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世界の環境関連ニュース(2022年4月第3週)

欧州だけでなく世界的な水素戦略の科学的な懸念が示された最新のレポートが英国政府より発行されています。「水素使用量の増加による大気への影響(Atmospheric implications of increased Hydrogen use)」と名付けられたレポートで、英国政府の依頼を受けて複数の研究機関と大学が行った調査となります。これは水素が輸送中や利用時に「漏れる」事により起こる温暖化への影響を調べたもので、大気中への濃度の増加を「水素の地球温暖化係数(GWP)」として計算しています。水素「漏れ」によって大気中に放出された水素は最終的にメタンの大気寿命を延ばし、対流圏濃度が上昇する事によってオゾンの増加、及び水蒸気の増加により温暖化をより促進する役割を果たす、と結論づけています。大気に放出された水素は100年間でCO2よりも6倍程度気候に影響をもたらし、最悪のシナリオでは、様々な温室効果ガスよりも16倍有害である可能性があります。水素は技術的に輸送・保管・利用時に僅かな漏れを防ぐ事が困難で、使用量が増えれば、環境影響が大きくなるとの懸念を示しています。国連の気候レポートの筆頭著者であるスティーブン・ハンブルク氏は、「大気中に漏れた水素は、大気中のメタンの寿命を延ばすため、非常に強力な温室効果ガスであり、そこにとどまり、温室効果を維持し続けます」と発言しています。
https://bit.ly/37SbKkB
https://bit.ly/3EeJgxO
https://bit.ly/37Vs1Wh

澱粉(でんぷん)がバイオプラスチックの有料な原料となる事が紹介されています。Allied Market Research社の最新の市場予測調査によると、澱粉(でんぷん)を原料とするバイオプラスチック市場は、2030年までに年率10.1%の成長が予測され、2030年には世界での市場規模が36億ドルになる、としています。澱粉を原料としたバイオプラスチックの市場規模は2020年には14億ドルでした。澱粉原料のバイオプラスチック市場の急速な拡大は、澱粉の供給(入手)が比較的容易な事、生分解性に優れている事、価格が安い事、そして原油価格の上昇、が挙げられています。バイオプラスチックの原料については、自然界から発生する植物や生物などの供給量が限られている為、入手が容易で価格が比較的安いものに焦点が当てられつつあります。
https://prn.to/3OelwOU

米国政府のホワイトハウス気候アドバイザーであるジーナ・マッカーシーが辞任する可能性がある事がロイター電で伝えられています。ただし、ホワイトハウスのスポークスマンは、今のところ、これを否定しています。マッカーシーは、米国内の気候変動政策を調整する為に、省庁間の取り組みを主導する任に就いています。対外的な国際使節として任命したジョン・ケリーの米国内でのカウンターパートの役割を担っています。両者は、米国の現政権が直々に任命した気候変動政策のトップ2です。辞任の可能性の背景には、大統領が所属する民主党の上院議員からも気候変動政策に対する支出増加に反対意見が出ており、政策実現が困難な状況になっている事実があるようです。米国CBSの最新の世論調査では現大統領への承認が42%と大幅に低下した状態を維持しており、特に巨額の予算をつぎ込んだグリーンエネルギー政策が現在のインフレーションの一因になっている事への批判が高まっています。
https://reut.rs/3vitYUx

既に日本でも報道されていますが、大手タイヤメーカーのブリヂストンの米国子会社が米国の「LanzaTech社」とタイヤリサイクル技術開発のパートナーシップを結んだ事が伝えられています。LnzaTechについての報道はほぼ皆無ですが、同社は3月に特別目的会社である「AMCI Acquisition Corp.II」と企業統合が発表されており、統合終了後に社名を『LanzaTech Global, Inc.』に改名しNasdaqに上場予定です。AMCI Acquisition Corp.IIは天然資源やインフラ等のエネルギー関連に投資するAMCIグループの関連会社です。LanzaTech社は昨年5月に米国エネルギー省から410万ドル、12月にはアルセロールミッタルから3000万ドルを含む、設立以来345万ドルの資金を調達してきました。それ以前には日本の商社も投資しています。特許を含む独自の炭素回収や微生物を使った燃料開発を行う開発会社です。投資会社が設立した特別目的会社との統合により上場する商法はインパクト投資で増え続けています。
https://lanzatech.com/investor-relations/
https://impact.dealroom.co/companies/lanzatech

