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NEWSCONの気になるNEWS(2025年8月第4週)
ポルシェはバッテリー製造子会社セルフォースの操業を大部分閉鎖することを決定しました。ドイツ・キルヒェンテリンスフルトの工場では従業員286人の内、約200人が解雇される予定です。ポルシェは2021年にセルフォースに投資し、2023年には完全買収しましたが、今年4月に単独運営の中止を発表していました。BMW等の企業が工場を視察したものの、新たな投資家は見つかっていません。この事業閉鎖により、ポルシェは2億9500万ユーロの損失を計上したとされています。8月25日には全従業員を対象としたタウンホールミーティングが開催され、ポルシェの最高開発責任者が説明を行う予定です。この決定は、同社が推進するEV戦略における根本的な課題を浮き彫りにしており、ポルシェのEV事業の今後に大きな影響を与えそうです。
▶ https://www.euronews.com/business/2025/08/21/germanys-porsche-is-closing-battery-subsidiary-cellforce-reports-say
かつて世界で最初にネットゼロの鉄鋼会社となると宣言したインドのグプタ家が率いる英国のリバティ・スチールは、遂に一部を英国政府の管理下に置かれる事になりました。ロンドン高等法院の判事は、同社を「絶望的に支払不能」と評して強制清算を承認しました。政府任命の清算人とコンサルタント会社テネオの管理下に置かれます。政府は買い手を探す間、事業継続費用を負担します。これは4月のブリティッシュ・スチール介入に続く、鉄鋼業界への2度目の政府介入となります。リバティ・スチールは、2021年に破綻したグリーンシル関連で事業再編を進めているGFGアライアンス傘下にあります。
▶ https://www.reuters.com/world/uk/uk-government-take-over-liberty-steel-division-after-collapse-2025-08-21/
世界の大手銀行がネットゼロ目標から撤退しています。ゴールドマン・サックス、JPモルガン、HSBC、バークレイズ等が国連のネットゼロ・バンキング・アライアンスから相次いで脱退しました。この動きの背景には、米国のESG軽視とパリ協定離脱があります。現大統領はESG投資を「米国企業への攻撃手段」と位置づけ、ウォール街のグリーンファイナンスからの撤退を加速させました。また、株主からの圧力、コスト削減、規制上の課題も要因となっています。専門家は、ESG取組が中途半端で具体的なビジネス価値を示せなかったことが撤退の主因と指摘しています。HSBCは炭素クレジットデスクの設置を棚上げし、バークレイズは役員ボーナス制度から気候目標を削除する等、各行が気候変動対策を後退させています。これにより、銀行の気候変動約束が単なるマーケティング以上のものだったのかという疑問が生じています。
▶ https://oilprice.com/Energy/Energy-General/Why-the-Worlds-Biggest-Banks-Are-Ditching-Net-Zero-Goals.html
メルセデス・ベンツはTSRグループと共同で、ドイツ北西部に使用済み車両回収のパイロット拠点を開設しました。2025年夏に開始されるこの「アーバンマイニング」プロジェクトは、循環型リサイクルシステムの構築を目指します。このプロセスでは、あらゆるブランドの車両を解体し、有害物質や再利用可能な部品を取り除いた後、鋼鉄、アルミニウム、プラスチック、銅、ガラス等の材料をTSRの革新的技術で処理します。処理された高品質な二次原材料は、厳選されたサプライヤーを通じて生産チェーンに再供給されます。メルセデス・ベンツは「アンビション2039」戦略に基づき、2035年迄に車両におけるリサイクル材の割合を40%に引き上げる計画です。このプロジェクトでは素材品質が損なわれる「ダウンサイクル」を回避し、高品質な資源を将来のモデルで再利用することを目指しています。
▶ https://speedme.ru/en/posts/id58-mercedes-benz-and-tsr-launch-urban-mining-project-for-car-recycling-in-germany
