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NEWSCONの気になるNEWS(2025年6月第1週)

2024年の世界スクラップ消費量は前年比1%減の4億6060万トンとなり、鉄鋼生産量の0.7%減(15.5億トン)を下回る減少幅を示しました。 主要国では韓国が14%減(2250万トン)で最大の落ち込みを見せ、米国3%減(5530万トン)、日本3.2%減(3080万トン)、中国1.9%減(2億970万トン)と続きました。 一方、EUは1.9%増(7660万トン)、インドは微増、トルコは7.5%増(3130万トン)と地域差が顕著です。特筆すべきはトルコで、鉄鋼生産に占めるスクラップ比率が84.8%と主要国最高を記録し、輸入量も6.7%増の2010万トンに達しました。 EUは輸出量11.4%減(1700万トン)となるも、最大輸出国の地位を維持し、米国は9%減(1440万トン)で第2位となりました。 この動向は脱炭素化推進と循環型経済の進展を反映しており、一次原料と二次原料のバランス変化を示唆しています。 鉄鋼業界の持続可能性を追求する中で、地域毎の資源戦略の差異が鮮明になりつつあります。
https://gmk.center/en/news/global-scrap-consumption-in-2024-decreased-to-460-million-tons/

中国の鉄鋼輸出急増がピークを迎えた可能性が高まっています。 2024年の輸出量は1億1100万トンと9年振りの高水準に達しましたが、貿易障壁の強化と国内需要の低迷により、2025年には3%減、2026年には最大3分の1まで急減すると予測されています。 ゴールドマン・サックスは、世界各国で25件以上の反ダンピング調査が進行中であることが最大の抑制要因と指摘。 国内では不動産市場の長期低迷が建設向け鋼材需要を押し下げ、2025年の鉄鋼需要は1.5%減少するとの政府系シンクタンク予測も出ています。鉄鋼業界は深刻な過剰生産能力に直面しており、現状で5000万トン超の余剰が存在し、2030年までに2億5000万トンに拡大するリスクが指摘されています。 これに伴い大商所の鉄鉱石先物価格は99.73ドル/トンまで下落、不動産市場の回復遅れが原材料価格を押し下げる悪循環が生じています。 輸出単価は33.4%下落する一方で数量が急増する「ダンピング輸出」が国際摩擦を悪化させ、米国はEV関連製品を含む関税を100%に引き上げる方針を示しています。業界再編の動きとして、風力発電やEV向けなど新興分野への需要シフトが進みますが、ブルームバーグ・インテリジェンスによれば、これらの分野は従来の建設需要を補えず、2050年までの世界鉄鋼需要はピーク比3分の2に縮小すると予測されます。 中国冶金工業計画研究院は、エネルギー転換部門が2030年に鉄鋼需要の10%を占めるとの見通しを示すものの、生産能力削減無しに持続可能性を確保する道筋は不透明な状況が続いています。
https://agmetalminer.com/2025/05/28/chinas-steel-industry-dumping-recedes/

ゼネラルモーターズ(GM)は、ニューヨーク州トナワンダ工場でのEV用モーター生産への3億ドル投資計画を撤回し、代わりに新型V8エンジン製造に8億8,800万ドルを投資すると発表しました。この投資は単一エンジン工場への投資としてはGM史上最大規模となります。同社は2027年から第6世代V8エンジンの生産を開始予定で、大型トラックやSUV向けに燃費と排出ガス性能の向上を図ります。この戦略転換はEV市場の成長鈍化を受けたもので、米国でのEV販売が4月に5%以上減少している現状を反映しています。一方でGMは、カリフォルニア州の2035年ガソリン車販売禁止規制の撤回に向けて積極的にロビー活動を展開しており、従業員に対して上院議員への働きかけを推奨しています。これは同社が掲げる2035年までの全車EV化目標とは矛盾する動きとなっています。
https://www.gbnews.com/lifestyle/cars/major-car-brand-gm-electric-vehicle-petrol-diesel-funding

