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NEWSCONの気になるNEWS(2022年10月第3週)

カナダのリチウムイオン電池リサイクル会社でハブ&スポーク戦略を推進している。Li-Cycle社が米国アラバマ州での工場を稼働した事を発表しています。同工場はブラックマスを製造する同社にとって北米で4つ目のスポークの拠点となります。
https://bit.ly/3S3Mp8K

ナスダックに上場するカナダのElectra Battery Materials Corp社が、バッテリーリサイクル実証プラントを稼働した事を発表しています。このプラントはブラックマスを製造するもので、同社の湿式製錬工程への供給を想定しています。今後、ブラックマス製造の工場は拡張を予定しているという事です。
https://bit.ly/3rWsAG8

オーストラリア最大の慈善団体の1つであるミンデルー財団(Minderoo Foundation)が国連環境計画金融イニシアチブの支援を受けて行った調査で、化学物質(添加剤)製造メーカーの訴訟リスクについて報告しています。この報告ではプラスチック汚染が人間の健康に与える影響について調査し、石油化学産業が受けるであろう賠償請求に莫大な費用がかかる可能性を示唆し警告を発しています。調査ではプラスチック廃棄物がマイクロプラスチックやナノプラスチックに分解され、環境を汚染し、人間の食物連鎖に入ると健康上のリスクをもたらすと仮定しています。これらのプラスチック汚染による環境や健康リスクの社会コストは年間1,000 億ドルを超える、としています。5㎜以下のプラスチックはマイクロプラスチックと定義され、2025年に制定される予定で議論が進められているプラスチック廃棄物の国際条約で規制対象になる見込みです。
https://bit.ly/3CUaVoB
https://bit.ly/3TmbQDL

様々な専門サイトで警笛が鳴らされてきましたが、大手メディアであるBloombergが、欧州のディーゼル燃料危機について報じています。冬を前に欧州大陸でディーゼル価格が急騰し、モノの供給に混乱が起きています。来年2月にはロシアの石油製品の海上輸入に対する欧州連合の制裁が実施されます。ロシアは欧州にとって最大のディーゼル燃料の供給国です。今まで天然ガスと電力価格の上昇が欧州のエネルギー危機の中心でしたが、これにディーゼル燃料が加わる事になりました。在庫も減少しており、オランダ取引所の貯蔵庫のディーゼル在庫は2007年以降年間最低レベルになっています。ディーゼルの高騰は欧州のインフレにとって更に悪いニュースです。良いニュースは長期予報で欧州の冬が比較的暖かい可能性が示された事です。。
https://bloom.bg/3yI3uhX

米国で全国車輌水銀スイッチ回収プログラム(NVMSRP)への資金提供を継続する事に政府と業界が合意しています。内容は2027年7 月1日までに一部の自動車にある水銀含有スイッチをシュレッダーや溶解施設に送る前に個別に取り出すものです。合意は米国環境保護庁(EPA)、全米鉄鋼製造業者協会(SMA)、アメリカ鉄鋼協会(AISI)、スクラップ・リサイクル産業協会(ISRI)、自動車リサイクル業者協会 (ARA)、End of Life Vehicle Solutions Corp(ELVSC)によって行われています。2006年にEPAと業界関係者によって策定されたこのプログラムは、今までに8.2トン以上の水銀の自然界への放出を防いだ、としています。これは約10,000社のリサイクル会社が740万個以上の水銀スイッチを廃車から取り外し、個別にリサイクルした成果です。
https://steelnet.org/nvmsrp/

Zero Waste Europe(ゼロ・ウェイスト・ヨーロッパ)が、欧州の廃棄物フレームワーク指令(WFD)の改訂に対する声明を発表しています。この声明ではEUの政策はリサイクルの量的増加と埋め立ての削減にのみ焦点を当ててきた為、廃棄物そのものの減量を目指したものではなく、結果としてより多くの廃棄物が焼却される可能性が示唆されています。欧州で発生する廃棄物の量が過去10年間で増加したことは当然の事で、今回の廃棄物フレームワーク指令(WFD)の改訂では、増加する廃棄物と資源採取の根本原因に取り組むべき時が来ている、と主張しています。声明は「2050年までにカーボンニュートラルと完全なサーキュラリティを達成するEUの計画を考慮すると、 2022年のCircularity Gap Reportで示された、僅か12.8%の廃棄物のサーキュラリティは容認できず、ヨーロッパの将来にとって危険です」との文言で締めくくられています。
https://bit.ly/3CDNKOa

ノルウェーのBlastr Green SteelとCargill Metalsが、グリーンスチールの供給及びサプライチェーンの脱炭素化を進めるMOUを締結した事を発表しています。次のステップとして、技術の選択、グリーン電力へのアクセス、製造場所、最終製品の仕様、をそれぞれ決める事になります。グリーンスチールは顧客であるメーカーの脱炭素化による需要増が見込まれており、最近様々な協業が発表されています。カーギルが本格的にグリーンスチールのサプライチェーンの協業を進めている事も、大きな流れの一つです。
https://www.blastr.no/News/

