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NEWSCONの気になるNEWS(2022年09月第5週)

9月22日に公開された各メディアで取り上げられている世界の鉄鋼生産の情報です。経済協力開発機構(OECD)の鉄鋼委員会は、世界の鉄鋼業会が「急激な景気後退」を経験しているとする声明を発表しています。具体的には、生産能力の過剰と景気低迷による需要の鈍化により鉄鋼セクターに大きな影響が出やすい事を強い懸念と言及しています。
https://bit.ly/3Sgd1V3
https://bit.ly/3C51fpV

欧州のプラスチックリサイクル業者の団体の1つであるPlastic Recycle EuropeがHP上に声明を発表し、エネルギー価格の高騰によってプラスチックリサイクル企業が廃業に追い込まれる可能性があると警告しています。欧州のリサイクラーにおいては、現在エネルギーコストが工場の運用コストの最大70%を占めていると報告されています。同団体はエネルギー価格の高騰によりリサイクル企業が収益を得る事がほぼ不可能になると主張し、欧州委員会とEU加盟国の介入がなければ多くの企業が閉鎖を余儀なくされる可能性があると警告しています。イタリアでは、プラスチックをリサイクルする企業の全国協会であるAssorimapがエネルギーのコスト高が原因でリサイクル活動の40%が停止されたと発表しました。協会はイタリア政府に緊急の介入を求める新たな呼び掛けを行っています。
https://bit.ly/3RiZUkx

中国で人民元通貨を巡る動きが活発化しています。米国の金利が上昇する中、中国の投資家はオフショア債券への投資を増やしています。8月末の中国の対外投資は3,015 億元(423億ドル)に達し、1ヵ月前から34%増加しています。この動きに連動し人民元に下落圧力が掛けられた為、26日に外貨準備比率を引き上げ、人民元の急落を遅らせる措置を取る予定と伝えられています。中国人民銀行(PBOC)は金融機関が通貨先渡しを通じて外国為替を購入する場合、現在の0%から20%に外国為替リスク準備金を引き上げる予定で、この措置は9月28日に開始される、としています。
https://bit.ly/3SwxuEL
https://bit.ly/3fdoSVb

各国の調査機関で気候変動に対する分析が発表されています。オックスフォード大学の最新の実証的根拠に基づくレポートによると、化石燃料から再生可能エネルギーに切り替えることで、2050年迄に世界で12兆ドルの節約が可能であると伝えています。保険大手の Swiss Re(スイス再保険)は気候変動が2050年に世界経済に23兆ドルの損害を与える可能性があると計算しています。米国管理予算局による4月の分析によると、気候変動は今世紀末までに米国だけで毎年2兆ドルの費用が掛かる可能性があると計算されています。
https://bit.ly/3fdqLkJ

米国の大手自動車メーカーGMが投資部門のGM Venturesを通じてカナダのLithion Recyclingに投資した事が報じられています。この投資にはLithion社のバッテリーリサイクル技術を使用する戦略的パートナーシップ契約が含まれる、としています。Lithionはケベック州の水力発電エネルギーを利用する事で温室効果ガス排出量を75%以上削減する計画です。Lithion社は2023年にリサイクル事業を開始、処理能力はリチウムイオン電池で年間7,500 トンとなり、2025年には最初の湿式製錬プラントの立ち上げる予定です。
https://www.lithionbattery.com/

基本的に全く報道される事はありませんが、再生可能エネルギープロジェクトを巡る世界的な訴訟が増加している、という報告です。2020年、ロンドン国際仲裁裁判所(LCIA)、国際仲裁裁判所(ICC)、及び投資紛争解決国際センター(ICSID)で起こされた訴訟件数の内、エネルギー紛争事例は産業別で見た場合、いずれも上位3位以内に入っていました。再生可能エネルギー産業から生じる様々な論争が継続している為です。ジョイントベンチャー/契約の論争、気象条件に起因する主張の論争、建設関連の論争、特に知財を含む技術関連の論争、投資家と国の論争、があります。今後、世界のトレンドとして係争が見られると予想される特定の法域は、欧州、アフリカ、中南米と報告されています。この地域への再生可能エネルギーの投資が増えている事と契約当事者の認識と結果の齟齬が主な要因と見られています。
https://bit.ly/3flKTBk

