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NEWSCONの気になるNEWS(2025年5月第5週)
米国の銅関税がドミノで混乱を引き起こしています。米国の25%の関税の可能性を前にした輸入の波が、CME-LMEの銅アービトラージを粉砕しました。CMEの在庫は8年振りの高水準(152,919トン)を記録し、LMEの在庫は179,000トンに減少しました。中国の米国からの銅スクラップ輸入は停滞し、世界的な供給シフトが悪化しました。
▶ https://www.reuters.com/markets/commodities/coppers-us-tariff-premium-crushed-by-wave-imports-andy-home-2025-05-16/
英国の製造業者、投資家、気候団体の連合は、財務大臣に対して、再生可能エネルギー政策コストを電気料金から一般課税へ移行するよう要請しました。この変更により企業の電力コストは最大15%、家庭の電気料金は年間370ポンドまで削減される可能性があります。現在、英国企業は欧州諸国より高い電気料金を支払っており、国際競争力の低下の一因となっています。ドイツは2022年に同様の改革を実施し、グリーン電力賦課金を廃止して国家気候基金を通じた再エネ支援に切り替えました。署名者らは、この変更が電化促進、産業競争力向上、2030年迄に2.6兆ドル規模となる世界のクリーン製造市場での英国の地位確保に不可欠だと主張しています。
▶ https://www.asiafinancial.com/trump-tells-apple-ceo-i-dont-want-you-building-in-india
米中両国は90日間の関税削減で合意し、中国での大量解雇の危機は一時的に回避されました。しかし、米国の対中関税は依然として30%と高水準で維持されており、中国経済と雇用市場への打撃は続くと専門家は警告しています。30%の関税は当面続くと見られています。4月に米国が中国製品に145%の関税を課した際、多くの工場が生産削減を余儀なくされ、中国の輸出業者には大きな負担となっていました。中国の蘇州証券は、関税引き下げにより雇用喪失リスクは100万人未満に減少したと推計する一方、ナティクシスは現在の関税水準でも400万?600万人の雇用が失われる可能性があると警告しています。アナリストは現在の30%の関税は中国からの輸出の70%を中期的に消滅させるのに十分な水準と試算しています。
▶ https://www.asiafinancial.com/mass-layoffs-avoided-in-china-but-export-sector-badly-shaken
オックスフォード大学の研究チームが開発した「GRIT(Global River Topology)」は、世界の河川を前例のない詳細さで地図化した画期的なシステムです。従来の河川地図が単純化されていたのに対して、GRITは河川の分岐や枝分かれ、周囲の地形との相互作用を正確に捉えている。高解像度衛星画像と高度な標高データを用いて構築され、総延長1,960万キロメートルの河川と67,000カ所の分岐点を特定しています。気候変動により洪水リスクが高まる中、この詳細な地図は洪水予測や水資源管理において重要なツールとなると見込まれています。研究者は「単に川が下り坂に流れると仮定するだけでは不十分」と指摘し、GRITの重要性を強調しています。このシステムは、最新データで定期的に更新可能で、洪水予測から生態系保全まで幅広い応用が期待されています。
▶ https://www.ox.ac.uk/news/2025-05-16-researchers-remap-worlds-rivers-improve-flood-modelling
OECDは廃プラスチックの世界市場に関する報告書を発行しました。その中で過去10年にかけて劇的に変化し、取引量が約50%減少したと報告しました。この減少の主な要因は2018年に中国が導入した「国家剣」政策で、多くの廃棄物輸入に厳しい制限が課されたことです。その結果、中国のプラスチック廃棄物輸入量は2017年の940万トンから2018年には僅か100万トンに急減しました。また、バーゼル条約とOECD決定の改正等、プラスチック廃棄物の輸出をより厳しく規制する国内法・国際法の制定も取引量減少に寄与しています。OECDの環境政策委員会と資源生産性・廃棄物作業部会による最近のモニタリング報告書は、これらの国際的な規制がプラスチック廃棄物貿易に及ぼした影響を評価しています。今後はWEEE等電子機器廃棄物がプラスチックに追随する見込みです。
▶ https://www.oecd.org/en/publications/monitoring-trade-in-plastic-waste-and-scrap-2025_3ac3688c-en.html
英国では様々な問題から再エネの目標達成が危ぶまれています。英国は2030年迄に電力の95%をクリーンエネルギーにする野心的な目標を掲げていますが、再生可能エネルギープロジェクトの停滞がこの目標達成を脅かしています。クリーンエネルギー開発が期待されるペースで進んでおらず、送電網インフラの不足が大きな障壁となっています。約220件の再生可能エネルギープロジェクトが送電システムへの接続を待機中で、一部のプロジェクトは予定開始時期から14年も遅れています。英国の再生可能エネルギー発電の年間平均成長率は過去3年間で4.45%に低下し、世界平均の9.67%を大きく下回っています。このままでは、英国は不安定な国際ガス市場への依存が続き、エネルギー安全保障が脅かされる恐れがあります。
▶ https://oilprice.com/Energy/Energy-General/The-UKs-Green-Energy-Transition-Faces-Critical-Slowdown-Amid-Growing-Concerns.html
EUの2024年第1四半期の温室効果ガス排出量は前年同期比2.2%増加し、8億9,700万トン(CO2換算)に達しました。同期間のGDPは1.5%増加していています。排出量増加が最も顕著だったのは家庭部門(5.2%増)とエネルギー・ガス供給部門(4.6%増)でした。一方、EU加盟6カ国では排出量が減少し、特にエストニア(11.3%減)、フィンランド(6.1%減)、スウェーデン(2.3%減)で大きな削減が見られました。この内4ヵ国はGDP増加と同時に排出量削減を実現しています。前年の2023年第4四半期は排出量が前年比4%減少していましたが、2024年は増加に転じました。今後、年間の統計が出ますが、GHG排出の削減が思うように進んでいないという実態が明らかになっています。
▶ https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-eurostat-news/w/ddn-20250515-1
欧州委員会は5月19日、にEUの2025年GDP成長率予測を1.5%から1.1%へ、ユーロ圏は1.3%から0.9%へと大幅に下方修正しました。特にドイツ経済は0.7%成長から停滞へと見通しが悪化し、フランスとイタリアの予測もそれぞれ0.8%から0.6%、1%から0.7%に引き下げました。一方、スペインは民間消費増加と投資強化により2.6%成長としています。主な要因は、関税と貿易の予測不能な環境です。インフレ見通しについては、ユーロ圏の2025年インフレ率は2.1%、2026年は1.7%と予測されています。経済担当委員は経済見通しのリスクは「下向き」としながらも、実質賃金上昇とインフレ鈍化による回復力に期待を示しました。
▶ https://www.euractiv.com/section/economy-jobs/news/feeling-the-strain-brussels-slashes-eu-growth-forecast/
