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世界の環境関連ニュース(2022年6月第2週)

また1つ、ペットボトルや廃ペット樹脂のリサイクル拡大を目指すイニシアチブが発足しています。アメリカ政府に近いリサイクル推進団体であるリサイクルパートナーシップが PET製品の循環性改善を目指すPETリサイクル連合を立ち上げています。このイニシアチブは、PET廃棄物のリサイクルを増やすため下記の4つの取組を行います。 ・廃ペットボトルの収集量を増やす ・市・群での廃棄物収集でPETトレイ、カップ、PETシェルの受入を拡大する ・包装メーカー向けのrPET供給を行う ・色付きや不透明なPET製品のリサイクルシステムの強化する 欧米ではPET樹脂は価格が高くリサイクル材(rPET)の需要も増していることから他のプラスチック以上にリサイクルが強化されています。この流れは欧米でここ1年にて急加速しています。
https://bit.ly/3HfJZjU
https://recyclingpartnership.org/

リチウムイオン2次電池の新たな需要増のセクターとして軍需産業がある事が調査会社の報告で明らかになっています。欧州の主要国では軍事予算が倍増となっており、様々な軍需品関連需要が高まっています。インドの市場調査会社Valuates Reportsによると、軍用バッテリーの需要は今後6年間で30%増加(21億ドルから27億5000万ドル)すると予測しています。成長を牽引するものは、戦闘技術の変化、高度な戦闘システム、監視ドローン、モバイル技術、遠隔操作の無人機となっています。その中でもリチウムイオン2次電池の需要の高まりが予測されています。性能、耐久性、長寿命化、安全性の向上により、軍隊に好まれるようになっている事が理由です。需要増の地域は米国、次に欧州としています。
https://bit.ly/3NHHLw1

石油・ガス株の世界的な高騰と同様、今、再生可能エネルギー以上に新しいガスの生産とインフラストラクチャーへの「ゴールドラッシュ」が一部で起きている事が調査結果として出てきました。Climate Action Tracker (CAT)が発行した新しいレポートで詳述されています。ロシア産のガスに代わる供給先確保の為、EUは最大130億ユーロの予算を確保しています。この予算のプロジェクトはヨーロッパのガス供給をウクライナ戦争以前と比較して25%増加させる可能性があり、それらの新しいガス計画は環境法に違反して行われる可能性が高い事が報じられています。またEUは環境問題からEU域内で行わない水圧破砕法によるシェールのLNGガスを米国より排出ガスを増加させる海運によって輸入する契約を結んでいます。ドイツ、イタリアはカタールとガス供給の契約を結び、アルジェリアもパイプラインを介してイタリアとカナダにガスを輸出することに同意し、新しいLNGプロジェクトを促進して輸出を増やす計画を立てています。 つまり、実際にはガスを通じて化石燃料への投資ラッシュが起きている、という事です。これらが大きく報道されない理由は、政治的な面が大きいと言えます。
https://bit.ly/3mzQLam
https://bit.ly/3Ha1YIc

EUによるロシア制裁の一環としてのロシアの石油輸出船舶への付保禁止を受けて、今後も石油製品、特に輸送用燃料への世界的な影響がインフレを更に長期化させる予測が頻繁に出始めています。米国でガソリン価格が1ガロン当たり全国平均5ドルを超え、ディーゼル燃料も供給不安で史上最高値を更新、英国では、2022年10月からの家庭用エネルギー料金が平均で42%上昇する予定で、1950年代以来、市民生活に最大の打撃を与えると警告しています。既に世界中がここ十数年で見たことのないインフレとなっており、欧米が再生可能エネルギーへの投資を加速しても、エネルギーの慢性的な供給不足が長期間になる可能性が指摘されています。JPモルガン・チェースのCEOであるJamie Dimon氏は、中国の潜在需要が復活する事で石油は1バレルあたり150ドル~175ドルに達する可能性があり、同行は経済的な「ハリケーン」に備えている、としています。
あまり共通認識がありませんが、欧州が1990年比で温室効果ガスを2030年までに55%減らすと宣言出来ているは、1) 欧州は1990年の炭素排出量が元々非常に多く基準が易しい為55%削減は現実的である、2)石炭に比べ温室効果ガスの発生が50%少ない(特にロシア産を中心とした)天然ガスを利用する、という前提があったからです。ロシア産の天然ガスの出口であるドイツが脱炭素の大合唱の主体という理由はここにもありました。55%削減の為には今後もどうしても天然ガスを使う必要があり、今、世界中で欧州発のLNG争奪戦が始まっています。日本は既にエネルギー効率の良い2013年を基準にして2030年までに46%削減する目標を発表しています。
https://bloom.bg/3mOreKF