アルミ市場の最新動向に関するMetal Minorのレポートです(リンクは、Metal Minorの記事をOilprice.comが無料版として掲載している内容です)。アルミニウム市場に「完璧な嵐」が吹き荒れる、と題された記事では、特に米国でアルミ缶原料の奪い合いによる供給不足を取り上げています。アルミ缶の供給に掛かるリードタイムは5~6ヵ月にも及ぶと報じています。現在、各国の利上げによる一時的な動き以外では、アルミニウムのファンダメンタルズのデータは強気の価格トレンドに逆転しましたが、様々なリスク要因が指摘されている状態です。しかし米国では広範囲にわたる供給不足の可能性が高まっています。投資家とトレーダーはアルミニウムの価格を詳細に渡り監視し続けています。これらの情報分析では長期的な下降トレンドを示している可能性があります。
https://bit.ly/3E1NcUF

欧州最大の鉄鋼メーカーであるアルセロールミッタルが投資家向けにインドの事業計画を発表しています。インドでの製鋼事業に関する投資家向けの 45 枚のスライドの最新情報では、スクラップ消費についてほとんど言及していません。インドは米国スクラップの需要家としては大国ではなく、2022年上半期で見た場合は10位にランクされる程度です。同社の計画はインドでの鉄鉱材料の採掘、ペレット化、直接還元鉄(DRI)の生産能力への投資が中心となっています。スクラップについてはプレゼン資料の1ページのみで簡単な計画となっています。ただし、今後も使用量は増やす予定です。また代替エネルギーの使用も持続可能性対策として注目を集めています。インド事業では再生可能エネルギーを利用した新しい工法への投資が加速するものと見られています。インドは国策として2030 年までに合計で3 億トンの鉄鋼生産の設備を保有するという目標があり、1人あたりの鉄鋼使用量が現在の77キロから2031年には160キロに増加する予定です。
https://bit.ly/3LTBf5m

エネルギー危機の真っただ中ですが、世界の石油生産の予備能力(余剰生産能力)が少なくなりつつあり、供給制限が起こる可能性が指摘されています。その為、今後の景気後退の中でも石油価格に上昇圧力がかかる可能性が高い事が伝えられています。これはロシアを排除するという理由が大きいようです。ロシアの石油生産施設のメンテナンスや補修が西側の制裁で部品が無く行われない場合、影響がより大きくなると伝えられています。景気後退予測もあり下げトレンドを形成してきましたが、逆転の可能性が指摘されています。
https://bit.ly/3SnsG4T

OECDの発表では2023年の世界経済の成長率予測は米国が0.5%、ユーロ圏は0.25%と極めて低い値に修正されています。欧州最大の経済大国ドイツは2023年に景気後退が予想されており、キール研究所は「ドイツ経済は下向きのスパイラルにある」と宣言しています。またOECDも来年のドイツ経済は完全に縮小すると予測しています。現在、中国、トルコ、ロシアを除いて世界の多くの国が同時に金利を引き上げています。この状況を世界銀行のアイハン・コセ氏は「これらは全体で高度に同期している為、相互に影響し合い、金融環境が引き締まり、世界経済の減速が加速する可能性がある」と述べています。最近の世界銀行の報告書は現在の状況が世界的な不況が発生した過去の瞬間に似ている、と結論付けています。
https://bit.ly/3y0HJt9

ウクライナ東部のドネツク地方のパブロ・キリレンコ知事が「ロシアが偽の投票結果でウクライナの4つの地域のロシア併合を宣言した場合、核攻撃の可能性が高まり、ウクライナは準備をする必要がある」との見解を述べています。これは、ロシアの領土となる事でウクライナが元の自国地域を奪還する為に攻撃をする事がロシア領を攻撃するという事になり(国際法で認められている)自衛の戦争と(ロシアが一方的に)解釈する為です。化学兵器やその他の違法な大量破壊兵器の脅威もあると述べています。この状況が緊張を生んでおり、欧州ではかなり大きなニュースになりつつあります。プーチンの併合宣言は30日に行われる予定です。
https://bit.ly/3rgDNAK

米国の電池リサイクル大手のCirba Solutionsが、関連会社のHeritage Battery Recyclingを通じて米国のアリゾナ州にリチウムイオン電池のリサイクル工場を設立する事を発表しています。稼働は2023年でリサイクル材料はEV50,000台分に相当するものを製造する予定です。最近施行されたインフレ削減法案には国内のEVバッテリー製造の条件が含まれています。一定の比率の材料を米国内もしくは米国とのパートナー貿易国から調達する必要があり、米国内でのEVバッテリーリサイクルに資金が流れています。
https://bit.ly/3SpA53S
https://www.cirbasolutions.com/

