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世界の環境関連ニュース(2021年5月第2週)

社会や産業に様々な影響を及ぼす人や団体を取り上げる「Fast Company」が主催する「World Changing Ideas Awards(世界を変えるアイデア賞)」に、リサイクル業界向けのAIとロボットシステム開発ではパイオニアの米「AMP Robotics Corp」が開発した人工知能(AI)プラットフォームが、2つの部門で「ファイナリスト」として認められた事が発表されています。「AIとデータ」及び「ベストワールドチェンジングアイデアノースアメリカ」の2つのカテゴリとなります。この賞は受賞者33、ファイナリスト400超を紹介しています。AMPは既に2年連続でForbes AI 50に選ばれています。人間と似たように「曖昧」を学習機能により深度を深められるAIは実はリサイクルに最も活用の有効性がある分野でもあります。廃棄物の姿は製品認識を「曖昧」にした状態になっているからです。
https://www.amprobotics.com/newsroom/fast-company-names-amp-robotics-ai-platform-a-2021-world-changing-ideas-finalist

粘着材料やラベル分野で世界最大手の米「エイブリィ・デニソン(Avery Dennison)」が2050年までに温室効果ガス排出ネットゼロを目標したプレスリリースを発表しています。温室効果ガス削減は、単体で2030年までに2015年比70%削減、サプライチェーンを含む全体としては2018年比30%削減を目指します。また2030年までに管理された森林からのみ紙原料を調達する、としています。2030年の目標には男女参画や人種の多様性、従業員の関与の、安全性の向上なども含まれています。 米企業でも国際的な会社は脱炭素とデューデリジェンスが欧州並みになってきています。欧州では法律や規制が強化されていますが、米国の場合は企業のブランド戦略の大きな柱として機能させているようです。
https://www.averydennison.com/en/home/newsroom/press-releases/avery-dennison-sets-ambition-to-be-net-zero-on-carbon-emissions-by-2050.html

段ボールや板紙の包装製造では欧州最大手の「Smurfit Kappa社」が、100%リサイクル可能な「筒状紙包装(Eco-Tube)」を発表しています。欧米では筒状紙包装はアルコール、美容品、化粧品、高級小売店用の包装等、その業界のプレミアムブランドの伝統的な市場で使用されてきました。多くは耐久性や耐油(水)性の問題からプラスチックが使われてきましたが、今回のEco-Tubeは、FSCで調達した紙(チップ)と再生紙のみを使用して製造されています。又同社は最近、第14回目の持続可能な開発レポート(「SDR」)を発表しています。持続可能な循環経済を企業戦略の柱としている板紙メーカーとしても有名です。木=森林を使うメーカーは既にずっと以前から欧州ではこの動きが一般的になっています。
https://www.smurfitkappa.com/products-and-services/paper-tube-packaging/blog/introducing-the-eco-tube
https://www.smurfitkappa.com/newsroom/2021/smurfit-kappa-accelerates-co2-emissions-reduction-in-2020

トルコミルは鉄筋の輸出オファーをFOB740〜750ドルに引き上げているようです。需要と価格が依然として強い為、更に価格を上げる可能性があるという事です(スクラップ上昇要因)。アジアの鉄筋とHRC先物は両方とも過去最高値に達している事も要因ですが、過去2週間で世界的に建設需要が急増した為、鉄鋼需要は当面堅調との予測があります。既にトルコミルは6月到着で29隻のDeep Seaを成約している、としています。

中国の主要15社の銅生産会社(製錬メーカー)が政府の脱炭素目標の取組の一環として、今年は精製(濃縮)銅鉱石(Concentrates)の購入を減らす事に同意した、とBloombergのWEB版が伝えています。中国向けの主な(銅精鉱の)供給国はチリとペルーです。製錬所15社が購入を減らす総量は合計126万トン、対前年比8.8%の減少です。この量は銅にした場合、約30万トンに相当します。情報発信元は中国「Beijing Antaike Information社」です。不足分(とグリーンインフラで更に増加する需要分)は、カソード、半完成材、スクラップで補う事になります。その為、銅スクラップ需要が増す可能性が高いと、予測されています。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-05-09/china-copper-smelters-to-cut-concentrate-purchases-in-green-push

