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NEWSCONの気になるNEWS(2024年4月第2週)

世界のLNG供給が数年後には過剰になる見込みです。カタールやその他のLNG輸出国が大規模拡張プロジェクトを計画・実施しており、今後数年内に過去数十年振りに供給が高水準に達する見込みです。モルガン・スタンレーの報告によれば、世界のLNG市場の生産能力は現在年間約4億トンです。今後数年で更に年間1.5億トン分のLNG施設の建設が完了する為、「記録的な拡大(供給)の波」が起こると分析しています。LNG供給が増え価格が下落すれば、米国、欧州、アジア全体でより多くの需要を刺激すると予想されています。
https://www.cnbc.com/2024/04/02/global-gas-glut-is-set-to-reach-multi-decade-highs-in-the-coming-years.html

英国の鉄鋼会社ブリティッシュ・スチールは、2基の電炉を建設する許可を得ました。英国は単一国では世界2位の鉄スクラップ輸出国で、毎年約800万トンを輸出しています。今回の電炉設置許可により、2026年末には工場が稼働する予定です。現在英国政府が検討している2027年から始まる国境炭素調整メカニズムと合わせて、トルコ、中東向けの鉄スクラップの流通に大きな影響が出る可能性が高くなっています。
https://britishsteel.co.uk/news/british-steel-granted-permission-to-build-electric-arc-furnace-on-teesside-as-part-of-125-billion-decarbonisation-plan/

米財務長官のイエレン氏は現在中国を訪問しています。この訪問は中国の過剰生産への警告と米政権による中国のEV、バッテリー、その他の製品に対する新たな関税や貿易障壁への第一歩となると見られています。先週、習主席とバイデン大統領は電話会談を行い、互恵協力を呼び掛けましたが、中国側は米国によるハイテク製品開発への抑制を非難し、対立はより深まる可能性が指摘されていました。中国では2022年末時点でEVとICE(内燃機関車)の生産能力は既に年間4,300万台にまで膨れ上がり、自動車生産工場の稼働率は55%弱にまで落ちています。過剰生産能力を抱えるあらゆる製品は、中国国内でデフレを助長し、輸出攻勢で海外企業にも打撃を与え始めています。米中の対立は既に欧州に到着するガリウムの値段を倍にしており、今後の成り行きには注目が集まっています。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-04-05/yellen-starts-china-tour-with-warning-on-factory-overcapacity

米国の中央銀行に相当する米連邦準備制度理事会(FRB)は、欧州中央銀行(ECB)が主導し、世界中の中央銀行や銀行監督機関が参加するバーゼル銀行監督委員会(BCBS)の一部が推奨している気候リスクとESGの報告義務を世界中の銀行の標準的なルールとする動きを阻止しました。FRBによる懸念表明は非公開の会議で行われています。FRBのメンバーは、このルールを監督する事は行き過ぎており、その権限も十分に無いと判断しています。FRBのこの抵抗は気候リスクやESGにおける立場がECBとは異なる事を明確にしました。
殆ど取り上げられる事は無いと思いますが、これは非常に大きな出来事です。民間投資を担う世界の銀行に気候リスクとESG報告の義務化を課す事は欧州の老舗国際金融資本がオイルマネーを追い出す切り札でした。COP26まで乗り気で無かった米系の国際金融資本の一部もCOP26で叩かれて参加、表面上は国際的なコンセンサスが出来ました。しかしESG投資は投資家へのリターン不足という結果を生み、銀行への気候リスクとESG規制を強化する事はマネーを集めにくいという状況が生まれ、結果としてオイルマネーが益々影響を強くするという事態を引き起こしています。今回のFRBの動きは今後の米国のESG投資に影響を与える可能性は高いと言えます。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-04-03/fed-blocks-tough-global-climate-risk-rules-for-wall-street-banks

銅供給の構造変化が投資家の資金をますます流入させています。構造が大きく変わった要因は鉱山の供給懸念、精鉱工程の採算割れ、中国の銅製錬の過剰生産能力による減産、それに伴うドミノ効果が複合的に起きた事です。南米での銅鉱山問題に起因し、2024年には約50万トンの精鉱(Concentrate)が不足すると言われていきました。4月初頭、中国非鉄金属工業協会は国内の鉱石(⇒精鉱)の利用拡大を進めると同時に銅製品の国内需要の減速から銅製錬工場の「協調生産削減」を進める事を決めました。この様な協調減産は過去に例がなく、構造変化とドミノ効果を生み出すと考えられています。世界の投資家は中国の銅製錬の減産によりコンゴ、ザンビア等のアフリカの採掘事業の採算が悪化(特に精鉱工程)、それにより更なる供給圧迫懸念が高まり、銅の供給逼迫は2025年一杯は続くと判断しています。一部では金よりも資金の流入があると見込んでいます。
https://www.investmentweek.co.uk/news/4192299/deep-dive-copper-supply-squeeze-offers-potential-gold-busting-returns