先週、欧州議会で炭素規制(市場規則)に関わる一部の改正案が「否決」されるという珍しい事が起きています。炭素国境調整措置でも議論されている、鉄鋼やセメントなどの欧州への輸入に「炭素税」を課すという計画案が含まれます。議員の一部は、現在のエネルギー危機やウクライナ戦争の経済的影によってEU域内の産業が適応する時間が必要と考えており、早急な炭素削減や市場の規制強化に反対しています。現在の欧州(政府・議会)はエネルギーコストの高騰とインフレに関する懸念と地球温暖化対策の公約が「衝突する状態」にあり、気候変動政策が強い事で、倫理的な反対でも厳しい立場に置かれるようです。実際に安価に入手でき温室効果ガスの発生が少ないロシア産の天然ガス(液化や船舶輸送が必要無い)が無い状況で化石燃料の輸入と再生可能エネルギーのみで政策を実現しようとする欧州政府に対する産業界の反対意見は日増しに高まっています。
https://www.euronews.com/next/2022/06/09/climate-change-eu

AIとロボットを活用したリサイクル選別システムを開発している英国の「Recycleye社」が欧州特許庁(EPO)から2022年の若手発明家賞を受賞しています。同社は既にロボットメーカーの「FANUC社」と提携し、小型のモジュラーシステムを開発しています。同社の最大の特徴は、世界最大の廃棄物データセット(画像のデータベース)であるWasteNetを立上げた事で、現在300万を超える廃棄物のサンプル画像(AI用のトレーニング画像)を保有しています。この数は廃棄物処理を行う事で増えてゆき、ユーザーが共有できる為、将来の高い有用性が期待されています。
https://bit.ly/3O7ZpJ2

脱炭素関連の幾つかのサイトでは報道されていますが、「炭素排出ネットゼロ」を公約している世界企業4,000社を調査した結果、企業の実施内容に「重大な欠陥」がある事が指摘されています。New Climate InstituteのKuramochi博士らが発行したレポートによると、世界の最大級の上場企業2,000社の3分の1以上(702社)がネットゼロの目標を設定しているが、456社は目標の最低基準を満たしておらず、また40%はカーボンオフセットに依存している事が結果として示されています。透明性や正当性に問題があるカーボンオフセットの乱用は論点の的になっており、更に横行する「グリーンウォッシング」への規制の甘さが問題視されています。「欧米企業は脱炭素で先進的である」、というのはグリーンウォッシングによる宣伝効果に過ぎない一面がある事を認識すべきなのかもしれません。
https://bit.ly/3QjyJHm

米国NASDAQに上場する米国のリチウムイオ電池リサイクル会社「Aqua Metals社」が自社技術である湿式製錬工法のAqua Refiningにてコバルトメッキ及び水酸化リチウムの精製をパイロットベースの初期段階で成功した事を報告しています。商業利用にむけてパイロットセンターでのトライを続ける、としています。重要なポイントは、Aqua Metals社が「リチウムイオン電池の材料はコストが高く、地政学的リスクがあり、更に環境問題に直面する為、自動車メーカーのEV製造量に鉱業企業が対応できない」との見解を示している事です。その為、鉱業企業が対応できない不足の原材料はリサイクルが補う事になると、その重要性を強調しています。 2030年までに世界で累計1億4000万台の電気自動車(EV)が販売されると予測されており、リチウムイオン電池とその製造に使用される重要な鉱物資源に対する大量の需要が生まれています。欧米では戦争を機に「地政学問題」が大きなファクターになっているという認識が浸透しています。
https://bit.ly/3aZMmeA

