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NEWSCONの気になるNEWS(2024年1月第4週)

紅海を通過する貨物船の保険料金が大幅に上昇する事が伝えられています。「海上戦争保険料率」が適用され上昇するもので、比率が0.7%にまで上昇する見込みです。イスラエル・ハマス戦争以前はこの比率は約0.05%で、多くの保険会社が紅海航行船舶への戦争補償費用を全額免除していました。民間保険会社によっては補償の提供を停止しているところもあり、アフリカ南部を迂回するルートに変更せざるを得ない状況も出ているようです。この影響で特に中国から欧州向けのコンテナ輸送に影響が表れており、中国の輸出に影響が出ている事が伝えられています。同時に欧米と北アフリカの一部からインドへの輸出の80%がスエズ運河を経由する為、インド向けの貨物にも影響が出始めています。
https://www.businesstoday.in/latest/corporate/story/red-sea-crisis-exporters-seek-help-for-insurance-of-shipments-414102-2024-01-19

中国の鉄鋼内需に影響がある情報です。中国の国務院は地方政府と国営銀行に対して、全国12地域で計画の半分に満たないプロジェクトの建設の延期、又は中止の指示を出しています。これには高速道路、空港の改築・拡張、鉄道プロジェクト等が含まれるようです。中国の地方債務は名目で約13兆ドルにまで膨れ上がり、管理強化が急務となっていました。中国政府は地方政府のデフォルトを懸念しており、このような指示に至ったという事です。地方政府の債務問題は不動産価格の暴落と資金不足が原因です。開発業者は収入源である販売が困難となり、更に資金調達の選択肢が減少しているという悪循環に陥っています。
https://www.reuters.com/world/china/china-orders-indebted-local-governments-halt-some-infrastructure-projects-2024-01-19/

欧州政府は、欧州に投資する企業の審査を義務化する規制案を来週提出予定です。これは半導体、人工知能、量子コンピューティング、バイオテクノロジー等の重要分野で海外直接投資(FDI)を審査する規則となります。この規制によりEU加盟国は対内投資だけでなく、非EU企業のEU子会社が行うEU域内投資も審査する事が義務付けられます。この規制は表向きは安全保障や公序良俗に影響を与えるものを審査するとしていますが、本質的には中国を含む非同盟国への対応と見られています。太陽光発電、風力発電、EV、半導体等へのEU域外からの投資にも大きな影響を与えると予想されています。特にハンガリーを中心にこれらの分野へ投資している中国への規制強化に乗り出すと見られています。EUも遂に米国に近い対中ロ政策に舵を切っています。中国EVメーカーには確実に影響が出そうです。
https://financialpost.com/pmn/business-pmn/eu-to-ask-all-member-states-to-screen-foreign-direct-investments

米国エネルギー省(DOE)はEVバッテリーと充電システムの研究開発に1億3,100万ドル以上の補助金を発表しました。この資金はEV関連のコンソーシアムへ提供されます。コンソーシアムは大学、国立研究所、民間のメーカー等の関係団体となります。電池産業に特化した150億円近い巨額な研究補助金となります。またこれだけでなく米国運輸省は20州にある計約4500台のEV充電機器を修理または交換する費用として1億4880万ドルを交付すると発表しています。米国でのEV販売の伸び鈍化を受けて政府が動いています。
https://www.energy.gov/articles/us-department-energy-announces-131-million-boost-americas-battery-supply-chain-and

中国政府はEVの過剰生産能力の抑制に動きます。中国の産業情報技術次官が伝えたもので、中国政府は「過剰生産を防ぐための強力な措置を取る」と述べています。一部の地方政府のEV奨励の行き過ぎた政策や中国EVメーカーの過剰なプロジェクトで市場が歪み始めており、対応措置が必要な段階にあると言われていました。地方政府の補助金によりEV関連投資が増え続け、過剰生産能力は年間500万台から最大1,000万台になる可能性があります。調査会社Gavekalは「中国のEV市場は急速に過飽和状態となり、悪質な価格競争が目前に迫っている」と警告を出していました。今年に入り、テスラ、BYD、リビアン・オートモーティブ、ルーシッド、フィスカー、NIO、XPeng、リー・オートの株価は先週までに平均で27%下落しています。
https://www.reuters.com/breakingviews/china-ev-overcapacity-fix-would-be-crowd-pleaser-2024-01-22/

海事調査会社シー・インテリジェンスは、紅海での戦争の影響は既に初期パンデミックよりも世界のサプライチェーンに大きなダメージを与えているという分析を発表しています。サプライチェーンのデータの1つである「船舶輸送能力」は近年で2番目に大きな減少を示しています。この減少を超えたのは2021年3月に巨大貨物船エバーギブンがスエズ運河で6日間立ち往生した時だけでした。その件を除けば今回の紅海の危機は「単一の出来事としては最大であり、パンデミック初期の影響よりも更に大きい」と分析しています。
英国では使用済みタイヤの75%が「中古タイヤ」と称して紅海経由でインド及びアジアに輸出されています。しかしコンテナ価格が約1000ドル前後から2500ドルに跳ね上がり、採算が大幅に悪化、行き場のない廃タイヤによる環境汚染の懸念が急速に高まっています。物流の世界的な問題は「ドミノ現象」を様々な所で引き起こす為、思い掛けないトラブルがあるものです。細心の注意が必要です。
https://www.sea-intelligence.com/press-room/246-red-sea-crisis-2nd-largest-capacity-drop