GoogleはAIに「全力」を注いでいます。Googleは「AIモード」を発表し、米国ユーザー向けに検索エンジンの新オプションとして展開を開始しました。 この機能は専門家との対話のような体験を提供し、複雑な質問に対してより自然で文脈に応じた回答を生成します。GoogleはAI分野で「垂直統合」戦略を採用し、AIチップ(TPU)からクラウドインフラ、モデル開発、データ収集まで、AIサプライチェーン全体を自社で管理しています。 この統合により、ハードウェアとソフトウェアの最適化が可能となり、50-80%の遅延削減と3-4倍の効率向上を実現しています。OpenAIやAmazonも同様の垂直統合を進めており、業界全体のトレンドです。 しかし、この動向は市場支配力の集中、競争阻害、透明性の欠如といった懸念を生んでいます。 規制当局は独占的慣行や自社優遇の可能性について監視を強化しており、2027年頃には世界は大きく変わり始めると言われています。
https://theconversation.com/google-is-going-all-in-on-ai-its-part-of-a-troubling-trend-in-big-tech-257563

中国鉄鋼協会(CISA)は2025年末迄に全国の粗鋼生産能力の80%が超低排出ガスへのアップグレードを完了すると発表しました。この目標は2019年の「鉄鋼業界における超低排出の実施促進に関する意見」で設定され、製鉄プロセス全体の汚染物質排出に上限を設けることを義務付けています。現在の進捗状況として、4月時点で141社の約5億9,100万トンの生産能力が全工程で超低排出を達成し、47社の1億6,900万トンが部分的に達成しています。中国生態環境部は4月に焼結プロセスの技術仕様を発表し、指導を強化しています。更に中国の鉄鋼業界は3月に国家炭素排出権取引市場に正式に組み入れられ、500社以上の主要排出事業者がカバーされています。これらの取組は炭素排出削減を含む鉄鋼業界の包括的なグリーン化を推進する重要な政策として位置付けられています。
https://www.bigmint.co/insights/detail/china-steel-sector-to-achieve-ultra-low-emission-renovation-feat-by-end-2025-650654

インド中央政府が公布した「国内製造鉄鋼製品政策2025」の改訂版は、政府プロジェクト向けの公共部門機関からの鉄鋼調達において、国内製造を大幅に強化する内容となっています。最も重要な変更点は、従来の最低限の国内付加価値要件から、厳格な「メルト・アンド・ポア」条件への移行です。この新条件により、参加企業はインド国内で基本原材料から粗鋼を製造することが義務付けられ、従来可能だった鋼材輸入後の下流加工による政府調達への参加が実質的に不可能となりました。ICRAリミテッドの専門家は、この政策変更により政府プロジェクトで使用される鉄鋼がインド以外で製造されることが困難になると分析しており、国内鉄鋼産業の保護と育成を目的とした重要な制度改革として位置づけられています。
https://economictimes.indiatimes.com/industry/indl-goods/svs/steel/melt-and-pour-rule-notified-for-govt-steel-projects/articleshow/121447579.cms?from=mdr

国際エネルギー機関(IEA)の調査によると、リチウムイオン電池パックの価格は2024年に20%下落し、2017年以来最大の下落となりました。この価格低下は競争激化、生産量増加、需要拡大によるもので、電気自動車のコスト削減に直結します。中国は世界のバッテリーセル生産量の80%を占め、価格優位性を拡大しています。特にリン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーでほぼ独占的シェアを握り、世界のEVバッテリー市場の約半分を占めています。興味深いことに、ハイブリッド車用バッテリーは小型にも関わらず、EVバッテリーより高価であることが判明しました。米国は韓国企業の進出により製造能力を50%増加させ、EUを上回る設備容量を達成しましたが、トランプ政権下でEV税額控除や国内バッテリー製造優遇措置が廃止される可能性があります。世界的なバッテリーブームは継続しますが、アメリカの競争力維持は不透明な状況です。
https://insideevs.com/news/761338/ev-battery-costs-down-2024/

