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NEWSCONの気になるNEWS(2024年4月第1週)

中国の銅製錬所が減産計画を立てる予定です。発表は中国製錬業者購買チームの会議に続いて行われました。しかし市場は既にこの減産計画を織り込んでおり、現状の価格はこの減産による影響は殆ど無いと見込まれています。シティの商品チームは2024年に20万7,000トン、2025年には21万5,000トンの供給不足を予測している為、価格は2024年に平均1トン当たり9,125ドル、2025年には1万250ドルを見込んでいます。
https://www.mining.com/web/china-smelters-plan-output-cuts-no-q2-copper-guidance-price-sources-say/

欧州は今後、鉄スクラップ、銅、アルミニウムの輸入をロシアから全面禁止にする可能性があります。欧州は現在ロシアからアルミニウムを輸入しており、輸入総量の約9%に相当し、多くが地金や半製品です。また1月には鉄鋼製品を24万トン輸入しています。鉄鋼製品の輸入総額の78.5%は半製品でした。全面禁止の提案はリトアニア、チェコ共和国、ラトビア、エストニアによって提出されています。欧州がロシア産の金属を購入する場合、多くはリトアニアやラトビアを経由しており、今までこれらの国々は、明確にロシア産金属の輸入禁止を支持していませんでした。欧州ではアルミ地金は輸入に依存しており、ロシア産が入らなくなった場合、アルミスクラップにも影響がでると見られています。CBAM(EU炭素国境調整メカニズム)により昨年10月から炭素排出報告義務が生じた事で中国からのアルミニウムの輸入も減少しており、域内アルミスクラップの需要が増える可能性があります。
https://gmk.center/en/news/eu-countries-propose-to-ban-imports-of-russian-scrap/

中国で鉄スクラップの下落と電炉の停止が重なっています。上海では鉄スクラップがトン当たり7㌦安、鋼材価格も急落で利益率がマイナスに陥る工場が増えています。その為、多くの電炉メーカーは減産又は操業停止を実施しています。特に東部、南部、中部が顕著で販売益が出せない状況となっています。3月28日迄に中国の鉄スクラップの全国平均価格は3月22日から10元/t下落、一方、直径20mmの鉄筋価格は102元/tと大幅に下落しています。
https://www.mysteel.net/market-insights/5051348-mysteel-chinas-scrap-sector-must-adjust-business-models-as-market-shifts

EUは2年後にプラスチック廃棄物の処理問題に直面する可能性があります。2023年、EU27ヵ国は約130万トンのプラスチックスクラップを第三国に輸出しました。2022年比で約20%増加しています。最終承認されたEU廃棄物輸送規則(WSR)では2年後にプラスチック廃棄物の輸出が原則全面禁止となります。更にWSRでは廃棄物とスクラップを明確に定義分けしていません。欧州の廃棄物リサイクル産業連合は処理容量の問題を何度となく言及しており、2年後に規則の運用次第では大きな問題となる可能性があります。欧州の廃棄物規制の最上位にある「欧州廃棄物枠組み指令」では、汚染者負担の原則が強化されており、今後プラスチックリサイクル工場への投資を行わざるを得ない状況が生ずると考えられています。
https://www.euwid-recycling.com/news/markets/eu-exports-of-waste-plastics-bounce-back-considerably-in-2023-after-prior-years-low-260324/

投資ジャーナリストでWSJなどに寄稿しているRimmi Singhiが、中国のEV市場の実態を寄稿しています。中国のEVメーカーは売上高予想を下方修正し、海外展開に注力する方向に大きく変わりつつあります。中国のEV市場の伸びは2年連続で減速すると予測されており、業界団体は2024年の売上高が25%の増加に留まると予測しています。EVメーカー数は2019年のピーク時の486社から2023年には約100社に大幅に減少しています。補助金により急拡大した市場と将来の輸出を見込んだ生産能力の拡大は過当競争に発展し、大手は海外生産への道を選ぶ状況となっています。この状況もあり中国の商務大臣は欧州委員会による中国のEV補助金調査について交渉する為に4月に欧州を訪問します。訪問にはBYD、SAIC、吉利の代表者が同行します。欧州委員会の調査は11月迄に終了予定ですが、EU執行部は終了前に中国製EVに暫定関税を課す可能性も示唆しています。
https://finance.yahoo.com/news/closer-look-chinas-changing-ev-134800981.html

米国のエネルギー省(DOE)は家庭用製品のバッテリーリサイクルを国内で活性化させる為に17のプロジェクトに計6,200万ドルを投資すると発表しました。DOEは過去1週間でリサイクル、再生可能エネルギー、クリーンテクノロジー分野への投資を相次いで発表しており、他国依存を切り離し、国内での産業活性を高める狙いがあります。特に今回のバッテリーのリサイクルはAI選別を含む7つの選別能力向上のプロジェクトが含まれています。
https://www.energy.gov/articles/biden-harris-administration-announces-62-million-lower-battery-recycling-costs-across

