地利用に及ぼす影響についてこの戦略では何も触れられていない事が問題視されています。オランダでは新規のバイオマス発電事業への補助金が一時停止される等、部分的な動きはありましたが、世界最大のバイオマス発電大国である英国では再生可能エネルギーとしての定義や補助金の変更が行われる事は殆ど無い状況でした。EUは科学的検証を行った資料を発行しており、24パターンのバイオマスのエネルギー利用の内、23パターンは環境に害があり(または)炭素排出量が多くなると正式に認めています。木質バイオマス発電は納税者の税金がグリーンウォッシングで投資会社に流れる、典型的な欧米型グリーン事業と言えます
https://conservativehome.com/2023/09/07/pauline-latham-the-conservative-case-for-a-biomass-pause/

欧州で政治が本格的に変わりつつあります。ドイツで最も裕福な2つの州で地方選挙が行われ、中道右派野党「保守系キリスト教民主党(CDU)」が勝利し、極右の「ドイツのための選択肢(AfD)」の指示が急増しました。ドイツの全有権者の約4分の1が選挙の行われたヘッセン州とバイエルン州に住んでいます。一方で現政権の連立与党である3党は大きく票を失いました。世論調査では両州ともに移民が最も重要な問題である事が判明し、それ以外では経済発展、気候変動、エネルギー問題も投票の争点となっていました。ドイツの世論調査研究所は、極右勢力の成功を「中央政府の与党と多くの普通の労働者との間の大きな疎外感」のせいだと分析し、現政権は危険を承知で一般市民の懸念を無視してきたと考えています。過去1年の多くのEU内の選挙で極右勢力が台頭しており、欧州の今後の政策にも影響が出る事が予想されています。
https://www.bbc.co.uk/news/world-europe-67049498

欧州で繊維製品のサーキュラーエコノミーに向け民間団体で動きがありました。持続可能な繊維に関するEU 戦略に基づき、欧州委員会は今年、繊維製品の拡大生産者責任を含む規制案を提示しました。この規制により2025年の目標が示され、繊維製品のメーカーと小売店は繊維廃棄物の収集と分別を2025年から行わなければなりません。こうした規制強化に向け、欧州アパレル繊維連盟(Euratex)が協力し、ReHubs Europeが立ち上げられました。この組織は繊維のリサイクル推進を目指し、バリューチェーン関係者の結束を築く役割を果たします。ReHubs Europeは2030年迄に250万トンの繊維廃棄物をリサイクルする事を目指しており、その為には欧州全土で最大250件のプロジェクトを実施する必要があります。提案されているEUの新規制はアパレル業界を大きく変えると言われており、リサイクル業が繊維業界では初めて「バリューチェーンの一部」となります。
https://www.rehubs.eu/

EUは米国政府と共同で中国の鉄鋼メーカーに対する反補助金調査を計画しています。米国政府はEUに対し、中国の鉄鋼生産者に対抗するよう要請していました。欧州委員会は低価格競争から産業を守る米国の取り組みに参加します。又、欧米の両首脳は互いの鉄鋼製品に対する貿易関税を回避する為に、過去数ヵ月に亘り取り組んできました。両国間の計画は近日中に欧州委員長と欧州理事会議長の会談を経て発表される見込みです。欧米政府は生産過剰問題で輸出攻勢を掛けている中国の鉄鋼製品に規制(関税)を掛け、更に鉄鋼需要が唯一伸びているインドも輸入規制(関税)を検討している事から、残された市場で更なる中国製品の洪水が起きる可能性が高くなってきました。これとは別に米国は先週マレーシア、及びその他14ヶ国からのアルミニウム押出材の貿易調査を開始したばかりです。現在起きている経済安全保障や地政学問題から今後もこの流れは続くと思われます。
https://www.euronews.com/2023/10/10/unfair-chinese-competition-eu-plans-anti-subsidy-steel-probe

8日から始まった年次のLMEウィークが終了しました。LMEウィークのゲストは、2024年に最も上昇する可能性がある金属について投票を行い、結果は次の通りとなりました。1位:銅:55.2% 、2位:錫:21.8%。3位:ニッケル:8%、4位:鉛/亜鉛:6.9%、5位:アルミニウム:4.6%。LMEウィークに先立ち、Bloombergが世界中の多くの金属トレーダーが事前の予想に反し、苦しんでいる状況を纏めていました。現在、世界の金属トレーダーは鉱物の競争と低迷する金属市場に直面している状況です。Trafiguraグループや金属専門ヘッジファンド等の有名企業が損失を出し、人員を削減しています。金属市場の低迷に加え、銅の入手可能性への懸念も高まっています。中国を含む需要国も期待を裏切る結果となり、利益率は低下、更に金利の上昇も打撃を与えています。ただし今後の市場状況に対しては楽観的な見方もあり、一部の企業はこのような中でも拡大を目指しています。
https://www.mining.com/web/metal-trader-misery-undercuts-supercycle-hype-as-losses-pile-up/

