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NEWSCONの気になるNEWS(2025年5月第1週)
インドのモディ首相は「インディア・スチール2025」会議で、鉄鋼メーカーに対して、鉄鋼輸入と純輸出ゼロを目指すよう要請しました。首相は鉄鋼部門をインド発展の基盤と位置付け、2047年までに鉄鋼生産能力を年間5億トン、輸出能力を2,500万トンに拡大する目標を示しました。2024/25年度は圧延製品の輸入が9年振りの高水準となる一方、輸出は大幅に減少しています。政府はインフラや住宅建設の成長を背景に国内鉄鋼需要増を強調し、政府プロジェクトでは国産鉄鋼の使用を義務化しています。中国からの安価な鉄鋼輸入対策として12%の暫定関税も導入しました。産業界には研究・開発・革新への投資も求めています。
▶ https://www.thehindu.com/business/Industry/pm-modi-urges-industry-to-come-together-to-build-a-resilient-revolutionary-and-steel-strong-india/article69486142.ece
欧州委員会は自動車産業の循環経済推進の為に使用済み自動車規制(ELVR)案を発表し、2030年に30%、2035年に40%のリサイクル鋼材含有目標の設定が技術的・経済的に可能であるとする調査結果が示されました。高品質なリサイクル鋼材確保の為、銅汚染を0.1%以下に抑える品質要件や、ワイヤーハーネス等、銅含有部品の解体義務化が推奨されています。これによりELV由来の鉄スクラップ供給量は目標達成に十分であり、銅の販売による経済的利益も見込まれます。欧州議会と理事会には、実現可能性調査を待たず早期の目標導入が求められています。
▶ https://www.transportenvironment.org/articles/setting-recycled-content-targets-for-steel-under-the-elv-regulation
米国議会は中国の通信大手3社(中国移動、中国電信、中国聯通)が米国のクラウドやインターネット事業を通じてサイバー侵入やデータ窃盗、インフラ破壊工作を可能にしているとの懸念から、情報開示を強制する召喚状を発出しました。これらの企業は米国での通信サービス認可を取り消されていますが、クラウドやデータセンター事業を継続しており、米国人の個人情報や知的財産が中国政府に渡るリスクが指摘されています。米当局は中国系ハッカー集団による米インフラへのサイバー攻撃も深刻視しており、議会は5月7日迄に3社の全面協力を求めています。
▶ https://www.asiafinancial.com/us-lawmakers-target-three-china-telcos-over-security-concerns
2025年3月、英国の自動車と商用車の生産台数は前年同月比17.1%増の7万9,018台となり、12ヵ月振りに成長しました。電気自動車(EV)生産も38.5%増と大きく伸び、全体の45%を占めました。これは前年のイースター休暇の早期化やモデルチェンジによる反動増で、特に輸出需要が30.6%増と好調で、生産の73.3%が海外向けでした。一方、国内向け生産は6.1%減。EUが最大の輸出先で、米国、中国が続きます。商用車生産も8.2%増でしたが、第1四半期全体では自動車生産が3.2%減、商用車は27.1%減となりました。
▶ https://www.techdigest.tv/2025/04/uks-ev-production-increases-nearly-40-in-march-reports-smmt.html
世界銀行は世界の商品(コモディティ)価格が2025年に12%、2026年に更に5%下落し、パンデミック前の水準まで戻ると予測しています。特にエネルギー価格の下落が顕著で、原油は2025年に1バレル64ドル、2026年には60ドルが見込まれ、石炭や食料品も大幅に値下がりする見通しです。主因は世界経済の成長鈍化、貿易摩擦、需要減少です。この下落はインフレ圧力の緩和に寄与する一方、資源輸出に依存する途上国経済には打撃となります。金価格のみは安全資産需要で過去最高を更新する見込みです。
▶ https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2025/04/29/commodity-markets-outlook-april-2025-press-release
欧州の鉄鋼シンクタンクであるカラニッシュはKallanish Europe Steel Marketsカンファレンスを2025年6月17~18日にアムステルダムで開催します。欧州鉄鋼業界の幹部や市場関係者が集い、2025年の業界展望を議論します。2025年は、欧州産業行動計画の実施やCBAMへの本格対応が焦点となり、脱炭素化と産業競争力維持の両立、エネルギー価格の競争力確保、中国製品や米国の関税政策への対応などが主要議題です。欧州経済は回復基調ながら依然脆弱で、低金利が鉄鋼需要を下支えする一方、地政学リスクやグローバル競争が課題となっています。