3月末に行われたOECDの第95回鉄鋼委員会では、鉄鋼を巡る世界の貿易摩擦が激化するリスクについて懸念が広がりました。
2023年に中国からの鉄鋼輸出は前年比40%も増加し、世界の鉄鋼貿易の動向を大きく変化させました。東南アジアの幾つかの国では鉄鋼生産能力が国内鉄鋼需要を上回る急速な伸びを見せ、世界の鉄鋼輸出の構造変化に少なからず影響を与え始めています。最新の研究によると非OECD諸国では2021~2025年に掛けて鉄鋼生産能力拡大の補助金額が5倍に増加します。同時に市場金利を下回る金利での融資(ソフトローン)による援助も倍増しました。これらの動きはOECD諸国とは全く対照的なものです。OECD諸国は対抗処置を取る必要に迫られ、鉄鋼の貿易摩擦が激化するリスクがあります。世界の鉄鋼貿易の構造変化は原材料の調達にも影響を及ぼしており、寧ろ最近ではこの影響が市場を支配し始めていると言っても過言では無くなりました。
https://www.oecd.org/industry/ind/95thsessionsteelcommittee25-26march2024.htm

イーロンマスクは今年初め「貿易障壁が確立されなければ、中国のEV自動車メーカーは世界の殆どの自動車会社を潰すことになるだろう」と述べました。世界第4位の自動車メーカーであるステランティスのカルロス・タバレス(CEO)は世界の既存の自動車メーカーは中国の自動車メーカーの影響で将来5社程度に統合されると予想しました。彼は日本車、韓国車に続き、中国車の台頭を「ダーウィン的適者生存」であると表現しました。米国では自動車産業はGDPの3%以上、雇用人数は170万人、製造業全体のGDPでは11.5%に上る為、自国産業の保護政策に舵を切りました。HSBCグローバル・リサーチは、EUは2026年に規制を見直す際に2035年迄にガソリン新車の販売を禁止する計画を緩和する可能性があると考えています。恐らくEUでは7月に中国製EVへの関税導入に向けた動きが出ると見られています。これらが実施された場合、インフラ整備のスピードも含め、2020年~2022年に掛けて作られた欧米EVの未来予測は大きく変化すると見られています。
https://www.forbes.com/sites/neilwinton/2024/04/07/approaching-ev-turmoil-will-shake-up-european-automakers/

つい最近、英国のEVスタートアップ企業Helixx Technologiesは東南アジアでEVとEV商業バンのサブスクリプションサービスの登録を開始しました。1日のサブスク料金は最低僅か6ドル(1時間25セント)で、自動車の所有権ビジネスに破壊を起こすと言われています。同社はEV製造をマクドナルドのフランチャイズ方式に似たビジネスモデルで行い、車両は全てサブスクで使用権を時間単位で販売します。自動車製造のサプライチェーンを各工場で持たず、製造は本部で大型部品単位まで行い、現地工場では組み立てに特化させています(ややノックダウン製造方式に似ている)。東南アジアは自動車を所有出来ない人が大多数であり、Heilxxのビジネスモデルの成果がどの程度になるのか?投資家から注目を集めています。
https://www.helixx.tech/
https://newatlas.com/automotive/helixx-subscription-ev/

中国のLIB材料の短期予測が出ています。
炭酸リチウム:やや上昇。バッテリーグレードより他の工業用途向け多い。
硫酸ニッケル:価格やや軟化。MHP供給多い。
硫酸コバルト:横ばい。下流業者の在庫多い。
三元系前駆体:競争激しく見積価格低下。中小メーカーは赤字。
三元系カソード材:需要はやや回復も昨年同期と同様。価格競争激しく一部業者は赤字。
LIBスクラップ:安定で変化無し。LFPが若干上向き。価格は安定横ばい。
https://www.mysteel.net/market-insights/5051947-a-glance-of-china-lithium-ion-battery-materials-market-20240409