欧州で金属材料最大手の一つである「Umicore(ユミコア)」と化学会社最大手「BASF」が、リチウムイオンカソード材料と、その前駆体を対象とした特許クロスライセンス契約を締結した事を発表しています。対象はヨーロッパ、米国、中国、韓国、及び日本で出願された100以上の特許です。UmicoreとBASFは、低、中、高のニッケル前駆体とカソード材料の製品開発技術に資金を投資しており、両社は補完的な特許を所有しています。特許による科学的な材料には、ニッケルマンガンコバルト(NMC)、ニッケルコバルトアルミニウム(NCA)、ニッケルマンガンコバルトアルミニウム(NMCA)、及び高マンガン(HLM)が含まれます。LiBの材料と前駆体で欧州が中国の独占から自立する動きを本格化している、と推測できます。
https://www.umicore.com/en/newsroom/news/umicore-and-basf-enter-into-a-patent-cross-license-agreement/

資源高もあり、高度なリサイクル技術への投資が加速しています。世界中の80を超える市場に約100,000台以上の機器の納入実績のあるノルウェーの「トムラ社」の株価が堅調に上昇しています。資源高や規制を背景にソーティングマシンの需要は急増しています。欧米では、資源高はエネルギー転換と規制に伴う大型投資によるもので、最低ラインの底上げが既に始まっているとの見方が強くなりつつあります(銅は年内11000ドルまで上昇(GS社分析)、鉄スクラップはトルコCFR80:20で400ドルが最低ライン(Fast Market)との情報も出始めています)。
https://www.tomra.com/en/investor-relations

イギリスのFTSE100の1社であり包装材料を開発製造する「DS Smith」が全く新しいサーキュラーエコノミー向けの持続可能な包装材料の開発の為、1億ポンド(約152億円)を投資する事を発表しています。2年以内に全ての包装材を100%リサイクル可能なものにし、2025年までにスーパーマーケットおよびeコマースで使用している10億個のプラスチック(包装)を新材料に置き換えることをコミットしています。包装材料、特にリサイクル材の利用が難しい食品包装のプラスチック代替え材料の開発は、欧州を中心に既に大きな潮流となっています。今後は中身がどんなに良くても、リサイクル可能、若しくはリサイクル材の無いパッケージで輸出ができなくなる可能性が高いです。その場合は欧州メーカーのパッケージを使う事になります。新たな商権の創出に向け動いている、という事です。
https://www.dssmith.com/media/newsroom/2021/5/ds-smith-doubles-rd-spend-as-it-accelerates-its-circular-economy-strategy

既に複数のメディアで紹介されていますが、国際エネルギー機関(IEA)が、再生可能エネルギーの見通しを発表しています。ハイライトで伝えられているのは、以下の2点です。
– 2020年は年間の再生可能エネルギー容量は45%増加し280 GWになった。これは1999年以来の最大の増加。
– 2021年と2022年は、大容量の再生可能エネルギーの追加(増加)が「ニューノーマル」になり、再生可能エネルギーが世界の新しい電力容量拡張の90%を占める。
再生可能エネルギーは、イコール非鉄金属(特に銅・アルミ・ステンレス)とインフラ関連投資(鉄含む)なので、ここ2年は、非鉄スクラップ需要は大きく減少する事はなさそうです。
https://www.iea.org/reports/renewable-energy-market-update-2021

4月27日以降のトルコの「輸入スクラップ」と「鉄筋輸出FOB」のインデックス価格の伸びは、それぞれ75.10ドル/トンと114.90ドル/トンでスプレッドが開いているので、スクラップ購入のセンチメントはやや強気が続く可能性がある、という事です。
https://www.argusmedia.com/en/news/2214323-turkey-ferrous-price-largely-flat-on-three-deals?backToResults=true

ドイツの銅および銅合金の専門会社である「Wieland社」が、「今後バージン材を最小限に抑え、リサイクル技術に継続的に投資する」と発表しています。銅市場はGSが発表したレポートの様に単なる相場ではなくスーパーサイクルの新たな段階に入っていると見られています。
https://www.wieland.com/en/news-detail/wieland-group-sets-ambitious-climate-targets