パウエルFRB議長はジャクソンホールでの講演で、9月に利下げの可能性を示唆しましたが、確約はしませんでした。これにより、市場は大きく反応しています。現行の高金利政策はインフレ抑制の為ですが、雇用市場の減速リスクが強まっており、政策修正の必要性を認めました。関税による物価上昇は一時的かもしれない一方、持続的なインフレ圧力となる懸念もあります。FRBはインフレ抑制と雇用維持という二重の使命の間で難しい判断を迫られており、市場は9月利下げの可能性を高く織り込みました。
▶ https://www.investopedia.com/fed-chair-powell-keeps-september-rate-cut-on-the-table-11795858
中国は希土類の規制を更に強化します。政府は割当制度を国内産だけでなく輸入原料にも拡大しました。企業は輸入分も含めた希土類の流れを政府情報プラットフォームに毎月報告する義務が課され、当局は企業毎の割当量管理と製品トレーサビリティを徹底します。規則遵守を怠った場合は罰則もあります。これにより中国の希土類サプライチェーン管理が一層厳格化し、原材料管理の主導権を強める政策変化となっています。今回の規制は2025年生産割当の非公示設定や輸出制限強化等、一連の措置と連動し、世界供給に広範な影響を及ぼしています。
▶ https://www.scmp.com/economy/china-economy/article/3322918/china-tightens-rare-earth-rules-extending-controls-imported-minerals
西側諸国の希土類の調達は新たなステージとなり、投資家はそこにプレミアを期待しています。中国による希土類元素の輸出規制強化とライセンス制度導入の影響で、OEM各社はサプライチェーンの見直しを急いでいます。特にEVや電子機器メーカーは、供給停滞や材料不足に直面し、代替技術や他国産資源への切替に積極的に取り組み始めています。中国への依存リスクが顕在化したことで、米欧を中心に鉱業や精錬など国内投資も増加していますが、コストや即効性に課題を抱えています。今や希土類調達の多様化は重大な「経営課題」となり、業界全体でサプライチェーン戦略の転換が加速しています。
▶ https://miningdigital.com/news/oem-diversifying-rare-earth-element-sourcing
欧州では核兵器の抑止力に対するスタンスが現実路線へと大きな変化を見せ始めています。英国とフランスが署名したノースウッド宣言は、両国が核戦力の運用面で初めて緊密な連携を行うことを明記した歴史的合意です。この宣言は、欧州への極度な脅威に対して共に迅速な対応を取る意志を示し、協働する核運営グループの設置など具体策も盛り込まれました。背景にはロシアの核態勢強化や米国による拡大核抑止への信頼低下があり、英仏独自の抑止力強化が欧州安全保障を補完する目的があります。欧州では、核による威嚇行為に対抗するには、同じ土俵に乗らざるを得ないという極めて現実的な選択を取らざるを得ないという考えが浸透しつつあります。今後は、共同演習など実効性のある協力が課題となります。
▶ https://www.euractiv.com/section/politics/opinion/europes-nuclear-gap-why-london-and-paris-must-go-further/
ドイツとカナダは重要原材料の採掘協力を強化すると発表しました。この措置はドイツの脱中国化戦略の一環で、ドイツの首相は中国に対する強硬姿勢を示しています。中国は重要原材料の主要供給国ですが、4月以降希土類元素の輸出規制を強化しており、サプライチェーンの脆弱性が高まっています。カーニー・カナダ首相は「カナダはドイツと欧州の多様化を加速できる」と述べました。カナダは34種類の重要原材料を保有し、その内24種類がEUにとって重要な鉱物です。この協定は既存のEU・カナダ戦略的パートナーシップを基盤とし、防衛協力も強化されます。カナダは潜水艦調達でドイツ・ノルウェー連合を候補に挙げており、集団安全保障強化のメッセージとなります。
▶ https://www.euractiv.com/section/politics/news/germany-canada-secure-critical-minerals-pact-to-cut-reliance-on-china/