欧州議会環境経済委員会が「原子力」と「(天然)ガス」を持続可能なエネルギー源、即ち気候に優しい投資先としての定義づけに「反対」の評決をした事が伝わっています。元々原子力とガスをタクソノミー(投資分類)の「グリーン」と定義づける案は、エネルギー危機を契機に欧州委員会より出されていました。環境経済委員会の評決が最終決定ではなく、7月初旬に議会全体での投票にかけられる予定です。加盟国で構成されるEU理事会と議会の両方が欧州委員会の提案を拒否する権限を持っています。EU理事会では加盟27ヵ国のうち約20か国が拒否を支持する必要がありますが、議会での否決は過半数のみを必要とします。エネルギー価格の上昇とウクライナ戦争を機にこの議論は活発になっており、ガスと原子力が「グリーン」と定義されない場合、短・中期的なエネルギー価格に影響が出そうです。 これは、米国でも同じ事が起きています。既に多くの資金をクリーンエネルギーに投資している投資家にとって、ガスと原子力がグリーンになると資金回収に打撃となる為、環境活動家を支援しながら相当なロビー活動をしています。
https://bit.ly/3tAwghU
https://reut.rs/3MO6tJY

世界で最もグリーンスチール製造を進めていた英国のLiberty Steelが親会社のGFGグループの資金繰りの影響から操業に苦慮していた問題で、債権者であるグリーンシルバンク(ドイツ拠点:金融サービスは英国)との一時的な債権(債務)停止の合意に達した事が伝えられています。GFGグループはインドのグプタ家が所有し、いくつもの鉄鋼メーカーを買収してグリーンスチール製造の世界No1を目指して成長戦略を取ってきました。2030年までに全てのスチールを「グリーン化」する事を目指し様々な投資をしてきました。親会社のGFGグループの最大の融資会社が日本のソフトバンクグループがビジョンファンドを通じて出資する英金融サービス会社「グリーンシル・キャピタル」で、昨年、同キャピタルが再建型倒産手続きを開始した事で大問題が発生しました。Liberty Steelは英国内に鉄鋼とアルミの製造工場を12か所所有し、5,000人以上の従業員を雇用していたからです。 この問題を更に複雑にしたのは、英国元首相のデビッド・キャメロン氏がグリーンシル・キャピタルの顧問兼株主で、グリーンシル・キャピタルの貸付ローン保険を誘導していた事が、昨年スキャンダルとして報じられていた事です。保険会社はボンド&クレジット社(TBCC)で、親会社は日本の東京海上日動火災保険という事で、2つの日本企業を巻き込んだ「グリーンスチール」スキャンダルのニュースでした。
https://bit.ly/3mQet2h

日本円が気候変動による環境要因で、今世紀半ばまでに世界で最もパフォーマンスの悪い通貨になる可能性がある事が英国の銀行バークレーズ(Barkleys)によって報告されています。バークレイズが行った、気候変動が通貨に与える影響を分析した内容が幾つかの大手メディアで報道されています。報告では、一番影響を受け下落する通貨に日本円と中国元を挙げ、一番気候変動に抵抗力のある通貨としてユーロが挙げられています。今後50年間の国の生産性及び資本フローを予測、更に成長後に通貨が気候変動によってどのように影響を受けるかをモデル化して行われた分析、としています。具体的には海面上昇、(農作物などの)収穫量の変動、病気の発生の変化、観光、更に労働生産性への熱(波)・高温による打撃などがこの分析に含まれています。日本は海面上昇が最大の脅威であり、環境要因で2030年までに円の価値のほぼ3%が削減し、今後50年間で通貨価値の最大55%を失うと予測しています。
https://bit.ly/3zKfb9f

米国のLIBリサイクル企業で最近グレンコアやLGと提携を発表し北米と欧州でハブ&スポークシステムを構築しているLi-Cycle社の四半期決算が昨日発表されていますので、まとめたサイトをリンクします。実際にはかなりの投資先行及び営業費用の増加で、四半期の赤字額は1年前の780 万ドルから2,070万ドルまで増加しています。今年後半には「ハブ」となる湿式精錬工場を米国のローチェスターで試験操業する予定で、スポークとなるBM製造拠点も着々と増やしています。この会社の財務で特徴的な所は、手元キャッシュが5億930万ドル(約680億円)あり、2022年5月と6月に、それぞれLGとグレンコアとの商業契約で2億5,000万ドルの追加投資を受けた事です。それにより、B/Sは非常に強化されています。
https://bit.ly/39r2zZU

