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NEWSCONの気になるNEWS(2025年12月第1週)
11/26に英国政府が2027年から発効するCBAM最終法案を公表しました。これはアルミ、セメント、肥料、水素、鉄鋼の輸入品に炭素価格を適用するものです。英国CBAMは、間接排出を当初除外し、エネルギー集約型産業補償制度との互換性を維持することで、EUが2026年1月から実施するCBAMと異なる対応を取っています。年間5万ポンドを超えるCBAM対象品を輸入する企業は、CBAMに向けて、組込排出量を報告する必要があります。同時にEU理事会は、EU-UKの排出権取引制度のリンクに向けた交渉を承認し、両市場で事業を展開する製造業者の二重炭素価格負担を軽減する可能性があります。
▶ https://www.gov.uk/government/publications/introduction-of-carbon-border-adjustment-mechanism/carbon-border-adjustment-mechanism
チャイナプラスワンへの資金が急増しています。東南アジアがグローバルサプライチェーン再編の主要な受益者として急速に台頭していることが調査で判明し、2,263億ドルのFDIを受けながら885億ドルの対外投資を生み出しています。インドネシアとフィリピンが上流鉱物を提供し、マレーシアとベトナムが中流電子機器製造を扱い、タイが電気自動車組立能力を構築しています。マレーシアだけでも、2024年1月から2025年6月の間に半導体関連投資で700億リンギット(170億ドル)以上を集めました。タイのEV産業は勢いを示しており、BYDはラヨーンに年間15万台の生産能力を持つ4億9,000万ドルの工場を開設し、国内EV登録は2021年の1万台未満から2024年には7万台に急増しました。しかし報告書は、成功は企業が柔軟に現地化し、ASEAN の地域別の規制環境に迅速に適応できるかどうかにかかっていると警告しています。
▶ https://www.consultancy.asia/news/6395/roland-berger-study-southeast-asia-quickly-becoming-new-industrial-hub
トランプ大統領は27日、ソーシャルメディアで「第三世界の国々」からの移民を恒久的に停止すると表明しました。これはワシントンDC近郊でアフガニスタン国籍の男による州兵銃撃事件が発生したことを受けた措置です。トランプ氏は、バイデン前政権下で認められた数百万件の入国許可を取り消し、「米国にとって純資産とならない者」を全員送還すると述べています。また、非市民への連邦給付金や補助金を全面停止し、「西洋文明と相いれない」外国人や安全保障上の脅威となる外国人を国外退去させる方針も示しました。具体的にどの国を指すのか、「恒久的に停止」の定義についての説明はありませんでした。
▶ https://www.reuters.com/world/trump-says-us-will-permanently-pause-migration-third-world-countries-2025-11-28/
中国の11月製造業PMIが50の閾値を下回り、最近の輸出楽観論に関わらず工場活動の縮小を示しています。不動産のデレバレッジングによる構造的逆風が鉄鋼、セメント、銅の需要を抑制し続けています。10月に僅かな改善があった事と11月の新築住宅販売の上昇から楽観論に繋がりましたが、結果として回復が脆弱で業種間で不均一であることを示唆しています。製造業の弱さは、世界の鉄鋼消費の50%以上、銅需要の55%、アルミ使用の60%を占める中国の地位を考えると、世界の商品市場に直接影響します。12月のデータも持続的な縮小を確認した場合、潜在的な価格ボラティリティがある事を考慮すべきです。特に産業機器メーカーは中国顧客からの受注減少を予測する段階となっています。
▶ https://www.reuters.com/world/asia-pacific/chinas-november-factory-activity-swings-back-decline-private-pmi-shows-2025-12-01/