米国の大手LIBリサイクル企業Ascend Elementsとポーランドの大手電子機器リサイクル企業Elemental Strategic Metals社は、合弁でポーランドにEVバッテリー専用のリサイクル工場を建設する計画を発表しています。バッテリーの処理能力は年間12,000トン、BMの湿式精錬能力は年間2万トンです。稼働は2026年となっています。また、将来的にはドイツにも合弁工場を設立する計画で、こちらの処理能力はバッテリー年間25,000トンとなります。Elementalは既にPCBの処理技術を持っており、両社が技術を共有し合う狙いがあります。最近LIBリサイクル工場の新設は欧州で滞っており、久々の大型投資となります。
https://ascendelements.com/ascend-elements-and-elemental-strategic-metals-establish-ae-elemental-an-electric-vehicle-battery-recycling-jv-in-poland/

今月に入り欧州では非常に注目されていた3つの裁判の判決が出ました。この判決が注目された要因は、英国を含む欧州46ヶ国の法律に(同様の裁判が起きた場合)影響を与える可能性がある為です。原告は裁判毎に別の地域の出身ですが、何れも同様の内容、欧州人権裁判所(ECHR)に提訴しています。訴訟内容は政府が温暖化対策を怠っている為、生活や生命を脅かしているというものです。3件の内、2件は棄却されましたが、環境団体グリーンピースが支援しスイス人女性達がスイス政府を訴えた件では原告側の主張が概ね認められ、政府には人々を気候変動から守る義務があるという判決が下されました。裁判所はスイス国家が「私生活と家庭生活を尊重する権利」を保障する欧州人権条約第8条に違反したと認定しました。訴えた女性の1人は、夏の間、暑くて3週間家から出られなかったと語っています。原告側は摂氏1.5度以上の地球気温上昇を防ぐスイス政府の努力は目標達成には程遠い、と言及しています。欧州人権裁判所(ECHR)の判決には控訴が無く、判決は拘束力がある為、スイス政府はこの判決に従い対策を行う義務を負います。
この裁判は元々多くの批判がありました。環境への影響を本当に考えるならば、GHG発生の圧倒的に多い中国、米国、インドを被告とするべきか、又は1人当たりGHG排出量の多い国をターゲットにすべきです。全体としては発生量の極小なスイス政府をターゲットにした本当の意味は何なのか、という事が批判の主なものです。背景には最近の選挙結果があります。有権者は先鋭化し過ぎた気候変動運動への関心が薄れ、選挙で環境議員や政党が勝てないという状況が続いています。その為、グリーンピース等の先鋭的な環境団体が戦略を変え、選挙では無く裁判所を利用し始めたという事の様です。環境団体が上記の様な判決を誘導し易い立場を利用したとの批判がありました。この判決に英国政府の一部は反発しており、政府の弁護士であるスダンシュ・スワループは、今回の判断は欧州人権裁判所(ECHR)が事実上政策を決定する立法府となる可能性がある、と懸念しています。地域の人権裁判所が気候変動訴訟で判決を下したことは歴史上初めての為、今後も別の地域で環境保護団体による同様の裁判が起こされる可能性が高いと見られています。
https://www.reuters.com/sustainability/society-equity/how-three-european-human-rights-cases-could-shape-climate-litigation-2024-04-08/

欧州で本格的なアルミのリサイクル技術の開発プロジェクトがスタートしました。AIT オーストリア工科大学のスピンオフ企業であるLKRはEUがバックアップするアルミニウムのリサイクル技術を開発する為のプロジェクトRecALを立ち上げました。LKRは新しいアルミニウムやマグネシウム合金の開発を25年以上行う、オーストリア最大の非大学内研究機関です。様々な鋳造プロセスや加工研究を行っており、今回アルミニウムを含む混合廃棄材から新たなリサイクル工法と技術を開発します。このプロジェクトには欧州9ヶ国から19の組織が参画しています。アルミ地金を他国に依存している欧州では、廃棄物からの新たなアルミニウムリサイクル技術の確立は課題となっており、欧州の資金援助を得て行われる今回のプロジェクトは、かなり大掛かりなものとなっています。
https://www.ait.ac.at/ueber-das-ait/center/center-for-transport-technologies/lkr-leichtmetallkompetenzzentrum-ranshofen
https://www.recovery-worldwide.com/en/news/recal-new-recycling-technologies-for-european-aluminiuim-4084026.html