米国は2021年に2030年迄に50万台のEV充電ステーションのネットワークを構築する為に75億ドルの巨額資金の提供を発表しています。しかしその後に建設されたものは現在までに7台のみでプロジェクトは大幅に遅れています。米国の運輸当局はこうした状況にも関わらず、2027年迄に50万台の充電スタンドが新たに設置され、ガソリンスタンドと同様に簡単に充電スタンドが見つけられるようになると述べています。11月の選挙戦次第ですが2020年の様にトリプル3(大統領+上下院)がブルー(民主党)になった場合は急速に充電ネットワークの構築が進む可能性があります。
https://www.independent.co.uk/climate-change/news/electric-vehicle-chargers-biden-infrastructure-b2520740.html

中国の国営自動車メーカーの上海汽車は各合弁会社で従業員の削減を行うようです。米国のゼネラルモーターズとの合弁会社で従業員の30%、ドイツのフォルクスワーゲンとの合弁会社で10%、更にライジング・オート社のEV部門の従業員の半分を削減する計画です。これらの数字について何れのメーカーも正式には認めていませんが、関係者の話として複数のメディアで伝わっています。国営自動車メーカーが大規模な人員削減を行うというのは珍しい事です。経済の低迷で熾烈な価格競争が行われている実態が反映されたものです。過去2年で上海汽車とそのパートナーによる合弁会社の市場シェアは低下しています。
https://www.econotimes.com/SAIC-Motor-Reportedly-Cutting-Jobs-at-EV-Unit-General-Motors-Volkswagen-Joint-Ventures-1674667

国連薬物犯罪事務所(UNODC)と国連環境計画(UNEP)は「Turning the Tide(潮流を変化させる)」という報告書を発行しました。この報告書は犯罪組織が違法な方法、又は規制の抜け穴を利用し廃棄物の国際貿易に深く関与している実態を網羅しています。欧州、北米、アジア諸国から輸出される違法廃棄物はコンテナで輸送され、主に東南アジアに運ばれます。そうした密売ルートの詳細が初めて掲載されています。報告書では廃棄物管理が犯罪、密売、汚職、組織犯罪、マネーロンダリングに関係し、差し迫った懸念となっていると言及しています。この報告書の副題は「欧州連合から東南アジアへの廃棄物密売の波の考察」となっており、欧州と東南アジアを結ぶ国際的な違法廃棄物貿易に焦点を当てています。
https://www.unodc.org/unodc/en/press/releases/2024/April/global-efforts-needed-to-combat-waste-trafficking-to-southeast-asia–new-research-by-unodc-and-unep-reveals.html

欧米の自動車メーカーにとって2025年迄がEV化投資に向けた判断の転機となりそうです。現状ではEVの生産拡大は需要を上回っており、投資家の一部はメーカーの「資本の誤った配分」について懸念を高めています。2023年のEV世界生産は約1,050万台、2024年は1,350万台と予想されており、2025年には1,800万台に増加する見込みです。しかし世界のEV販売台数は2023年に約950万台、2024年は980万台に留まると見込まれています。2年間で販売が70%以上増加する可能性は少なく、2025年問題は目の前に迫っています。
更に問題を複雑化しているのは今、投資を拡大し、サプライチェーンを整備し、生産技術を磨かなければ、中国にEVで追いつく事が難しくなる可能性がある事です。ノルウェーでのEVの成功例はガソリン車所有者に懲罰的なコスト増をもたらす政策によるもので、EV需要の実態を反映しておらず、他国で同様の措置を取る事は難しいと考えられています。今年から来年にかけてメーカーは判断をしなければなりませんが、現状では儲けの無いEV部門は投資回収に時間が掛かる事を覚悟しなければなりません。欧州の6月の選挙、米国の11月の選挙結果次第では政治的な影響を受けやすく、難しい舵取りを迫られると考えられています。
https://www.ft.com/content/49886479-7312-43f5-a190-94d7586738f7

スイス・スチールは鉄スクラップを市場価格で購入するのではなく「時間と品質による割増料金」を設定しています。これまでは通常通り「トン当たりの価格」を基準としていました。しかし現在はスクラップ業者との協力を重点に置き、「品質と時間厳守で報酬を受け取る」方式を採用し始めています。アニュアルレポートでこの方針を記載し、現在はHPでもその方針を掲げています。品質は受入れ後の処理に応じて5段階に分けられているようです。この方式は生産に応じて在庫を適正量にし、品質管理を安定させる為に利点があると考えられています。同社はスイスの研究プロジェクトとしてスクラップの供給業者や複数の大学と協力して受け取ったスクラップの「デジタルツイン」を作成する研究を行っています。プロジェクトではビッグデータを利用して業者毎に納品されるスクラップの種類と品質を予測出来るようになり、その結果、納品、生産、鋼材の品質が向上していると報告しています。
*デジタルツインの定義はバーチャル(仮想)での予測と現実の値を比較し、両者を近づける事を言います。欧米の製造業の設計部門では広く導入されています。
https://swisssteel-group.com/en/services/surcharges

