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世界の環境関連ニュース(2021年3月第4週)

食品や医薬品の包装製品を製造するスイスの「Amcor社」が、リサイクル材で作られたオーストラリア初の軟質食品用フレキシブルパッケージを製造したことを発表しています。キットカット用にプロトタイプを市場に導入するという事です。リサイクル材はケミカルリサイクルされたもの、としています。食品用のフレキシブル包装は、ガス密閉性や耐久性の理由があり、機械的リサイクルが難しく、コストの掛かるケミカルリサイクルで、これを解決する試みは、注目に値します。
https://www.amcor.com/insights/blogs/australias-first-soft-plastic-food-wrapper-recycled-content

ヨーロッパのプラスチックリサイクルで各協会共同による新しい動きがありました。欧州を代表するプラスチックの各協会である、「Petcore Europe」、「PlasticsEurope」、「Plastics Recyclers Europe」、「VinylPlus」が共同で、プラスチックのリサイクルと取り込みのデータを監視、検証、報告する為の共同プロジェクトである「PolyREC」を設立する事に合意しています。
https://www.eppm.com/industry-news/polyrec-created-to-report-on-europe%E2%80%99s-plastics-circularity/

3月22日(月)にトルコの中央銀行総裁の退任に伴い、トルコリラが15%急落しており、トルコミルの輸入に影響が出る可能性があります。ここ2年で3人の中央銀行総裁の退任です。11月に就任したばかりのアグバル氏が利上げを行い、長期に弱まっていたリラを押し上げましたが、「エルドノミックス」とまで言われているエルドアン大統領と上手くいかなかったようです。

一部既報ですが、マレーシア政府が鉄スクラップの輸出に15%の輸出課税を課すと発表されています。対象HSコード(HS) codes of 7204.10.0000, 7204.29.0000, 7204.30.0000, 7204.41.0000, and 7204.49.0000。 2020年、マレーシアは約455トンの鉄スクラップを輸出し、前年比14%増となっています。2013年から2015年に掛けては僅か年間平均輸出量50トンでした。輸出は2016年に急増しています。

欧州委員会が、2030年の温室効果ガス削減目標(1990年比55%減)の為の欧州グリーンディールに対し、削減目標を達成するには、年間推定3,500億ユーロ(4,170億ドル:およそ44兆円)の追加投資が必要だという見解を述べ、その担い手の一つとして欧州投資銀行が機能を果たす事を発表しています。投資先を3つ挙げており、「クリーンテクノロジーの入手しやすさ」、「最新クリーンテクノロジー分野」、「サーキュラーエコノミー」、としています。欧州投資銀行が「EU気候銀行」としての役割を果たす、としています。これから毎年この分野に40兆円を超える投資が継続的に行われるとなると、非鉄金属の相場に少なからず影響が続きそうです。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ac_21_1322

既にイギリスでは2030年には家庭から出る食品廃棄物の埋立てを無くす為に個別収集を2023年から行う政府方針を立てていますが、この方針は、欧州でも広がっていく可能性があります。又、土壌中のマイクロプラスチックスの影響についても懸念されている為、食品を包装する材料についても、今後は堆肥化できる代替え材料の需要が一層高まる事が予測されています。
https://www.packagingnews.co.uk/news/markets/food/report-advises-whitehall-back-compostable-materials-increase-food-waste-recycling-19-03-2021

堆肥可能なプラスチック代替包装を開発製造する大手の「Danimer Scientific(アメリカ、ジョージア州)」が、様々な食品ブランドを持つ大手の「Mars Wrigley」とパートナーシップを発表しています。Mars Wrigley は、2025年までに、100%再利用可能、リサイクル可能、又は堆肥化可能、な包装にするという包括的な戦略を発表しています。

リチウムイオン電池リサイクルで独自の工程「RecycLiCo™」を開発した「American Manganese Inc社」が、イタリア最大のリチウムイオン電池製造会社の「Italvolt SpA」と、同社が持つイタリアのLiB製造工場に併設するリサイクル工場のMOUを終了した事を発表しています。欧州のLiBについては、電池メーカーである「NorthVolt」が戦略として欧州電池指令への前倒しの対応をする事を発表しています。
https://americanmanganeseinc.com/american-manganese-and-italvolt-sign-memorandum-of-understanding-for-lithium-ion-battery-recycling-project/

LMEが1月にDiscussion Paperを発行していますが、ISRIがその正式な回答を行った抜粋をRecycling Todayが記載しています。今後、リングを閉鎖して電子取引のみに移行する予定のLMEに対し、証拠金システムの変更を含めた内容に回答しています。
https://www.recyclingtoday.com/article/isri-comments-lme-proposed-market-structure-changes/