▶ https://www.kallanish.com/en/events/v2/conferences/upcoming-courses-details/europe-steel-markets-2025/registration
EVメーカーのポールスターは、米国の関税によるサプライチェーン混乱とコスト増加の懸念から、2025年の業績見通しを一時停止しました。CEOは中国依存を減らすため米欧への生産移転を検討中で、関税が業界全体に打撃を与えると警告しています。米国では大統領が一部救済策を導入したものの、景気後退懸念が消費を圧迫しています。同社は尚30~35%の販売成長と粗利益率改善を見込む一方、財務報告の遅延も続いています。
▶ https://www.globalbankingandfinance.com/US-POLESTAR-AUTOM-OUTLOOK-0329ca65-0902-43f7-830f-ccf4bcf2b8bd
中国は米国による145%の高関税や経済混乱の脅威を受け、プロパガンダを強化し「屈しない」との強硬姿勢を内外に発信しています。中国政府は米国の関税を「脅迫」と非難し、SNSや動画で冷戦時代のイメージやミームを用いて反発を表明。王毅外相もトランプ政権の貿易政策を「弱肉強食」と批判し、妥協はさらなる圧力を招くと警告しています。一方、米中双方の報復関税合戦が激化し、中国経済には輸出受注減や製造業の雇用悪化等、深刻な影響が出始め、成長率目標5%の達成も困難な情勢です。中国政府は内需拡大や外交強化で対応を図るものの、国内外から政策や宣伝への批判も見られ、企業の景況感も大きく低下しています。
▶ https://www.theguardian.com/us-news/2025/apr/30/china-manufacturing-activity-plummets-amid-trump-tariff-war
英国政府は2027年1月1日から、鉄鋼、アルミニウム、セメント、肥料、水素等の高炭素排出リスク製品の輸入に対して、国境炭素調整メカニズム(CBAM)を導入する法案草案を公表し、関係者からの意見募集を開始しました。CBAMは輸入品に含まれる温室効果ガス排出量に応じて課税し、英国国内製品と同等のカーボンプライスを確保する事で炭素リーケージの防止と実質的な世界の排出削減を目指します。初年度の報告期間は2027年で、課税対象は商品コードで特定され、課税額は国内排出量取引制度(ETS)価格を基準に算定されます。一定の条件下で他国の炭素価格も控除可能です。
▶ https://www.gov.uk/government/consultations/draft-legislation-carbon-border-adjustment-mechanism
欧州最大の鉄鋼メーカーアルセロール・ミッタルは2025年第1四半期、純利益8億500万ドル(前年同期比6.3%増、前四半期比ほぼ倍増)、売上高148億ドルを報告しています。EBITDAは15億8,000万ドル(前年同期比19.2%減、前四半期比4.5%減)で、営業利益は8億2,500万ドル(前年同期比23%減、前四半期比56%増)でした。リベリアの鉄鉱石事業が好調で、北米も回復傾向にあります。CEOは地政学的リスク下でも安定した収益性を強調し、短期的な見通しには慎重な姿勢を示しています。アルセロール・ミッタルは世界 60 ヵ国で事業を展開し、18 ヵ国に生産資産を保有する世界有数の鉄鋼・鉱業会社です。
▶ https://corporate.arcelormittal.com/investors/results
中国の太陽光発電メーカーは、製品価格の低迷と過剰生産に加えて、米中貿易戦争による高関税の影響で苦境に立たされています。主要企業は2025年第1四半期に揃って赤字を計上し、JinkoSolarは1億8,170万ドルの純損失を発表しました。米国向け出荷減や高価格受注の減少が収益悪化の要因であり、国内市場でも供給過剰が続いています。業界団体は過剰生産と価格競争による業界再編の必要性を訴えています。つい最近、米商務省はカンボジア、タイ、マレーシア、ベトナムからの太陽光パネル輸入に最大3,521%の関税を課す方針を発表しました。これは中国の補助金や不当廉売への対抗措置で、企業や国毎に税率が異なりますが、こうした包囲網の影響が色濃く出始めています。相当なダンピングが行われる可能性があります。
▶ https://www.baystreet.ca/articles/commodities/111214/050125
トニー・ブレア元英首相が現実的なネットゼロ移行を発言した事が物議を醸しています。元首相は現行のネットゼロ政策は化石燃料需要やエネルギー消費の現実を無視しており、機能していないと指摘しています。今後も化石燃料や鉄鋼、セメント、航空需要が増加する中、技術革新や原子力投資、現実的なタイムラインへの見直し、適応策の強化が必要だと主張しました。政治指導者は批判を恐れて率直な議論を避けている為、より実用的で柔軟なアプローチへの転換を訴えています。このブレアの主張は、欧州で批判的に報道され広がっています。グリーン推進派の1人だったブレアのこの報告書は、大きな転換点が既に起き始めている事を示唆しており、かなりのインパクトをもたらしています。
