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NEWSCONの気になるNEWS(2025年11月第3週)

中国の輸出規制により、イットリウムの供給が危機的に不足しています。イットリウムは、電気自動車モーター、風力タービン、軍事用途に使用される永久磁石の製造に不可欠です。この供給不足は、自動車メーカーから半導体メーカーまで、次世代技術の為にこれらの材料に依存する企業に影響を及ぼしています。トランプ・習近平会談後の数週間の交渉にも関わらず、中国と米国はレアアース貿易について合意に達しておらず、北京は軍事関連団体への輸出制限の姿勢を維持しています。業界アナリストは、現在の在庫は3〜6ヶ月しか持たないと警告しており、メーカーは代替供給源を確保するか、生産停止に直面することになります。この危機は、西側諸国のサプライチェーンの戦略的脆弱性を浮き彫りにし、国内でのレアアース処理能力開発の取り組みを加速させています。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-11-14/china-and-us-still-to-agree-on-rare-earth-deal-weeks-after-talks

欧州のプラスチックリサイクル業界は「深刻化する危機」に突入しています。プラスチック・リサイクラーズ・ヨーロッパの業界レポートによると、売上高は記録的な最大の下落で5.5%減少しました。同部門の2024年の総設備容量は1,350万トンで、EU の包装及び包装廃棄物規制(PPWR)の目標達成に必要な年間6%の成長を大きく下回っています。欧州のプラスチック協会は、雇用、企業、欧州の環境進歩を守る為に、EU及び各国の政策による即座の対応を求めました。欧州委員会の介入がなければ、サーキュラーエコノミー規制が完全に施行される前に欧州のリサイクルインフラが崩壊すると警告しています。
https://www.icis.com/explore/resources/news/2025/11/14/11155603/european-commission-preparing-winter-package-to-aid-the-circular-economy/

インド政府は2025年11月12日に歴史的な2506億ルピー(5+億ドル)の輸出促進ミッションを承認しました。主な内容は、輸出業者、特に中小零細企業に100%の信用保証を提供する20,000億ルピーの信用保証制度の確立、輸出融資の信用期間を270日から450日に延長(2026年3月まで)、世界的な関税の打撃を受けたセクター(繊維、エンジニアリング製品、金属)への優先支援​、目標設定:輸出1兆ドルを達成です。この政策転換は、インドが2025年10月に純鉄鋼輸出国に転じ、輸出が前年比44.8%増加したことを受けて行われました。またベトナムの鉄鋼製品に5年間の反ダンピング関税を課しました。
https://www.pib.gov.in/PressReleseDetailm.aspx?PRID=2189381

中国の10月の経済指標は明暗が分かれる結果となりました。固定資産投資は前年比1.7%減と、1~9月の0.5%減から悪化し、市場予想の0.71%減を下回りました。一方、消費動向を示す小売売上高は前年比2.9%増となり、予想の2.73%を上回りましたが、9月の3%増からはやや鈍化しました。8日間の大型連休期間中の小売・飲食売上高は前年比2.7%増にとどまり、2024年の4.5%増から大きく減速しています。国家統計局の付凌暉報道官は、経済は「概ね安定している」としながらも、外部環境の不確実性が高く、国内の構造調整には大きな圧力が掛かっており、安定的な経済発展には複数の課題があると警告しました。米中首脳会談を控えた時期における不安定な経済状況を反映した結果となっています。
https://www.scmp.com/economy/economic-indicators/article/3332722/chinas-economy-posts-mixed-results-october-fixed-asset-investment-declines-further?module=top_story&pgtype=homepage

CATLとHyperStrongが業界史上最大級のエネルギー貯蔵用のバッテリー契約を締結しました。HyperStrongは2026年1月から2028年12月までの間に最低でも200GWhのバッテリーセルをCATLから調達することを保証しました。EV分野での契約方式を踏襲していますが、貯蔵用バッテリーの為、量が非常に大きなものとなります。モルガン・スタンレーのアナリストは、年間換算量がCATLの2025年ESS販売予測の約半分に相当すると推定しています。CATLは2025年10月までに42.7%の市場シェアを持ち、年初来246.8GWhを出荷して世界首位の地位を保っています。
https://www.ess-news.com/2025/11/14/catl-hyperstrong-sign-massive-200-gwh-battery-supply-agreement-for-energy-storage/