ホンダが大幅にEVシフトへの投資を減らす中、BMWも同様の見解を示しています。BMWのCEOは、EVのみに注力する戦略は「行き詰まり」であると発言しました。同社は幅広いパワートレイン技術の必要性を長年主張しており、今後もガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車、水素自動車の製造・販売を継続する方針です。CEOは、欧州内でも市場間の差が大きいことを指摘し、ベルギーではEVとハイブリッド車の市場シェアが60%を超える一方、イタリアでは僅か4%に留まることを例に挙げました。CO2排出量削減には「白黒はっきりつける」アプローチではなく、包括的な取り組みが必要だと強調しています。2025年からは次世代EVプラットフォーム「Neue Klasse」を導入予定で、2028年にはトヨタと協力して初の水素燃料電池自動車を発売する計画です。
▶ https://www.carscoops.com/2025/05/bmw-says-going-all-in-on-evs-is-a-dead-end/
中国のEV市場は近い将来、過剰生産能力と輸出の問題に直面しそうです。最新調査によると、中国の自動車メーカーは4月に過去最高となる平均16.8%の値引きを実施し、3月の16.3%から拡大しました。この激しい価格競争は、EV各社の利益率を更に圧迫しています。中国には約50社のEVメーカーが存在しますが、利益を上げているのはBYD、Li Auto、Seresの3社のみです。他社は高額な開発費やマーケティング費により収益確保が困難な状況です。業界専門家によれば、中国EVメーカーの車両マージンは4年前の約20%から2024年には約10%に縮小しています。JPモルガンは「価格競争が激化しているが、EV需要の急増は見られない」と指摘。一方で、海外輸出の好調が収益性向上に貢献する可能性を示唆しています。2025年初の4ヶ月間で中国のEV輸出は自動車輸出全体の33%を占め、4月には38%に達しました。JPモルガンは、中国国内市場でのEV比率が2030年までに80%に達すると予測しています。
▶ https://www.scmp.com/business/china-business/article/3310711/chinas-ev-price-war-threatens-nio-and-xpengs-plans-stem-losses-jpmorgan
オランダで初の大型繊維リサイクルPJTがスタートしています。オランダのReju社が稼働予定定の同工場は年間3億点の繊維製品を再生し、5万トンのrBHETを生産します。rBHETはPETに再重合され、バージンポリエステルより炭素排出量を50%削減したRejuポリエステルとして、糸や生地へと加工されます。本プロジェクトは親会社Technip Energiesの最終投資決定待ちです。ヨーロッパでは繊維消費量が2019年の一人当たり17kgから2022年には19kgに増加し、EU加盟国では2022年に約9,400万トンの繊維が廃棄される見込みです。
▶ https://www.reju.com/news
既に平均気温が1.5℃を超える事が明らかになり、温暖化オーバーシュートが氷河に与える不可逆的影響についての研究が行われています。地球温暖化が産業革命前比1.5°Cを超えた後に抑制された場合でも、氷河に長期的かつ不可逆的な影響をもたらすことを明らかにしています。全球気候・氷河シミュレーションによると、温暖化が一時的に3.0°Cまで上昇した後に低下するシナリオでは、1.5°C以下に抑制した場合と比較して、2500年までに世界の氷河質量損失が11%増加すると予測されています。特に注目されているのは「トラフ水」と呼ばれる現象で、ピーク気温後に氷河が再生する流域では、氷河が安定した場合よりも氷河流出量が更に減少します。研究対象の氷河流域の半数では、オーバーシュートがあった場合、ピーク温暖化後の数十年から数世紀にわたって氷河流出量が減少することが判明しました。
▶ https://www.nature.com/articles/s41558-025-02318-w
インドの鉄鋼シンクタンクBigMintが中国の鉄鋼業の影響を分析しています。中国の2025年1~4月期のマクロ経済指標は不均一な状況を示しています。粗鋼生産は前年比0.4%増と成長を維持しているものの、4月は前月比7%減と鈍化しました。一方、鉄鋼輸出は前年比13.4%増の1,046万トンと堅調で1~4月期では8.2%増加しています。製造業部門では明らかな減速が見られ、製造業PMIは16カ月ぶりに50を下回る49ポイントに低下。製造業投資も8.8%増と2024年1月以来初めて9%を下回りました。自動車部門も生産・販売の減速を示していますが、新エネルギー車は例外的に前年比46%超の成長を維持しています。インフラ投資は5.8%と横這いですが、不動産市場は依然として低迷が続き、投資は前年比10.3%減少。不動産販売は床面積ベースで2.8%減と若干改善したものの、新築着工は23.8%減と大幅な落ち込みが続いています。短期的には鉄鋼生産は製鉄所の健全な利益率と米中貿易摩擦の緩和で安定を維持する可能性がありますが、長期的には需要低迷を反映して弱まる見通しです。
▶ https://www.bigmint.co/insights/detail/chinas-macroeconomy-emits-mixed-signals-in-jan-apr25-downstream-slowdown-deepens-648149?utm_source=brevo&utm_campaign=Chinas%20Demand%20Puzzle%20Deepens%20Q2%20Steel%20Outlook%20Turns%20Cautious&utm_medium=email&utm_id=31
シンクタンクのウッドマッケンジーがニッケル市場の見通しについて分析を発表しています。ニッケルは過去3年間、インドネシアの急速な供給拡大により供給過剰に悩まされており、2030年までこの状態が続く見通しです。価格は比較的堅調に推移していましたが、米国の関税導入発表により状況が一変しました。供給と需要の両面で中国とインドネシアが市場を牽引しており、2019年以降の供給は年15~20%増加している一方、世界の他地域からの供給は年約5%減少しています。電気自動車向けニッケル電池の需要は、リン酸鉄リチウム(LFP)電池の性能向上により減少傾向にあります。2020年にはバッテリーの55%がニッケルベースでしたが、2030年までにはニッケルベース以外の化学組成が55%を超える見込みです。世界のステンレス鋼生産は2025年から2027年に掛けて年4~5%成長し、2027年には約7,100万トンに達すると予測されています。この成長は中国、インド、インドネシアが牽引しますが、米国の新たな貿易関税は市場に混乱をもたらしており、特に米国のニッケル消費者に深刻な影響を与える可能性があります。
▶ https://www.woodmac.com/news/opinion/nickel-looking-for-a-route-back-to-safety/
国際原子力機関(IAEA)は、産業界と連携し、放射線技術を活用したプラスチック廃棄物処理に取り組んでいます。「プラスチック汚染を制御するための核技術」イニシアチブは、汚染が深刻なアジア太平洋地域、特にインドネシア、マレーシア、フィリピンを対象に2020年に開始されました。この技術では電離放射線による架橋を用いて、高温・高圧や有毒化学物質を使わずに高性能プラスチック製品を製造できます。インドネシアではPT Viroと国立研究イノベーション庁が材料提供と応力試験に協力し、大規模生産を計画しています。マレーシアでは、原子力庁がHDDテクノロジー社とアラム・フローラ社と提携し、PTFE廃棄物を工業用添加剤となるマイクロパウダーに変換する技術や、ポリエチレンから産業用燃料代替となる熱分解油を生成する研究を進めています。フィリピンでは放射線照射技術を用いて再生プラスチックから強度と耐久性に優れた建築資材を製造し、住宅危機とプラスチック廃棄物問題の同時解決を目指しています。
▶ https://recyclinginternational.com/business/innovation/nuclear-technology-boosts-plastics-recycling/60899/
