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世界の環境関連ニュース(2021年7月第3週)

アメリカ・ワシントンの「American Chemistry Council(ACC)」がプラスチックのサーキュラーエコノミーを推進する「5つの行動」の概要を議会に提示した事をニュースリリースで発表しています。この戦略には、2030年迄にプラスチック包装にリサイクルプラスチックが30%含まれる事を国の基準とする事、高度なリサイクルを可能にする規制、リサイクルの改善の資金を調達する事、生産者責任システムが含まれています。
https://www.americanchemistry.com/Media/PressReleasesTranscripts/ACC-news-releases/Plastic-Makers-Outline-5-Actions-Congress-Can-Take-To-Advance-Circular-Economy-End-Plastic-Waste.html
https://www.plasticmakers.org/files/d6b3a34b9a88b1a6ee4da0a73b24562d740f80e4.pdf

リサイクル用の機械システムを開発販売する「Tomra」が、ラトビアで割れる容器のデポジット返還スキーム向けにリバースベンディング機械を提供すると発表しています。このスキームは、2022年2月1日から6か月の予定で開始されます。デポジット返還スキーム(DRS)では、消費者が製品を購入した際に容器のデポジットが加算されており、リサイクルのために容器を返却したときにデポジットが返済されます。Tomraのようなリバース自動販売機は、DRSでリサイクルする為に使用済み飲料容器の収集を自動化します。Tomraは、返品技術に加えて、資材の受け取り、PET処理、データ管理など、DRSバリューチェーンのあらゆる部分でシステムを販売している、という事です。
https://newsroom.tomra.com/latvia-deposit-return-system-tomra/

アメリカでも鉄鋼生産メーカーが温室効果ガス(GHG)削減に動いています。米ノースカロライナ州の「Nucor Corp社」が温室効果ガス(GHG)排出削減戦略を発表しています。削減率は、現在の鉄鋼生産における平均値の77%削減です。Nucor社は2030年までに鉄鋼1トンあたりGHGの排出を0.38トンにする、としています。同社はGHG排出量を削減する為に、再生可能エネルギー源の積極的使用、エネルギー利用の効率化、炭素の回収、スクラップ原料の最適な混合、等の様々な要素を組み合わせる事も発表しています。
https://www.nucor.com/news-release/#item=18156

インドネシア(と韓国)のパーム油大手「コリンド」のパーム油事業が、FSC規制に違反したとして、インドネシアのパパアでの開発における持続可能性認証を剥奪された事が報道されています。3万ヘクタールの保全林を破壊し、伝統的人権の侵害を支持しているという理由によるものです。当初はFSCも剥奪にはあまり積極的でなかったようですが、一旦は剥奪し、また同社をFSC認証の対象に復帰させるようです。欧州でのパーム油プランテーション問題の報道は少なくなる事はありません。一般人もパーム油=森林破壊というイメージが定着しているようで、しばしばこの問題を聞きます。イメージは怖いです。
https://www.bbc.co.uk/news/world-asia-57845156
https://news.mongabay.com/2021/07/fsc-dumps-palm-oil-giant-korindo-amid-rights-environmental-issues-in-papua/

国際金融協会の最高経営責任者が、2050年には自主的炭素クレジット市場が1,000億ドル(約11兆円)/年規模になる可能性があると発言しています。既にイギリスの「Nat West Group」、カナダの「Canadian Imperial Bank of Commerce」、オーストラリアの「National Australia Bank」、ブラジルの「ItaúUnibanco」の4大銀行が、「Project Carbon」イニシアチブとして自主的炭素市場からカーボンクレジットを売買する為のパイロットプラットフォームを立ち上げると発表しています。炭素削減(脱炭素)政策によって自主的炭素クレジット市場には膨大な資金流入が起こっており、将来の利益が眠る巨大利権に発展し始めています。この事はもっと報道されるべきですが、日本語では全く読むことができないのが残念です。
https://www.cnbc.com/2021/07/08/carbon-credits-institute-of-international-finance-sees-huge-potential.html