今年3月に英国政府が発効した「Simpler Recycling」規則により、特に金属リサイクルの流れに若干の変化をもたらす可能性が指摘されています。この規則では、企業と公的機関に厳格な廃棄物分別を義務付けます。10人以上の従業員を持つ全ての企業は、プラスチック、ガラス、金属、紙、食品廃棄物を一般廃棄物から分離しなければなりません。小規模事業者も2027年迄にはこの規則を準拠する必要があります。法律はまた、アルミニウムやその他の金属を乾式混合リサイクルとして別々に収集することを要求しています。当局であるDEFRAは更にデジタル廃棄物追跡と厳格な廃棄監査を計画し、廃棄物犯罪と戦い、コンプライアンス違反には金銭的ペナルティを科す見込みです。この改革は2026年3月に家庭ゴミにも拡大され、イングランド全体で収集を標準化してリサイクル率を向上させ、汚染を減らす計画です。
▶ https://www.biffa.co.uk/support-resources/simpler-recycling/legislation
ベトナム国家銀行(SBV)は外国為替市場に介入し、急速な為替レート上昇に対抗する為に1ドル26,550ベトナムドンで180日のキャンセル可能先物契約を通じてドルを売却しました。介入により市場は反応し、USD/VNDレートは商業銀行で1ドルあたり46-124ベトナムドン下落、銀行間市場では103ベトナムドン下がり、26,330ベトナムドンで終了しています。今回の介入は、2024-2025年で3回目となります。この動きは、ロシア石油購入を理由としてトランプがインドに50%の二重関税と二次関税を課したことによるアジア通貨への広範な圧力を反映しています。アジア通貨指数は米国の軟調な雇用データがFEDの利下げ期待を再燃させた為、6月以来最高の週となる見込みです。
▶ https://vietnamnews.vn/economy/1724009/sbv-s-intervention-cools-foreign-exchange-market.html
オーストラリア政府は、州及び準州政府と共同で「太陽光パネルの再利用・リサイクルの為の全国的なプログラム」を策定することで合意しました。計画されているこの義務化制度は、太陽光発電モジュールの耐用年数前の廃棄、埋め立て、貯蔵、輸出を防ぐことです。ニューサウスウェールズ州(NSW)政府は先週、モジュールは再利用またはリサイクルされることになると発表しました。NSW州は既にバッテリーについても同様の制度を策定中です。ニューサウスウェールズ州政府のプレスリリースによると、オーストラリアにおける太陽光パネル廃棄物の年間排出量は2025年の59,340トンから2030年には91,165トンへとほぼ倍増すると予想されています。当初は都市部で発生量の大部分を占めますが、大規模な太陽光発電施設の設置による廃棄物量の増加は2030年以降に顕著になる見込みです。
▶ https://www.nsw.gov.au/ministerial-releases/nsw-leads-way-towards-national-solar-panel-reuse-and-recycling-scheme
磁石と重要金属を巡り、米国が大きく動いています。米国地質調査所(USGS)と内務省は重要鉱物の最新リストを発表し、国家安全保障を支える金属の重要性が高まっていることを強調しました。カリウム、シリコン、銅、銀、レニウム、鉛の6つの鉱物をリスク順にリストアップし、ヒ素とテルルの2つの鉱物を削除することを推奨しています。銀がリストに加わったことは重要です。伝統的な貴金属である銀は電気伝導体の 1 つでもあります。銀はソーラーパネル、バッテリー、電子機器に不可欠な材料であるだけでなく、産業に不可欠な金属です。
▶ https://carboncredits.com/u-s-releases-new-draft-critical-minerals-list-silver-and-copper-join-the-clean-energy-race/
トランプ大統領は中国が米国への希土類磁石の供給を停止した場合、中国からの輸入品に対して最大200%の関税を課す可能性があると警告しました。8月25日の記者会見で表明したもので、サプライチェーンの緊張が続いている中での発言です。希土類磁石は生産の約90%を中国が占めています。米国は最近、中国政府と規制緩和の合意を行い、レアアースの輸出再開への道筋を模索していますが、トランプ政権は「中国は供給責任を果たさなければ米国のテクノロジー市場から排除される」と厳しい姿勢を強調しています。これにより、関税措置や規制強化が米中貿易協議の焦点となり、世界の金属・テクノロジー業界の調達・価格動向に大きな影響が及ぶ見通しです。
▶ https://qz.com/trump-china-tariffs-rare-earth-magnets-digital-trade