現代自動車グループが12/1に9億ドルのバッテリー研究施設の起工式を行いました。自動車メーカーが急速に垂直統合型のバッテリー開発へ戦略転換している事を意味しています。今後、中国バッテリーサプライヤーとの競争が激しさを増し、先進国のEVサプライチェーンが再構築される可能性があります。今回の現代自動車の動きは、最近のリチウム価格変動と電池材料調達を巡る地政学的緊張により露呈したサプライチェーンの脆弱性を受けて、テスラ、GM、トヨタが同様にバッテリー専門知識を内製化する動きに続くものです。
▶ https://www.automotiveworld.com/news/hyundai-breaks-ground-on-battery-research-facility/
中国は新たに3GWhの全固体バッテリー生産能力を追加します。11/29に発表された中国江西省の2つの独立プロジェクト、三維電池の施設と純鋰新能源の製造ラインを通じて行われ、両プロジェクトは18~24ヵ月以内の商業展開を目指したEVバッテリーを対象としています。この動きは、全固体技術が主にパイロット段階にとどまる欧米対照的です。自動車OEMは、技術ギャップを回避する為に全固体バッテリーの認定プログラムを加速すべき段階に入っています。材料サプライヤーは、全固体採用が液体電解質とセパレーターフィルムの需要を減少させる一方、固体電解質材料とリチウム金属陽極の需要を増加させる可能性があるため、需要予測が変わる可能性が指摘されています。
▶ https://carnewschina.com/2025/11/30/chinas-jiangxi-to-gain-3-gwh-solid-state-battery-capacity-from-two-major-projects/
関税コストが負担となり、米国製造業が9ヵ月連続で縮小しています。供給管理協会(SPM)のPMIは10月の48.7から48.2に低下しました。これは車両や自動車部品に対して25%を超える輸入関税による受注減少と原材料コストの高騰に苦戦した為です。輸送機器メーカーは「関税環境に伴うより恒久的な調整」を実施し、労働力削減や米国輸出用に予定されていた追加の海上生産能力の設置を報告しました。成長を報告したのは18セクターの内、4部門のみで、コンピューター・電子製品や機械を含みます。一方、木材製品、輸送機器、繊維工場は大幅な縮小をしました。連邦準備制度理事会(FRB)の関係者は来週、金利について協議する予定であり、複数のメンバーは関税による物価の持続的なインフレから更なる利下げに懐疑的な姿勢を示しており、2026年第1四半期に向けた資本支出に不確実性が生じています。
▶ https://www.reuters.com/world/us/us-manufacturing-slump-deepens-november-2025-12-01/
インドにおける鉄鋼消費の最初の警告サインが出たかが、話題となり始めています。2025年10月にインドは鉄鋼純輸出国に戻りました(輸出44.8%増、輸入55.6%減)。マクロ経済は好調でGDP成長率予測は6.5%に上方修正され、税制改革と金利引き下げが需要を刺激しています。国内鉄鋼消費は4.7%増の1360万トンで、自動車産業が牽引役ですが、建設業界では政府の住宅・道路プログラムの進捗遅れ(計画の13%のみ実施)と支払遅延が深刻です。建設機械販売は30%減少し、条鋼需要が不安定化しています。その結果、メーカーは在庫を抱え、輸出が25.3%急増してEU・湾岸・東南アジア市場に圧力をかけています。インドの生産能力は既に2億500万トンに達し、2030年には3億トンを目指していますが、政府資金不足による国内需要の不安定化は、中国に次ぐ世界的な鉄鋼供給過剰の新たな要因となる「最初の警告サイン」と指摘されています。
▶ https://gmk.center/en/posts/steel-consumption-in-india-the-first-warning-sign/
中国のEVメーカーの急成長により、国内の従来型自動車メーカーは販売が激減し、その結果、国内で売れないガソリン車を世界中に大量輸出しています。2020年以降、化石燃料車が中国の自動車輸出の76%を占め、年間出荷台数は100万台から2025年には650万台超に急増する見込みです。SAIC、BAIC、Dongfeng、Changan等の国有大手メーカーが主要輸出者で、東欧、南米、アフリカ等の充電インフラが不十分な新興市場に注力しています。中国トップの輸出者であるCheryは、2020~2024年の間に輸出台数を73万台から260万台に拡大し、その80%がガソリン車です。中国政府のEV推進政策により年間2,000万台分のガソリン車生産能力が遊休化し、この過剰生産能力が世界への輸出圧力となっています。専門家は、中国メーカーが2030年までに世界市場の30%を占めると予測しており、既存の自動車メーカーにとって深刻な競争圧力となっています。
