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世界の環境関連ニュース(2021年11月第1週)

Euractiveが伝えていますが、EUの数ヵ国がEU政府に対して原子力エネルギーを「グリーン」とする事を要求しています。背景には、暴騰しているエネルギー価格があります。エネルギー自給の問題から核をエネルギーミックスに含めるかは議論されてきましたが、時々によって意見が分かれてきました。天然ガスを断ち切られると欧州は動きが取れない中、エネルギー転換は地政学と切っても切れないという事を示した事になります。今後、石炭やLNGから再生可能エネルギーにシフトする中での焦点になってきています。
https://www.euractiv.com/section/energy-environment/news/eu-countries-ramp-up-pressure-to-grant-nuclear-a-green-investment-label/

少し前の発表ですが、フランス政府が2022年から果物と野菜をプラスチック包装で販売することを禁止する計画を発表しました。プラスチック汚染のみを見た場合には、これはリサイクル及び再利用出来ないプラスチック(フィルム)を削減するという意味で、有効です。この動きは欧州全体で広まりつつあります。しかし別の面では、生鮮野菜がパッケージ化されていない事で鮮度が落ちる事が早まり、食品ロスを出しやすい(鮮度が半分になる事も多い)、或いは消費者、輸送時、また陳列時に人が手で何度も触る為、水分の多い野菜では細菌の増殖や腐敗のリスクが高まります。輸入商材の有効性にも影響が出ます。食品包装から生鮮食品の果実や野菜から高性能なプラスチック(フィルム)梱包を取り除くというフランスの方針がどのような結果になるのかは、今後、注視する必要がありそうです。
https://www.france24.com/en/europe/20211011-france-to-ban-plastic-packaging-for-fruit-and-vegetables-from-january-2022

本日発表された統計によると10月の欧州のインフレ率は前年比4.1%で、これは欧州中央銀行(ECB)の目標の2倍以上です。これはエネルギー価格の暴騰によるものですが、景気がやや鈍化する中でのインフレが懸念されています。このエネルギー暴騰で金属産業も影響を受けており、一部は価格が下げにくくなっています。ただ、景気が鈍化するセクターもあり、相殺する可能性も出てきています。
https://uk.finance.yahoo.com/news/record-inflation-clouds-eurozone-growth-112048188.html

ロイターが非常に面白い中国系不動産ディベロッパーの海外でのプロジェクトを販売する事による資金(調達)問題で、それがより大きな問題に発展する可能性を分析しています。これは、中国で現在起きている不動産セクター問題で債務返済の為の資金需要が増す事で、中国系ディベロッパーがロンドン、ニューヨーク、シドニー、その他の世界の主要都市でが行っているメガ・プロジェクトの不動産を一気に売りに出し、買い手が十分につかなかった場合に大きな問題を引き起こす可能性がある、とする分析です。飛び火は中国国内だけの話では無くなりそうです。
https://reut.rs/3brXRs4

EUと米国が鉄鋼とアルミの炭素強度の評価の為のデータを共有する為の方法論を開発する技術作業部会を作成する事を発表しています。既に関税撤廃についての報道は伝わっておりますが、それに付随するものです。炭素集約型の鉄鋼とアルミニウム製品の貿易を削減するという目標を達成するコミットメントを共有する、としており参加国にオープンな姿勢を示しています。ここでもEUと米国がタッグで指針を作っていきそうです。
https://ec.europa.eu/Commission/presscorner/detail/en/ip_21_5724

マレーシア政府が11月1日から予定していた特定金属スクラップの輸入と検査に関する改訂ガイドラインの実施を暫定的に延長する事を発表しています。マレーシア貿易産業省(MITI)は今年8月に一部の金属スクラップの品質基準(99%以上)を発表した際、2ヶ月の「期間」を経て、今年の11月1日以降の出荷に対してこの基準を発効することを表明していました。しかし、同省が発表した内容では延期の暫定措置は2021年12月31日まで施行されるとしており、年内には事実上の締め出し措置は適用されない見込みとなっています。
https://www.miti.gov.my/index.php/pages/view/2973

ドイツの廃棄物管理大手の「Remondis」がフランスを拠点とするVeoliaのスウェーデン国内のリサイクル事業を買収する事で合意しています。スウェーデンの「Veolia Recycling」は65ヵ所の工場を運営しており、これらは、REMONDISに引き継がれる事になります。ドイツのRemondisは30か国以上、計800以上の事業所を有しており、上場していない個人(私)企業としては世界最大級の廃棄物管理会社の1つです。
https://www.remondis.com/en/press-room/single-view/remondis-further-expands-its-presence-in-scandinavia/