原油価格の下落予測が続いています。ゴールドマン・サックスは、原油の供給過剰により2026年末迄にブレント原油価格が1バレル当たり50ドル台前半まで下落すると予測しました。アナリストは顧客向けメモで、2025年第4四半期から2026年第4四半期にかけて日量約180万バレルの原油余剰が拡大し、世界の在庫は8億バレル近く増加すると説明しています。この供給過剰予測は、国際エネルギー機関(IEA)の見通しとも一致しており、今年の供給増加が最大210万バレル/日に対し、需要は70万バレル/日の控えめな伸びにとどまるとされています。OECD諸国の在庫増加と需要減退が価格下落要因として挙げられており、現在70ドル台半ばで推移するブレント原油の適正価格が大幅に下方修正される見込みです。
▶ https://www.reuters.com/business/energy/goldman-sachs-expects-brent-decline-low-50s-by-late-2026-2025-08-27/
米国のEV販売は2025年8月に記録的な12.8%のシェアを達成し、前年同月比3.2%増となる見込みです。この急増は、9月末に期限切れとなる7,500ドルのEV税額控除の廃止を前に購入希望者が駆け込み需要を示しているためです。トランプ大統領が7月に共和党支持の電気自動車税控除法案に署名したことで、連邦政府のEV支援が終了することになりました。しかし、アナリストは税額控除期限後にEV販売が再び低迷する可能性を警告しており、2026年にかけて「反動」が現れる可能性が高いとしています。一方で、業界関係者は長期的にはEVの技術的優位性と充電インフラの拡充により成長が続くと楽観視していますが、米国のEV普及率は約8%にとどまり、世界平均の25%を大きく下回っています。
▶ https://www.wired.com/story/us-ev-sales-are-booming-not-great-for-evs/
EU循環経済法の協議が重要局面を迎えています。欧州委員会による次期循環経済法案の協議は2025年11月6日まで継続中で、現在11.8%のEUの循環率を倍増させることを目標としています。同法案は二次原材料(リサイクル材)の「単一市場」を確立し、循環商品の公共調達に義務的基準を導入します。主要条項には廃棄物の終了基準の改革と生産者責任制度の拡大が含まれ、特に年間2%成長にも関わらず40%しかリサイクルされていない電子廃棄物を対象としています。この法律は欧州の輸入重要原材料への依存軽減を目指し、企業に2026年までの循環経済への準拠を要求します。
▶ https://environment.ec.europa.eu/strategy/circular-economy-action-plan_en
▶ https://www.euronews.com/business/2025/08/21/germanys-porsche-is-closing-battery-subsidiary-cellforce-reports-say
かつて世界で最初にネットゼロの鉄鋼会社となると宣言したインドのグプタ家が率いる英国のリバティ・スチールは、遂に一部を英国政府の管理下に置かれる事になりました。ロンドン高等法院の判事は、同社を「絶望的に支払不能」と評して強制清算を承認しました。政府任命の清算人とコンサルタント会社テネオの管理下に置かれます。政府は買い手を探す間、事業継続費用を負担します。これは4月のブリティッシュ・スチール介入に続く、鉄鋼業界への2度目の政府介入となります。リバティ・スチールは、2021年に破綻したグリーンシル関連で事業再編を進めているGFGアライアンス傘下にあります。
▶ https://www.reuters.com/world/uk/uk-government-take-over-liberty-steel-division-after-collapse-2025-08-21/
世界の大手銀行がネットゼロ目標から撤退しています。ゴールドマン・サックス、JPモルガン、HSBC、バークレイズ等が国連のネットゼロ・バンキング・アライアンスから相次いで脱退しました。この動きの背景には、米国のESG軽視とパリ協定離脱があります。現大統領はESG投資を「米国企業への攻撃手段」と位置づけ、ウォール街のグリーンファイナンスからの撤退を加速させました。また、株主からの圧力、コスト削減、規制上の課題も要因となっています。専門家は、ESG取組が中途半端で具体的なビジネス価値を示せなかったことが撤退の主因と指摘しています。HSBCは炭素クレジットデスクの設置を棚上げし、バークレイズは役員ボーナス制度から気候目標を削除する等、各行が気候変動対策を後退させています。これにより、銀行の気候変動約束が単なるマーケティング以上のものだったのかという疑問が生じています。