Googleが米国で開始するAI検索のサービスが注目されています。Googleは昨年のI/OでAI Overviewsを発表して以来、検索の利用方法に大きな変革をもたらしました。ユーザーはより複雑で多様な質問をするようになり、AIオーバービューを利用した検索が米国やインドなどの主要市場で10%以上増加しています。この成功を受けて、Googleは今回「AIモード」を米国で正式に開始しました。AIモードは質問をサブトピックに分解し複数のクエリを同時実行する「クエリファンアウト」技術を採用し、従来の検索より深くウェブを探索できます。また、Gemini 2.5を搭載し、ディープサーチ機能による専門家レベルのレポート作成、カメラを使ったリアルタイム検索、チケット購入などのエージェント機能、バーチャル試着などのショッピング機能、個人のコンテキストに基づくパーソナライズ、データの視覚化機能など、多彩な新機能が導入される予定です。これらの機能は今後数ヶ月以内にLabsユーザーにも提供され、フィードバックを得ながら主要検索機能に統合されていきます。
▶ https://blog.google/products/search/google-search-ai-mode-update/#custom-charts
EAが世界の鉱物見通しを発表しました。国際エネルギー機関(IEA)の「Global Critical Minerals Outlook 2025」は、エネルギー転換に不可欠な銅・リチウム・ニッケル・コバルト・グラファイト・レアアースの需給動向を分析した報告書です。 価格変動や地政学リスクが高まる中、供給網の強靭性強化が急務と指摘。 STEPS/APS/NZEシナリオに基づき、クリーンエネルギー技術需要の急拡大を見込みつつ、採掘・精錬の地理的集中(上位3カ国で86%シェア)が持続可能性リスク要因と警告しています。 新章では次世代電池サプライチェーン、革新的採掘技術、エネルギー外戦略鉱物を追加分析し、地域別市場動向と政策開発を包括的に評価しています。
▶ https://www.iea.org/reports/global-critical-minerals-outlook-2025
発表された報告書「繊維リサイクルのブレークスルー」によると、政策・業界・投資の連携により、欧州のポリエステル繊維リサイクル量を2035年までに現在の10倍(年30万トン)に拡大が可能です。 脱重合技術に焦点を当てた本報告書は、EPR(拡大生産者責任)制度とESPR(エコデザイン規制)の強化が鍵と指摘しています。 現在、繊維廃棄物の1%未満しかリサイクルされず、脱重合コストはアジア産バージン素材の2.6倍という課題があります。解決策として1トン当り250~330ユーロのEPR課金とブランド別5%のグリーンプレミアム導入でコストギャップの50%以上を解消可能と試算しました。 報告書は、関係者間の協働により、欧州は繊維廃棄物の埋立率低減と新規資源依存脱却を両立できると結論づけています。
▶ https://www.knittingindustry.com/europe-nears-textile-recycling-tipping-point/
中国商務省は米国が中国製半導体(特にファーウェイのAscend AIプロセッサ)の使用回避を促す勧告通知を出したことを受け、これに準拠する企業・個人に対し法的措置を発動すると警告しました。 同省は2021年施行の「反外国制裁法」を根拠に、制裁関与者への入国禁止・資産凍結・取引制限を明示し、米国の措置が「国際貿易ルール違反」で「中国の技術発展権侵害」と批判しました。 この対応は両国が5月初めに合意した貿易紛争休戦協定を米国が損なったとする前日の非難声明に続くものです。 反外国制裁法は米中の技術覇権争い激化を受けて制定され、中国側は制裁対象者の賠償義務も規定しています。 専門家は、中国の報復措置が米国の制裁範囲の全球性に対応する必要を強調し、今後の法執行が両国間の更なる緊張を招く可能性を指摘しています。
▶ https://www.scmp.com/economy/china-economy/article/3311168/china-vows-use-anti-sanctions-law-if-us-ban-huawei-chips-enforced
トランプ大統領は5月23日に日本製鉄とUSスチールの提携計画を承認すると発表しました。この提携により7万人の雇用創出と米国経済への140億ドルの貢献が期待されると言及しました。しかし、25日にトランプ大統領は「USスチールは米国がコントロールする」「日本製鉄は部分的な所有権を持つ」と述べ、完全子会社化は認めない姿勢を示しています。市場では、買収ではなく「パートナー」という見解が妥当と見られ始めています。日本製鉄は当初100%買収を前提に140億ドルの設備投資を計画していましたが、部分的所有に留まる場合は投資額の大幅減額が予想されます。合併すれば、中国の宝武鋼鉄集団とルクセンブルクに拠点を置くアルセロール・ミッタルに次ぐ、生産量で世界第3位の鉄鋼メーカーが誕生することになります。
▶ https://www.chinadailyasia.com/hk/article/612612
世界各国は建築分野の脱炭素化を目指し、新たな建築規制を導入しています。不動産セクターは世界のエネルギー関連CO2排出量の約40%を占める為、開発者に太陽光パネルやヒートポンプ等の再生可能エネルギー・クリーン技術の導入を義務付けています。EUは2030年迄に全新築建物のゼロエミッション化を目標とし、屋上太陽光発電基準を段階的に適用します。英国は2027年以降、新築住宅への太陽光パネル設置を義務化。カナダは2050年迄に建物からの温室効果ガス排出量71%削減を目指しています。しかし、住宅価格の上昇や既存建物の改修コストが課題です。OECDの調査では28ヵ国中54%がNDCに建物関連目標を設定していますが、モニタリング体制は不十分な状況です。
▶ https://oilprice.com/Energy/Energy-General/Real-Estate-Sector-Under-Pressure-to-Decarbonize.html
LinkedInのCEOはAIがZ世代のキャリア開始に必要なエントリーレベル職を脅かしていると警告しています。AIは従来ジュニア開発者が行っていた単純なコーディングや、法務・小売業における若手の業務を代替しています。この変化を1980年代の製造業衰退に例え、テクノロジー分野から金融、専門サービス等他業界への波及を予測しています。卒業生の失業率は他労働者より速いペースで上昇していますが、AI導入による明確な因果関係は未確定です。企業は完全にエントリー職を廃止せず、若手には斬新なアイデアを重視しています。対策として、大学のAIカリキュラム統合と企業の下級職への高度業務付与を提案。一方、AI導入プロジェクトの75%が期待ROIを達成できておらず、実際の影響は予想より限定的との研究結果もあります。
▶ https://fortune.com/2025/05/25/ai-entry-level-jobs-gen-z-careers-young-workers-linkedin/
中国でのEV価格競争は、企業の実態を覆い隠しています。中国のEV大手BYDが週末に22車種の大幅値下げを発表したことを受けて、月曜日に中国EV株が急落しました。BYD株は先週の最高値から8.25%下落しました。長安汽車やリープモーター等、他社も追随し、最大30%の価格削減を行いました。一方、英国では中国EVへの関心が急増しています。今年1-4月の中国ブランド車の広告閲覧数は140万回を超え、市場シェアは前年の1.3%から5.3%に拡大しました。米国とEUの関税措置により、英国は中国EVメーカーにとって相対的に魅力的な市場となっています。この値下げにより、淘汰が一層加速すると見られています。
▶ https://www.cityam.com/byd-chinese-ev-stocks-tumble-despite-spike-in-uk-demand/