EUの資金不足が深刻な問題となりつつあります。ウクライナは巨額の復興資金を必要としており、欧州委員会は資金不足に直面する可能性が高くなっています。欧州委員会は2027年迄に1,100億ユーロの資金不足があると算定し、新たな「独自資金」の調達を試みていますが、これまでは効果を上げていません。EUの7年間予算は既に限界に達しており、新たな財源を確保することが難しい状況です。予算問題は将来的にも続く可能性があり、今後行われる欧州委員長の選出の期間中は予算の議論を行う事は困難と見られています。更にウクライナを含む9ヵ国がEUに新規加盟した場合、既存のEU加盟国に2,500億ユーロ以上の負担が増えると計算されており、一部のEU加盟国は予算削減に直面する可能性があります。現在スペインは、EUの金融援助に占める割合が10%ほどですが、これがゼロになる可能性が高く、ポーランドは援助資金の3分の1近くを受け取っていますが、その割合は13%に急落する事になります。これは古くて新しい問題ですが、小国の集合体であるEUを統一/均衡化する為には大きな官僚機構と統制の為に巨額な予算が必要です。親中露路線で成功した経済が逆転し、加盟国申請が増えた事で事態を余計困難にしています。既にイノベーションへの資金援助が削減の対象として議論される等、今後の脱炭素やエネルギー転換にも影響が出そうです。
https://www.theguardian.com/world/2023/oct/04/adding-nine-countries-eu-cost-existing-members

中国の新興EVメーカーが破産申請をした事で実態が浮き彫りになり始めています。倒産申請をしたWM Motorは中国のバイドゥーとテンセントの支援を受けた新興自動車会社で、Nio、Li Auto、XPeng と並んで中国で最も資金が豊富なEV新興企業の1つと言われてきました。この倒産申請は、他の新興企業や投資家に更なる厳しい環境をもたらすと考えられており、Nio、XPeng、Li Autoも多かれ少なかれ似た状況と報告されています。例えばNioは今年の第2四半期に販売された車1台あたり35,000ドルの損失を報告し、4月から6月までの月間販売台数は僅か8000台でした。南京市政府と国有自動車メーカー第一汽車集団の支援を受けた同じく新興EVメーカーのByte(バイト)は、最初のモデルであるSUV「Mバイト」の生産に失敗し、6月に破産を申請しています。上海のアナリストは、WMの失敗が中国のEV市場の資金難企業に対して厳しい現実を示し、今後の資金調達が更に難しくなる可能性があると指摘しています。
https://bit.ly/3ZXC1Fq

マレーシアで国営企業の子会社が廃プラのケミカルリサイクルに乗り出すという事で話題になっています。マレーシアの国営石油化学企業であるペトロナス・ケミカルズ・グループ・ベルハッドは、マレーシア南部にアジア最大の廃プラスチックのケミカルリサイクルプラントを建設すると発表しました。工場は熱処理による分解油を生成するもので、稼働予定は2026年上半期、英国のプラスチック・エナジー・リミテッド社の無酸素熱分解技術(特許)が導入されます。同技術は既にスペインにある2つの工場で利用されています。
https://www.petronas.com/pcg/media/media-release/pcg-construct-asias-largest-advanced-chemical-recycling-plant
https://plasticenergy.com/

国際リサイクル局(BIR)はプラスチックリサイクルに関する最新のレポートを発行しました。BIRのプラスチック部門によると、低価格のバージンプラスチックがリサイクルプラスチックの価格に影響を与え、業者が苦しんでいる状況を報告しています。欧州のリサイクル業者は大量の在庫を抱え、競争力のある価格でリサイクル材料を提供することに苦労しています。一部の地域ではリサイクルコンテンツの義務化が進んでおり、バージンプラスチックに代わる魅力的な選択肢とされていますが、バージン材は未だに製品企業が最も優先的に利用している材料です。アジアでは低価格の中国のプラスチックスクラップが販売されており、rPET市場は2030年まで継続して拡大する見込みです。ただし中国以外の地域では収集とリサイクル・インフラへの投資が不足しており、今後の課題となっています。米国ではPETの需給のバランスが崩れ、価格が下落しています。中東では再生プラスチックの製造品質が向上し、再生樹脂を食品グレードの製品に利用出来るまで品質向上が図れるか、というところまで来ています。
https://www.bir.org/news-press/news/item/bir-world-mirror-on-plastics—issue-october-2023-no-relief-in-sight-from-challenging-market-conditions

