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NEWSCONの気になるNEWS(2025年4月第4週)

アルセロール・ミッタル・ニッポン・スチール・インディア(AMNSインド)は、2026~2027年度までに鉄鋼生産の70%をインド新環境分類「グリーンスチールタクソノミー」の基準に適合させ、同制度で三つ星評価の初取得を目指すと発表しました。グリーンスチールは鋼材1トン当たりCO?排出2.2トン未満が条件で、AMNSインドは既に2.17トンを達成、2030年迄に1.8トンへ削減予定。再生可能エネルギー導入やスクラップリサイクル、デジタル技術活用等、多角的な脱炭素施策を進めており、グジャラート州には年産2,400万トンの大規模製鉄所も建設中です。
https://www.amns.in/press-releases?press-release=am-ns-india-well-prepared-for-introduction-of-ministry-of-steel-s-green-steel-taxonomy

米国は中国籍や中国建造の船舶が米国港に寄港する際、新たな手数料を課す方針を発表しました。これは米造船業の再生と中国の海運支配力低下を狙った措置ですが、業界や中国側は「保護主義的でインフレを招く」と反発しています。手数料は貨物量やコンテナ数に応じて段階的に引き上げられ、一部米国内や特定航路の船舶は免除対象となります。措置は半年後から開始予定で、米中貿易摩擦の新たな火種となっています。
https://www.cnbc.com/2025/04/17/trump-administration-announces-fees-on-chinese-ships-docking-at-us-ports.html

中国政府は米国が中国製品への関税を大幅に引き上げ他国にも中国との取引抑制を求めていることに強く反発し、対抗措置を取ると表明しました。中国は米国の「相互関税」は国際貿易ルールに反し、一方的ないじめであると非難し、既に米国製品への追加関税やレアアース輸出規制等の対抗策を実施しています。北京商務省は「自国の利益を守るために断固必要な措置を取る」と誓約し、この手数料は「中国の一方的かつ保護主義的な政策の本質を完全に明らかにしており、典型的な非市場的な慣行だ」と述べています。また、自国の権益を守る決意を強調し、関係国との連携も進める姿勢を示しています。
https://splash247.com/beijing-vents-fury-at-us-port-fees/

多くの政府が化石燃料補助金の削減に取り組むも、90%以上が3年以内に失敗している事が調査の結果で判明しました。主因は燃料価格上昇による国民の反発やインフレ、経済情勢の変化です。補助金撤廃は環境や財政に有益ですが、政治的困難が大きく、特に低所得層への影響が課題です。今後は段階的な改革や、再生可能エネルギー推進、公共交通や電気自動車支援、燃料効率規制等、多角的な政策が必要とされています。
https://www.nature.com/articles/s41558-025-02304-2

インド政府は中国からの安価な鉄鋼輸入の急増による国内産業への悪影響を防ぐ事を目的に、特定の鉄鋼製品に対して一時的に12%のセーフガード関税を課すことを決定しました。この措置は2025年4月21日から200日間有効で、対象となる製品はHSコード7208、7209、7210、7211、7212、7225、7226に該当します。関税は輸入価格が製品毎に定められた基準値を下回る場合にのみ適用され、例えば熱間圧延コイル(HRC)の場合は1トンあたり675ドル未満が対象です。今回の措置は、国内鉄鋼生産者の競争力を維持し、公正な市場環境を確保することが目的です。背景には、インドの鉄鋼輸入量が2024/2025年度に前年比14.8%増の950万トンと大幅に増加し、輸出は35.1%減少したことがあります。
https://timesofindia.indiatimes.com/business/india-business/india-imposes-12-duty-on-steel-products-to-curb-unwanted-imports/articleshow/120492497.cms

反ダンピングを回避する為にマレーシアを経由する中国鋼材の規制に、まずウクライナが動き始めました。ウクライナの国際貿易に関する省間委員会(ICIT)は、マレーシアから輸入されるコーティング炭素鋼板に対し反ダンピング調査を開始しました。これは中国産同製品への既存の反ダンピング関税を回避する目的で、マレーシア経由での輸入が増加しているとの国内メーカーの指摘を受けたものです。経済省はマレーシア経由の輸入が人為的な関税回避の可能性があるとし、調査期間中は輸入業者に前払金の支払を義務付けました。2024年の関連製品の輸入量は前年比8.3%増の約98万トンとなっています。
https://gmk.center/en/news/icit-initiates-anti-dumping-investigation-into-imports-of-rolled-steel-from-malaysia/

中国は次世代電気自動車の鍵となる「全固体電池」の技術革新を推進しています。中国の研究者は、固体リチウム電池の故障要因がリチウム金属アノードのサイクル疲労にあることを解明し、バッテリー寿命予測や高性能設計への道を開きました。全固体電池は高いエネルギー密度(最大500Wh/kg)、安全性、コンパクト化で従来型より優れていますが、材料やコスト等の課題も残ります。中国大手のCATLやBYDは2027年に小規模生産、2030年の大規模応用を目指し、産学連携で開発を加速中です。中国は巨大なEV市場と産業基盤を活かし、全固体電池分野で世界をリードする事を目標に掲げています。
https://en.gmw.cn/2025-04/21/content_37979944.htm

