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NEWSCONの気になるNEWS(2022年10月第1週)

欧州委員会が法制度化の方針を示しているEU原材料法に対しフランスとドイツが共同提案を行っています。これは、同法制が何を伴うべきかについてのビジョンを概説し、重要性を繰り返しているものです。独仏共同の提案では、原材料の採掘から加工、リサイクルに至るまで、バリューチェーン全体の戦略的プロジェクトを特定する事と、ソブリン投資基金の設立を強調しています。この動きは自由貿易から転換して特定の資源や原材料に関する囲い込み、ナショナリズム化となり、重要な原材料が含まれるスクラップも自由貿易に対する規制の対象になる事が予測されています。
https://bit.ly/3Cm5IWt

9月のユーロ圏のインフレ率が発表されています。発表されたデータは暫定値ですが9月としては過去最高の10%を記録しています。欧州連合の統計機関であるユーロスタットによると、ユーロ圏(EU加盟国全てでは無い)19ヶ国のインフレが8月の9.1%から9月に 10.0%に達したと推定しています。エネルギーコストは前年同月比40.8%上昇、食品、アルコール、タバコの価格は前年比で11.8%上昇したと考えられています。最も深刻な影響を受け続けているのはバルト諸国で、エストニア、リトアニア、ラトビアでそれぞれ24.2%、22.5%、22.4%のインフレ率と推定されています。このインフレにより、欧州中央銀行(ECB)に追加の利上け圧力が掛かる可能性があります。非鉄市場にも影響がありそうです。
https://bit.ly/3UKOtFv

脱炭素に必要不可欠な輸送セクターの1つに航空産業があります。航空産業の脱炭素化の為に、米国エネルギー省が持続可能な航空燃料の ロードマップを発表しています。このロードマップでは2050年までに米国内の航空燃料を持続可能な燃料で100%満たす為に必要な手順を概説しています。現在米国では再生可能資源と廃棄物から年間500〜600億ガロンの低炭素燃料を製造する能力があります。欧州にもReFuelEU Aviationイニシアチブがあり、同様の措置を講じています。
https://bit.ly/3USW3Oc

欧州のエネルギー危機の構造的欠陥と政治的レトリックをある程度理解するには良い内容の情報ソースを紹介します。欧州の水素戦略やエネルギー政策について警笛を鳴らしている独立系科学サイトのEuropean Scientistsが欧州技術者産業協会の現会長である Samuele Furfari にインタビューした内容が掲載されています。膨大な公的資金を投入するグリーン水素については、「事実分析や体系的および地政学的なビジョンとはほとんど関係のない政治的カタログにすぎない」と自身が著した「The Hydrogen Illusion」で語り、その分の資金を公共の建物を断熱するのに 利用した方が1,000倍も役に立つ、としています(欧州の公共建築物は古い為、断熱効率が悪い)。EUは非常に複雑なエネルギー方程式の調整変数を排除し、脱炭素化にすべてを賭ける一方で、CO2を生成しない原子力発電を軽視している。EUの指導者達が、現在のエネルギー政策を加速させる必要があると言っているのを聞いて、残念に思う。彼らは人々が請求書を支払うことができず、寒がりであり続けることを本当に望んでいますか? と締めくくっています。
https://bit.ly/3fx9tiS

プラスチック廃棄物の中でもリサイクルが困難とされるポリスチレン(PS)と押出ポリスチレン(XPS)トレイのリサイクルに成功した事が報告されています。リサイクルに取り組んだのは、欧州の業界イニシアチブであるStyrenics Circular Solutionsです。コンソーシアムのメンバーの内、Corepla(イタリア)が廃PSトレイを収集、選別、その後Tomra(デンマーク)とZimmermannが高度な機械的選別、高温洗浄、ソーティングを実施し、更にForever Plast SpAが脱水とPSリサイクルを行います。Versalis社が品質評価を行い、Magic Packがリサイクル材料を新しいPS食品トレイの材料に混ぜて使用します。この工程で製造されたPSトレイはrPS材を50%含んでいます。また再度リサイクルが可能です。商品はMagic Pack社の関連会社であるProFood によって既に商品化されています。
https://bit.ly/3C1aUxG