▶ https://www.asiafinancial.com/china-flooding-the-world-with-gasoline-cars-far-more-than-evs
好調と見られていたBYDの販売減少が報告されています。世界最大のEVメーカーであるBYDは、2025年11月に480,186台を納入し、前年比で5.3%減少しました。これは人気新モデルの競合他社からの競争激化によるものです。BYDは調整後通年目標460万台を達成する為に、12月に約41万8,000台を販売する必要があります。「EV市場での収益化達成はほぼ全てのメーカーにとって遠い目標」であり、大多数のEVモデルは採算が出ない水準で販売されています。これらの動きは、年初来で23%の成長率で依然としてプラスのグローバル販売台数を維持しているにも関わらず、EV業界にとって大きな逆風を示唆しています。
▶ https://www.cryptopolitan.com/byd-sales-drop-rival-tesla-takes-50-hit-eu/
2025年の過去10か月間で世界のEVバッテリー容量は35.2%増加し、933.5GWhとなりました。トップ10の内、6社が中国企業で市場の68.9%を支配しています。CATLが38.1%、BYDが16.9%で、世界の自動車メーカーの調達戦略に大きく影響を与え続けています。韓国と日本のサプライヤーであるLGエナジーソリューション、SKオン、サムスンSDI、パナソニックは、業界がグローバル展開から車両組立工場に近い戦略的地域事業へと焦点を移す中、北米とヨーロッパでの長期契約の確保と現地生産の構築に取り組んでいます。
▶ https://www.arenaev.com/chinas_battery_giants_drive_the_ev_market_to_record_heights-news-5378.php
OECDは12/2に予測を発表し、2025年の世界成長率は3.2%、2026年には2.9%に減少すると見ています。予測では、米国の経済成長率は2025年に2%に引き上げられ、2026年には1.7%に減速するとされており、AI投資、財政措置、連邦準備制度理事会の利下げによる短期的な好成績が、関税の悪影響、移民減少、連邦雇用削減を相殺するとしています。中国の成長率は2025年に5%で推移すると予想され、財政支援が弱まり米国の新規関税が中国輸入品に本格的に適用される為、2026年には4.4%に鈍化する見込みです。報告書は継続的な貿易政策の不確実性が投資回復の見通しを妨げていること、そして米国の財政政策が今後数年で大幅な財政赤字と増加する債務を抱え、持続不可能な道を進めていると強調しています。
▶ https://www.reuters.com/world/china/tariffs-ai-boom-could-test-global-growths-resilience-oecd-says-2025-12-02/
深刻なメモリチップの世界的不足により、AI企業と家電メーカーが限られた供給を巡って争い、価格が急騰しています。 日本の電気店はハードディスクドライブの購入数を制限し、中国のスマートフォンメーカーは値上げを警告しています。 マイクロソフト、グーグル、バイトダンスなどの大手IT企業が、マイクロン、サムスン、SKハイニックスからの調達を急いでいます。 一部のメモリ価格は2月以降2倍以上に上昇しました。 チップメーカーがAI向け高帯域幅メモリ(HBM)の生産を優先した為、従来型メモリの供給が縮小しています。 SKハイニックスは2026年分のチップが完売し、不足は2027年後半まで続くと予測しています。 新工場は2027~2028年まで稼働しません。
▶ https://www.reuters.com/world/china/ai-frenzy-is-driving-new-global-supply-chain-crisis-2025-12-03/