インド政府は鉄鋼業の炭素排出削減の取組の一環としてバイオ炭の使用を検討するタスクフォースを設置した事を発表しました。バイオ炭は農業廃棄物等のバイオマス資源から生成される炭です。インド政府は2023年3月にグリーンスチール生産に向けた13のタスクフォースを設置しています。今回のバイオ炭の使用は14個目のタスクフォースとなります。
https://www.steelorbis.com/steel-news/latest-news/indias-steel-ministry-appoints-task-force-to-explore-use-of-biochar-in-steelmaking-1334581.htm#:~:text=India’s%20ministry%20of%20steel,said%20on%20Monday%2C%20April%201.

英国の繊維リサイクル協会(TRA)は世界的に繊維リサイクル業が崩壊の危機にあると警告を発しています。同協会は現在、リサイクル工場の処理能力が限界に達しており、回収余力が無い事を懸念しています。中古繊維製品を輸入する一部の国は政治問題、輸送の遅延、輸出国の禁止措置、為替レート等の理由で商品の代金を支払う事が出来ず、特に英国の工場は衣料品を在庫保管しなければならない状況が続いています。更にファストファッションの成長で廃棄品の在庫量が増加、事前仕分のスペースが不十分になっています。これは英国だけでなく欧州諸国でも同様な状態となりつつあり、問題は深刻化し始めています。品質の悪いファストファッションの拡大は再利用市場に送られる商品を減らし、リサイクルに回される廃棄物を増やすという悪循環を生んでいます。協会は廃棄繊維製品の輸出禁止と拡大生産者責任の強化による廃繊維製品の蔓延について政策当局との対話を要求しています。
https://www.textilerecyclingassociation.org/press/textile-recycling-sector-faces-unprecedented-financial-crisis-amid-global-market-challenges/

金属市場は明確な方向性が示され始めている状況です。銅はファンドが資金を集中し続けている一方で、鉄は中国で溶銑が鉄スクラップを下回る状況も生まれる等、製品価格と鉄スクラップの両方で価格の下落圧力が強まる状況となっています。中国では鉄鋼業界が生産調整を行うよう、様々な動きがあります。中国の長尺製品の大手メーカー15社は製品価格の低迷から生産制限を行うよう要請しています。不動産不況により地方政府が資金を削減した為、インフラ建設での棒鋼需要が減少しました。債務負担が大きい12の市と州はインフラ整備プロジェクトを延期、又は完全に停止しています。その結果、上海先物取引所の鉄筋価格は年初から14.2%下落しています。中国鉄鋼協会(CISA)もメーカーに対し需要に応じた生産を行うよう求めています。
https://www.mysteel.net/market-insights/5051723-infograph-hot-metal-proving-far-more-cost-effective-than-scrap-in-china

環境団体のMongabayは世界最大の発電用木質ペレット製造企業Enviva社の倒産が引き起こす波及効果についてレポートしています。倒産以前からEnvivaは生産問題を抱え、欧州向けの木質ペレットを独RWEから購入する契約を結び、これが資金ショートの直接のきっかけで倒産しました。現在も生産問題は継続しており、世界最大の消費者である英国の電力会社Draxは自社の米国工場を増産しても対応出来ないと予想しています。ロシア産については表向き西側諸国が購入を停止しています。その為(悪名高い)エストニアのGraanul Investからの購入を増やすなどの対応に迫られる可能性があります。いずれにしても日本への影響は少なからず残りそうです。
https://news.mongabay.com/2024/04/enviva-bankruptcy-fallout-ripples-through-biomass-industry-u-s-and-eu/

欧州最大の鉄鋼メーカーであるアルセロールミタルは「The Steel Works」というマルチメディアによる情報発信プロジェクトをスタートさせます。LinkedIn、Instagram、X、Spotify、YouTube、Podcastにより、同社の脱炭素戦略の取組、イノベーション、最先端の研究開発、さらに顧客に提供する低排出モデルの説明などを行います。新たな雇用機会を提供するソースとしても活用する予定です。Gen-Zに対する試みの1つとして鉄鋼業では珍しい先進的な取り組みです。
https://corporate.arcelormittal.com/media/news-articles/arcelormittal-launches-the-steel-works