米国政権は先週末に物価引き下げ措置に取り組んだと発表しました。どの関税が影響を受けるかを明示していません。11/14に発行された大統領令は、アルミ、鋼材、銅に関する特定の関税を停止しましたが、実施の詳細は不明のままです。 米国上院は10月にトランプのブラジルに対する関税を覆す法案を可決しており、ますます複雑化する関税構造に対する議会の反発を示しています。 オックスフォード・エコノミクスの調査では、2025年11月時点で米国に入る中国製品に対する実効関税率は29.3%とされており、ピーク時の37%から低下し、米中貿易緊張の一部緩和を反映しています。
https://www.msn.com/en-ca/money/topstories/us-trade-chief-says-trump-now-ready-to-issue-tariff-exemptions-on-some-food-products/ar-AA1QrIui?ocid=BingNewsVerp

EU のアルミニウム供給不足は11月に入り深刻な状況となっています。Century Aluminumが運営するアイスランドのGrundartangi工場が10月後半の電気インフラ障害により生産量を2/3削減し、年間32万トンの生産能力から約21.3万トンを削減しました。 欧州の一次アルミニウム生産は近年大幅に縮小し、EU全体で必要量の約2/3を輸入せざるを得なくなっています。EUは10/20にCBAM規則の修正を官報で公表し、年間50トンの免除基準を導入しました。これにより約18.2万の輸入業者(主に中小企業)が免除されると予想される一方、対象範囲内の排出量の99%以上はカバーされます。 回復のタイムラインは長期化しており、Grundartangiの変圧器交換には11〜12ヶ月を要する為、CBAM完全実施と重なる2025年後半まで供給制約が続くと予想されています。
https://discoveryalert.com.au/eu-aluminum-supply-shortage-disruptions-2025/

ウクライナのゼレンスキー政権が1億ドル規模の汚職スキャンダルで揺れています。国営原子力企業エネルゴアトムに関わる横領事件で、15ヶ月間の捜査の結果、ゼレンスキー大統領のかつてのビジネスパートナーであるティムール・ミンディッチ氏が首謀者として名指されました。 契約業者に最大15%のキックバックを要求し、不正資金をダミー会社経由でマネーロンダリングしていた疑いがあります。 エネルギー相と法務相の2名が辞任し、ミンディッチ氏は国外に逃亡しました。 ゼレンスキー大統領は土曜日にエネルギー部門の大幅な改革を発表し、戦時下での汚職撲滅に向けた対応を迫られています。
https://timesofindia.indiatimes.com/world/europe/zelenskyy-government-shaken-by-100-million-corruption-scandal-as-top-officials-resign/articleshow/125364328.cms

中国のバッテリー輸出は2025年に過去最高水準に達し、前年比24%急増しました。輸出はEV、グリッド規模の蓄電システム、携帯型電力アプリケーションを含みます。業界関係者によると、中国のメーカーは、リチウム処理、陰極生産、セル製造を統括する垂直統合によって、西側の競合他社より30〜40%低い価格を提供しています。主要な輸出先はヨーロッパ(45%)、東南アジア(25%)、北米(20%)であり、アフリカやラテンアメリカの新興市場では採用が加速しています。西側のバッテリーメーカーは、政府が国内産業を守る為の貿易措置を評価する中で、コスト競争の圧力が高まっています。関係者は、関税、現地産物の要件、補助金等、世界的なバッテリー取引の流れを変える可能性のある政策対応を注視する必要があります。
https://www.reuters.com/markets/commodities/bess-boom-chinas-battery-exports-charge-new-highs-2025-11-18/