米GM(ゼネラルモーターズ)と韓国LG化学の合弁会社である米「Ultium Cells LLC」とリチウムイオン電池リサイクルの米「Li-Cycle」が、Ultium Cellsが製造するバッテリーセル工場で発生する原材料残(不良や材料の残り)を最大100%リサイクルする契約を締結しました。Li-Cycleはニューヨーク州ロチェスターに湿式精錬のハブ工場を持ち、オンタリオ州キングストンでBM(ブラックマス)を製造しています。Li-Cycleは今後5年間で世界に20のBM工場を建設する計画があり、最近アリゾナ州で3番目の工場(BM用)の建設を発表しています。
https://li-cycle.com/news/li-cycle-and-general-motors-announce-agreement-to-advance-recycling-from-battery-manufacturing-scrap/

欧州政府が2021年のEU経済見通しを発表しており、2021年に4.2%、2022年に4.4%経済が拡大すると予測しています。欧州委員会が2月に発表した成長見通が大幅に改善されています。ワクチン接種率の上昇、中国と米国の経済回復、Next Generation EU [EU回復基金]の3点によるもの、としています。スペインは、2021年に5.9%、2022年には6.8%成長、フランスは2021年に5.7%、2022年に4.2%、ドイツはそれぞれ3.4%と4.1%、イタリアは4.2%と4.4%の成長が見込まれています。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_21_2351

ポーランドのワルシャワにある新しい廃棄物発電施設向けにドイツの「Doosan Lentjes社」の技術が採用されたとの事です。同社の「SNCR(非触媒還元)」という技術を採用し、ワルシャワで年間265,200トンの廃棄物をエネルギー利用の為に使います。2ライン構成で2024年から稼働予定です。次にアメリカ陸軍工兵隊は11日、海軍に代わりテネシーを拠点とする新興企業「Enexor BioEnergy」と廃棄物を再生可能エネルギーに変換する為の契約をしています。「Bio-CHP」というモジュール式の小型廃棄物/有機物を利用したガスタービン発電システムで、運搬が可能な為、どこにでも設置できます。再生可能エネルギーとして安定して「燃焼」からエネルギーを得られるものは限られており(木質ペレットやバイオガス)、今は再生可能エネルギーではありませんが、廃棄物発電は必ず今後発展していく分野と見られています。
http://www.doosanlentjes.com/en/media/news-view/?seq=21000281
https://www.nationaldefensemagazine.org/articles/2021/5/11/pentagon-exploring-tech-to-convert-waste-into-energy
https://www.enexor.com/our-product/

欧州で清涼飲料の最大手の1社である「コカ・コーラ・ユーロパシフィックパートナーズ社」が、西ヨーロッパの持続可能性に関係するステークホルダー向けレポートを発表しています。特に野心的なものは、以下になります。
– 今後3年間で、西ヨーロッパの6つの生産施設でカーボンニュートラルを目指すために「カーボンニュートラルサイトイニシアチブ」を試験的に実施する。2023年までにPAS2060カーボンニュートラル認定を取得する。 (「カーボンニュートラルサイトイニシアチブ」とは再生可能エネルギーを100%使い製造施設を運営する事です。)
– ペットボトルでのリサイクルPETの使用を2023年までに50%、西ヨーロッパでは2030年(10年後)までに100%にする事を目標とする。
欧州の大手企業ではこのような脱炭素とサーキュラーエコノミー戦略は必要不可欠となっており、他地域とは温度差が生まれています。
https://www.cocacolaep.com/media/news/2021/2020-stakeholder-report/

Euractiveによると、欧州政府内で「排出権取引制度(EU ETS)」を道路輸送と建物分野に拡大する提案が出される可能性がある、という事です。EU ETSのレビューは7月14日に正式に発表予定で、2030年の厳しい気候目標を達成する為の広範囲な法律パッケージの一部が示されます。炭素国境メカニズム、カーボンフットプリント、EU ETSの拡大は、欧州との国際貿易に直接大きなインパクトのある政策の為、注視すべき事項となっています。
https://www.euractiv.com/section/transport/news/eu-to-launch-adjacent-carbon-market-for-transport-buildings/

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