欧州自動車製造業者協会(ACEA)が2つのプレスリリースを出しています。1つ目はEV化を進める欧州でもEU加盟国の充電ポイントの数が不十分であるだけでなく、その大部分が十分な速度の充電設備が無い事があげられています。道路100km当たり平均10 ヵ所以上の充電器を備えている国は僅か5ヶ国という調査結果が伝えられています。その為、政府に対し充電インフラの整備を急ぐよう、強調しています。2つ目は2022年のEU圏内の自動販売台数がパンデミック前の2019年と比較して26%程度減る事が予測されており、政策的な対応を求めています。元々2022年は欧州圏内での自動車販売は伸びるものと期待していましたが、サプライチェーンの問題、戦争、エネルギー危機、通貨安、インフレ等の悪要因が重なり、一転して2021年よりも販売が減るという予測になっています。
https://www.acea.auto/nav/?content=press-releases

米国の大手化学会社DOW(ダウ)が2030年までに年間300万トンの廃プラスチックを埋立て廃棄から新材料に再処理をする事を発表しています。この目標を実現する為に以下を実施する事が含まれています。
・米国とヨーロッパに複数のケミカル・リサイクル施設を建設する為、英国のMura Technologyと契約。年間600,000トンの処理能力を持つ計画。
・フランスでハイブリッド・リサイクル工場(機械+ケミカル)を建設。
・米国でNexus Circular社と協業。
・ブラジルのBoomera LAR社とマテリアルリサイクルで協力。
・ミスター・グリーン・アフリカへの投資。
・インドでPCRプラスチック製のポリエチレン(PE)フィルムを開発・製造する為のLucro PlastecycleとのMOU。
https://dow.inc/3MFgieE

中国政府が経済データの発表を遅らせる中、中国からの資本逃避が加速しているという事が欧米の大手メディアで報じられています。海外市場での金利上昇が主な要因で、中国から資金がここ数年で最も速いペースで引き出されています。また公式な資本移転だけでなく、バックチャネル(裏ルート)を通じて資金が流出している兆候もあると報じられています。
https://bit.ly/3ghDTps

欧州と米国で政治的な流れの変化を示す幾つかの出来事が起こっています。これらは近年共通の価値観として政策に反映してきた気候変動問題にも影響を与える可能性があります。欧州連合の外交サービスのHPに全文が書き起こしで記載されていますが、先週行われたEU大使の年次会合の開会スピーチで、EUの外交問題担当上級代表であるJosep Borell(ジョセップ・ボレル)が「復活したナショナリズムの世界では「理性の国」としてのヨーロッパのイメージはもはや普遍的な魅力を持たないかもしれない」と率直に批判し、欧米メディアが取り上げています。ワシントンポストは「ヴィーナスがマーズになるのか?」というタイトルで現在の地政学とエネルギー問題からくる欧州の政治的な逆流を分析しています。 10月18日に発表された調査プラットフォームのEU Matrixのレポートでは、ドイツのEU議員が欧州議会で最も影響力がある、と結論づけています。移民政策やグリーン化でもドイツの政策が欧州全体に強い影響力がありましたが、その流れが変わりつつあります。米国でも中間選挙まで1ヵ月を切り、下院は共和党、上院は民主党との下馬評が、最新の世論調査で両院とも共和党に傾きつつある、という事が各紙で報じられています。ただし、調査母数が少ない為に信憑性には一定の疑問が残るようです。共和党はエネルギー独立を掲げて化石燃料の開発再開を公約しており、中間選挙の結果次第ではグリ―ン化政策に様々な影響がありそうです。
https://bit.ly/3D5m4Tx
https://bit.ly/3EQ7YXr
https://cnn.it/3gg4PWR

中国鉄鋼業の収益性が20%近くダウンしている状況が報じられています。記事内で引用されているForbsの報道でも、中国が深刻な金融危機に見舞われている事が記載されています。生産(能力)量12億トンの中国の鉄鋼業の内、国内消費は約10億トンです。現在、不動産開発業者の多くのプロジェクトが閉鎖され、鉄鋼需要が影響を受けています。鉄鋼の主要な消費家である不動産会社の約29%が破産に近づいていると報じています。記事では中国の鉄鋼需要は2022年にピークを迎える可能性が高い、としています。経済データ発表の遅れ、資本(金)逃避、外交的タカ派という事もあり、少し不穏な状況のようです。歴史的に国内が悪い時は外交でタカ派になります。不況に突入する中で、何かの悪材料・悪指標がキッカケとなり大崩れするケースが多々ありますので、仮に中国のデータで極端に悪いものが出た場合、大きく下振れするリスクがあります。やや警戒しても良いかと思います。
https://bit.ly/3TzU9AA
https://bit.ly/3s76d0B