年々減少する米国内での一次アルミニウム(Primary Aluminium)生産を懸念し、フォード、ゼネラル・モーターズ、ペプシ、ボール・コーポレーション、リビアン、サンパワー等の米国の大企業は米国エネルギー省に書簡を送り、インフレ抑制法を活用して持続可能なアルミニウム供給のための投資を行う事を提案しています。更に米国のアルミニウム産業を近代化する為の支援を行うよう訴えました。書簡を発行した企業群はアルミニウム使用量が多く、原料を海外のサプライチェーンに依存しています。米国の一次アルミニウムの生産量は2020年は約100万トン、2022年には約86万トンにまで落ち込んでいます。
https://aluminiuminsider.com/ford-joins-leading-companies-calling-for-federal-investment-in-clean-aluminium/

Kallanishが発行した報告書を基に、AG metal minorが中東の紛争が新たな鉄鋼価格下落の要因になる可能性を指摘しています。世界の鉄鋼市場は、既に中国とロシア発の供給過剰、欧州の需要低迷、中国の建設活動の鈍化等のストレスを受けています。イスラエルはトルコへのスクラップの供給国でもあり、更にトルコから鉄鋼製品を輸入しています。トルコのイスラエルへの昨年の鉄鋼製品輸出量は156万トンに達していますが、安価なロシア産の影響を受けて今年は40%も減少しています。報告書では、この紛争によりトルコ、イスラエル、ロシアの鉄鋼産業への影響が起こる可能性があり、その影響が他市場に波及しないか注意深く監視する必要を述べています。
https://agmetalminer.com/2023/10/11/palestine-turmoil-steel-prices/
https://www.kallanish.com/en/news/steel/market-reports/article-details/israeli-war-worries-turkish-steel-industry-1023/

スウェーデンのタイヤリサイクル団体SDABは世界初のリサイクルタイヤゴムの研究ポータルであるEnd-of-Life Tire Research Portal(ELTRP)を立ち上げています。この研究ポータルは、タイヤゴムに関する科学的な情報や研究結果に効率的にアクセスできるよう設計されています。具体的にはタイヤゴムの化学組成、性能、材料使用、健康・環境に関する情報が提供されます。また一般的な用語集も含まれています。ELTRPのコンテンツはSDABによって管理され、ポータルの開発にはITコンサルティング会社のSunstone Systemsの協力がありました。ポータルはオープンで誰でもアクセスでき、定期的に更新されます。ELTRPの目的はタイヤゴムのリサイクルに関する情報を提供すると共にこの分野の研究者からの寄稿も歓迎されています。
https://eltrp.org/

中国のキャピタルフライト規制が一段厳しさを増しています。上海証券取引所は中国の証券会社に対して、オフショア取引で中国本土の新規顧客を獲得する事を禁止する通知を発行しました。このような措置は初めて行われ、成長の鈍化により中国から海外への投資が増える事で人民元安を招いている中、資本流出を制限し、人民元を上昇させる事を目的としています。通知によると既存の顧客による新規投資も厳しく監視される事になります。具体的な実施時期は明らかにされていませんが、即時発効と考えられています。8月末に国際金融協会の首席エコノミストであるロビン・ブルックスは、Twitterに「世界の投資家が独裁政権に警戒を強める中、中国の資本流出は新興国市場で最悪の部類に入る。中国では過去18カ月間、一貫して大規模な資金流出が続いている」と投稿し、大きな話題となっていました。中国国家外為管理局のデータによると今年上半期には海外から中国への直接投資額は前年比87%減となり、過去最低の49億ドルとなっています。今年、中国は西側が制裁しているロシアやイランなどからの原油輸入が急増し、約100億ドル(1兆4800億円)相当の受益があったと報告され、更に9月の乗用車販売も刺激政策で記録的な数字になっています。そうした良いニュースにも関わらず、投資対象としての実態は既にかなり悪化していると思われます。
https://business.inquirer.net/426012/mainland-chinese-banned-from-opening-new-offshore-trading-accounts-with-local-brokers