トランプ米大統領の関税政策について、ハワード・ラトニック商務長官は7月初旬に90日間の一時停止期間が終了しても関税を継続する方針を明言しました。4月に発表された11%から100%超の関税は、株価変動を受けて大部分が90日間停止されていましたが「関税は無くなることはない」と強調しています。鉄鋼・アルミニウム関税については、現行25%から50%への倍増が発表されました。米中間では5月のジュネーブ合意により、米国の対中関税が145%から30%に、中国の報復関税が125%から10%に引き下げられましたが、より包括的な貿易協定は未締結です。スコット・ベッセント財務長官は中国を「信頼できるパートナーではない」と批判し、サプライチェーンでの製品供給制限を問題視しています。トランプ大統領と習近平国家主席の会談が今週予定されており、貿易問題の進展が注目されています。一時停止期間終了後はEU、ベトナム、南アフリカ等、約60カ国により高い関税が課される見通しです。
https://www.bbc.co.uk/news/articles/cd7g0v53227o

EUは米国が鉄鋼とアルミニウムへの関税を25%から50%に引き上げる方針を示したことに強く遺憾の意を表しています。交渉が合意に至らない場合、EUは7月14日またはそれ以前に既存および追加の報復関税を自動的に発動する方針です。EUは既に210億ユーロ規模の米国製品への関税を承認しており、更に950億ユーロ相当の追加関税リストも準備しています。EUは関税削減を長期目標としつつも、域内の利益を守る為に迅速に対応する姿勢を示しています。
https://www.politico.eu/article/tariffs-trump-european-union-trade-steel-parliament-bernd-lange/

金利に大きく影響するユーロ圏の2025年5月の年間インフレ率は速報値で1.9%となり、4月の2.2%から更に低下しました。主な要因はエネルギー価格の下落(-3.6%)で、食品・アルコール・たばこ(3.3%)とサービス(3.2%)が高い伸びを示しました。他方、非エネルギー工業製品(0.6%)は横ばいでした。インフレ率の低下は欧州中央銀行の2%目標を下回り、今後の金融政策判断に影響を与える見通しです。
https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-euro-indicators/w/2-03062025-ap

中国の製造業は2025年5月に財新製造業PMIが48.3と8ヶ月振りに50を下回り、2022年9月以来の低水準となりました。米国の高関税が新規輸出受注や全体需要を大きく押し下げ、生産や雇用も減少しています。特に太陽光パネルや電気自動車など一部分野では過剰生産能力が深刻化し、価格競争と企業淘汰が進んでいます。中国政府は「非伝統的な措置」など新たな経済政策を検討し、海外展開や経済協力の強化を進める方針です。
https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/OYWMUDSPEFNEBNHQ3BH26KUSWE-2025-06-03/

中国が2025年4月に重要鉱物や磁石の輸出を停止したことで、世界中の自動車メーカーや航空宇宙、半導体、軍事関連企業のサプライチェーンが混乱しています。特に自動車業界では、希土類合金や磁石の供給不足により、欧州やインド、米国メーカー等が生産停止の危機に直面しており、在庫も2~3か月分しかないとされています。ドイツ自動車工業会は状況が改善しなければ生産の遅れや停止も避けられないと警告しています。この規制は、米国との貿易戦争に対する中国の対抗措置と見られており、世界中の企業や政府は代替供給ルートの確保や、中国当局との緊急協議を求めています。米国も重要鉱物の国内生産促進に向けて法改正を進める等、対応に追われています。短期的には中国への依存が解消できず、企業や各国政府はサプライチェーンの強靭化に取り組んでいます。
https://jp.reuters.com/markets/commodities/ZONEF4Z4YVI3PGUNQ6QRSSSEME-2025-06-03/

ポーランドは2024年に過去最高となる約280万トンの鉄スクラップを輸出しました。欧州の鉄スクラップ輸出の流れが変わり始めています。主な輸出先はトルコ、インド、パキスタンです。特にトルコ向け輸出は前年の2.3倍に急増し、第三国向け輸出も全体の約48%を占めました。一方、輸入は主にEU諸国とウクライナから増加し、ウクライナからの輸入は前年比約57%増となりました。鉄鋼生産も2024年に10%以上増加し、業界は市場安定とエネルギー価格落ち着きにより回復傾向にあります。今後はEUの廃棄物輸送規則強化により、域外へのスクラップ輸出が規制される可能性があり、サプライチェーンの変化が注目されます。
https://gmk.center/en/infographic/poland-exported-a-record-2-8-million-tons-of-scrap-in-2024/