Recycling Todayによると米国で4番目に大きいとされる金属スクラップ業者の「シュニッツァー(Schnitzer)社」がシュレッダー用の廃棄物の購入時に「施設使用料」として1トン当たり5ドルから10ドルの追加料金を請求していると報道されています。料金は施設や州・都市毎に場所に応じて変更しています。追加料金の理由は、スクラップ処理工程、及びシュレッダーによる排気や排水処理に対する当局の監視が強化されており、コストが増加している事、としています。カリフォルニア州では、特に有害物質管理局が金属シュレッダーの監視強化を行っている、という事です。ただし、同社のウェブサイトにはこの料金追加情報は掲載されていません。米国ではシュレッダーによる環境影響を厳格化する地方自治体が増えているようです。
https://bit.ly/3jNw1eb

Transport&Environment(T&E)が液化天然ガス輸送船から漏れる未燃焼メタンの温室効果について最新のレポートを掲載しています。メタンの漏洩は天然ガスのサプライチェーン全体で発生します。メタンは炭素より80倍近い温室効果をもたらします。特に問題なのは、海上輸送に使うLNG燃料で、船のエンジンから漏れる事が懸念されています。国際海事機関(IMO)のデータによると、ガスの0.2%から3%以上が燃焼行程から漏れ出し直接大気に放出されると推定されています。T&Eは、昨年11月の晴天時にアムステルダム港で調査を実施し、検出用に特殊なフィルターを装備した最先端赤外線カメラを使いました。LNGは90%がメタンである為、エンジンから漏れ出す未燃燃料ガスは温室効果ガスになります。T&Eは2隻の船からの大量のメタン排出を明確に観察しました。最近のT&Eの分析では、欧州での新造船の3分の2以上が2025年からLNGを動力源の燃料として利用される可能性がある、という事です。2030年までにヨーロッパの全船舶燃料の5分の1以上がLNGになる可能性があり、政策担当者に警告を行っています。水素やメタン(液化天然ガス含め)は輸送や燃料経路、燃焼経路での漏洩を物理的に皆無にする事が難しい為、この問題は今後、よりコスト増につながる規制をどうするのかが、問われる事になる可能性があります。
https://bit.ly/3rDe4TJ

欧州ではロシア産のガスと石油の禁輸措置の話が出ていますが、未だに1日あたりロシアに約8億5000万ドル(約900億円超)を支払いつづけているようです。ドイツは禁輸に反対を続けており、この問題は後々まで尾を引きそうです。欧州では急激なインフレで、一般市民が以前よりお金を使わなくなっているというニュースが増えています。
https://bit.ly/3KV6Lyt

ESG投資がウクライナ戦争を機に大きな変化を見せている事が伝えられています。有料記事が多い為一部のメディア情報しかリンクができませんが、FTも4月8日に今年のESG投資のパフォーマンスの低さ、そして多くの投資家がパフォーマンスの不十分なものに関心がないことを指摘する長い記事を掲載しています。国際金融協会が発表したレポートによると、ESGファンドへの投資フローは今年の第1四半期に750億ドルに減少しています。これは2020年の第3四半期以来の最低水準です。特にウクライナ戦争後の3月の資金流入額は150億ドルまで減少しています。この落ち込みは、Covid-19ショックでESGファンドからの大規模な資金流出を引き起こした2020年3月以来、最低レベルとなっています。今後どのような動きになるか、世界の投機資金が最初に反応するので、注視していきたい分野です。
https://bit.ly/3rAhaYJ