▶ https://oilprice.com/Energy/Energy-General/Why-the-Worlds-Biggest-Banks-Are-Ditching-Net-Zero-Goals.html
メルセデス・ベンツはTSRグループと共同で、ドイツ北西部に使用済み車両回収のパイロット拠点を開設しました。2025年夏に開始されるこの「アーバンマイニング」プロジェクトは、循環型リサイクルシステムの構築を目指します。このプロセスでは、あらゆるブランドの車両を解体し、有害物質や再利用可能な部品を取り除いた後、鋼鉄、アルミニウム、プラスチック、銅、ガラス等の材料をTSRの革新的技術で処理します。処理された高品質な二次原材料は、厳選されたサプライヤーを通じて生産チェーンに再供給されます。メルセデス・ベンツは「アンビション2039」戦略に基づき、2035年迄に車両におけるリサイクル材の割合を40%に引き上げる計画です。このプロジェクトでは素材品質が損なわれる「ダウンサイクル」を回避し、高品質な資源を将来のモデルで再利用することを目指しています。
▶ https://speedme.ru/en/posts/id58-mercedes-benz-and-tsr-launch-urban-mining-project-for-car-recycling-in-germany
パウエルFRB議長はジャクソンホールでの講演で、9月に利下げの可能性を示唆しましたが、確約はしませんでした。これにより、市場は大きく反応しています。現行の高金利政策はインフレ抑制の為ですが、雇用市場の減速リスクが強まっており、政策修正の必要性を認めました。関税による物価上昇は一時的かもしれない一方、持続的なインフレ圧力となる懸念もあります。FRBはインフレ抑制と雇用維持という二重の使命の間で難しい判断を迫られており、市場は9月利下げの可能性を高く織り込みました。
▶ https://www.investopedia.com/fed-chair-powell-keeps-september-rate-cut-on-the-table-11795858
中国は希土類の規制を更に強化します。政府は割当制度を国内産だけでなく輸入原料にも拡大しました。企業は輸入分も含めた希土類の流れを政府情報プラットフォームに毎月報告する義務が課され、当局は企業毎の割当量管理と製品トレーサビリティを徹底します。規則遵守を怠った場合は罰則もあります。これにより中国の希土類サプライチェーン管理が一層厳格化し、原材料管理の主導権を強める政策変化となっています。今回の規制は2025年生産割当の非公示設定や輸出制限強化等、一連の措置と連動し、世界供給に広範な影響を及ぼしています。
▶ https://www.scmp.com/economy/china-economy/article/3322918/china-tightens-rare-earth-rules-extending-controls-imported-minerals
西側諸国の希土類の調達は新たなステージとなり、投資家はそこにプレミアを期待しています。中国による希土類元素の輸出規制強化とライセンス制度導入の影響で、OEM各社はサプライチェーンの見直しを急いでいます。特にEVや電子機器メーカーは、供給停滞や材料不足に直面し、代替技術や他国産資源への切替に積極的に取り組み始めています。中国への依存リスクが顕在化したことで、米欧を中心に鉱業や精錬など国内投資も増加していますが、コストや即効性に課題を抱えています。今や希土類調達の多様化は重大な「経営課題」となり、業界全体でサプライチェーン戦略の転換が加速しています。
▶ https://miningdigital.com/news/oem-diversifying-rare-earth-element-sourcing
欧州では核兵器の抑止力に対するスタンスが現実路線へと大きな変化を見せ始めています。英国とフランスが署名したノースウッド宣言は、両国が核戦力の運用面で初めて緊密な連携を行うことを明記した歴史的合意です。この宣言は、欧州への極度な脅威に対して共に迅速な対応を取る意志を示し、協働する核運営グループの設置など具体策も盛り込まれました。背景にはロシアの核態勢強化や米国による拡大核抑止への信頼低下があり、英仏独自の抑止力強化が欧州安全保障を補完する目的があります。欧州では、核による威嚇行為に対抗するには、同じ土俵に乗らざるを得ないという極めて現実的な選択を取らざるを得ないという考えが浸透しつつあります。今後は、共同演習など実効性のある協力が課題となります。