一時期は膨大な資金を集め欧州にまで進出を果たしたカナダのLIBリサイクル企業Li-Cycle社は3週間前に操業停止、2週間前と先週にカナダと米国で破産申請を行い、資産をGlencoreに売却する可能性があると見られています。かつて20億ドル以上の評価を受けていた同社は数ヶ月間の財政難を経て、事業または資産の売却を開始する予定です。同社は使用済みバッテリーを「スポーク」施設で処理してブラックマスを製造し、「ハブ」施設で原料を抽出する事業モデルを展開していました。しかし、収益が乏しく、ロチェスター工場の建設コスト上昇により2023年に建設が中断、米国エネルギー省からの4億7500万ドルの融資も条件を満たせず引き出せない状況となりました。グレンコアが少なくとも4,000万ドルの「ストーキングホース入札」を提出し、アリゾナ、アラバマ、ニューヨーク、ドイツのスポーク施設とロチェスター拠点の買収を予定しています。ドイツとスイス以外の欧州子会社は縮小される見込みで、アジア子会社も清算される予定です。欧州では同じく破産したノースボルトが6月で操業を完全停止すると見られており、欧米でのLIB事業と投資に大きな影響が出始めています。
▶ https://www.electrive.com/2025/05/22/canadian-battery-recycler-li-cycle-files-for-bankruptcy/
米国エネルギー省(DOE)は、鉄鋼生産における米国優位性の政策目標達成の為、コークス炭(原料炭)を重要物質リストに追加しました。この決定はトランプ大統領が石炭資源評価を命じてから1ヵ月後に行われ、米国の鉄鋼業界が輸入依存度の高い道を歩んでいるとの評価に基づきます。コークス炭生産者は採掘許可の迅速化、税額控除、連邦補助金などの恩恵を受ける可能性があります。DOEは米国が鉄鋼の純輸出国となるには、コークス炭生産を1,600万トン増加させる必要があると推定しています。しかし、海上輸送コークス炭市場は供給過剰傾向にあり、価格は4年振りの安値水準です。多くの米国生産者が原価近辺で操業し、2024年第4四半期から減産を実施している状況で、政府支援により業界統合が延期される可能性も指摘されています。
▶ https://www.energy.gov/articles/energy-department-designates-coal-used-steelmaking-critical-material-strengthening-us
ドイツを中心に欧州の鉄鋼メーカーの再編が加速しています。ドイツの産業大手ティッセンクルップは、各事業部門の経営権を持つ持株会社への転換を発表。年度末までに監査役会に戦略目標モデルを提出予定で、全事業セグメントを段階的に分離し第三者投資を受け入れる計画です。マテリアルサービス部門とオートメーションテクノロジー部門のスピンオフを進め、将来的にはデカーボンテクノロジー部門も独立させます。これにより各事業の資本市場アクセス、投資柔軟性、透明性向上を目指す考えです。
一方、ザルツギッターAGは事業ポートフォリオ最適化の一環として、オーストリアの鉄鋼商社子会社をECCOグループに売却。年間売上6,000万ユーロ、従業員84名の同社は、厳しい市場環境への対応策として戦略的変革を実施しています。
▶ https://www.thyssenkrupp.com/en/newsroom/press-releases/pressdetailpage/thyssenkrupp-is-pushing-ahead-with-the-strategic-realignment-of-the-group-298155
中国の歪んだEV販売が問題化しています。中国商務省は、走行記録がない車両が中古車として販売されている問題について、BYDや東風汽車等の大手自動車メーカー、及び中国汽車工業協会(CAAM)等の業界団体と協議を行いました。この問題は、長城汽車の魏建軍会長が先週のインタビューで告発したもので、長年の価格競争の結果として「走行距離ゼロの中古車」現象が発生していると指摘しました。これらの車両は登録済みでナンバープレートが付いており販売済みとなっていますが、実際には走行記録がない状態で中古市場で販売されています。魏会長によると、中国の中古車販売プラットフォームでは少なくとも3,000?4,000の業者がこのような車両を販売しており、この手法は自動車メーカーやディーラーが高い販売目標達成に向けた販売支援策として業界内で注目されている模様です。この報道を受けてBYDやLeapmotorなど中国自動車メーカーの株価は下落し、両社とも3.1%の下落を記録しました。
▶ https://www.techinasia.com/news/china-regulator-summons-automakers-zeromileage-cars
EU政府は5月27日に1500億ユーロ(約1700億ドル)規模の防衛費増額計画「SAFE(欧州安全保障行動)」を正式承認しました。この計画は、ロシアとベラルーシによる脅威への対応とNATOの新防衛目標達成を目的としています。資金調達はEUのトリプルA格付けを活用した市場融資で行われ、最長45年の返済期間で加盟国に提供されます。最初の10年間は返済不要で、VAT免除の特典もあります。参加条件として、初年度以降は2ヵ国以上の共同調達が必要で、調達する兵器の65%はEU・EFTA諸国・ウクライナ製でなければなりません。EFTA諸国とウクライナも参加可能で、英国など安全保障防衛パートナーシップ締結国からの調達も認められています。制度は2030年まで継続予定です。
▶ https://www.nato.int/cps/en/natohq/news_235693.htm
欧州鉄鋼協会(EUROFER)は、2026年に予定されている国境炭素調整メカニズム(CBAM)の抜け穴を緊急に閉じるよう求めています。EU鉄鋼メーカーは2005年からEU排出権取引制度(ETS)により約75ユーロ/tCO2の炭素価格を負担している一方、第三国からの年間2500万トンの鉄鋼輸入(EU生産の約20%)は炭素コストなしで行われています。EUROFERは、輸出漏出対策、リソースシャッフリング防止、下流部門への拡張、厳格なデフォルト値設定など8つの具体的改善策を提案しています。これらの調整が実施されなければ、CBAMと無償割り当ての段階的廃止により、炭素漏出に対する十分な保護が提供されず、生産の第三国への移転が更に促進される恐れがあります。協会はEU の気候目標と産業主権の両方が危険に晒されると警告しています。
▶ https://www.eurofer.eu/publications/brochures-booklets-and-factsheets/fix-that-leak
世界で最も強力な人工知能開発企業の一つ、アンスロピック社CEOのダリオ氏は、AIが今後1-5年でホワイトカラー初級職の半分を消滅させ、失業率を10-20%に押し上げる可能性があると警告しています。テクノロジー、金融、法律、コンサルティング分野の初級職が特に危険にさらされており、企業は既に採用計画を見直し始めています。AI企業と政府が「甘い見通し」を止め、現実を国民に伝える義務があると強調しています。一方で、AIは癌治療や年10%の経済成長をもたらす可能性もあるが、同時に20%の失業を生む可能性もあると予測しています。対策として、公的意識向上、AI使用に対する「トークン税」導入、政策立案者への教育強化等を提案しています。アモデイ氏は「列車を止めることはできないが、舵を切ることは可能で、今行動する必要がある」と述べています。
▶ https://www.axios.com/2025/05/28/ai-jobs-white-collar-unemployment-anthropic
タイのシナワット首相は5月28日に2026年度予算案として3兆7800億バーツ(約1155億ドル)を議会に提出しました。この予算案は前年度比0.7%増で、8600億バーツ(GDP比4.3%)の赤字予算となっています。タイ経済は米国の高関税措置により低迷しており、米国がタイ製品に最大36%の関税を課す可能性があります。第1四半期のGDP成長率は3.1%でしたが、政府は通年成長率予測を1.3-2.3%に下方修正しています。予算案では2025年と2026年の成長率を2.3-3.3%、インフレ率を0.5-1.5%と予測しています。野党は政府の支出戦略不足を批判していますが、予算案は土曜日に採決予定で可決される見込みです。ただし、連立政権内ではカジノ法案や憲法改正をめぐり緊張が高まっており、予算が否決されれば首相辞任や総選挙の可能性もあります。