グレンコアは今後4年間で世界の銅生産を29%増加させ、2029年までに110万トンとする計画を発表しました。銅需要が急増しており、AIインフラだけでも2030年までに3兆ドル規模に拡大する中で膨大な導体量が必要になると予測されています。グレンコアの生産増加は既存資産の拡大と新たな鉱床の開発に依存しており、典型的な鉱業分野の課題に直面しています。フィッチ・レーティングは12/4に短期の金属価格予想を引き上げ、供給不足にあるプラチナ系金属が年初来で50%以上上昇したことを指摘しました。銅は、主要鉱山業者での生産遅延が赤字を悪化させ、2026-2027年を通じて価格を1万2,000ドル/トンを超えると見られています。
▶ https://www.argusmedia.com/en/news-and-insights/latest-market-news/2761624-glencore-to-raise-global-copper-production-by-2035
12/3にマイクロン・テクノロジーは、Crucialブランドを廃止し、2026年2月までに消費者向けメモリ市場から完全に撤退すると発表しました。AIデータセンター顧客を優先する為です。消費者向けDRAM価格は既に前年比172%急騰し、16GB DDR5チップは6週間で7ドルから13ドルに跳ね上がりました。SKハイニックスは2026年のDRAM、HBM、NAND生産能力全体が売り切れたと報じられています。Corsair、G.Skill、Kingston、ADATAを含むサードパーティのメモリブランドは、現在、AI加速器生産を優先しているSamsungとSKハイニックスのみからの配分を競わなければなりません。部品不足は2026年第2四半期まで激化し、サーバー及び商用PCシステムは20~30%のコスト増加の可能性があります 。
▶ https://www.artificialintelligence-news.com/news/ai-memory-hunger-micron-consumer-exit/
輸出低迷にも関わらずASEAN製造業PMIが史上最高値に急上昇しています。ASEAN経済圏の製造活動は2025年11月に急激に加速し、S&Pグローバル地域製造業PMIは53.0に達しました。新規受注と生産は記録的な最速の拡大を記録し、堅調な国内需要に牽引されました。企業は購買活動を2024年3月以来最速のペースで増加させ、サプライチェーンの信頼感の高まりを反映しましたが、雇用は低調なままで、製造業者は作業負荷に対応するのに苦労しています 。その結果、受注残高は調査史上最速のペースで増加しています。このデータは、企業が中国から生産を多様化する中でASEANの台頭する地位を強調しており、同地域は世界の商品インフレを引き起こすコスト圧力を引き起こすことなく生産能力を拡大しています 。
▶ https://finimize.com/content/asean-factories-pick-up-speed-as-demand-stays-strong
▶ https://www.gov.uk/government/publications/introduction-of-carbon-border-adjustment-mechanism/carbon-border-adjustment-mechanism
チャイナプラスワンへの資金が急増しています。東南アジアがグローバルサプライチェーン再編の主要な受益者として急速に台頭していることが調査で判明し、2,263億ドルのFDIを受けながら885億ドルの対外投資を生み出しています。インドネシアとフィリピンが上流鉱物を提供し、マレーシアとベトナムが中流電子機器製造を扱い、タイが電気自動車組立能力を構築しています。マレーシアだけでも、2024年1月から2025年6月の間に半導体関連投資で700億リンギット(170億ドル)以上を集めました。タイのEV産業は勢いを示しており、BYDはラヨーンに年間15万台の生産能力を持つ4億9,000万ドルの工場を開設し、国内EV登録は2021年の1万台未満から2024年には7万台に急増しました。しかし報告書は、成功は企業が柔軟に現地化し、ASEAN の地域別の規制環境に迅速に適応できるかどうかにかかっていると警告しています。
▶ https://www.consultancy.asia/news/6395/roland-berger-study-southeast-asia-quickly-becoming-new-industrial-hub
トランプ大統領は27日、ソーシャルメディアで「第三世界の国々」からの移民を恒久的に停止すると表明しました。これはワシントンDC近郊でアフガニスタン国籍の男による州兵銃撃事件が発生したことを受けた措置です。トランプ氏は、バイデン前政権下で認められた数百万件の入国許可を取り消し、「米国にとって純資産とならない者」を全員送還すると述べています。また、非市民への連邦給付金や補助金を全面停止し、「西洋文明と相いれない」外国人や安全保障上の脅威となる外国人を国外退去させる方針も示しました。具体的にどの国を指すのか、「恒久的に停止」の定義についての説明はありませんでした。