ウクライナ戦争を機に、欧州で主に合成ゴムとカーボンブラック(CB)の供給に圧力がかかり、再生ゴムへの関心が高まっているという事です。ポーランドの大手化学会社の「Synthos」は、スイスのタイヤリサイクル会社である「Tire Recycling Solutions(TRS)」と協業し、TRSより供給される廃タイヤ(ELT)からの粉末ゴムの需要が急増すると予想しています。欧州のブラックカーボン(CB)の総消費量は年間約160万トンでその内、ロシアとウクライナの供給量は市場の約38%である為、タイヤとゴム製品のメーカーは代替供給先を見つける必要があります。また、欧州委員会が4月初頭に発表した新エコデザイン規制は、廃タイヤから製造する高品質ゴム粉末市場を加速する、と考えられています。Synthos社は今後予測されるタイヤのリサイクル材料の最小含有量に関するEU法改正により、廃タイヤ由来のゴム粉末は市場性が増すと考えています。
https://bit.ly/3OjrUo1

エネルギーのロシア依存が極めて高いドイツでどれだけ早くロシア依存を解消し再生可能エネルギーに転換できるのかについて詳細な分析がEnergy Post EUによって、Q&A方式で行われています。
ドイツは4月初めに、再生可能エネルギーを2035年までに100%にする目標を発表し、今年夏までに立法改革の第2のパッケージを導入する予定です。幾つかある課題の内、大きなものはエネルギーや電力の貯蔵技術、投資、そしてグリッドの拡張が含まれます。再生可能エネルギーを分散型にし、(強風時や正午頃の晴れた日などの)入力がピーク時に電力余剰フローを配電網で別の地域に流す事ができる必要があります。電力の貯蔵と 負荷の管理が再生可能エネルギーに柔軟性持たせる方法ですが、その為には電力グリッドを改造することが必要になります。ドイツの再生可能エネルギー協会は、「負荷管理を行うと、(バランスを取る為に)バイオマス発電所等の常時運転している発電源の出力を急速に増減(一時停止)する可能性がある 」としています。ドイツの場合は、他国から電力を購入したり、または輸出したりする事が物理的にも可能ですが、化石燃料による火力と原子力を抜きにしてどこまでバイオガスとバイオマスが負荷への対応ができるのか、モデルケースになると思われます。
https://energypost.eu/qa-how-fast-can-renewables-deliver-on-germanys-new-energy-independence-goals/

Chem Europeが高電圧対応の金属を含まないリチウムイオン電池の研究を伝えています。東北大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の共同研究チームが、有機小分子であるクロコン酸を使用する高電圧対応の金属を含まないリチウムイオン電池開発に向けて新たな進歩があった事を伝えています。この研究は、東北大学先端材料学際研究所の本間一郎教授、東北大学の小林博明助教、UCLA大学院生の勝山悠人氏によるもので、クロコン酸をリチウムとして使用し、カソード材料が約4Vの動作電圧を維持するものです。ただし今後は電解質そのものの開発が必要になる為、まだ初期の研究成果のようです。
https://bit.ly/3OiUC8y

自主的炭素クレジット市場は今年50-80%伸びると予測されています。新たな市場予測レポートが発行されていますが、既にアブダビで初の取引市場が計画され、香港でも今後を見据えた動きが始まっています。市場はかなり細分化されはじめており全体の動向を正確に知る必要がある時期に差し掛かっていると言えます。自主的市場は着々と進歩してきています。
https://bit.ly/3Mm1uQT

S&P Global Clean Energy Indexによる年率のリターンが昨日の段階でマイナス9.1%にまで下がっています。
リンクでIndexにリンクされるETFがわかりますが、この1年でのパフォーマンスは良くありません。ウクライナ戦争で一旦上がったのですが、直近での関連企業のQ1のパフォーマンスがあまり良く無い傾向なのとグリーンフレーションによるインフレが要因と考えられています。今後、エネルギー価格の高騰でクリーンエネルギーに投資が向くという一般論に反する状況となっています。
https://bit.ly/3jVwomM