▶ https://www.marketscreener.com/news/latest/Thai-PM-presents-115-billion-budget-to-parliament-to-support-lacklustre-economy-50085834/
▶ https://www.reuters.com/markets/commodities/coppers-us-tariff-premium-crushed-by-wave-imports-andy-home-2025-05-16/
英国の製造業者、投資家、気候団体の連合は、財務大臣に対して、再生可能エネルギー政策コストを電気料金から一般課税へ移行するよう要請しました。この変更により企業の電力コストは最大15%、家庭の電気料金は年間370ポンドまで削減される可能性があります。現在、英国企業は欧州諸国より高い電気料金を支払っており、国際競争力の低下の一因となっています。ドイツは2022年に同様の改革を実施し、グリーン電力賦課金を廃止して国家気候基金を通じた再エネ支援に切り替えました。署名者らは、この変更が電化促進、産業競争力向上、2030年迄に2.6兆ドル規模となる世界のクリーン製造市場での英国の地位確保に不可欠だと主張しています。
▶ https://www.asiafinancial.com/trump-tells-apple-ceo-i-dont-want-you-building-in-india
米中両国は90日間の関税削減で合意し、中国での大量解雇の危機は一時的に回避されました。しかし、米国の対中関税は依然として30%と高水準で維持されており、中国経済と雇用市場への打撃は続くと専門家は警告しています。30%の関税は当面続くと見られています。4月に米国が中国製品に145%の関税を課した際、多くの工場が生産削減を余儀なくされ、中国の輸出業者には大きな負担となっていました。中国の蘇州証券は、関税引き下げにより雇用喪失リスクは100万人未満に減少したと推計する一方、ナティクシスは現在の関税水準でも400万?600万人の雇用が失われる可能性があると警告しています。アナリストは現在の30%の関税は中国からの輸出の70%を中期的に消滅させるのに十分な水準と試算しています。
▶ https://www.asiafinancial.com/mass-layoffs-avoided-in-china-but-export-sector-badly-shaken
オックスフォード大学の研究チームが開発した「GRIT(Global River Topology)」は、世界の河川を前例のない詳細さで地図化した画期的なシステムです。従来の河川地図が単純化されていたのに対して、GRITは河川の分岐や枝分かれ、周囲の地形との相互作用を正確に捉えている。高解像度衛星画像と高度な標高データを用いて構築され、総延長1,960万キロメートルの河川と67,000カ所の分岐点を特定しています。気候変動により洪水リスクが高まる中、この詳細な地図は洪水予測や水資源管理において重要なツールとなると見込まれています。研究者は「単に川が下り坂に流れると仮定するだけでは不十分」と指摘し、GRITの重要性を強調しています。このシステムは、最新データで定期的に更新可能で、洪水予測から生態系保全まで幅広い応用が期待されています。
▶ https://www.ox.ac.uk/news/2025-05-16-researchers-remap-worlds-rivers-improve-flood-modelling
OECDは廃プラスチックの世界市場に関する報告書を発行しました。その中で過去10年にかけて劇的に変化し、取引量が約50%減少したと報告しました。この減少の主な要因は2018年に中国が導入した「国家剣」政策で、多くの廃棄物輸入に厳しい制限が課されたことです。その結果、中国のプラスチック廃棄物輸入量は2017年の940万トンから2018年には僅か100万トンに急減しました。また、バーゼル条約とOECD決定の改正等、プラスチック廃棄物の輸出をより厳しく規制する国内法・国際法の制定も取引量減少に寄与しています。OECDの環境政策委員会と資源生産性・廃棄物作業部会による最近のモニタリング報告書は、これらの国際的な規制がプラスチック廃棄物貿易に及ぼした影響を評価しています。今後はWEEE等電子機器廃棄物がプラスチックに追随する見込みです。
▶ https://www.oecd.org/en/publications/monitoring-trade-in-plastic-waste-and-scrap-2025_3ac3688c-en.html
英国では様々な問題から再エネの目標達成が危ぶまれています。英国は2030年迄に電力の95%をクリーンエネルギーにする野心的な目標を掲げていますが、再生可能エネルギープロジェクトの停滞がこの目標達成を脅かしています。クリーンエネルギー開発が期待されるペースで進んでおらず、送電網インフラの不足が大きな障壁となっています。約220件の再生可能エネルギープロジェクトが送電システムへの接続を待機中で、一部のプロジェクトは予定開始時期から14年も遅れています。英国の再生可能エネルギー発電の年間平均成長率は過去3年間で4.45%に低下し、世界平均の9.67%を大きく下回っています。このままでは、英国は不安定な国際ガス市場への依存が続き、エネルギー安全保障が脅かされる恐れがあります。
▶ https://oilprice.com/Energy/Energy-General/The-UKs-Green-Energy-Transition-Faces-Critical-Slowdown-Amid-Growing-Concerns.html
EUの2024年第1四半期の温室効果ガス排出量は前年同期比2.2%増加し、8億9,700万トン(CO2換算)に達しました。同期間のGDPは1.5%増加していています。排出量増加が最も顕著だったのは家庭部門(5.2%増)とエネルギー・ガス供給部門(4.6%増)でした。一方、EU加盟6カ国では排出量が減少し、特にエストニア(11.3%減)、フィンランド(6.1%減)、スウェーデン(2.3%減)で大きな削減が見られました。この内4ヵ国はGDP増加と同時に排出量削減を実現しています。前年の2023年第4四半期は排出量が前年比4%減少していましたが、2024年は増加に転じました。今後、年間の統計が出ますが、GHG排出の削減が思うように進んでいないという実態が明らかになっています。
▶ https://ec.europa.eu/eurostat/web/products-eurostat-news/w/ddn-20250515-1
欧州委員会は5月19日、にEUの2025年GDP成長率予測を1.5%から1.1%へ、ユーロ圏は1.3%から0.9%へと大幅に下方修正しました。特にドイツ経済は0.7%成長から停滞へと見通しが悪化し、フランスとイタリアの予測もそれぞれ0.8%から0.6%、1%から0.7%に引き下げました。一方、スペインは民間消費増加と投資強化により2.6%成長としています。主な要因は、関税と貿易の予測不能な環境です。インフレ見通しについては、ユーロ圏の2025年インフレ率は2.1%、2026年は1.7%と予測されています。経済担当委員は経済見通しのリスクは「下向き」としながらも、実質賃金上昇とインフレ鈍化による回復力に期待を示しました。
▶ https://www.euractiv.com/section/economy-jobs/news/feeling-the-strain-brussels-slashes-eu-growth-forecast/
ホンダが大幅にEVシフトへの投資を減らす中、BMWも同様の見解を示しています。BMWのCEOは、EVのみに注力する戦略は「行き詰まり」であると発言しました。同社は幅広いパワートレイン技術の必要性を長年主張しており、今後もガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車、水素自動車の製造・販売を継続する方針です。CEOは、欧州内でも市場間の差が大きいことを指摘し、ベルギーではEVとハイブリッド車の市場シェアが60%を超える一方、イタリアでは僅か4%に留まることを例に挙げました。CO2排出量削減には「白黒はっきりつける」アプローチではなく、包括的な取り組みが必要だと強調しています。2025年からは次世代EVプラットフォーム「Neue Klasse」を導入予定で、2028年にはトヨタと協力して初の水素燃料電池自動車を発売する計画です。