▶ https://www.reuters.com/world/trump-says-us-will-permanently-pause-migration-third-world-countries-2025-11-28/
中国の11月製造業PMIが50の閾値を下回り、最近の輸出楽観論に関わらず工場活動の縮小を示しています。不動産のデレバレッジングによる構造的逆風が鉄鋼、セメント、銅の需要を抑制し続けています。10月に僅かな改善があった事と11月の新築住宅販売の上昇から楽観論に繋がりましたが、結果として回復が脆弱で業種間で不均一であることを示唆しています。製造業の弱さは、世界の鉄鋼消費の50%以上、銅需要の55%、アルミ使用の60%を占める中国の地位を考えると、世界の商品市場に直接影響します。12月のデータも持続的な縮小を確認した場合、潜在的な価格ボラティリティがある事を考慮すべきです。特に産業機器メーカーは中国顧客からの受注減少を予測する段階となっています。
▶ https://www.reuters.com/world/asia-pacific/chinas-november-factory-activity-swings-back-decline-private-pmi-shows-2025-12-01/
現代自動車グループが12/1に9億ドルのバッテリー研究施設の起工式を行いました。自動車メーカーが急速に垂直統合型のバッテリー開発へ戦略転換している事を意味しています。今後、中国バッテリーサプライヤーとの競争が激しさを増し、先進国のEVサプライチェーンが再構築される可能性があります。今回の現代自動車の動きは、最近のリチウム価格変動と電池材料調達を巡る地政学的緊張により露呈したサプライチェーンの脆弱性を受けて、テスラ、GM、トヨタが同様にバッテリー専門知識を内製化する動きに続くものです。
▶ https://www.automotiveworld.com/news/hyundai-breaks-ground-on-battery-research-facility/
中国は新たに3GWhの全固体バッテリー生産能力を追加します。11/29に発表された中国江西省の2つの独立プロジェクト、三維電池の施設と純鋰新能源の製造ラインを通じて行われ、両プロジェクトは18~24ヵ月以内の商業展開を目指したEVバッテリーを対象としています。この動きは、全固体技術が主にパイロット段階にとどまる欧米対照的です。自動車OEMは、技術ギャップを回避する為に全固体バッテリーの認定プログラムを加速すべき段階に入っています。材料サプライヤーは、全固体採用が液体電解質とセパレーターフィルムの需要を減少させる一方、固体電解質材料とリチウム金属陽極の需要を増加させる可能性があるため、需要予測が変わる可能性が指摘されています。
▶ https://carnewschina.com/2025/11/30/chinas-jiangxi-to-gain-3-gwh-solid-state-battery-capacity-from-two-major-projects/
関税コストが負担となり、米国製造業が9ヵ月連続で縮小しています。供給管理協会(SPM)のPMIは10月の48.7から48.2に低下しました。これは車両や自動車部品に対して25%を超える輸入関税による受注減少と原材料コストの高騰に苦戦した為です。輸送機器メーカーは「関税環境に伴うより恒久的な調整」を実施し、労働力削減や米国輸出用に予定されていた追加の海上生産能力の設置を報告しました。成長を報告したのは18セクターの内、4部門のみで、コンピューター・電子製品や機械を含みます。一方、木材製品、輸送機器、繊維工場は大幅な縮小をしました。連邦準備制度理事会(FRB)の関係者は来週、金利について協議する予定であり、複数のメンバーは関税による物価の持続的なインフレから更なる利下げに懐疑的な姿勢を示しており、2026年第1四半期に向けた資本支出に不確実性が生じています。
▶ https://www.reuters.com/world/us/us-manufacturing-slump-deepens-november-2025-12-01/