北米議会で(再)導入が進められている「Break Free From Plastic Pollution Act」という法律があります。内容は、拡大生産者責任(収集とリサイクル)、飲料容器の払戻金の義務化、使い捨てプラスチックの削減と特定の汚染製品の段階的廃止、持ち帰りバッグの有料化、リサイクル材の使用量の規定、リサイクルと堆肥化材料の推進、新プラスチック工場設立の事前審査が含まれます。これに対し、業界団体の最大手でもある「American Chemistry Council」が反対を表明しています。経済成長を阻害するという事が最も大きな理由となっています。
https://www.americanchemistry.com/Media/PressReleasesTranscripts/ACC-news-releases/Industry-Leaders-Push-Back-on-Plastic-Pollution-Act.html

欧州では、今、ごみ発電がより注目を集めています。
Waste to Energy(WTE:廃棄物発電と熱利用)と呼ばれ、ここ2年程度でかなり投資も活発になってきました。
イギリスでは、2019年までWTEは補助金対象ではなかったのですが、2020年夏にイギリス南部のKENTで稼働した商業プラント(「Wheelabrator Technologies」という会社)は、初の「再生可能エネルギー差金決済取引制度」(Contracts for Difference clean energy subsidy:通称CfD)という補助金制度の認可を受けています。ゴミの投入量は、年間55万tで、簡易RFD化して炉に投入です。フランスでも、大手リサイクルグループ「Paprec」が、WTE市場の更なる拡大を目指し、「Dalkia Wastenergy」の買収を発表しています。
https://www.paprec.com/fr/espace-presse/?prt=110

ロシア国営の原子力エネルギー会社「Rosatom」の子会社である「Rosatom Energy Storage Solutions(RENERA)」が、LiBや電極を製造する韓国メーカーの「Enertech nternational」の49%のシェアを獲得した事が、一部で伝わっています。Enertech International及びRENERAのウェブサイトには、まだ情報が出ていません。2030年までに、少なくとも2GWhのリチウムイオン・セルとエネルギー貯蔵システムの製造をロシアで行う、としています。再生可能エネルギーへの転換では、エネルギー貯蔵技術、充放電技術、貯蔵用電池が重要なファクターになる為、欧州でも国家をあげての取組に徐々に変わってきています。
http://enertechint.com/
https://www.rosatom.ru/en/rosatom-group/energy-storages/

イギリスを中心に食品に対応できるリサイクル品グレードのPPを製造するリサイクルのコンソーシアムが取組みを始めています。業界の数十社が集まり、「NEXTLOOPP」というコンソーシアムを作り、欧州規格 EFSA 及びアメリカの規格USFDAの条件を満たすPPのリサイクルを目指す、としています。ロードマップでは2025年までに30%のリサイクル材を利用する事をコミットしています。イギリスや欧州では、プラスチック税の導入が決まっており、様々な食品包装に使われているPPのリサイクルは、喫緊の課題となっています。
https://www.nextloopp.com/

欧州のアルミ二ウム業界団体である「ヨーロッパ・アルミ二ウム」と、金属製の包装材の業界団体である「メタルパッキング・ヨーロッパ」が、2030年までに飲料用アルミ缶の100%リサイクルを達成するロードマップを発表しています。先月、ソフトドリンクの業界団体である「UNESDA ソフトドリンク・ヨーロッパ」が、飲料パッケージを2030年までに完全にクローズループにする事をコミットしたばかりでした。
https://www.european-aluminium.eu/media/3134/2021-03-24-european-aluminium-press-release_beverage-can-roadmap-towards-100-percent-aluminium-can-recycling-by-2030.pdf

フィンランド国内の4社(うち1つは国立研究所)が、穀物収穫残渣及び加工残渣から包装材を作る技術開発に乗り出す事を発表しています。欧州では、生分解できるプラスチック代替包装材の需要が急速に高まっており、様々な研究開発が進んでいます。わら、マッシュルーム等、様々な原料を利用するものが市場に出始めています。今回のフィンランドのものは、大豆です。今後、バイオ燃料需要の急増に伴う収穫料残渣の利用は、新しい投資先となりつつあります。
https://www.brightplus.com/multipurpose-bioplastic-from-soy-residues-a-pilot-plant-to-finland/

アメリカのマサチューセッツ工科大学が、LiBの新しい電解質を開発した事を自身のHPで発表、欧米の幾つかのサイトでも報道されています。現在のLiBの蓄電力のおよそ1.7倍近いエネルギー貯蔵が可能になり、材料と製造コストダウンの可能性もある、としています。既にリチウム(空気・硫黄、その他)電池関連のこの分野の研究は世界的に進んでおり、開発された技術が数年から数十年後には実装されると思われます。
https://news.mit.edu/2021/lithium-metal-batteries-nickel-oxide-0325

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