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NEWSCONの気になるNEWS(2025年11月第4週)

中国以外の鉱山は世界の重希土類需要の僅か29%しか満たすことができず、中国の供給に71%の構造的依存が残されています 。輸出規制は特にジスプロシウム、テルビウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユーロピウム、イッテルビウム等の重希土類元素を対象としており、これらは全てEV、風力タービン、軍事用途の永久磁石に不可欠です 。欧州は相当量の希土類鉱床を保有していますが、加工インフラが欠如している為、中国依存に変化は起こりません。中国の規制は、遠心分離機、真空炉、分離システムを含む希土類加工機器の輸出も制限しており、欧米諸国が国内精製能力を開発する能力を事実上制約しています 。アナリストは2026年から2027年にかけて新たな分離施設が稼働し、ジスプロシウムとテルビウム酸化物の価格が変動すると予想しています。
https://www.reuters.com/sustainability/climate-energy/west-scrambles-fill-heavy-rare-earth-gap-china-rivalry-deepens-2025-11-19/

米国の天然ガス価格が1ヵ月で32%急騰し、輸出需要により記録的な水準に達しています。この急騰は2022年以来最も急激なものです。ロシアのパイプライン供給が制約される中で、欧州の需要に支えられています 。米国本土48州での生産量が記録的な量に達したにも関わらず、貯蔵レベルは季節標準を4%上回るに過ぎません。高いガス価格は、既に複数の電力会社に石炭発電への切替を強いており、コスト抑制と電力需要対応の為、最近の石炭からガスへの移行傾向を逆転させています 。トレーダーは12月初旬に予測される寒冷な気候に備えており、これが暖房需要を押し上げ、価格上昇圧力を維持する可能性があります 。鉄鋼、化学、肥料等のエネルギー集約型産業はマージン圧迫に直面しており、天然ガスベースの発電コストは前年比30%以上上昇しています 。
https://sergeytereshkin.co.uk/publications/oil-gas-news-prices-gas-market-20-november-2025

インドネシアがニッケル採掘割当を44%も削減します。 インドネシアのエネルギー鉱物資源省は2025年の全国ニッケル採掘割当を2024年の2億7,200万トンから僅か1億5,000万トンに削減しました。アナリストは、価格が生産コスト近くに留まる場合、一時的な鉱山閉鎖が発生する可能性があると警告しており、一部のインドネシアの工業団地は既に外部ニッケル鉱石予測を30%削減しています 。国際ニッケル研究グループは世界供給2,720万トンに対して需要2,730万トンを予測しており、数年間の余剰後の危うい近似バランスです 。バッテリーグレードニッケルの需要は2030年までに倍増する可能性があり、この割当削減は電気自動車サプライチェーンとバッテリー金属に関連するカーボンクレジット市場にとって潜在的な転換点となります 。
https://www.businesstimes.com.sg/international/asean/nickel-investors-edge-indonesia-tightens-screws-smelters

ゼレンスキー大統領は11/21に米国が提示した28項目の和平案について「明確で誠実な協力」の準備ができていると表明しました 。米国の代表団が木曜日にキエフを訪問し、戦争終結に向けた提案を提示しました 。報道によると、この和平案はウクライナに東部ドンバス地域の領土放棄と軍事力の半減を要求する内容が含まれており、欧州諸国からはロシアに有利過ぎるとの批判も出ています 。しかしゼレンスキー氏は「ウクライナには尊厳ある真の平和が必要」との立場を維持し、近日中にトランプ大統領と協議する予定です 。ウクライナ側は「占領地域をロシア領として認めることは決してない」との譲れない一線を強調しています 。
https://www.msn.com/en-us/news/world/ukraine-s-zelenskyy-says-kyiv-geared-up-for-clear-and-honest-work-as-us-pushes-for-progress-on-peace-plan/ar-AA1QSIK5?ocid=BingNewsVerp

EUでもデニミス課税が始まる計画です。EUは中国からの低価格Eコマース商品に対する取り締まり強化で合意しました 。現在150ユーロ以下の小包に適用される関税免除を撤廃し、2026年から暫定措置として1個あたり2ユーロの課徴金を導入する計画です 。2024年にEUに輸入された46億個の小包の内、91%が中国からで、主にSheinやTemu等のプラットフォーム経由です 。EU当局は現行制度が価格の過少申告を助長し、EU企業に対する不公正な競争を生んでいると指摘しています 。完全実施は2028年の新EU税関データハブ稼働時を予定していますが、小包の急増に対処するため前倒しで課税を開始します 。
https://www.msn.com/en-gb/money/other/explainer-how-the-eu-plans-to-crack-down-on-low-value-e-commerce-goods-from-china/ar-AA1QKzbB?ocid=BingNewsVerp