ベトナムでアルミニウム製造の大型投資が発表されています。この投資は東南アジアにおけるアルミの供給を変化させる可能性があります。ベトナムトップの鉱山会社Vinacominは73億ドル(1兆1千億円:182兆ドン)を投資し、アルミニウム製造を大幅に拡張します。投資は中部高地ダクノン省のボーキサイト探査プロジェクト2件と精製プロジェクト5件に充てられます。ダクノン省にはボーキサイトが推定約54億トン埋蔵されており、世界最大級のボーキサイト鉱床の1つと言われています。Vinacominは同社のNhan Coアルミナ複合工場の生産能力を年間65万トンから200万トンに引き上げます。更にボーキサイト・アルミナ・アルミニウム複合施設「Dak Nong」の生産能力を3倍にして、年間アルミナ200万トン、アルミニウム50~100万トンを生産する予定です。拡張がいつ行われるかは、発表されていません。ベトナムでは電力料金と汚染の問題は引続き懸念材料となっています。この投資によりベトナムだけでなく、東南アジア地域への材料供給に影響が出そうです。中国政府によるアルミ製造能力の上限規制(約4500万トン)、それに伴う中華系のインドネシアや他の東南アジアでのアルミ製造能力の大型投資(合計1000万トンの能増)、そして今回のベトナム国営企業による超大型投資となる為、今後4-5年で、ニッケルで同じ事が起きたように、東&東南アジアのアルミの勢力図も変わりそうです。
https://www.marketscreener.com/quote/commodity/LME-ALUMINIUM-CASH-16159/news/Vietnam-to-invest-7-3-billion-to-boost-alumina-aluminium-production-46391584/

格付け会社のFitch Ratingは中国の見通しを「ネガティブ」に修正しました。しかし中国政府の信用格付けは「A+」に据え置いています。Fitchの見通しは以下の通りです。
中国の政府赤字は2024年にGDPの7.1%に増加、2024年のGDP成長率は4.5%に鈍化、デフレが長期化する為、政府予測のインフレ率(2024年0.7%、2025年1.3%)は期待できない。中国の財務省はFitchの格付変更に反発しています。
https://www.theguardian.com/business/live/2024/apr/10/inflationary-pressures-tesco-fitch-downgrades-china-negative-us-inflation-interest-rates-business-live

OECDの鉄鋼委員会と今週発表された世界鉄鋼協会の短期予測の見解が若干ですが異なっています。OECDの鉄鋼委員会は先月末に会合を開き、既に世界の溶銑能力(steelmaking)は現在の鉄鋼製品の生産量を5億5,200万トンも上回っており、過剰生産能力による価格の歪みと貿易摩擦を引き起こす懸念を強調しました。また2024-2025年に掛けての鉄鋼業界の低迷を予測しています。今週発表された世界鉄鋼協会の短期予測では今年の世界需要は1.7%、2025年は1.2%増加すると見込んでいます。特に中国を除く地域では2024年から2025年にかけて鉄鋼需要が年率3.5%という比較的強い水準で広範に増加すると予測しています。先進国は2024年には1.3%、2025年には2.7%の需要増となり、現在最も困難な状況にあるEUも2025年には回復力が強まると見ています。一方でOECDの鉄鋼委員会はこうした需要増の強い地域でも中国の製品や半製品の輸出が強まる事を予想しています。更に世界の生産能力は今後3年間で約1億5,800万トンも増加し、それらは2026年迄に稼働すると考えています。この能力増強の約60%は東南アジア、インド、中東に集中しており、地域で需要しきれない余剰が生れる可能性を示唆しています。鉄鋼生産量世界1位の中国と2位のインドは何れもOECDの正式加盟国でなくパートナー国の為、それぞれの団体の予測のニュアンスが異なっていると思われます。
https://worldsteel.org/media/press-releases/2024/worldsteel-short-range-outlook-april-2024/