商品及びエネルギー価格のベンチマークのプロバイダーであるS&Pグローバルのコモディティインサイトが、4月20日、プラスチック・リサイクル・ヨーロッパ(PRE:Plastics Recyclers Europe)との合意を発表しています。
S&PはPREに対し、指標であるPlatts のポリマー価格と様々な市場情報を提供します。今後、再生プラスチックの市場性が高まる中で透明性の確保が重要となり、この合意が生まれた模様です。S&Pにとっては、再生プラスチックの価格設定と知識の共有が合意の目的として重要となっています。
https://yhoo.it/398JXNP

米国で「Redrock Environmental Law」が復活・提案されています。この規則は、連邦政府機関が、新規プロジェクトの存続期間中に排出される温室効果ガスの分析、及び新しい高速道路、橋、その他のインフラストラクチャが気候変動にどの程度影響するかを分析する事を課します。この法律は、前政権によって中止されたものです。
同法案は、共和党と石油・ガス業界からの評価が悪く、現在エネルギーの高騰によるインフレに影響を受けている有権者の反応がどのようになるのかが注目されています。
https://nyti.ms/3uXqnw5

バングラディッシュのバイヤーはLCの開設が困難になっているようです。バングラデシュの輸入手形を支払う能力は、輸入(額)の急増に反して、ここ数ヶ月の外貨準備の減少の中で急速に悪化しているようです。国の外貨準備高は2021年8月に480億ドルを超えましたが、2021年4月13日に40億ドル近く減少して440億5000万ドルになっています。その為、オファーも減少しているようです。

リサイクル向けのAIロボットに新興メーカーが大型の資金調達をした事が伝えられています。米国サンフランシスコを拠点としリサイクル用のAIロボットシステムを開発している「Glacier社」が450万ドルを調達したと発表しています。同社によれば、システムはAIとロボット工学を組み合わせたもので、30種類以上の廃棄物を選別可能です。また、独自の技術によりロボットのコストを他の同種のロボットより最大で60%安くしています。ロボットのパフォーマンスは他の同種のものと同じです。Glacierのロボットシステムは小型で同業他社の半分以下のサイズの為、設置に必要な設備の改造を最小限にする事ができる、としています。
https://endwaste.io/
https://prn.to/3EHAIzO

先日既に発表されておりましたが、LG化学/LGエナジーソリューション(以下両社を「LG」とする)と米国のリチウムイオン電池リサイクル企業であるLi-Cycleと硫酸ニッケルの供給に関する商業契約を締結した事が伝えられています。契約は21日に完了し、Li-Cycleの現在建設中の施設で生産された硫酸ニッケル(に含まれるニッケル)を10年間販売します。これは、オフテイクパートナー先である「Traxys North America LLC」を通じて行われる予定です。Li-Cycleによれば、この契約で販売される硫酸ニッケルの総量は、約300,000台のEV用電池を製造するのに十分な量である、としています。
https://bwnews.pr/3EAXDNd

米国のプリンストン大学とフランスの農業研究機関CIRADが、再生可能エネルギー源としてのバイオ燃料を大量利用する事は、EUが推進する気候目標を損なうものである、という新しい研究を発表しています。以前から科学者の間では問題視されていましたが、膨大な土地をバイオ燃料の生産に使う事は、生物多様性と気候の両方で問題がある、としています。欧州政府は、最近ウクライナ戦争でのエネルギー危機から、バイオガス(主にバイオ燃料であるエタノールの発酵から出る)の製造を2030年までに350億㎥に増やすことを目標にしています。2020年のバイオガスの生産量はわずか3億㎥です。また、バイオ燃料生産のために「土地を別に用意する」という欧州委員会の決定は、農地を海外で探さなければならないことを意味し、EU諸国は土地の必要性を「アウトソーシング」することになる、と懸念を示しています。
https://bit.ly/3L6w1Su
https://bit.ly/37teDc5

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