▶ https://www.carscoops.com/2025/05/bmw-says-going-all-in-on-evs-is-a-dead-end/
中国のEV市場は近い将来、過剰生産能力と輸出の問題に直面しそうです。最新調査によると、中国の自動車メーカーは4月に過去最高となる平均16.8%の値引きを実施し、3月の16.3%から拡大しました。この激しい価格競争は、EV各社の利益率を更に圧迫しています。中国には約50社のEVメーカーが存在しますが、利益を上げているのはBYD、Li Auto、Seresの3社のみです。他社は高額な開発費やマーケティング費により収益確保が困難な状況です。業界専門家によれば、中国EVメーカーの車両マージンは4年前の約20%から2024年には約10%に縮小しています。JPモルガンは「価格競争が激化しているが、EV需要の急増は見られない」と指摘。一方で、海外輸出の好調が収益性向上に貢献する可能性を示唆しています。2025年初の4ヶ月間で中国のEV輸出は自動車輸出全体の33%を占め、4月には38%に達しました。JPモルガンは、中国国内市場でのEV比率が2030年までに80%に達すると予測しています。
▶ https://www.scmp.com/business/china-business/article/3310711/chinas-ev-price-war-threatens-nio-and-xpengs-plans-stem-losses-jpmorgan
オランダで初の大型繊維リサイクルPJTがスタートしています。オランダのReju社が稼働予定定の同工場は年間3億点の繊維製品を再生し、5万トンのrBHETを生産します。rBHETはPETに再重合され、バージンポリエステルより炭素排出量を50%削減したRejuポリエステルとして、糸や生地へと加工されます。本プロジェクトは親会社Technip Energiesの最終投資決定待ちです。ヨーロッパでは繊維消費量が2019年の一人当たり17kgから2022年には19kgに増加し、EU加盟国では2022年に約9,400万トンの繊維が廃棄される見込みです。
▶ https://www.reju.com/news
既に平均気温が1.5℃を超える事が明らかになり、温暖化オーバーシュートが氷河に与える不可逆的影響についての研究が行われています。地球温暖化が産業革命前比1.5°Cを超えた後に抑制された場合でも、氷河に長期的かつ不可逆的な影響をもたらすことを明らかにしています。全球気候・氷河シミュレーションによると、温暖化が一時的に3.0°Cまで上昇した後に低下するシナリオでは、1.5°C以下に抑制した場合と比較して、2500年までに世界の氷河質量損失が11%増加すると予測されています。特に注目されているのは「トラフ水」と呼ばれる現象で、ピーク気温後に氷河が再生する流域では、氷河が安定した場合よりも氷河流出量が更に減少します。研究対象の氷河流域の半数では、オーバーシュートがあった場合、ピーク温暖化後の数十年から数世紀にわたって氷河流出量が減少することが判明しました。
▶ https://www.nature.com/articles/s41558-025-02318-w
インドの鉄鋼シンクタンクBigMintが中国の鉄鋼業の影響を分析しています。中国の2025年1~4月期のマクロ経済指標は不均一な状況を示しています。粗鋼生産は前年比0.4%増と成長を維持しているものの、4月は前月比7%減と鈍化しました。一方、鉄鋼輸出は前年比13.4%増の1,046万トンと堅調で1~4月期では8.2%増加しています。製造業部門では明らかな減速が見られ、製造業PMIは16カ月ぶりに50を下回る49ポイントに低下。製造業投資も8.8%増と2024年1月以来初めて9%を下回りました。自動車部門も生産・販売の減速を示していますが、新エネルギー車は例外的に前年比46%超の成長を維持しています。インフラ投資は5.8%と横這いですが、不動産市場は依然として低迷が続き、投資は前年比10.3%減少。不動産販売は床面積ベースで2.8%減と若干改善したものの、新築着工は23.8%減と大幅な落ち込みが続いています。短期的には鉄鋼生産は製鉄所の健全な利益率と米中貿易摩擦の緩和で安定を維持する可能性がありますが、長期的には需要低迷を反映して弱まる見通しです。
▶ https://www.bigmint.co/insights/detail/chinas-macroeconomy-emits-mixed-signals-in-jan-apr25-downstream-slowdown-deepens-648149?utm_source=brevo&utm_campaign=Chinas%20Demand%20Puzzle%20Deepens%20Q2%20Steel%20Outlook%20Turns%20Cautious&utm_medium=email&utm_id=31
シンクタンクのウッドマッケンジーがニッケル市場の見通しについて分析を発表しています。ニッケルは過去3年間、インドネシアの急速な供給拡大により供給過剰に悩まされており、2030年までこの状態が続く見通しです。価格は比較的堅調に推移していましたが、米国の関税導入発表により状況が一変しました。供給と需要の両面で中国とインドネシアが市場を牽引しており、2019年以降の供給は年15~20%増加している一方、世界の他地域からの供給は年約5%減少しています。電気自動車向けニッケル電池の需要は、リン酸鉄リチウム(LFP)電池の性能向上により減少傾向にあります。2020年にはバッテリーの55%がニッケルベースでしたが、2030年までにはニッケルベース以外の化学組成が55%を超える見込みです。世界のステンレス鋼生産は2025年から2027年に掛けて年4~5%成長し、2027年には約7,100万トンに達すると予測されています。この成長は中国、インド、インドネシアが牽引しますが、米国の新たな貿易関税は市場に混乱をもたらしており、特に米国のニッケル消費者に深刻な影響を与える可能性があります。
▶ https://www.woodmac.com/news/opinion/nickel-looking-for-a-route-back-to-safety/
国際原子力機関(IAEA)は、産業界と連携し、放射線技術を活用したプラスチック廃棄物処理に取り組んでいます。「プラスチック汚染を制御するための核技術」イニシアチブは、汚染が深刻なアジア太平洋地域、特にインドネシア、マレーシア、フィリピンを対象に2020年に開始されました。この技術では電離放射線による架橋を用いて、高温・高圧や有毒化学物質を使わずに高性能プラスチック製品を製造できます。インドネシアではPT Viroと国立研究イノベーション庁が材料提供と応力試験に協力し、大規模生産を計画しています。マレーシアでは、原子力庁がHDDテクノロジー社とアラム・フローラ社と提携し、PTFE廃棄物を工業用添加剤となるマイクロパウダーに変換する技術や、ポリエチレンから産業用燃料代替となる熱分解油を生成する研究を進めています。フィリピンでは放射線照射技術を用いて再生プラスチックから強度と耐久性に優れた建築資材を製造し、住宅危機とプラスチック廃棄物問題の同時解決を目指しています。
▶ https://recyclinginternational.com/business/innovation/nuclear-technology-boosts-plastics-recycling/60899/