AG metal minorからニュースを2つお伝えします。 1つ目は先週ニュースになっていたLMEによるロシア産のアルミニウム、ニッケル、銅の取引停止措置の検討による影響です。まだ決定ではありませんが、この停止措置が行われた場合の影響についてAG Metalが特にアルミ市場の影響についてまとめています。現在ロシア産の金属はアジア向けにロシア東部の港からの出荷が続いています。ただし、現時点ではボリュームは多くありません。ロシア産の金属がアジアに大量に出回る場合、LME価格は世界市場の価格を正確に反映しなくなり、LMEの存在理由が根本的に損なわれる可能性がある、と伝えています。LMEはロシア産金属の取引停止措置に対する憶測が様々な問題を生じている事から、先週末に正式にレターを発行しています。
https://bit.ly/3CpT9te
https://www.lme.com/en/News

また当面の間、ニッケル価格はレンジ内での推移を続けると予想しています。通常9月と10月はニッケルの年間購入量が最も多い時期ですが、今年は第4四半期に向けて取引が活発化しない可能性を指摘しています。結論としては、ニッケルはレジスタンスとサポートの間で横ばい傾向にあり、明確な方向性を出せない可能性が高い、としています。
https://bit.ly/3SNBDED

先週末から欧州の金融市場では、クレディ・スイスの話題が大きなものとなっています。FTがスクープ後にずっと詳細を報じていますが、有料版の為、無料版で読める一般紙のリンクをお送りします。3日(月曜日)には、クレディ・スイスの債務不履行に対する保険の購入費用が過去最高に急上昇しました。原因はクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場でのBasis Pointで、5年間のCDSが先週金曜日(9月30日)に250に拡大した事です。大手銀行としては高く、クレディ・スイスとしては2009年以来の最悪のレベルでした。クレディ・スイスは3四半期連続で損失を出し55億ドルを失ったと伝えられています。これらに加えて幾つかの要因が重なり資本増強が必要な立場になっている事が危機説を助長している理由のようです。リーマンショックとCDSを連想する方も多いと思いますが、一時は第二のリーマンか?とも情報が錯綜していました。既に欧米の銀行も人員削減モードに入りつつあり、また何処かでこのような話題に焦点が当たりそうです。
https://on.mktw.net/3SVb8ND

英国で最大のリサイクル会社であるEMRの子会社のMBA Polymers UKが新工場をオープンした事を発表しています。EMRは電子廃棄物、廃棄自動車、産業廃棄物から多くのプラスチックを収集するために英国全土のネットワークを構築する計画です。MBA Polymers UKは2030年までに100,000 トンの再生プラスチックを生産するという目標を掲げており、新工場は13,000〜15,000トンを供給する予定です。投資金額は約451,500米ドルと発表されています。rPPの需要は年々高まっており、2025年に発行するプラスチック廃棄物の国際条約で拡大生産者責任がより広範囲に採用されると、需要が一気に高まると考えられています。
https://bit.ly/3VbsMyC

欧州の鉄スクラップ輸出の主要国であるエジプトが大きな転換点を迎えています。日本では全く語られる事が無い現在の動きを端的に解説した内容がアップされているので、リンクを送ります。エジプト政府にとって湾岸諸国の一部、特にカタールは「悪の枢軸」と位置付けられた敵対国家でした。今年6月にエジプトのアブデル・ファッタアルシシ大統領は電撃的にカタールの首長と面会して雪解け・融和政策に転換しています。双方は過去数ヶ月間で貿易代表団を次々と送り、2人の国家元首は現在までに2回会談しています。これは、このケースに限った事でなく、世界で起きている2国間主義であり、戦争を機に財政・資金問題を抱えた国家の方針転換でもあります。ウクライナ戦争が勃発した事で(比較的高利回りのリスク債でもある途上国の)エジプトの債券市場から世界の投資家が離れ、エジプトは2022年下半期だけで180億米ドルの債務返済が発生しています。これはエジプトの財政状況に大きな負担を与えています。この和解は、資金の確保が目的であり米国の同盟国であるエジプトの地政学的価値を微妙に変える可能性があります。 これはエジプトに限った事でなく、エネルギー危機真っ最中の欧州の各国も同じように北アフリカ諸国を個別に訪問し、エネルギー確保に奔走しています。多国間主義で成功してきたCOP会議が今年のCOP27で全く盛り上がらないのは、世界が多国間主義からブロック経済と2国間貿易にシフトし始めている為だと言われています。気候変動、エネルギー転換、サーキュラーエコノミー等の政策には共通の価値観と多国間主義による政策理念が必要となる為です。
https://bit.ly/3Efom3G