インドにおける鉄鋼消費の最初の警告サインが出たかが、話題となり始めています。2025年10月にインドは鉄鋼純輸出国に戻りました(輸出44.8%増、輸入55.6%減)。マクロ経済は好調でGDP成長率予測は6.5%に上方修正され、税制改革と金利引き下げが需要を刺激しています。国内鉄鋼消費は4.7%増の1360万トンで、自動車産業が牽引役ですが、建設業界では政府の住宅・道路プログラムの進捗遅れ(計画の13%のみ実施)と支払遅延が深刻です。建設機械販売は30%減少し、条鋼需要が不安定化しています。その結果、メーカーは在庫を抱え、輸出が25.3%急増してEU・湾岸・東南アジア市場に圧力をかけています。インドの生産能力は既に2億500万トンに達し、2030年には3億トンを目指していますが、政府資金不足による国内需要の不安定化は、中国に次ぐ世界的な鉄鋼供給過剰の新たな要因となる「最初の警告サイン」と指摘されています。
▶ https://gmk.center/en/posts/steel-consumption-in-india-the-first-warning-sign/
中国のEVメーカーの急成長により、国内の従来型自動車メーカーは販売が激減し、その結果、国内で売れないガソリン車を世界中に大量輸出しています。2020年以降、化石燃料車が中国の自動車輸出の76%を占め、年間出荷台数は100万台から2025年には650万台超に急増する見込みです。SAIC、BAIC、Dongfeng、Changan等の国有大手メーカーが主要輸出者で、東欧、南米、アフリカ等の充電インフラが不十分な新興市場に注力しています。中国トップの輸出者であるCheryは、2020~2024年の間に輸出台数を73万台から260万台に拡大し、その80%がガソリン車です。中国政府のEV推進政策により年間2,000万台分のガソリン車生産能力が遊休化し、この過剰生産能力が世界への輸出圧力となっています。専門家は、中国メーカーが2030年までに世界市場の30%を占めると予測しており、既存の自動車メーカーにとって深刻な競争圧力となっています。
▶ https://www.asiafinancial.com/china-flooding-the-world-with-gasoline-cars-far-more-than-evs
好調と見られていたBYDの販売減少が報告されています。世界最大のEVメーカーであるBYDは、2025年11月に480,186台を納入し、前年比で5.3%減少しました。これは人気新モデルの競合他社からの競争激化によるものです。BYDは調整後通年目標460万台を達成する為に、12月に約41万8,000台を販売する必要があります。「EV市場での収益化達成はほぼ全てのメーカーにとって遠い目標」であり、大多数のEVモデルは採算が出ない水準で販売されています。これらの動きは、年初来で23%の成長率で依然としてプラスのグローバル販売台数を維持しているにも関わらず、EV業界にとって大きな逆風を示唆しています。
▶ https://www.cryptopolitan.com/byd-sales-drop-rival-tesla-takes-50-hit-eu/
2025年の過去10か月間で世界のEVバッテリー容量は35.2%増加し、933.5GWhとなりました。トップ10の内、6社が中国企業で市場の68.9%を支配しています。CATLが38.1%、BYDが16.9%で、世界の自動車メーカーの調達戦略に大きく影響を与え続けています。韓国と日本のサプライヤーであるLGエナジーソリューション、SKオン、サムスンSDI、パナソニックは、業界がグローバル展開から車両組立工場に近い戦略的地域事業へと焦点を移す中、北米とヨーロッパでの長期契約の確保と現地生産の構築に取り組んでいます。
▶ https://www.arenaev.com/chinas_battery_giants_drive_the_ev_market_to_record_heights-news-5378.php
OECDは12/2に予測を発表し、2025年の世界成長率は3.2%、2026年には2.9%に減少すると見ています。予測では、米国の経済成長率は2025年に2%に引き上げられ、2026年には1.7%に減速するとされており、AI投資、財政措置、連邦準備制度理事会の利下げによる短期的な好成績が、関税の悪影響、移民減少、連邦雇用削減を相殺するとしています。中国の成長率は2025年に5%で推移すると予想され、財政支援が弱まり米国の新規関税が中国輸入品に本格的に適用される為、2026年には4.4%に鈍化する見込みです。報告書は継続的な貿易政策の不確実性が投資回復の見通しを妨げていること、そして米国の財政政策が今後数年で大幅な財政赤字と増加する債務を抱え、持続不可能な道を進めていると強調しています。