Googleが米国で開始するAI検索のサービスが注目されています。Googleは昨年のI/OでAI Overviewsを発表して以来、検索の利用方法に大きな変革をもたらしました。ユーザーはより複雑で多様な質問をするようになり、AIオーバービューを利用した検索が米国やインドなどの主要市場で10%以上増加しています。この成功を受けて、Googleは今回「AIモード」を米国で正式に開始しました。AIモードは質問をサブトピックに分解し複数のクエリを同時実行する「クエリファンアウト」技術を採用し、従来の検索より深くウェブを探索できます。また、Gemini 2.5を搭載し、ディープサーチ機能による専門家レベルのレポート作成、カメラを使ったリアルタイム検索、チケット購入などのエージェント機能、バーチャル試着などのショッピング機能、個人のコンテキストに基づくパーソナライズ、データの視覚化機能など、多彩な新機能が導入される予定です。これらの機能は今後数ヶ月以内にLabsユーザーにも提供され、フィードバックを得ながら主要検索機能に統合されていきます。
▶ https://blog.google/products/search/google-search-ai-mode-update/#custom-charts
EAが世界の鉱物見通しを発表しました。国際エネルギー機関(IEA)の「Global Critical Minerals Outlook 2025」は、エネルギー転換に不可欠な銅・リチウム・ニッケル・コバルト・グラファイト・レアアースの需給動向を分析した報告書です。 価格変動や地政学リスクが高まる中、供給網の強靭性強化が急務と指摘。 STEPS/APS/NZEシナリオに基づき、クリーンエネルギー技術需要の急拡大を見込みつつ、採掘・精錬の地理的集中(上位3カ国で86%シェア)が持続可能性リスク要因と警告しています。 新章では次世代電池サプライチェーン、革新的採掘技術、エネルギー外戦略鉱物を追加分析し、地域別市場動向と政策開発を包括的に評価しています。
▶ https://www.iea.org/reports/global-critical-minerals-outlook-2025
発表された報告書「繊維リサイクルのブレークスルー」によると、政策・業界・投資の連携により、欧州のポリエステル繊維リサイクル量を2035年までに現在の10倍(年30万トン)に拡大が可能です。 脱重合技術に焦点を当てた本報告書は、EPR(拡大生産者責任)制度とESPR(エコデザイン規制)の強化が鍵と指摘しています。 現在、繊維廃棄物の1%未満しかリサイクルされず、脱重合コストはアジア産バージン素材の2.6倍という課題があります。解決策として1トン当り250~330ユーロのEPR課金とブランド別5%のグリーンプレミアム導入でコストギャップの50%以上を解消可能と試算しました。 報告書は、関係者間の協働により、欧州は繊維廃棄物の埋立率低減と新規資源依存脱却を両立できると結論づけています。
▶ https://www.knittingindustry.com/europe-nears-textile-recycling-tipping-point/
中国商務省は米国が中国製半導体(特にファーウェイのAscend AIプロセッサ)の使用回避を促す勧告通知を出したことを受け、これに準拠する企業・個人に対し法的措置を発動すると警告しました。 同省は2021年施行の「反外国制裁法」を根拠に、制裁関与者への入国禁止・資産凍結・取引制限を明示し、米国の措置が「国際貿易ルール違反」で「中国の技術発展権侵害」と批判しました。 この対応は両国が5月初めに合意した貿易紛争休戦協定を米国が損なったとする前日の非難声明に続くものです。 反外国制裁法は米中の技術覇権争い激化を受けて制定され、中国側は制裁対象者の賠償義務も規定しています。 専門家は、中国の報復措置が米国の制裁範囲の全球性に対応する必要を強調し、今後の法執行が両国間の更なる緊張を招く可能性を指摘しています。
▶ https://www.scmp.com/economy/china-economy/article/3311168/china-vows-use-anti-sanctions-law-if-us-ban-huawei-chips-enforced
トランプ大統領は5月23日に日本製鉄とUSスチールの提携計画を承認すると発表しました。この提携により7万人の雇用創出と米国経済への140億ドルの貢献が期待されると言及しました。しかし、25日にトランプ大統領は「USスチールは米国がコントロールする」「日本製鉄は部分的な所有権を持つ」と述べ、完全子会社化は認めない姿勢を示しています。市場では、買収ではなく「パートナー」という見解が妥当と見られ始めています。日本製鉄は当初100%買収を前提に140億ドルの設備投資を計画していましたが、部分的所有に留まる場合は投資額の大幅減額が予想されます。合併すれば、中国の宝武鋼鉄集団とルクセンブルクに拠点を置くアルセロール・ミッタルに次ぐ、生産量で世界第3位の鉄鋼メーカーが誕生することになります。
▶ https://www.chinadailyasia.com/hk/article/612612
世界各国は建築分野の脱炭素化を目指し、新たな建築規制を導入しています。不動産セクターは世界のエネルギー関連CO2排出量の約40%を占める為、開発者に太陽光パネルやヒートポンプ等の再生可能エネルギー・クリーン技術の導入を義務付けています。EUは2030年迄に全新築建物のゼロエミッション化を目標とし、屋上太陽光発電基準を段階的に適用します。英国は2027年以降、新築住宅への太陽光パネル設置を義務化。カナダは2050年迄に建物からの温室効果ガス排出量71%削減を目指しています。しかし、住宅価格の上昇や既存建物の改修コストが課題です。OECDの調査では28ヵ国中54%がNDCに建物関連目標を設定していますが、モニタリング体制は不十分な状況です。
▶ https://oilprice.com/Energy/Energy-General/Real-Estate-Sector-Under-Pressure-to-Decarbonize.html
LinkedInのCEOはAIがZ世代のキャリア開始に必要なエントリーレベル職を脅かしていると警告しています。AIは従来ジュニア開発者が行っていた単純なコーディングや、法務・小売業における若手の業務を代替しています。この変化を1980年代の製造業衰退に例え、テクノロジー分野から金融、専門サービス等他業界への波及を予測しています。卒業生の失業率は他労働者より速いペースで上昇していますが、AI導入による明確な因果関係は未確定です。企業は完全にエントリー職を廃止せず、若手には斬新なアイデアを重視しています。対策として、大学のAIカリキュラム統合と企業の下級職への高度業務付与を提案。一方、AI導入プロジェクトの75%が期待ROIを達成できておらず、実際の影響は予想より限定的との研究結果もあります。
▶ https://fortune.com/2025/05/25/ai-entry-level-jobs-gen-z-careers-young-workers-linkedin/
中国でのEV価格競争は、企業の実態を覆い隠しています。中国のEV大手BYDが週末に22車種の大幅値下げを発表したことを受けて、月曜日に中国EV株が急落しました。BYD株は先週の最高値から8.25%下落しました。長安汽車やリープモーター等、他社も追随し、最大30%の価格削減を行いました。一方、英国では中国EVへの関心が急増しています。今年1-4月の中国ブランド車の広告閲覧数は140万回を超え、市場シェアは前年の1.3%から5.3%に拡大しました。米国とEUの関税措置により、英国は中国EVメーカーにとって相対的に魅力的な市場となっています。この値下げにより、淘汰が一層加速すると見られています。
▶ https://www.cityam.com/byd-chinese-ev-stocks-tumble-despite-spike-in-uk-demand/
一時期は膨大な資金を集め欧州にまで進出を果たしたカナダのLIBリサイクル企業Li-Cycle社は3週間前に操業停止、2週間前と先週にカナダと米国で破産申請を行い、資産をGlencoreに売却する可能性があると見られています。かつて20億ドル以上の評価を受けていた同社は数ヶ月間の財政難を経て、事業または資産の売却を開始する予定です。同社は使用済みバッテリーを「スポーク」施設で処理してブラックマスを製造し、「ハブ」施設で原料を抽出する事業モデルを展開していました。しかし、収益が乏しく、ロチェスター工場の建設コスト上昇により2023年に建設が中断、米国エネルギー省からの4億7500万ドルの融資も条件を満たせず引き出せない状況となりました。グレンコアが少なくとも4,000万ドルの「ストーキングホース入札」を提出し、アリゾナ、アラバマ、ニューヨーク、ドイツのスポーク施設とロチェスター拠点の買収を予定しています。ドイツとスイス以外の欧州子会社は縮小される見込みで、アジア子会社も清算される予定です。欧州では同じく破産したノースボルトが6月で操業を完全停止すると見られており、欧米でのLIB事業と投資に大きな影響が出始めています。