Oilprice.comが銅価格予測に対する市場アナリストの最新の見解を載せています。「銅需要の崩壊が価格を圧迫」というタイトルの記事では、バンク・オブ・アメリカは「今年後半にかけて需要が減少し、価格が下落する可能性があることは明らかだ」との見解で、ED&Fマン・キャピタル・マーケッツのアナリストは「欧州の今年の冬は、銅需要にとってもう1つの重要な変化点になるだろう」という見解を載せています。LME倉庫の銅在庫は9月以来30%以上増加して135,750トンになり、キャンセルされたワラントは8月26日の50%から 6%に減少しています。 https://bit.ly/3M3KwHP
https://bit.ly/3M3KwHP

鉄鋼メーカーのUSスチールはペンシルベニア州の炉を無期限アイドル状態で停止、 9月頭にもインディアナ州の炉を停止しています。約1ヵ月の間に2つの炉をアイドリング状態で停止しました。USスチールは減産を発表した鉄鋼メーカーですが、別の鉄鋼メーカーであるNucorは生産停止を発表していませんが、第3四半期の利益が鋼板・厚板ともに減少すると予想しています。
https://bit.ly/3RHE7DG

欧州委員会がバイオメタン産業パートナーシップ(BIP)を立ち上げています。これは2030年までにバイオメタンを350億立方メートル製造するという目標をサポートするための組織となります。350億立方メートルのバイオメタンの製造は、元々、欧州委員会Re Power EU計画で発表したものです。バイオメタンとは、非化石から製造されるバイオガスを精製したもので、現在メタンの製造に使われている天然ガスの代替品となります。欧州ではバイオメタンを次世代の重要な再生可能ガスの1つとして位置付けています。バイオメタンとバイオメタノールは、今後需要が急増する事が予測されています。
https://bit.ly/3ygGBBQ

11月13~17日にチリの首都サンティアゴでCopper 2022会議が開催される予定で注目されています。このイベントはチリの鉱山技術者協会が主催し、特に世界的なエネルギー転換による銅の重要性が増している事もあり、銅のサプライチェーン全体の問題を議論する予定です。またチリはEVで利用するリチウムの一大生産国でもあります。銅とリチウムはEVと再生可能エネルギーにとって非常に重要な金属です。ECLACが発表したレポートによると2020年から2040年の間にリチウムの需要は43倍、銅の需要は約28倍になると予測されています。チリが現在抱えている問題は将来の需要増に対応する方法と、最近チリ政府が打ち出している採掘ロイヤルティの変更案で、法改正による高いロイヤリティの支払いです。最近COPECの子会社であるMinera Alxarはチリ北部のアタカマ地域の Sierra Norte 銅プロジェクトを売りに出しました。下記のリンクは現状のチリの置かれた立場を端的に記載しています。投資家が二の足を踏む政策が打ち出されており、数年後に今の新規採掘投資の低さが銅の需給バランスに影響を与える事は確実と見られています。
https://bit.ly/3CzsQkf