リサイクル用の人工知能(AI)ロボットメーカーである米「Amp Robotics Corp」が欧州に進出しています。バーゼル条約の改定や企業のコミットメントにより欧州でのプラスチックリサイクル需要は急拡大しており特にブレグジットで欧州との人的交流が制限されつつあるイギリスでのロボット需要の見込みが高いと見られています。同社はアイルランドに拠点を置くリサイクル機器の供給、設置、サポートのスペシャリストである「REP-TEC Advanced Technologies社」を代理店としています。アイルランドは欧州とイギリスの両方の窓口となります。欧州への拡大は、同社が行った5500万ドル(約60億円)の最新の資金調達より可能になりました。現在同社のAIによる廃棄物の認識数は年間100億アイテムを超えている、としています。
https://www.amprobotics.com/newsroom/amp-robotics-partners-with-leadingrecycling-reseller-on-european-expansionefforts
https://rep-tec.co.uk/rep-tec-robotics/

レポート&データ社によるリチウムイオン電池リサイクル市場の最新レポートが報道されています。世界のリチウムイオン電池リサイクル市場は2019年に26.4億ドル、2027年までに172億1000万ドルに達すると予測しています。5年後の2026年には136億1000万ドルになる、としています(100億ドルは、約1兆1000億円)。
主な会社は、Umicore、Glencore、Retriev Technologies、Raw Materials Company、American Zinc Recycling (INMETCO)、Battery Recycling Made Easy、Brunp Recycling、SungEel HiTech、Taisen Recyclingです。電池メーカーだけでなく、自動車メーカーも色々と動き始めている報道が増えています。
https://www.globalbankingandfinance.com/lithium-ion-battery-recycling-market-size-to-reach-usd-13-61-billion-by-2026-reports-and-data/
https://www.researchandmarkets.com/s/reports-and-data?gclid=Cj0KCQjw6NmHBhD2ARIsAI3hrM2wxJ7FnA4INLQcC_6Skwi9R_9hsH8ioCTw1cHExUbje_eo2mkP7okaAjqxEALw_wcB

LMEがリチウムLMEリチウム先物契約を開始しておよそ1カ月が経過しています。「Benchmark Mineral Intelligence社」の調査ではリチウムの需要は2030年までに7倍に増加すると見込まれています。世界最大の電気自動車市場である中国の水酸化リチウムの価格は、今年86%増加しています。LMEは現金決済先物契約の開始に向けてリチウム業界と協力して3年を費やしました。取引所のリチウム委員会には、世界最大のリチウム生産者であるアルベマールのメンバーと、テスラを含む自動車メーカーが含まれています。既にコバルトは先物契約に含まれています。
https://www.ft.com/content/5ff0aaa5-a501-42a5-85f4-76537cd6c990

独シーメンスの再生可能エネルギー会社である「Siemens Gamesa」が持続可能性のコミットメントを発表しています。同社は風力発電用のタービンを2040年迄に完全にリサイクル可能とし、更に2030年迄にタービンで使用するブレードを完全にリサイクル可能にする事をコミットしています。また同社のサプライチェーンを含めた炭素排出量を2040年迄に正味ゼロとする、としています。これは今までの目標を10年早めています。風力発電用のタービンブレードはリサイクルが困難な複合材で出来ており、問題視されていました。
https://www.siemensgamesa.com/en-int/newsroom/2021/07/210721-siemens-gamesa-press-release-launches-new-sustainability-strategy

米国の「Redivivus社」が本日、新しいリチウムイオン電池のリサイクル技術である「Redi-Cycle」の概念実証(PoC)を完了したことを発表している事が報道されています。Redi-Cycleは、湿式製錬と電気化学リサイクルを組み合わせたハイブリッド式のもので、「Redivivusニッケル」と呼ばれるニッケルとコバルトの金属合金を作ります。技術の詳細はHPでは発表されておらず、まだ概念実証に過ぎませんが、大幅なコスト削減になる、としています。同社は自社技術のプロセスを米国で特許出願しています。
https://www.waste360.com/recycling/redivivus-announces-proof-concept-novel-lithium-ion-battery-recycling-process

既に一部では報道されていますが、米国でも国境炭素税(WTOの規定では「税」扱いできない為「調整メカニズム」としている)の法律化を望む民主党議員の動きがあります。7月19日に提案された法律案で、輸入品に対する国境炭素調整(BCA)課金制度を確立するものです。EUでは2025年末までの移行を段階的に行い、2026年に完全に炭素国境調整メカニズムを導入する予定で、米国もこれに続く動きとなっています。これが始まる欧州と同様、新興国からの輸入に対する非関税障壁として機能する事になります。
https://www.spglobal.com/platts/en/market-insights/latest-news/electric-power/072021-us-democrats-propose-carbon-emissions-border-tax

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