一昨年、過去百年以上に渡りオランダを代表する石油コングロマリット企業であった「ロイヤルダッチシェル」は本社をオランダから英国に移しました。相次ぐEUの規制を受けて、タックスヘイブンであるジャージー島に株主配当企業を持つ同社はより規制の少ないロンドンへ本社を移す決断をしました。似たような例は世界で最もサーキュラーエコノミーと持続可能性を進める先進企業と宣伝してきたユニリーバにも当てはまり、英・蘭の本社機能を英国に移し英国企業となりました。そのシェルですが連日株価が伸び、史上最高値を記録しています。これは2014年から2022年までシェルのCEOを務めたヴァン・ビューデンが、今週スイスで開催されたサミットで、ロンドン市場とニューヨーク市場で同社の評価に大きな差があり、場合によってはNY市場に上場を移す可能性を示唆した事です。シェル2035年迄に純炭素排出を45%削減するという公約を昨年取り下げています。シェルの様な伝統的な石油化学企業やエネルギー企業は相次ぐEUや英国の規制により利益を上げる事が難しくなっています。エネルギー企業にとって、脱炭素の厳しい規制や炭素排出権市場などの制度がある英・欧の市場よりも米国証券市場の方がますます有利になっている状況が生まれています。日本と違い、海外の多国籍企業は「上手くいかないと分かれば、柔軟に戦略と目標を調整する」という方針の所が多く、炭素リーケージを進める所も少なくありません。欧州では企業サステナビリティ報告の規制が開始され、英国も追随します。しかし米国の証券取引委員会SECは上場企業の気候報告を大幅に緩和し進めています。米国証券市場には世界のマネーが集まり膨張していますが、ロンドンや欧州市場はNY市場程に伸びていません。マネーは必ずしも社会正義に基づき移動しないという事実は企業を密かに動かし始めています。
https://www.cityam.com/comments-from-ex-chief-send-the-shell-share-price-to-an-all-time-high/

オランダのRenewaballは世界初の完全に再生可能なテニスボールを設計し販売しています。同社の製品は100%オーガニックの羊毛と棉から作られており、従来のポリエステルやナイロン素材のようにプレー中にマイクロプラスチックを放出する事がありません。現在、世界では年間3億5,000万個を超えるテニスボールが使用されており、マイクロプラスチックの流出は環境問題として認識されつつあります。同社は米国から300万ユーロの投資を確保したと発表しています。更に今後は新製品に使われる材料の25%を再生材から得る計画です。
https://renewaball.com/

EU環境大臣評議会は、有害廃棄物の国境を越えた移動の規制に関してEUで改正バーゼル条約のプロセスを開始するよう欧州委員会に要請しました。この廃棄物には電子廃棄物が含まれますが、スイス、フランス、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、オーストリアは繊維廃棄物をバーゼル条約と同じプロセスに含めるよう求めています。これらの5ヶ国は発展途上国への繊維廃棄物の輸出規制を強化する事を求めています。既に繊維廃棄物に拡大生産者責任が課される方向で、別の規制が動いています。
https://www.consilium.europa.eu/en/meetings/env/2024/03/25/

欧州議会はEUで販売されるトラックとバスの排出削減に関する規制案を採択しています。大型車(HDV)の平均二酸化炭素排出量は、2019年を基準として、2030年に45%、2035年に65%、2040年に90%削減する必要があります。市バスは2035年迄に新車のディーゼル車を完全に廃止します。しかし長距離を走る大型トラックの電動化や水素化は現状では目途が立っておらず、この法案が立法化されるかは6月の選挙後の1つの議論になりそうです。
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20240408IPR20305/meps-adopt-stricter-co2-emissions-targets-for-trucks-and-buses

半年間で80万本以上の廃タイヤをインドに輸出している英国ではタイヤ回収協会(TRA)が声明を発行し、政府に対し規制を求めています。TRAはEUの最新規制を例に上げ、環境上適切な管理が実証出来ない限りは、非OECD諸国に送ることができないと指摘しています。実際には英国から海外に廃タイヤを輸出する事は違法行為ですが、1本1ポンドあまりで買い取る事で、再生する為の「中古品」として輸出されています。
https://tyrerecovery.org.uk/2024/04/09/uk-set-to-be-environmental-sick-man-of-europe-if-british-politicians-dont-act/

欧州議会は自主的な炭素除去認証制度に関する協定を承認しました。この規則では工業又は自然のプロセスを通じて大気から除去された二酸化炭素の認定登録を確立します。この規則の目的はCO2回収の市場を作り、大気中の炭素除去と貯蔵を推進する事です。欧州委員会が目標とする2040年の温室効果ガス排出量を1990年より90%削減する為には、約2億8,000万トンのCO2を回収又は削減する必要があると考えられています。しかし、この案は政府内にも懐疑論があり、欧州環境局の農業・気候政策担当官マチュー・マル氏は「疑問符と危険信号」を強調しています。この規則が「グリーンウォッシング」のツールになる可能性と、その運用方法に大きく依存する事になるからです。今後、各国大臣の承認が得られれば、新しい規則はEU法に組み込まれる事なります。EUが得意な認証制度には、ビジネスと利権が絡むので、今後の推移を検証する必要がありそうです。
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20240408IPR20306/carbon-removals-meps-adopt-a-new-eu-certification-scheme



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