世界的にメモリ市況が急騰しています。AIデータセンターの建設ラッシュがメモリ市況を押し上げており、高帯域幅メモリ(HBM)を優先投入することで、PC・スマートフォン・自動車・産業機器向けの汎用DRAM供給が逼迫しています。 Samsung は一部メモリ製品の価格を最大60%引き上げたと報じられ、同市場で主要サプライヤーとなるSK Hynix やMicron もタイトな需給環境の恩恵を受けています。 この供給制約により、特に低価格帯ノートPCや組み込み機器、自動車ECUといった価格感度の高い分野のBOMコストが上昇しています。 データセンター事業者やハイパースケールクラウドにとっては、サーバー調達予算への負担増と、刷新サイクルの長期化やメモリ搭載量の最適化等、設計面での対応が求められます。 製造業、通信、医療機器等の業種は、メモリ価格の高止まりとリードタイム長期化を前提にマルチベンダー調達や包括契約の早期締結を検討すべき局面です。
https://dig.watch/updates/ai-data-centre-boom-drives-global-spike-in-memory-chip-prices

米国商務長官は11/24にEUに対して、EU政府がデジタルサービス規制の執行を緩和した場合、第232条の鉄鋼及びアルミニウム関税を50%から以前の合意水準に引き下げると伝えました。現在の50%関税は一次鉄鋼やアルミニウムだけでなく、オートバイ、冷蔵庫、機械などの派生製品にも適用されており、更に12月には追加の派生品にも関税が適用される可能性があります。ヨーロッパの鉄鋼輸入割当も大幅に削減されており、UKスチールが「恐らく業界史上最大の危機」と表現する状況を生み出しています。欧州製鉄業者の場合、国内顧客を優先する為に1トン当り200〜400ドルの調達コストが増加し、リードタイムも延長されることが予想されます。12月中旬までは、米国の農産物輸出や機械を標的にするEUの報復の可能性に注目が注がれる事になります。
https://www.euronews.com/business/2025/11/24/us-to-cut-steel-tariffs-only-if-eu-agrees-to-soften-digital-rules-enforcement-in-return

海上コンテナ輸送料金が年末に掛けて上昇する見込みです。極東から北欧ルートは特に急激に上昇し、地中海海運会社(MSC)は2025年11月から価格調整を発表しました。この運賃上昇は複数の複合的要因を反映しています。製造業者が2026年1月の関税導入の可能性に先立ち、新造船の納入遅延による船舶容量の慢性的な不足、そして紅海回避による航海時間の延長によりアジア-ヨーロッパ間の航路が10〜14日延長されていることが挙げられます。ロッテルダムやハンブルク等、主要な欧州のハブ港では港の混雑が依然として高く、更なる遅延を招いています。米国の輸入業者が新たな関税制度に先立ち出荷を加速させる中、太平洋横断の料金も同様の軌道を辿ると予想されています。
https://www.hellenicshippingnews.com/xeneta-weekly-ocean-container-shipping-rates-on-the-rise/

エネルギー市場で様々な動きが発生しています。ロシアは制裁により11月だけで石油・ガスの収入が35%も急落しました。一方で、中国は2025年にインドネシア産と申告される原油輸入を大幅に増加させており、石油トレーダーは制裁対象であるイラン産原油を偽装する新たな手法だと指摘しています。中国の税関データによると、インドネシアからの輸入は2024年の10万トン未満から2025年10月までに981万トンに急増しましたが、インドネシアの実際の輸出量は1月から9月で170万トンに過ぎず、中国向けは約2万5千トンのみです。 従来マレーシア沖で行われていた船舶間積み替え(STS)により産地を偽装する手法が、マレーシアによる7月の規制強化と銀行の審査厳格化を受けて、インドネシア産へのラベル変更にシフトしたとされています。
https://www.idnfinancials.com/jp/news/58982/traders-say-iranian-oil-enters-china-under-indonesian-labels

日産自動車は、欧州市場での排出権に関して中国のEVメーカーBYDとプーリング契約を締結しました。この提携は、2025年にEUが自動車メーカーに課す二酸化炭素排出量規制の達成を支援することを目的としています。BYDとの提携により、日産は欧州における自社車両の排出量とBYDの低排出記録を組み合わせることができます。これにより、日産はEVへの移行を進める中で、罰金を回避することが出来るとしています。
https://carboncredits.com/nissan-partners-with-byd-to-meet-eu-2025-carbon-rules-and-avoid-hefty-fines/

英国金属リサイクル協会(BMRA)と業界17社が、議論となっている英国からの鉄スクラップの輸出規制に反対する書簡を政府に送付しました。 シェフィールド大学の報告書によると、最悪のシナリオでは2万人以上の雇用が失われ、輸出額の1%減少で5年間に1億2100万ポンドの経済損失が発生します。 特に最大輸出先のトルコへの輸出規制は21億6000万ポンドの損失と6834人の雇用喪失を、非OECD諸国への輸出阻止は49億ポンドの損失と2万317人の雇用喪失をもたらすとされています。 業界関係者は、規制が中小企業を中心とする金属リサイクル産業全体に甚大な影響を及ぼすと警告しています。
https://recyclinginternational.com/commodities/ferrous-metal-recycling/uk-warned-steel-scrap-export-restrictions-will-hit-jobs/62392/