EVの保険料金の上昇が問題化し始めています。販売台数が伸びた1年程前から情報が出てきていましたが、欧州、特に英国ではいよいよ本格的になってきました。最近、欧州のEV市場では、保険料の上昇や補助金の期限切れなどが懸念材料として浮上しています。現在かつて欧州政府が予測した様な一般の消費者が購入できるレベルにEV価格が下がるという事は実現していません。EVの価格は高く、保険料も高額になる傾向があります。EVの修理やメンテナンスには専門知識が必要であり、保険会社も費用面で懸念を抱いています。特にバッテリーの交換費用は保険会社を悩ませている1つです。EVは重量増加によりサスペンションやブレーキへの負荷も問題とされています。英国政府機関イノベートUKによる報告書では修理、保険料、バッテリーの交換費用等、EVにまつわる課題が示されています。英国で最も販売量が多いEVの自動車保険の平均費用は年間約654ポンド(約12万円)というデータが出ています。
https://www.forbes.com/sites/neilwinton/2023/10/10/insurance-costs-could-cripple-european-electric-car-sales/?sh=3977a5ffae68

BIRに続き、欧州のプラスチックリサイクル業界団体であるPlastics Recyclers Europe (PRE)がプレスリリースを発行し、業界は「2023年を通じて著しく不安定化」しており、政府による(輸入品の規制等の)介入がなければ、より多くのリサイクル業者が事業停止に追い込まれる懸念を表明しています。年初以来、リサイクルプラスチックの価格は最大50%下落し、更にEU域外からの安価な材料の輸入が大幅に増加しました。特にEUへのPET輸入が増加し、EU産rPETの需要が低下しています。プラスチックリサイクルの取組は法規制によって後押しされていますが、強制措置がなければ効果的に実施することは難しいでしょう。このままでは、将来のリサイクル目標を達成する事は困難です。この問題に対処する為に当局は即座に行動を起こす必要があると訴えています。更に今後は第三者認証制度の導入等により、リサイクルプラスチックの追跡や透明性の向上を図る事が重要であると述べています。
https://www.plasticsrecyclers.eu/news/low-demand-and-high-imports-endanger-the-european-plastics-recycling-industry/

エネルギー価格高騰に注意すべき可能性が浮上しています。既にイスラエルのタマル・ガス田が予防的に閉鎖された事で、欧州のガス価格が15%程急騰しています。今までのところ、国際的な石油フローに大きな影響はありませんでしたが、ここにきて動きがありました。今年8月に米国政府とイラン政府が合意したイランの資産凍結解除が、実行されない可能性が浮上しています。その場合は石油市場に影響が出る事が避けられない状況です。8月に米国政府はイランが持つ60億ドル(約9000億円)の資産凍結(米政府がカタールで保有しているイランの石油基金)を解除する合意を行っています(互いの人質解放と合わせ)。現在イランがこの資産を引き出していない事は確認されています。この政策はインフレとエネルギー高が止まらない欧米が、イランの石油増産とイラン石油の国際市場への流通により、原油とエネルギー価格を下げ、インフレを抑制する為に行われました。イランへの制裁解除は米国内と欧州の一部でも非常に根強い反対があったのですが、現政権はインフレとエネルギー高抑制の為にイランへの事実上の制裁緩和に踏み切りました。イスラエルでのテロが発生した直後から60億ドルの資産凍結解除を覆す政治圧力が大きくなりますが、現政権は即座には解除しない方針を示唆し続けていました。それが世論の圧力もあり覆る可能性が浮上しています。イランの石油生産量と輸出は、現米政権下で急激に増加し、生産量は日量300万バレルに達し、輸出は日量200万バレル弱になっています。米前政権では輸出はゼロでした。再び制裁に戻った場合、西側の石油フローに大きな影響が出そうです。イランの石油輸出は(米政権が変わった)2020年以降、4~5倍に増加し、中国が最大の買い手として台頭しています。今回のテロには、イスラエルによれば、イランが資金関与していると言われており、再び制裁に戻ればエネルギー問題が再発する可能性が高くなります。
https://oilprice.com/Energy/Crude-Oil/Shift-In-US-Policy-On-Iran-Oil-Could-Swing-Global-Markets.html
https://www.politico.com/news/2023/10/12/biden-iran-oil-gas-prices-00120924


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