▶ https://www.reuters.com/world/china/tariffs-ai-boom-could-test-global-growths-resilience-oecd-says-2025-12-02/
深刻なメモリチップの世界的不足により、AI企業と家電メーカーが限られた供給を巡って争い、価格が急騰しています。 日本の電気店はハードディスクドライブの購入数を制限し、中国のスマートフォンメーカーは値上げを警告しています。 マイクロソフト、グーグル、バイトダンスなどの大手IT企業が、マイクロン、サムスン、SKハイニックスからの調達を急いでいます。 一部のメモリ価格は2月以降2倍以上に上昇しました。 チップメーカーがAI向け高帯域幅メモリ(HBM)の生産を優先した為、従来型メモリの供給が縮小しています。 SKハイニックスは2026年分のチップが完売し、不足は2027年後半まで続くと予測しています。 新工場は2027~2028年まで稼働しません。
▶ https://www.reuters.com/world/china/ai-frenzy-is-driving-new-global-supply-chain-crisis-2025-12-03/
グレンコアは今後4年間で世界の銅生産を29%増加させ、2029年までに110万トンとする計画を発表しました。銅需要が急増しており、AIインフラだけでも2030年までに3兆ドル規模に拡大する中で膨大な導体量が必要になると予測されています。グレンコアの生産増加は既存資産の拡大と新たな鉱床の開発に依存しており、典型的な鉱業分野の課題に直面しています。フィッチ・レーティングは12/4に短期の金属価格予想を引き上げ、供給不足にあるプラチナ系金属が年初来で50%以上上昇したことを指摘しました。銅は、主要鉱山業者での生産遅延が赤字を悪化させ、2026-2027年を通じて価格を1万2,000ドル/トンを超えると見られています。
▶ https://www.argusmedia.com/en/news-and-insights/latest-market-news/2761624-glencore-to-raise-global-copper-production-by-2035
12/3にマイクロン・テクノロジーは、Crucialブランドを廃止し、2026年2月までに消費者向けメモリ市場から完全に撤退すると発表しました。AIデータセンター顧客を優先する為です。消費者向けDRAM価格は既に前年比172%急騰し、16GB DDR5チップは6週間で7ドルから13ドルに跳ね上がりました。SKハイニックスは2026年のDRAM、HBM、NAND生産能力全体が売り切れたと報じられています。Corsair、G.Skill、Kingston、ADATAを含むサードパーティのメモリブランドは、現在、AI加速器生産を優先しているSamsungとSKハイニックスのみからの配分を競わなければなりません。部品不足は2026年第2四半期まで激化し、サーバー及び商用PCシステムは20~30%のコスト増加の可能性があります 。
▶ https://www.artificialintelligence-news.com/news/ai-memory-hunger-micron-consumer-exit/
輸出低迷にも関わらずASEAN製造業PMIが史上最高値に急上昇しています。ASEAN経済圏の製造活動は2025年11月に急激に加速し、S&Pグローバル地域製造業PMIは53.0に達しました。新規受注と生産は記録的な最速の拡大を記録し、堅調な国内需要に牽引されました。企業は購買活動を2024年3月以来最速のペースで増加させ、サプライチェーンの信頼感の高まりを反映しましたが、雇用は低調なままで、製造業者は作業負荷に対応するのに苦労しています 。その結果、受注残高は調査史上最速のペースで増加しています。このデータは、企業が中国から生産を多様化する中でASEANの台頭する地位を強調しており、同地域は世界の商品インフレを引き起こすコスト圧力を引き起こすことなく生産能力を拡大しています 。
▶ https://finimize.com/content/asean-factories-pick-up-speed-as-demand-stays-strong