2025年に入り、英国では企業の閉鎖が急増し、金融危機以来の速さで進行しています。シティAMの調査によれば、最初の15週間で1,100社超が清算命令を受け、前年同期比で約25%増、2010年以来最速のペースです。約2,200社が債権者による清算申立てに直面し、2012年以来の高水準となっています。背景には増税、賃金上昇、成長鈍化があり、特に中小企業が債務返済に苦しんでいます。小売やホスピタリティ業界の打撃も大きく、今後も閉鎖増加が懸念されています。英国経済は昨年よりかなり痛み始めており、今後に多くの懸念が残されています。
https://uk.finance.yahoo.com/news/businesses-brink-company-closures-surge-083827167.html

米国政権は中国製バッテリーに145%の高関税を課し、これにより価格競争力を持っていた中国製リチウムイオン電池の米国市場での優位性が大きく低下します。これに伴い、韓国のバッテリーメーカーは米国市場でのシェア拡大の好機を得る見通しです。韓国企業は米国内生産拠点の活用やLFPバッテリーへの戦略転換を進めており、米国のエネルギー貯蔵システム市場の拡大と共に今後の成長が期待されています。
https://batteriesnews.com/trumps-145-tariff-on-chinese-batteries-opens-door-for-korean-rivals/

ロシアの大手銀行は、中国との貿易決済を円滑化し西側制裁を回避する為に「チャイナ・トラック」と呼ばれる独自のネット決済システムを構築しました。このシステムは中国11省と連携し、SWIFTや欧米銀行を経由せず、認証済み代理店を通じて決済を一元管理します。手数料は従来よりも低く、送金も迅速に行われており、制裁リスクの低減と両国間貿易の拡大に寄与しています。ただし、全ての取引の個別承認や税還付などの課題も残っています。
https://finance.yahoo.com/news/exclusive-china-track-bank-netting-140841758.html

ウクライナでは鉄鋼スクラップの輸出が急増し、2024年は2022年比で約6倍となりました。メティンベストCOOのミロネンコ氏はスクラップ1トンを輸出するよりも国内で鉄鋼生産に活用した方が、外貨収入や税収が大幅に増えると指摘し、スクラップ輸出は国家にとって経済的に不利と述べています。また、鉄鋼メーカーは電力やガス、鉄道料金の高騰、人員不足といった課題にも直面しており、国内鉄鋼産業の競争力強化にはスクラップ輸出の制限が必要だと強調しています。
https://gmk.center/en/news/scrap-exports-are-economically-unprofitable-for-the-state-metinvests-coo/

中国がサマリウムやガドリニウム等、7種の中・重希土類の輸出規制を強化し米国への輸出が事実上停止したことで、貿易戦争の緊張が急激に高まっています。中国は世界のレアアース供給の90%を支配しており、EVや防衛産業に不可欠なこれらの資源を戦略的に利用しています。輸出許可取得に数ヶ月を要する事から、国際的な供給網に混乱が生じています。米国は深海金属の戦略備蓄を検討する大統領令を準備し、MP MaterialsやLynas USAなどの企業による国内生産拡大に4.39億ドルを投資しました。しかし、完全な供給網構築には数年を要し、当面は在庫で凌ぐ見込みです。過去のアンチモン輸出規制では価格が40%急騰した事例があり、今回も同様の市場変動が懸念されます。中国の措置は「国家安全保障」を名目としていますが、実質的には米中の覇権争いの一環であり、レアアースを武器にした経済戦略が国際サプライチェーンに深刻な影響を与えています。
https://agmetalminer.com/2025/04/22/china-rare-earths-trade-weapon/

2025年3月の世界の粗鋼生産量は前年同月比2.4%増の1億2,080万トン、前月比6.7%増となりました。中国は再び生産を増加させています。1~3月の世界累計では前年同期比0.04%増の3億4,634万トンです。国別では中国が2億1,628万トン(+0.8%)、インド3,803万トン(+6.2%)、ロシア1,516万トン(+0.1%)、日本1,482万トン(-3.7%)、韓国1,068万トン(-2.8%)でした。ウクライナは1~3月で170万トン(+7.2%)を生産し、世界14位となっています。尚、2024年通年では世界の銑鉄生産量は前年比1.3%減の13億9,100万トンと見込まれています。
https://worldsteel.org/media/press-releases/2025/march-2025-crude-steel-production/

米労働省(DOL)は、退職金制度の受託者が年金投資で環境・社会・ガバナンス(ESG)要素を考慮できるとする2022年の規則について、撤回を含めて再検討する方針を明らかにしました。この規則はバイデン政権下で制定され、投資収益が同等の場合にESG要素を「タイブレーカー」として考慮できる内容です。規則は複数の州司法長官らによる訴訟で争われてきましたが、裁判所はこれまで規則の合法性を認めてきました。新政権下での見直しにより、今後ESG投資を巡る規制が大きく変わる可能性があります。
https://www.planadviser.com/dol-reconsidering-biden-era-esg-considerations-rule/



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