また1つ、投資会社がアルミ製造企業を買収しています。昨年、米投資ファンド「アポロ・グローバル・マネジメント」が昭和電工のアルミ缶事業である昭和アルミ二ムを買収し、その昭和アルミニウムに日本の三菱マテリアル傘下のアルミ製造事業会社であるユニバーサル製缶と三菱アルミニウムが買収されました。アポロ・グローバル・マネジメントは、株式や債券に投資する伝統的なファンドでなく、事業に投資する「オルタナティブ・ファンド」として有名です。 今回は「American Industrial Partners Capital Fund VII LP(AIP)」がAluminum Belgium BVの株式の100%を購入しています。購入先は、Aluminum Belgium BVの株式を100%所有している英国の「Ecnavla 8 UK Ltd」で、同社はアルミ製造業や設備等の資産管理を行う会社です。この買収によって、AIPは、Aluminum Belgium BV傘下のベルギーの2つの法人ALVANCE Aluminium BelgiumBVとALVANCE Aluminium Duffel BVを所有する事になります。ALVANCE Aluminium Duffel BVは欧州では大変有名な会社で、欧州のアルミ圧延製品の大手メーカーです。主に自動車、輸送、流通、建築、建設業への販売が多く、生産能力は年間最大25万トン、売上高は約6億ユーロ、従業員数は1,000人以上です。 APIは北米のミドルマーケット・プライベートエクイティ企業です。今後、企業の炭素排出枠の減少によりアルミ事業は1つのビジネスチャンスと「投資家」は見ているようです。
https://prn.to/3y5421z

欧州最大の鉄鋼メーカーであるアルセロールミッタルが低炭素鋼の規格コンセプトを発表しています。以下の3つが基本原則となります。 1) 製品のライフサイクルアセスメント(LCA)値、及び熱間圧延鋼1トンあたりの炭素排出量を分類し、生産開始時からの脱炭素強度をそれぞれ評価する、デュアル・スコアシステムを採用。 2) 国際エネルギー機関(「IEA」)の低炭素鋼モデルであるスクラップ充填率、及びその他の低・脱炭素化技術の利用規模によるスコアリング。 3) 炭素排出量により(脱炭素や低炭素)の境界を明確に定義する。この境界によって炭素強度の評価を行う。 欧州では、成品のライフサイクルアセスメント(LCA)値については、既にグリーンラベルによって白物家電製品等に採用されています。
https://bit.ly/3mUL872

今年秋の米国の中間選挙で不利と言われている現政権に追い打ちをかけるような報道が続いています。既に米国の保守系メディアは巨額な気候変動対策がインフレを引き起こし、化石燃料への投資の規制によりガソリン価格が市場最高値になった主要因として盛んに報道しています。前政権のように石油増産とパリ協定からの離脱を訴えるものも多くなってきました。その中でも、英国のBBCでさえ詳細が伝えられるようになったのは、スキャンダルとしての現大統領の次男ハンター・バイデン氏の件です。 ハンター氏の元妻が本を出版し、それを機に、今まで沈黙していたリベラル系(左系)のメディアでもかなり詳細に報道されるようになりました。バイデン大統領の息子のハンター・バイデン氏は2014年(ジョー・バイデン現大統領がまだ副大統領当時)、ウクライナの天然ガス会社であるブリスマ・ホールディングスの取締役に加わり、月額最大5万ドルの報酬を得ていました。ハンター氏は米国の弁護士で、本来ウクライナのガス会社とは何の関係もありません。当時、米副大統領のバイデン氏は、(自国では無いにも関わらず)ウクライナで汚職防止活動に取り組んでいました。バイデン副大統領は、当時ウクライナの最高検察官であったヴィクトル・ショーキン氏の解雇を求めるために、西側の指導者を集め圧力を掛けました。ショーキン氏は2016年にウクライナ議会によって解任されました。この件について、元米国の大統領トランプ氏と共和党の議員の一部は、ショーキン最高検察官が、ハンター氏が役員になったブリスマ社を汚職等で調査した為に、バイデン氏の圧力で追放されたと主張しています。また、息子のハンター氏は、米国ルイジアナ州の天然ガスプロジェクトで中国の億万長者(石油王)イェ・ジャンミンと提携しています。イェ・ジャンミン氏はその後に汚職容疑で中国当局に拘束され、現在も行方不明になったままです。NBCニュースの分析によると、ハンター氏の会社は、このルイジアナのガスベンチャーだけで500万ドル(約6億5000万円)、2013年から18年に掛けてウクライナと中国関連の事業を通じて、約1,100万ドル(14億円)を得た、としています。 米国の気候変動対策への取組は、秋の中間選挙を機に動く事が現実味を帯びてきました。投資家は既に動きを見せ始めて市場に表れ始めています。
https://www.bbc.co.uk/news/world-us-canada-55805698

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