ここ数週間で起きている脱炭素やESGに関する欧米での政治的な変化を伝えていますが、Oilprice.comが同じ趣旨の例を報道しています。世界最大の資産運用会社であるブラックロックは英国議会委員会宛てに書面で「石油、天然ガス、または石炭への投資をやめない」と回答した事がロイターで報道されています。これは英国がネットゼロに移行する為に必要な金融部門の役割に関する調査を行った過程での出来事です。逆にブラックロックは米国内での化石エネルギー産業への投資についてはESGを根拠に消極的な為、共和党が政権を持つ複数の州からブラックロックに資産を売却すると発表されています。ルイジアナ州はこれまでに5億6,000万ドルをブラックロックに売却しており、その他の共和党の州(サウスカロライナ州、ユタ州、アーカンソー州、テキサス州等)は、ESGに沿った投資方針を持つ資産運用会社とは取引しない方針を示しています。これは対象となる金融会社が石油・ガス業界への投資を行わない事を指針としている為です。ESG政策に反対するキャンペーンを主導しているテキサス州では8月に州の年金基金、及び自治体との取引が禁止される可能性がある金融会社のリストを発表しています。今までならばこのような先鋭的な政治圧力を行う事は不可能でしたが、かなり転換しています。
https://bit.ly/3VGpW4C

欧州では11月に方向が決まる予定の廃棄物輸送指令(WSR)に関して、リサイクル業界が現在の欧州委員会の提案について大反対していますが、6つの欧州プラスチック関連のリサイクル業界団体は一部の提案を進めるようにポジションペーパーを発行しています。現在の提案では、リサイクル材を廃棄物と定義しEU域内では越境手続きを簡素化し、EU域外は非常に手続きが煩雑になるようなものとなっています。欧州のプラスチック関連6団体は、プラスチック廃棄物をEU域内で国を超えてより流通しやすいように求めています。バーゼルが改訂された昨年以降、EUから非OECD諸国への廃プラの輸出が不可能となり、低級品の廃プラが国内リサイクラーに大量に滞留する状況が生まれています。ほぼ唯一の輸出先であるトルコは低級品の廃プラ輸出先としてその影響を大きく受けています(インドネシアはほぼ止まりました)。リサイクル材を販売しているリサイクラーは、優良な原料(廃プラ)の入手先をより多く持つ必要が生まれています。その為、廃プラの越境は欧州のプラスチックリサイクル業界にとっても有益となります。
https://bit.ly/3gaJFt2
https://euobserver.com/opinion/156307

金利上昇の米国がもたらす米ドル独歩高が世界に与えている悪影響について、最近多くの報道がなされています。円だけでなく、他通貨に対してもほぼ独歩高で、かつイエレンさんとバイデン大統領が両方揃ってドル高容認ともとれる発言をした事で、流れがより強くなっています。通常、対ドルで自国通貨が下落した場合、その国は輸出増である程度の利益を得ることができます。しかし世界的な景気低迷で輸出の増加による利益は抑えられています。逆に高金利でのドル高は、米国以外でインフレを助長し、ドルに資金が流れる事で自国通貨の下落を引きおこす為、各国ともに金利を上げざるを得ない状況が生まれます。その為、既にエネルギー高で苦しんでいる各国に様々な形で悪影響を与えている状況が生まれています。
https://bit.ly/3VE8pKt

EU議会が10月19日に「代替燃料インフラストラクチャ規則」(AFIR)を採択しています。この規則にはEV乗用車とEVトラックが利用する十分な数の公共充電ステーションを設置することが含まれています。主要高速道路には、少なくとも60km毎にEV充電ポイントを建設する事がEU加盟国の義務となります。この決議が今後、他のEU機関と合意された場合、各国は2026年までにこの目標を達成する必要があります。この規則は充電ポイントの基準を設定し、更にデビットカードやクレジットカード等による充電サービスの支払い範囲を拡大します。
https://bit.ly/3Si7Nrd

同じく欧州議会で「Fuel EU海事法」が採択されています。欧州委員会の提案では海運燃料の温室効果ガスの削減を2020年と比較して、2025年は2%、2035年は13%、2035年は20%、2050年までに80%削減する事を目指しています。EU内を航行する船舶がこれらの目標の対象となります。EU域外の港を発着する船舶の場合はエネルギーの半分のみが対象となります。この50%の削減はEU域内であれば、最も外側の地域に出入りする船舶にも適用されます。総トン数が5,000トン未満の船舶は免除されます。
https://bit.ly/3s8Ma1V

チリの大手鉱業企業に対するロイヤリティー増税に大手企業が反応を示しています。鉱業大手のBHPとチリのAntofagasta Minerals(アントファガスタ・ミネラルズ)はチリの鉱業ロイヤリティー法案が自社の競争力に影響を与える為、投資を再考する可能性がある事を示しています。鉱業ロイヤリティー税の増税はガブリエル・ボリッチ大統領の選挙公約でもあり、当初提案より軟化しているものの、増税路線そのものには変化が無く、ロイヤリティーの上昇によって大手鉱業企業による投資に変化が表れるか懸念されています。ただし、この増税は地元の小企業には適用されない予定で進められています。
https://reut.rs/3yX3Xgl

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