▶ https://www.euractiv.com/section/politics/opinion/europes-nuclear-gap-why-london-and-paris-must-go-further/
ドイツとカナダは重要原材料の採掘協力を強化すると発表しました。この措置はドイツの脱中国化戦略の一環で、ドイツの首相は中国に対する強硬姿勢を示しています。中国は重要原材料の主要供給国ですが、4月以降希土類元素の輸出規制を強化しており、サプライチェーンの脆弱性が高まっています。カーニー・カナダ首相は「カナダはドイツと欧州の多様化を加速できる」と述べました。カナダは34種類の重要原材料を保有し、その内24種類がEUにとって重要な鉱物です。この協定は既存のEU・カナダ戦略的パートナーシップを基盤とし、防衛協力も強化されます。カナダは潜水艦調達でドイツ・ノルウェー連合を候補に挙げており、集団安全保障強化のメッセージとなります。
▶ https://www.euractiv.com/section/politics/news/germany-canada-secure-critical-minerals-pact-to-cut-reliance-on-china/
今年3月に英国政府が発効した「Simpler Recycling」規則により、特に金属リサイクルの流れに若干の変化をもたらす可能性が指摘されています。この規則では、企業と公的機関に厳格な廃棄物分別を義務付けます。10人以上の従業員を持つ全ての企業は、プラスチック、ガラス、金属、紙、食品廃棄物を一般廃棄物から分離しなければなりません。小規模事業者も2027年迄にはこの規則を準拠する必要があります。法律はまた、アルミニウムやその他の金属を乾式混合リサイクルとして別々に収集することを要求しています。当局であるDEFRAは更にデジタル廃棄物追跡と厳格な廃棄監査を計画し、廃棄物犯罪と戦い、コンプライアンス違反には金銭的ペナルティを科す見込みです。この改革は2026年3月に家庭ゴミにも拡大され、イングランド全体で収集を標準化してリサイクル率を向上させ、汚染を減らす計画です。
▶ https://www.biffa.co.uk/support-resources/simpler-recycling/legislation
ベトナム国家銀行(SBV)は外国為替市場に介入し、急速な為替レート上昇に対抗する為に1ドル26,550ベトナムドンで180日のキャンセル可能先物契約を通じてドルを売却しました。介入により市場は反応し、USD/VNDレートは商業銀行で1ドルあたり46-124ベトナムドン下落、銀行間市場では103ベトナムドン下がり、26,330ベトナムドンで終了しています。今回の介入は、2024-2025年で3回目となります。この動きは、ロシア石油購入を理由としてトランプがインドに50%の二重関税と二次関税を課したことによるアジア通貨への広範な圧力を反映しています。アジア通貨指数は米国の軟調な雇用データがFEDの利下げ期待を再燃させた為、6月以来最高の週となる見込みです。
▶ https://vietnamnews.vn/economy/1724009/sbv-s-intervention-cools-foreign-exchange-market.html
オーストラリア政府は、州及び準州政府と共同で「太陽光パネルの再利用・リサイクルの為の全国的なプログラム」を策定することで合意しました。計画されているこの義務化制度は、太陽光発電モジュールの耐用年数前の廃棄、埋め立て、貯蔵、輸出を防ぐことです。ニューサウスウェールズ州(NSW)政府は先週、モジュールは再利用またはリサイクルされることになると発表しました。NSW州は既にバッテリーについても同様の制度を策定中です。ニューサウスウェールズ州政府のプレスリリースによると、オーストラリアにおける太陽光パネル廃棄物の年間排出量は2025年の59,340トンから2030年には91,165トンへとほぼ倍増すると予想されています。当初は都市部で発生量の大部分を占めますが、大規模な太陽光発電施設の設置による廃棄物量の増加は2030年以降に顕著になる見込みです。
▶ https://www.nsw.gov.au/ministerial-releases/nsw-leads-way-towards-national-solar-panel-reuse-and-recycling-scheme