最近のコバルト価格の急上昇は、EVメーカーにLPFの選択を加速させています。コバルトは、2月下旬に実施されたコンゴ民主共和国の輸出制限を受けて、価格が140%も急騰しました。中国のニッケル・マンガン・コバルト(NCM)前駆体メーカーは、従来の割引をスポットコバルト硫酸塩価格に対して10%から5%に体系的に再構築し、割引許容度を50%削減することで実質的に利益率を拡大しています。CATL、BYD、EVE Energy等の中国のバッテリーメーカーは、自動車顧客とNCM前置物コストの引き上げを交渉しており、2026年第2四半期の納車時には価格が15〜20%にまで引き上げられています。この状況は、収益性に影響を与えるバッテリーコストの上昇を吸収するか、リスクを消費者に転嫁するか、コバルトフリーリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーの採用を加速するかというジレンマを生み出しています。
https://discoveryalert.com.au/cobalt-price-surge-chinese-battery-makers-2025/

中国自動車工業協会(CAAM)が11月16日に発表したデータによると、中国の新エネルギー車(NEV)輸出台数は2025年10月に25万6,000台に達し、前年同期比99.9%の増加を示しています。データは、NEVが現在中国の自動車輸出成長の主要な原動力であることを示しており、これは海外での電気自動車、及びプラグインハイブリッド車の需要増加と国内生産能力の拡大に牽引されています。国内NEVの販売は10月に中国の自動車市場全体の50%を超え、輸出の勢いと共に国内市場の強い支持を示しました。この輸出急増は、特にリチウム、ニッケル、コバルト、銅、レアアース元素等、バッテリーやモーターの生産に使われるコモディティに大きな影響を与えます。西側諸国、及び日本の自動車メーカーは競争圧力の激化に直面しており、関税、現地含有量の要件、主要市場での補助金対策に関する政策議論が促されています。
https://www.kusakveyol.org/en/significant-increase-in-electric-vehicle-production-and-sales-in-china/

欧州委員会は欧州アルミニウムサミットにおいて、アルミニウムスクラップの輸出制限に関する準備作業を発表し、2026年春の採択を見込んでいます。この措置は、米国関税によって急増するスクラップ輸出に対応するもので、EUと英国は2024年に合わせて約160万トンのアルミニウムスクラップを輸出しており、2019年比で60%増加しています。完全な輸出禁止は検討外ですが、欧州委員会はパブリックコンサルテーション後に関税、又は割当制度を検討しています。欧州アルミニウムの事務局長は、現在の輸出量を「市場の失敗の定義そのもの」と特徴づけました。この3年間の措置は、トランプ大統領の一次アルミニウム輸入品への50%関税を回避しようとする米国のバイヤーとの競争激化に直面しているEUのリサイクル業者や半製品メーカーに対して、十分な国内供給を確保することを目的としています。
https://www.reuters.com/business/eu-plans-curb-exports-aluminium-scrap-2025-11-18/

EUはフェロマンガン、シリコマンガン、フェロシリコン、フェロシリコマグネシウムに対して、関税割当制度(TRQ)と変動関税を組み合わせたセーフガード措置の導入を可決、即日実施を行い、2028年11月まで継続します。この措置は、輸入を約25%削減することを目的としています。製品別・国別の割当内の輸入は無税で入域しますが、割当を超える量には、設定された価格閾値と実際の価格との差額として計算される変動関税が課されます。トレーダーは関税が通関時にのみ決定される為「実際の価格交渉に含めることは不可能」と警告しています。市場関係者は、実務的な実施詳細が明確になるまで取引がほぼ停止していると報告しています。
https://eurometal.net/eu-proposes-trq-to-reduce-ferro-alloy-imports-by-25-percent/