8月末にインドの環境・森林・気候変動省がバッテリー廃棄物管理規則の最新改定版を通知しました。この通知はバッテリーの生産者及び輸入者に拡大製造者責任(EPR)を課すものです。9月に新たに発表された内容にはEPRの対象者は中央公害管理委員会のポータルサイトに登録し、廃棄バッテリー処理時に拡張生産者責任 (EPR) 証明書を取得する必要が生じる事が含まれています。廃棄されたバッテリーをリサイクル処理後に生産者が指定したリサイクル業者もしくは自社で同証明書を取得します。証明書を必要とするものには、EV用、ポータブル用、産業用のバッテリーが含まれています。EPR規制はサーキュラ―エコノミーの最も効果の高い政策・規制となる事から欧州と米国(のBlue States)ではEPR規制の対象製品が拡大しています。インドのバッテリー規制は、それらの地域に続くものです。
https://bit.ly/3fua7xm

英国のアジア系経済ニュースサイトAsian Finaicialによると、28日に中国の不動産株と債券が、不動産開発業者CIFI Holdingsの債務不履行の報道で大きな売り越しとなった、と伝えられています。同社の香港市場での株は32.3%急落し、過去最低を記録したようです。公式データでは中国の8月の住宅価格、販売数、投資は全て下落しています。現在、多くの大手開発業者が債務不履行に陥っており、地方自治体はこれらの問題を解決するための資金を手配し、停滞したプロジェクトで建設を再開できるよう急いでいる、という事です。鉄スクラップや鉄鋼材料価格への影響の1つと言われている中国の不動産・建築セクターの需要は今後も少し注視した方が良いかもしれません。一部では、悪化の連鎖は逆に政府援助を加速させ、不動産関連の金融市場はある程度安定する可能性もある、と伝えられています。
https://bit.ly/3RoB174

Fast Marketが鉄鋼メーカーによるGHG排出スコープ3について取り上げています。米国の証券取引委員会(SEC)は、投資家向けの気候関連の開示を強化・標準化する為の新しい規則を提案しています。提案事態は今年Q1の2022年3月21日に行われていましたが、様々な面で対応を要求する事になります(気候関連開示の強化と標準化 – リリース番号 33-11042、34-94478)。提案ではSEC登録者は、事業、経営成績、または財政状態に重大な影響を与える可能性が合理的に高い気候関リスクに関する情報を提供することを要求します。この提案には排出量報告要件の変更が含まれており、上場企業にスコープ1、及び2排出量を開示するだけでなく、場合によっては、バリューチェーンの活動からの上流、及び下流のスコープ3排出量を報告するよう求めています。現在、鉄鋼会社は必要なスコープ 3 排出量データを殆ど把握していませんが、近い将来、サプライヤーから協力を得る必要があります。自社での削減計画として低排出の直接鉄還元(DRI)からのHBIや微粉鉄鉱石を焼結工程からペレット化工程に移行し、高炉やDRI設備に投入することで排出量削減する取り組みは既に欧米で始まっていますが、スクラップに関してもサプライヤーがGHG排出量データを正確に記録していく必要な時が来そうです。
https://www.fastmarkets.com/insights/steel-companies-scope-3-emissions
https://bit.ly/3RmFp6K

スペインの日刊紙EL PARISが現在の欧州の経済危機問題を歴史的・構造的な観点から分析しています。経済ジャーナリストのアンヘル・ユビデ氏によるコラムで、少し長くやや難解ですが、短い時間で現在の欧州の根本問題を知るには良いソースだと思います。欧州連合は、元々域内での戦争や軍拡を抑える為に始まった石炭・鉄鋼共同体から始まり、市場を単一化し、通貨ユーロを採用してきました。欧州連合は域内経済と社会の成長、財政規律、グローバル化の中でのEUの影響力を活用し、規制緩和、貿易協定、オフショアリングを促進してきました。それ自体は最適な戦略でしたが、経済とエネルギーで世界に大きく依存することになりました。欧州連合が持つ価値は、現在の西側世界の保護主義化への流れ、産業政策の復活、中国の台頭、非自由/民主主義の台頭、地政学的な再地域化により、今やその価値を失いつつあります。この新しい世界秩序に適応するには、欧州連合をリセットする必要がある、としています。第二次大戦後の「平和の配当」は現在蒸発しつつあり、欧州の課題は極めて大きなものです。今の同時金利上昇や右傾化のトレンドが過去の延長上に起きている事なのか、新しい秩序や価値を創造する時に起きる一時的な犠牲なのかはハッキリとは分かりませんが、ここで方向性を間違えた者は、後々相当な犠牲を払う事になると思われます。
https://bit.ly/3dPzIRc

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