▶ https://www.bbc.co.uk/news/articles/cpvrwyp0jx3o
▶ https://www.thehindu.com/business/Industry/pm-modi-urges-industry-to-come-together-to-build-a-resilient-revolutionary-and-steel-strong-india/article69486142.ece
欧州委員会は自動車産業の循環経済推進の為に使用済み自動車規制(ELVR)案を発表し、2030年に30%、2035年に40%のリサイクル鋼材含有目標の設定が技術的・経済的に可能であるとする調査結果が示されました。高品質なリサイクル鋼材確保の為、銅汚染を0.1%以下に抑える品質要件や、ワイヤーハーネス等、銅含有部品の解体義務化が推奨されています。これによりELV由来の鉄スクラップ供給量は目標達成に十分であり、銅の販売による経済的利益も見込まれます。欧州議会と理事会には、実現可能性調査を待たず早期の目標導入が求められています。
▶ https://www.transportenvironment.org/articles/setting-recycled-content-targets-for-steel-under-the-elv-regulation
米国議会は中国の通信大手3社(中国移動、中国電信、中国聯通)が米国のクラウドやインターネット事業を通じてサイバー侵入やデータ窃盗、インフラ破壊工作を可能にしているとの懸念から、情報開示を強制する召喚状を発出しました。これらの企業は米国での通信サービス認可を取り消されていますが、クラウドやデータセンター事業を継続しており、米国人の個人情報や知的財産が中国政府に渡るリスクが指摘されています。米当局は中国系ハッカー集団による米インフラへのサイバー攻撃も深刻視しており、議会は5月7日迄に3社の全面協力を求めています。
▶ https://www.asiafinancial.com/us-lawmakers-target-three-china-telcos-over-security-concerns
2025年3月、英国の自動車と商用車の生産台数は前年同月比17.1%増の7万9,018台となり、12ヵ月振りに成長しました。電気自動車(EV)生産も38.5%増と大きく伸び、全体の45%を占めました。これは前年のイースター休暇の早期化やモデルチェンジによる反動増で、特に輸出需要が30.6%増と好調で、生産の73.3%が海外向けでした。一方、国内向け生産は6.1%減。EUが最大の輸出先で、米国、中国が続きます。商用車生産も8.2%増でしたが、第1四半期全体では自動車生産が3.2%減、商用車は27.1%減となりました。
▶ https://www.techdigest.tv/2025/04/uks-ev-production-increases-nearly-40-in-march-reports-smmt.html
世界銀行は世界の商品(コモディティ)価格が2025年に12%、2026年に更に5%下落し、パンデミック前の水準まで戻ると予測しています。特にエネルギー価格の下落が顕著で、原油は2025年に1バレル64ドル、2026年には60ドルが見込まれ、石炭や食料品も大幅に値下がりする見通しです。主因は世界経済の成長鈍化、貿易摩擦、需要減少です。この下落はインフレ圧力の緩和に寄与する一方、資源輸出に依存する途上国経済には打撃となります。金価格のみは安全資産需要で過去最高を更新する見込みです。
▶ https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2025/04/29/commodity-markets-outlook-april-2025-press-release
欧州の鉄鋼シンクタンクであるカラニッシュはKallanish Europe Steel Marketsカンファレンスを2025年6月17~18日にアムステルダムで開催します。欧州鉄鋼業界の幹部や市場関係者が集い、2025年の業界展望を議論します。2025年は、欧州産業行動計画の実施やCBAMへの本格対応が焦点となり、脱炭素化と産業競争力維持の両立、エネルギー価格の競争力確保、中国製品や米国の関税政策への対応などが主要議題です。欧州経済は回復基調ながら依然脆弱で、低金利が鉄鋼需要を下支えする一方、地政学リスクやグローバル競争が課題となっています。
▶ https://www.kallanish.com/en/events/v2/conferences/upcoming-courses-details/europe-steel-markets-2025/registration