欧州の包装関連情報を掲載するPackage Europeが「ヨーロッパのリサイクルチェーンの不確実な未来」というタイトルの記事を載せ、欧州の包装業界の現在の財務状況について説明しています。欧州の包装関連企業は「生き残り」が目の前の問題であり、持続可能性の目標を放棄せざるを得ない可能性がある事を紹介しています。持続可能性への取組は依然として活発としながらも、リサイクルプラスチックの多くの関係者は現在の状況では今後の事業計画を立てることが困難な状況である、としています。業界団体であるPackaging Recyclers Europe (PRE)によると、通常生産コストの約15~20%であるエネルギーコストが現在は70%近くに上昇しているという事です。また景気低迷により価格を下げる事がすぐに販売増につながらないという状況も生まれつつあるようです。
https://bit.ly/3Rx5H6o

今欧州で関心の高いニュースは、暫くは謎となると言われているノルドストリームII海底パイプラインの爆破を誰がやり、その結果、何が起こるかという事と、ロシアによる核兵器使用時の対応です。Forbsは「マーケット」の記事としてノルドストリームIIの問題を取りあげており、Euractiveを始め多数の欧州メディアが核兵器使用後の対応について記載しています。ノルドストリームIIが停止後にノルドストリームIがそれに代わる事はなく、今後より価格の高い液化天然ガスにシフトせざるを得ず、国際スポット価格の上昇によるエネルギー高騰が欧州の産業に打撃を与える為に欧州政府は一層複雑な問題を抱える、としています。また、実際に核兵器が使われるかという問題よりも、その可能性が出た時点で投資行動に変化が表れ、マーケットに影響を与える事が現時点の直接の問題のようです。
https://bit.ly/3fJ3Jmd
https://bit.ly/3SEqUwy

欧州議会は5日、2024年までに携帯電話、タブレット、カメラ、イヤホン、電子書籍リーダー等に利用される充電コネクタをUSB-Cコネクタに統一化する事を決めました。Apple製品やその他一部の製品にも影響が出ます。欧州委員会は消費者にとって毎年約2億5,000 万ユーロを節約できると推定しています。この決定は既に欧州の様々な機関での合意を得ていましたが、最終的に議会での決定となりました。EU 議会は賛成602票、反対13票という大多数で改革を支持しました。
https://bit.ly/3ykvd8i

日本では対策が進んでおり馴染みが無いかもしれませんが、既に英国や欧州では規制が改訂されている「持続性(残留)汚染物質」(POPs: persistent organic pollutants)の定義と規制の改正案が欧州議会で通過しています。これはリサイクルされた材料に有毒な化学物質が残留・集中しないようにするための措置となります。残留汚染物質は特別なものではなく、食品、塗料、ワニス、石鹸などの日常生活品、或いは防水布、家具などの一部の消費材、更には電子機器やプラスチックからの廃棄物に混入しているものです。殺虫剤やポリ塩化ビフェニル(PCB)もその範疇で、ダイオキシン等も工業生産過程で副産物として出ます。 変更点は次のとおりです。 ① 製品に含まれるいくつかの残留性有機汚染物質の許容レベルを大幅に引き下げる。 ② 廃棄物管理:高レベルの汚染物質を含む材料は、破棄または焼却する必要があり、リサイクルできない。 有害物質のリストに追加される新しい化学物質: 食品包装、防汚及び防水材料、消火フォーム、塗料添加剤に含まれる合成化学化合物パーフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)。この化学物質は2022年6月にストックホルム条約の有害物質リストに追加された。
https://bit.ly/3T20dli

LMEがロシア産金属に関するディスカッション・ペーパーを発行しています。要約すると、政府によるロシア産金属全般の取引禁止措置が無い為、LEM倉庫の監視を強化し、2022年は引続き取引を行っている。しかし2023年には市場がロシア産を回避する意見があり、注視している、というものです。
https://www.lme.com/en/News

HSNWでは、上記LMEの内容を鑑みた6日現在の状況を報告しています。ロンドン金属取引所がロシアのウラル・マイニング・アンド・メタラジカル社とその子会社からの新規金属の受渡に条件を課した為、6日には亜鉛と銅の価格が上昇しました。今後も、このようなロシア産への条件追加により市場が需給とは関係無く動く可能性があります(これは予測が難しいです)。 https://bit.ly/3CGbd2w
https://bit.ly/3CGbd2w

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