ベトナムの鉄鋼メーカーの合併の可能性が報じられています。Vinグループの子会社ビンメタルが赤字の鉄鋼メーカーポミナを買収する可能性があります。ポミナは年間150万トンの建設用鋼圧延工場を保有していますが、100万トンの高炉は技術的課題により長期停止中で、2023年以降累計で約2兆4000億ドンの純損失を計上し、負債は6兆ドンに達しています。 買収が実現すれば市場需要の10~11%に相当する生産能力が復活し、ホアファット・グループ等、既存の大手に競争圧力をかける可能性があります。
https://theinvestor.vn/vingroup-subsidiary-vinmetal-may-acquire-loss-making-steel-producer-pomina-broker-d17703.html

ネクススペリア問題が続いています。中国商務省はEUの貿易委員とのビデオ通話で、オランダはネクスペリアに対する差し押さえと、オランダの裁判所が先月中国企業ウィングテックからオランダに拠点を置く半導体メーカーに対する支配権を剥奪した命令を取り消すべきだという立場を改めて表明しました。オランダ政府はネクスペリア社の差し押さえを一時停止すると決定しましたが、介入の完全撤回を求める中国の要求には完全には対応していません。ネクスペリアの中国親会社であるウィングテック・テクノロジーは、オランダの半導体メーカーであるネクスペリア本社に協議を申し入れたものの、有意義な回答は得られていないと述べています。
https://money.usnews.com/investing/news/articles/2025-11-26/china-repeats-call-for-dutch-takeover-of-nexperia-to-be-cancelled

スウェーデンのグリーン鉄鋼Stegra(旧H2グリーンスチール)は、スウェーデン政府から追加の多額援助を受けると発表しました。既に資金繰りに苦労しており、政府援助に頼らざるを得ない現状が露呈しています。11月初旬にStegraの大株主であるフランスの投資ファンドHy24は、生産コストの増加を相殺する為に政府に介入するよう求めていました。 Stegraの財務状況はここ数ヶ月厳しい監視の目にさらされており、専門家達はスウェーデンのグリーン産業ブームをかつて牽引したバッテリーメーカー、ノースボルトと比較し始めています。この会社が失敗した場合、既に多くの鉄鋼メーカーが撤退し始めている水素還元DRIによるグリーン鉄プロジェクトは世界的に大きな痛手となると言われています。
https://infra.economictimes.indiatimes.com/news/construction/swedish-steel-startup-stegra-gets-more-state-aid/125605987?utm_source=latest_news&utm_medium=homepage

米国政権と台湾当局は、TSMCを含む台湾半導体メーカーに対する新たな関税導入を回避する為の交渉で大筋合意に達しました。台湾側が米国内の半導体製造工場向けに米国人労働者の育成プログラムを提供し、技術移転を加速させることを条件に、トランプ大統領が示唆していた20%の輸入関税を免除、又は大幅に引き下げる方向で調整が進んでいます。この合意はAIインフラやEVバッテリー制御システムに不可欠な先端チップの調達コスト急騰を懸念していた米国のテクノロジーおよび自動車産業にとって安堵材料となります。一方で、中国との「技術戦争」が激化する中、台湾への依存度管理と米国内のエコシステム構築の両立が求められる新たな局面に入りました。
https://table.media/en/china/news-en/semiconductor-agreement-tsmc-to-train-skilled-workers-in-return-for-us-tariff-cuts

BHPグループによる買収の試みが最終的に頓挫したことを受けて、アングロ・アメリカンとテック・リソーシズの530億ドル規模の合併に向けた動きが加速しています。11/26にカナダ政府は投資カナダ法に基づく、この合併案の審査を開始すると発表しました。12/9に予定されている株主投票を前に、BHPがアングロの買収を断念したことで、銅生産量で世界トップクラスの巨大企業が誕生する道が開かれました。この合併は、エネルギー転換に不可欠な銅の安定供給を確保したい西側諸国の資源安全保障戦略と合致しますが、規制当局による独占禁止法の審査や、南米・アフリカにおける資産の切り離しプロセスが今後の焦点となります。
https://www.mining.com/web/the-three-days-when-bhp-tried-to-crash-a-copper-mining-mega-deal/

中国で銀在庫が急減しています。産業用需要の急増で市場リスクが浮上し始めています。11/26のデータによると、中国国内の銀在庫が過去数年間で最低水準にまで落ち込んでいます。太陽光発電(PV)パネルの設置ブームやAIサーバー等の電子機器製造における銀ペーストの需要が爆発的に増加している一方、輸入や国内生産が追いついていない事が主因です。銀は工業用金属としての側面と投資用資産としての側面を併せ持ちますが、現在の在庫逼迫は実需主導であり、価格に強力な上昇圧力をかけています。中国市場でのプレミアム上昇は国際価格にも波及し始めており、特に太陽光パネルメーカーや半導体パッケージング業界の利益率を圧迫する懸念があります。
https://www.energyconnects.com/news/oil/2025/november/silver-stockpile-slump-in-china-poses-fresh-risk-to-a-hot-market/



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