米国大手鉄鋼メーカーで鉄スクラップのリサイクラーでもあるNucorは、データセンター向けのインフラ製造企業Southwest Data Productsを買収しました。通常、電炉メーカーが原料である鉄スクラップ企業を買収する事はよくありますが、今回は鉄を使った製品を製造する企業を買収した珍しい例です。Nucorは買収した企業を通じてデータセンター向けの特殊な倉庫システムの製品開発と製造、キャビネット、エンクロージャ、ケージ等の製造を手掛け、同時に設置も行います。データセンターの設備は仕様について専門性が高く、更に施設は今後も減る事は無く、常に機器はアップデートされる分野の為、鉄鋼製品の新たな市場と考えているようです。
https://nucor.com/news-release/20556

ベルギーでタイヤリサイクルの大型プロジェクトがスタートします。2022年に設立され、欧州のリサイクル関連スタートアップ企業トップ10にも選ばれたベルギーのRisorce社はベルギーで排出される使用済みタイヤの半分の量を処理できる工場を設立する計画です。総投資額は1,250万ユーロ、使用済みタイヤ240万本の処理能力を持つ工場は2025年初頭に稼働する予定です。生産ラインは6つの工程に分かれ、タイヤチップを製造、処理し、熱分解プロセスを経てカーボンブラックとガスを回収します。
https://www.linkedin.com/company/risorce

EVに続き、欧州政府は中国の太陽光パネル製造企業がEUの入札競争を歪める補助金を受けているか調査を開始しました。調査の対象はルーマニアで110MWの太陽光発電施設の入札を行った中国企業となります。参加した中国企業は2社で、1社目は西安の大手企業LONGi Green Energy Technologyの新設欧州子会社LONGi Solar Technologie GmbHで、2社目は中国の国有企業上海電気集団が主導するコンソーシアムです。欧州政府は「太陽光パネル部門における本調査は、欧州の経済安全保障と競争力を維持する事を目的としている」とコメントしています。欧米政府による中国のグリーンテック製品への風当たりは今後も厳しくなると見られています。鉄鋼と同じく、欧米から除外された中国の余剰生産能力の行先がより影響を受ける事になりそうです。
https://bit.ly/3J6DJwm

米上院銀行委員会のシェロッド・ブラウン委員長は国家安全保障への懸念を理由に米政権に対して、日本製鉄と中国鉄鋼業界の関係を精査するよう求めました。米大統領宛ての書簡ではホライゾン・アドバイザリーの報告書に言及し、日本は中国の鉄鋼産業の発展を支援してきた長い歴史があると述べています。また日本製鉄は中国で9つの事業体を直接又は部分的に運営しており、中国の鉄鋼業界のリーダー数社と活発な合弁事業を行っている事にも注目しています。これに対して日本製鉄は声明でホライゾン社の報告書は「不正確さと歪曲」が多く、中国での事業は「非常に限定的」で世界生産能力の5%未満である事を強調しています。更に中国企業は国外での事業運営や経営上の意思決定を支配していない、又、中国のパートナーは中国国外での研究やエンジニアリング開発を含む日本製鉄の情報にアクセスできない事を説明しています。この書簡は民主党の上院議員から発せられており、合併に対する米国政治の障壁は、ますます大きくなっています。
https://www.mining.com/senators-raise-concerns-over-nippon-steels-china-ties-amid-us-steel-takeover-bid/

個人消費者向けのEV補助金の無い英国ではEV販売の推移が本来のEVの商品力を見る指標となっています。3月の英国の自動車販売台数が発表されました。全体では前年同期比で10.4%増加しましたが、EVの増加は3.8%に留まり市場シェアも前年同期の16.2%から15.2%に減少しています。10.4%の伸びは税会計年度最終月という事もあり、企業、政府機関、レンタカー会社等の商業部門の購入が牽引しました。個人の自動車購入は、マイナス7.7%となっています。ガソリン車は市場シェア55.7%で最大のシェアを維持しており、登録台数は前年比9.2%増加しました。EVの販売鈍化を受けて英国の自動車業界は政府による補助金(奨励金)や税優遇措置の復活を強く求めています。
https://www.smmt.co.uk/2024/04/march-new-car-market-sustains-growth-as-manufacturers-shore-up-electrified-demand/

インド政府はWEEEとLIBのリサイクルへの支援を強化します。インドの科学技術省は傘下の技術委員会を通じて新興企業Remine Indiaとリサイクル技術の開発と工場建設を行う事を発表しました。プロジェクトの総額は150億ルピーで、半分は政府が支援します。インドは世界第3位のWEEEの発生国であり、WEEEとLIBのリサイクルではブルーオーシャンと見られている国の1つです。
https://bit.ly/3xk0FFL




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