磁石と重要金属を巡り、米国が大きく動いています。米国地質調査所(USGS)と内務省は重要鉱物の最新リストを発表し、国家安全保障を支える金属の重要性が高まっていることを強調しました。カリウム、シリコン、銅、銀、レニウム、鉛の6つの鉱物をリスク順にリストアップし、ヒ素とテルルの2つの鉱物を削除することを推奨しています。銀がリストに加わったことは重要です。伝統的な貴金属である銀は電気伝導体の 1 つでもあります。銀はソーラーパネル、バッテリー、電子機器に不可欠な材料であるだけでなく、産業に不可欠な金属です。
▶ https://carboncredits.com/u-s-releases-new-draft-critical-minerals-list-silver-and-copper-join-the-clean-energy-race/
トランプ大統領は中国が米国への希土類磁石の供給を停止した場合、中国からの輸入品に対して最大200%の関税を課す可能性があると警告しました。8月25日の記者会見で表明したもので、サプライチェーンの緊張が続いている中での発言です。希土類磁石は生産の約90%を中国が占めています。米国は最近、中国政府と規制緩和の合意を行い、レアアースの輸出再開への道筋を模索していますが、トランプ政権は「中国は供給責任を果たさなければ米国のテクノロジー市場から排除される」と厳しい姿勢を強調しています。これにより、関税措置や規制強化が米中貿易協議の焦点となり、世界の金属・テクノロジー業界の調達・価格動向に大きな影響が及ぶ見通しです。
▶ https://qz.com/trump-china-tariffs-rare-earth-magnets-digital-trade
原油価格の下落予測が続いています。ゴールドマン・サックスは、原油の供給過剰により2026年末迄にブレント原油価格が1バレル当たり50ドル台前半まで下落すると予測しました。アナリストは顧客向けメモで、2025年第4四半期から2026年第4四半期にかけて日量約180万バレルの原油余剰が拡大し、世界の在庫は8億バレル近く増加すると説明しています。この供給過剰予測は、国際エネルギー機関(IEA)の見通しとも一致しており、今年の供給増加が最大210万バレル/日に対し、需要は70万バレル/日の控えめな伸びにとどまるとされています。OECD諸国の在庫増加と需要減退が価格下落要因として挙げられており、現在70ドル台半ばで推移するブレント原油の適正価格が大幅に下方修正される見込みです。
▶ https://www.reuters.com/business/energy/goldman-sachs-expects-brent-decline-low-50s-by-late-2026-2025-08-27/
米国のEV販売は2025年8月に記録的な12.8%のシェアを達成し、前年同月比3.2%増となる見込みです。この急増は、9月末に期限切れとなる7,500ドルのEV税額控除の廃止を前に購入希望者が駆け込み需要を示しているためです。トランプ大統領が7月に共和党支持の電気自動車税控除法案に署名したことで、連邦政府のEV支援が終了することになりました。しかし、アナリストは税額控除期限後にEV販売が再び低迷する可能性を警告しており、2026年にかけて「反動」が現れる可能性が高いとしています。一方で、業界関係者は長期的にはEVの技術的優位性と充電インフラの拡充により成長が続くと楽観視していますが、米国のEV普及率は約8%にとどまり、世界平均の25%を大きく下回っています。
▶ https://www.wired.com/story/us-ev-sales-are-booming-not-great-for-evs/
EU循環経済法の協議が重要局面を迎えています。欧州委員会による次期循環経済法案の協議は2025年11月6日まで継続中で、現在11.8%のEUの循環率を倍増させることを目標としています。同法案は二次原材料(リサイクル材)の「単一市場」を確立し、循環商品の公共調達に義務的基準を導入します。主要条項には廃棄物の終了基準の改革と生産者責任制度の拡大が含まれ、特に年間2%成長にも関わらず40%しかリサイクルされていない電子廃棄物を対象としています。この法律は欧州の輸入重要原材料への依存軽減を目指し、企業に2026年までの循環経済への準拠を要求します。
▶ https://environment.ec.europa.eu/strategy/circular-economy-action-plan_en