▶ https://www.electrive.com/2025/05/22/canadian-battery-recycler-li-cycle-files-for-bankruptcy/
米国エネルギー省(DOE)は、鉄鋼生産における米国優位性の政策目標達成の為、コークス炭(原料炭)を重要物質リストに追加しました。この決定はトランプ大統領が石炭資源評価を命じてから1ヵ月後に行われ、米国の鉄鋼業界が輸入依存度の高い道を歩んでいるとの評価に基づきます。コークス炭生産者は採掘許可の迅速化、税額控除、連邦補助金などの恩恵を受ける可能性があります。DOEは米国が鉄鋼の純輸出国となるには、コークス炭生産を1,600万トン増加させる必要があると推定しています。しかし、海上輸送コークス炭市場は供給過剰傾向にあり、価格は4年振りの安値水準です。多くの米国生産者が原価近辺で操業し、2024年第4四半期から減産を実施している状況で、政府支援により業界統合が延期される可能性も指摘されています。
▶ https://www.energy.gov/articles/energy-department-designates-coal-used-steelmaking-critical-material-strengthening-us
ドイツを中心に欧州の鉄鋼メーカーの再編が加速しています。ドイツの産業大手ティッセンクルップは、各事業部門の経営権を持つ持株会社への転換を発表。年度末までに監査役会に戦略目標モデルを提出予定で、全事業セグメントを段階的に分離し第三者投資を受け入れる計画です。マテリアルサービス部門とオートメーションテクノロジー部門のスピンオフを進め、将来的にはデカーボンテクノロジー部門も独立させます。これにより各事業の資本市場アクセス、投資柔軟性、透明性向上を目指す考えです。
一方、ザルツギッターAGは事業ポートフォリオ最適化の一環として、オーストリアの鉄鋼商社子会社をECCOグループに売却。年間売上6,000万ユーロ、従業員84名の同社は、厳しい市場環境への対応策として戦略的変革を実施しています。
▶ https://www.thyssenkrupp.com/en/newsroom/press-releases/pressdetailpage/thyssenkrupp-is-pushing-ahead-with-the-strategic-realignment-of-the-group-298155
中国の歪んだEV販売が問題化しています。中国商務省は、走行記録がない車両が中古車として販売されている問題について、BYDや東風汽車等の大手自動車メーカー、及び中国汽車工業協会(CAAM)等の業界団体と協議を行いました。この問題は、長城汽車の魏建軍会長が先週のインタビューで告発したもので、長年の価格競争の結果として「走行距離ゼロの中古車」現象が発生していると指摘しました。これらの車両は登録済みでナンバープレートが付いており販売済みとなっていますが、実際には走行記録がない状態で中古市場で販売されています。魏会長によると、中国の中古車販売プラットフォームでは少なくとも3,000?4,000の業者がこのような車両を販売しており、この手法は自動車メーカーやディーラーが高い販売目標達成に向けた販売支援策として業界内で注目されている模様です。この報道を受けてBYDやLeapmotorなど中国自動車メーカーの株価は下落し、両社とも3.1%の下落を記録しました。
▶ https://www.techinasia.com/news/china-regulator-summons-automakers-zeromileage-cars
EU政府は5月27日に1500億ユーロ(約1700億ドル)規模の防衛費増額計画「SAFE(欧州安全保障行動)」を正式承認しました。この計画は、ロシアとベラルーシによる脅威への対応とNATOの新防衛目標達成を目的としています。資金調達はEUのトリプルA格付けを活用した市場融資で行われ、最長45年の返済期間で加盟国に提供されます。最初の10年間は返済不要で、VAT免除の特典もあります。参加条件として、初年度以降は2ヵ国以上の共同調達が必要で、調達する兵器の65%はEU・EFTA諸国・ウクライナ製でなければなりません。EFTA諸国とウクライナも参加可能で、英国など安全保障防衛パートナーシップ締結国からの調達も認められています。制度は2030年まで継続予定です。
▶ https://www.nato.int/cps/en/natohq/news_235693.htm
欧州鉄鋼協会(EUROFER)は、2026年に予定されている国境炭素調整メカニズム(CBAM)の抜け穴を緊急に閉じるよう求めています。EU鉄鋼メーカーは2005年からEU排出権取引制度(ETS)により約75ユーロ/tCO2の炭素価格を負担している一方、第三国からの年間2500万トンの鉄鋼輸入(EU生産の約20%)は炭素コストなしで行われています。EUROFERは、輸出漏出対策、リソースシャッフリング防止、下流部門への拡張、厳格なデフォルト値設定など8つの具体的改善策を提案しています。これらの調整が実施されなければ、CBAMと無償割り当ての段階的廃止により、炭素漏出に対する十分な保護が提供されず、生産の第三国への移転が更に促進される恐れがあります。協会はEU の気候目標と産業主権の両方が危険に晒されると警告しています。
▶ https://www.eurofer.eu/publications/brochures-booklets-and-factsheets/fix-that-leak
世界で最も強力な人工知能開発企業の一つ、アンスロピック社CEOのダリオ氏は、AIが今後1-5年でホワイトカラー初級職の半分を消滅させ、失業率を10-20%に押し上げる可能性があると警告しています。テクノロジー、金融、法律、コンサルティング分野の初級職が特に危険にさらされており、企業は既に採用計画を見直し始めています。AI企業と政府が「甘い見通し」を止め、現実を国民に伝える義務があると強調しています。一方で、AIは癌治療や年10%の経済成長をもたらす可能性もあるが、同時に20%の失業を生む可能性もあると予測しています。対策として、公的意識向上、AI使用に対する「トークン税」導入、政策立案者への教育強化等を提案しています。アモデイ氏は「列車を止めることはできないが、舵を切ることは可能で、今行動する必要がある」と述べています。
▶ https://www.axios.com/2025/05/28/ai-jobs-white-collar-unemployment-anthropic
タイのシナワット首相は5月28日に2026年度予算案として3兆7800億バーツ(約1155億ドル)を議会に提出しました。この予算案は前年度比0.7%増で、8600億バーツ(GDP比4.3%)の赤字予算となっています。タイ経済は米国の高関税措置により低迷しており、米国がタイ製品に最大36%の関税を課す可能性があります。第1四半期のGDP成長率は3.1%でしたが、政府は通年成長率予測を1.3-2.3%に下方修正しています。予算案では2025年と2026年の成長率を2.3-3.3%、インフレ率を0.5-1.5%と予測しています。野党は政府の支出戦略不足を批判していますが、予算案は土曜日に採決予定で可決される見込みです。ただし、連立政権内ではカジノ法案や憲法改正をめぐり緊張が高まっており、予算が否決されれば首相辞任や総選挙の可能性もあります。
▶ https://www.marketscreener.com/news/latest/Thai-PM-presents-115-billion-budget-to-parliament-to-support-lacklustre-economy-50085834/