欧州で幾つかの保守系メディアが大々的に報じていますが、COP26で気候変動を話合う為に集合した世界の指導者が、延べ400機以上ものプライベートジェットでスコットランドのグラスゴーに集合した、という事です。その他、参加者全体の発着数を入れると1年間にスコットランドの空港で発着する数に匹敵するという事で、炭素排出量が膨大になる、としています。更に要人を載せた前後に何台も連ねた高級車(全てガソリン/ディーゼル車)が道路を占拠し、街中でも(寒いので)ずっと、アイドリングを止めずに駐車待ちしている、という事です。面白いのは、こういった批判的な事実を報じる所とそうでないメディアで、ある程度炭素利権との繋がりというものが見えてきます。
https://www.dailymail.co.uk/news/article-10152027/Hypocrite-airways-Jeff-Bezoss-48m-gulf-stream-leads-parade-400-private-jets.html
https://www.huffingtonpost.co.uk/entry/ten-hypocritical-moments-cop26-climate_uk_617fb011e4b09314321a5fe4

EV増産に伴うニッケル需要増が統計データで予測されています。ニッケルの需要は、過去10年間で急速に成長しています。 ポルトガルのInternational Nickel Study Group(INSG)の調査では、2000年のニッケルの世界需要は110万トン、2010年には21%増加し140万トン、2020年には41%増加して230万トンに達しています。直近ではニッケル生産が需要の伸びに追いつくことができず 、英国の世界金属統計局(WBMS)のデータでは、今年上半期に国際ニッケル市場で41,100トンの供給不足を記録しています。需要の多くはEVバッテリー向けで、今後もこの傾向が続くと見られています。このニッケル需要の増加がステンレス鋼に及ぼす影響もある事が伝えられています。
https://www.recyclingtoday.com/article/stainless-steel-ev-batteries-nickel-recycling-competition/

グラスゴーで行われているCOP26で森林と土地利用に関するグラスゴー宣言が行われており、2030年までに森林破壊を終わらせるか減らすことを約束しました。しかし、産業用に利用される再生林利用については明確な解釈が存在せず曖昧なまま残されています。バイオ燃料、食料、熱・発電用燃料等に利用されている森林を伐採した後の再生林(プランテーション)については、事実上「スルー」された内容となっています。
https://news.mongabay.com/2021/11/cop26-glasgow-declaration-salvation-or-threat-to-earths-forests/

ArgusでもCOP26での自主的炭素オフセット市場のパネルディスカッションについて言及されるようになりました。より厳格な基準がすでに進められており、コンプライアンス市場とあわせ、将来拡大していく事が確実視されています。
https://www.argusmedia.com/en/news/2270323-vcm-requires-stricter-definitions-to-counter-oversupply?backToResults=true

米国の繊維リサイクル新興企業である「Evrnu(シアトル)」が、自社の繊維再生プラットフォームである『NuCycl』の増強の為、1,500万ドルを資金調達した事を発表しています。資金調達の理由は、繊維リサイクルの急増によるものです。繊維リサイクルは今後ホットな分野になる事が予測され、資金調達先には投資関係企業が名を連ねています。
https://www.evrnu.com/series-b-press-release

米国の「Honewell(NY証券市場)」は、自社が開発した繊維リサイクル技術「UpCycle Process Technology」を使い、スペインの「サシール社(Sacyr)」と合弁で、プラスチック廃棄物のケミカルリサイクルに乗り出す事が発表れています。同技術は、熱分解と汚染物質の除去を主体としており、廃プラスチックをケミカルリサイクルする技術です。スペインのアンダルシアにあるサシール社(Sacyr)の工場を共同運営し、年間30,000トンの混合廃プラスチックをポリマー原料に戻す予定です。生産は2023年に開始される予定です。
https://www.honeywell.com/us/en/news/2021/11/the-future-of-plastics-reclaim-recycle-repeat

既に2030年にネットゼロを目指している北東部のタイン港に続き、年間7000万トン近くの貨物を扱うピールポート(Peel Port、本社リバプール)も2040年までにネットゼロを宣言しています。ピールポート社は、リバプール港、スコットランドのグラスゴー、アイルランドのダブリンなどのターミナルを運営しています。ピールポート社は子会社に海上コンテナ輸送部門であるBG FreightLineを持ち、英国、アイルランド、ヨーロッパ大陸間のルートで貨物輸送を行っています。
https://uk.finance.yahoo.com/news/uks-peel-ports-pushes-net-112648849.html

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