EVメーカーのポールスターは、米国の関税によるサプライチェーン混乱とコスト増加の懸念から、2025年の業績見通しを一時停止しました。CEOは中国依存を減らすため米欧への生産移転を検討中で、関税が業界全体に打撃を与えると警告しています。米国では大統領が一部救済策を導入したものの、景気後退懸念が消費を圧迫しています。同社は尚30~35%の販売成長と粗利益率改善を見込む一方、財務報告の遅延も続いています。
▶ https://www.globalbankingandfinance.com/US-POLESTAR-AUTOM-OUTLOOK-0329ca65-0902-43f7-830f-ccf4bcf2b8bd
中国は米国による145%の高関税や経済混乱の脅威を受け、プロパガンダを強化し「屈しない」との強硬姿勢を内外に発信しています。中国政府は米国の関税を「脅迫」と非難し、SNSや動画で冷戦時代のイメージやミームを用いて反発を表明。王毅外相もトランプ政権の貿易政策を「弱肉強食」と批判し、妥協はさらなる圧力を招くと警告しています。一方、米中双方の報復関税合戦が激化し、中国経済には輸出受注減や製造業の雇用悪化等、深刻な影響が出始め、成長率目標5%の達成も困難な情勢です。中国政府は内需拡大や外交強化で対応を図るものの、国内外から政策や宣伝への批判も見られ、企業の景況感も大きく低下しています。
▶ https://www.theguardian.com/us-news/2025/apr/30/china-manufacturing-activity-plummets-amid-trump-tariff-war
英国政府は2027年1月1日から、鉄鋼、アルミニウム、セメント、肥料、水素等の高炭素排出リスク製品の輸入に対して、国境炭素調整メカニズム(CBAM)を導入する法案草案を公表し、関係者からの意見募集を開始しました。CBAMは輸入品に含まれる温室効果ガス排出量に応じて課税し、英国国内製品と同等のカーボンプライスを確保する事で炭素リーケージの防止と実質的な世界の排出削減を目指します。初年度の報告期間は2027年で、課税対象は商品コードで特定され、課税額は国内排出量取引制度(ETS)価格を基準に算定されます。一定の条件下で他国の炭素価格も控除可能です。
▶ https://www.gov.uk/government/consultations/draft-legislation-carbon-border-adjustment-mechanism
欧州最大の鉄鋼メーカーアルセロール・ミッタルは2025年第1四半期、純利益8億500万ドル(前年同期比6.3%増、前四半期比ほぼ倍増)、売上高148億ドルを報告しています。EBITDAは15億8,000万ドル(前年同期比19.2%減、前四半期比4.5%減)で、営業利益は8億2,500万ドル(前年同期比23%減、前四半期比56%増)でした。リベリアの鉄鉱石事業が好調で、北米も回復傾向にあります。CEOは地政学的リスク下でも安定した収益性を強調し、短期的な見通しには慎重な姿勢を示しています。アルセロール・ミッタルは世界 60 ヵ国で事業を展開し、18 ヵ国に生産資産を保有する世界有数の鉄鋼・鉱業会社です。
▶ https://corporate.arcelormittal.com/investors/results
中国の太陽光発電メーカーは、製品価格の低迷と過剰生産に加えて、米中貿易戦争による高関税の影響で苦境に立たされています。主要企業は2025年第1四半期に揃って赤字を計上し、JinkoSolarは1億8,170万ドルの純損失を発表しました。米国向け出荷減や高価格受注の減少が収益悪化の要因であり、国内市場でも供給過剰が続いています。業界団体は過剰生産と価格競争による業界再編の必要性を訴えています。つい最近、米商務省はカンボジア、タイ、マレーシア、ベトナムからの太陽光パネル輸入に最大3,521%の関税を課す方針を発表しました。これは中国の補助金や不当廉売への対抗措置で、企業や国毎に税率が異なりますが、こうした包囲網の影響が色濃く出始めています。相当なダンピングが行われる可能性があります。
▶ https://www.baystreet.ca/articles/commodities/111214/050125
トニー・ブレア元英首相が現実的なネットゼロ移行を発言した事が物議を醸しています。元首相は現行のネットゼロ政策は化石燃料需要やエネルギー消費の現実を無視しており、機能していないと指摘しています。今後も化石燃料や鉄鋼、セメント、航空需要が増加する中、技術革新や原子力投資、現実的なタイムラインへの見直し、適応策の強化が必要だと主張しました。政治指導者は批判を恐れて率直な議論を避けている為、より実用的で柔軟なアプローチへの転換を訴えています。このブレアの主張は、欧州で批判的に報道され広がっています。グリーン推進派の1人だったブレアのこの報告書は、大きな転換点が既に起き始めている事を示唆しており、かなりのインパクトをもたらしています。
▶ https://www.bbc.co.uk/news/articles/cpvrwyp0jx3o