中国国家統計局のデータは10月の工業付加価値成長率が4.9%に急激に減速し、固定資産投資が12.2%低下し、5ヶ月連続の減少となったことを明らかにしました。小売売上高の成長は数ヶ月ぶりの低水準である2.9%に減速しましたが、これは自動車販売の6.6%急落に大きく影響されました。自動車を除くと、小売売上高は4.0%増加しました。輸出は9月の好調なパフォーマンスの後1.1%減少し、不動産投資は14.7%縮小し、経済に大きな足枷となり続けています。逆にハイテク製造業の生産は7.2%成長し、設備製造業は8.0%上昇し、新エネルギー車は19.3%増加しました。当局は経済が通年の「5%前後」の成長目標を達成する軌道に乗っていると主張しており、大規模な刺激策ではなく、的を絞った支援の継続を示唆しています。金属市場にとって、このデータは建設関連の鉄鋼とアルミニウム需要の持続的な弱さを示す一方で、EVとハイテクセクターが特殊金属の消費を牽引し続けることを示しています。
https://www.china-briefing.com/news/chinas-economy-in-october-2025/

EUは2026年から適用される炭素国境調整メカニズム(CBAM)について、インドの免除要求を拒否する方針です。CBAMは製造時の炭素排出量に応じた関税で、インドの鉄鋼輸出業者には約3億5000万ドルの負担が見込まれます。石炭依存のインド製造業は20~35%の税率に直面します。EUはインドの第2位の輸出先で、2023年には約1000億ドルの輸出がありました。インドは独自の輸出税を提案しましたが、EUは排出削減に繋がらないとして却下しました。ただし、インドが国内炭素価格制度を導入すれば課税軽減に応じる用意があるとしています。この合意は10年以上停滞しているEU・インド自由貿易協定の進展にとって重要な鍵となります。
https://www.asiafinancial.com/eu-to-reject-india-demand-for-carbon-tax-exemption-ft

EUと英国は、関係機関を通じてAIと計算モデリングを通じたバッテリー開発を発表しました。プロジェクトは2027年から2029年の間に稼働を開始する予定です。これらのプロジェクトは、最初の10年間で8800万トンのCO2相当削減を目標とし、高度な材料開発、セル製造、リサイクル技術、セカンドライフを実施します。英国とEUの共同イニシアチブは、西側のバッテリーエコシステムを構築し、アジアのサプライヤーへの依存度を削減する為の戦略的な推進を表しています。企業は、これらの公的資金によるプログラムから生まれる技術移転の機会と潜在的なパートナーシップを監視する必要があります。2025年12月に開始される次回のイノベーション基金公募では、追加のプロジェクトが提供されます 。
https://www.innovationnewsnetwork.com/uk-collaboration-to-supercharge-battery-development-with-ai/63843/

COP気候変動会議に多数の幹部を派遣し、大規模なマーケティングを展開していた大企業の多くは、今年のブラジルでのCOP30では最小限の代表団しか送らなくなりました。米国による反ESG政策で気候変動への公約がリスクとなり、2022年のエネルギー危機以降は持続可能性よりエネルギー安全保障が優先されるようになったことが主な理由です。企業の派遣人数は従来の6~7人から2人程度に減少し、厳しい予算管理の中でCOP関連支出の正当化が困難になっています。また、COPの実効性への信頼低下や株主重視の経営回帰により、ユニリーバ等、気候目標を縮小する企業も現れ、企業の姿勢が大きく変化しています。
https://oilprice.com/The-Environment/Global-Warming/Why-Big-Business-Bailed-on-Brazils-Climate-Conference.html

オランダ政府は11/20に中国との話を受けて、9月に国有化した半導体メーカー・ネクスペリアの接収を一時停止すると発表しました。オランダは当初、中国による技術機密へのアクセスを懸念して同社を接収しましたが、中国は10/4に報復措置としてネクスペリア製品の輸出を停止し、ボッシュなどの自動車部品メーカーが代替供給元を探す事態となりました。今回の接収停止は善意の措置とされ、EUも供給チェーン安定化に繋がると歓迎しています。ただし、ネクスペリアの欧州本社と中国親会社ウィングテック間の紛争は継続中で、欧州側が未払いを理由にウェハーの中国への出荷を停止するなど、供給不安は完全には解消されていません。
https://www.automotivelogistics.media/tier-suppliers/dutch-government-suspends-order-seizing-control-of-nexperia-in-attempt-to-resolve-semiconductor-supply-crisis/2140693



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