現在、投資家は米ドルが主要通貨に対して下落する一方で円に対しては上昇する等、通貨市場が複雑に動いています。これはADP雇用統計やFRB当局者の発言、欧州や英国のサービス業PMI、ECBやイングランド銀行の政策決定等、今週発表される重要な経済指標や中央銀行の動向を市場が警戒している為です。特に欧州や英国のサービス業PMIの結果や利下げ観測が通貨価格に影響を与えており、市場全体が大きな変動リスクを抱えています。これらの動きは、今後の世界経済や投資戦略に大きな影響を与える可能性がある為、注意深く注視する必要があります。
https://uk.investing.com/news/forex-news/longerterm-us-dollar-slide-just-beginning-td-securities-4118436

国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年の世界エネルギー投資は過去最高の3.3兆ドルに達する見込みです。この内、3分の2にあたる約2.2兆ドルが再生可能エネルギー、原子力、送電網、蓄電、低排出燃料、エネルギー効率化、電化等の「クリーンエネルギー」技術に投資され、化石燃料への投資1.1兆ドルの2倍となります。電力需要の急速な増加により、電力部門への投資は1.5兆ドルに達し、太陽光発電だけで4500億ドルの投資が見込まれています。一方、化石燃料供給への投資は約2%減少し、2020年以来初の減少となる予定です。地域別では中国が最大の投資国であり続け、世界のクリーンエネルギー投資の約3分の1を占めています。
https://www.argusmedia.com/en/news-and-insights/latest-market-news/2695759-energy-spend-set-to-hit-3.3-trillion-in-2025-iea

ドイツ政府は2025年から2029年にかけて企業向けの460億ユーロ規模の減税パッケージを承認しました。この措置は国の競争力強化と投資促進を目的としています。主な内容として、企業が資産価値をより早く償却できる優遇減価償却規則(3年間で年30%の「超過償却」)、2028年から2032年にかけて法人税率を現行15%から段階的に10%まで引き下げ、電気自動車購入企業への投資インセンティブ(購入年に価格の75%を減価償却可能)、研究支援の拡充等が含まれます。これにより2032年から企業の総税負担は現在の30%から25%弱に軽減される予定です。法案は上下両院の承認が必要で、政府は6月に審議予定です。ドイツ経済は2年連続で縮小しており、この減税策による経済刺激効果が期待されています。
https://www.reuters.com/en/german-cabinet-approves-46-bln-euro-corporate-tax-relief-package-2025-06-04/

中国が希土類磁石業界に新たな追跡システムを導入し、管理を大幅に強化しました。先週から運用が開始されたこの全国システムでは生産者に取引量や顧客名などの詳細情報をオンラインで提出することが義務付けられています。この措置は中国が4月上旬に実施した7種類の中・重希土類元素と数種類の磁石に対する輸出制限の一環として行われています。輸出業者は許可取得が必要となり、承認手続きの遅れにより自動車メーカーや半導体企業のサプライチェーンに深刻な混乱が生じています。欧州の一部自動車部品メーカーではレアアース不足により工場や生産ラインの操業が既に停止している状況です。専門家は、この管理強化により中国のレアアース輸出規制が恒久的な枠組みとなる可能性が高いと分析しており、中国にとって重要な外交カードとして機能することが予想されています。
https://jp.investing.com/news/economy-news/article-1136852

中国のEV価格戦争が激化する中、政府は「内巻」(過度な競争)を止めるよう呼びかけています。中国汽車工業協会は、BYDが5月23日に実施した大幅値下げ(一部車種で30%以上)を批判し、「価格戦争には勝者も未来もない」と警告しました。政府系機関は自動車メーカー幹部を北京に召集し、自主規制を求めたと報じられています。しかし、アナリストは競争激化は避けられないと予測しています。中国の自動車平均小売価格は過去2年で約19%下落し、供給過剰の兆候として走行距離ゼロの中古車販売という異常現象も発生しています。中国からの輸出車価格も下落傾向にあり、ドイツ向けは3万ドルから2万1000ドルに減少しました。XpengのCEOは「今後5年間で競争はさらに激しくなる」と述べ、現在の状況は「前菜に過ぎない」と表現しています。鉄鋼と同じ道を歩む可能性があります。
https://www.cnbc.com/2025/06/05/involution-or-evolution-china-wants-to-stop-the-ev-price-war-but-analysts-are-doubtful.html



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