漁業で使われる「網」のプラスチック汚染問題は世界的に認識されるようになりました。今回、トロール引き網漁による炭素と海洋の酸性化についてユタ州立大学流域科学部やカリフォルニア大学地理地球研究所等、複数の研究者が主導した研究論文「底引き網漁による大気CO2排出と海洋酸性化」が1月18日に発表されました。しかし、その同じ日に欧州議会の環境委員会(EPP)は投票を行い、EUの漁業政策の一部の環境規制を解除することを可決しています。これはEPPの意思として「漁業部門は持続可能であるよう努めるべきだが漁業を環境政策の象徴として犠牲にしてはいけない」という立場によるものです。EUの漁業部門はEUの炭素取引制度から除外されており、EUのエネルギー課税規則の改革に対する障害の1つとなっています。欧州は2050年迄にネットゼロを宣言している為、何れかの時期に漁業も炭素排出に関する規制に含められる予定です。しかし待ち望まれていた著名な研究論文が出たその日に「欧州議会の環境委員会」が規制緩和に動いた事は今の立場を象徴するものです。自動車の排ガス規制ユーロ7と同様、選挙年である今年、環境規制に対する「現実路線への緩和措置」がまた1つ表に出る結果となりました。
https://www.eppgroup.eu/newsroom/make-europe-s-fisheries-fit-for-the-future
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmars.2023.1125137/full

以前より様々な所で「噂」はされておりましたが、公的機関による気候データの恣意的な抽出が英国で明らかになりました。オックスフォード大学の物理学の名誉教授クリス・ルウェリン・スミスは、政府に政策提言を行う英国の気候変動委員会が、不十分な気候データを元に重要なネットゼロ勧告を行ったことを非公式ながら認めています。例えば英国がネットゼロに向けた風力発電と太陽光発電を推進する為に風が強い日の数を示すデータを「単年だけ調査し利用した」といった行為を行っていた事です。つまり風の強い日が多かった年の単年のデータのみを利用し、風力発電の有効性を政府に勧告したという事になります。これは同教授が英国王立協会による調査を主導した際に、過去37年分の気象データを調査した事で明らかになりました。気候変動委員会の最高責任者であるクリス・スターク氏もこの批判を認めています。最近、気候変動委員会が英国王立協会向けに提出した報告書には、風力発電と太陽光発電への移行に伴う停電のリスクを防ぐには水素による広大なネットワークが必要であると結論づけていました。しかし王立協会は報告内容を「不安定」だと結論づけています。バイオマス、太陽光発電、風力発電、その次に洋上風力発電、更に水素へと利権構造が移りつつある欧米の再生可能エネルギー政策は過去の例から手本にしない方がベターかも知れません。現時点ではそれらに民間投資家が興味を示さなくなり、大きな転換期を迎えています。
https://www.telegraph.co.uk/news/2024/01/20/climate-change-wind-farms-royal-society-green-energy/

欧州議会で最大議席数のある中道右派の欧州人民党(EPP)は6月の選挙に向けて選挙公約を作成しており、その中にEUで制定された内燃機関の段階的廃止を「修正」する事が盛り込まれていると伝えられています。公約草案ではEPPは「出来るだけ早く法律を改正する」という意図を明確に示しています。欧州では2035年から新車販売はネットゼロエミッション車(ZEV)に限るという規制が採用されていますが、この規制を改正する事を選挙公約とします。欧州ではこの公約は今後各方面に重大な影響を及ぼすと見られています。欧州議会最大の政治グループは既に欧州議会と加盟国の両方によって承認された規制を再度改正するという事になります。欧州グリーンディールの象徴である2035年からのZEV規制の修正は他の法律にも影響を与える事が懸念されています。今回の選挙では議席数1位のEPPと2位の中道左派の社会民主進歩同盟(S&D)が議席数を少し減らし、各国の極右政党グループが議席数を伸ばし、緑の党が大幅に議席数を減らすと予測されています。米国でもEVに関しては同様の論調が強まっています。
https://www.euractiv.com/section/transport/news/epp-group-vows-to-revise-combustion-engine-ban-as-soon-as-possible/

ニッケル価格の低迷は暫く続きそうです。先週BHPはニッケル・ウェスト事業における評価損の可能性と事業の見直しを発表しました。ファースト・クォンタム・ミネラルズ社も鉱山を一時停止すると発表し、更に22日には豪州のニッケル生産会社ワイルー・メタルズが鉱山を閉鎖すると発表しており、供給懸念が起こりました。しかし依然として市場価格は反応していません。これは今や世界の供給量の半分を占めるインドネシアでの供給が現在起こっている価格低下でも減らない事が主な要因です。インドネシアは安価な労働力と電力、原材料の入手の容易さ、更に中国資本による相次ぐ工場建設の投資により世界的なニッケルハブとなっています。インドネシアのニッケル産業は価格下落を吸収する余力が他に比べ強いという特徴があります。こうした構造的な違いにより今後も供給過剰は続くと見られています。中国のEVメーカーBYDはインドネシアのEV工場に13億ドルを投資する計画を発表しています。しかし欧米諸国はサプライチェーンへの規制を強化しており、今後インドネシアのニッケルへの過剰投資が裏目に出るという分析も出始めています。暫くは価格が上昇する要因が新たに出る可能性は低いと見られています。
https://www.businesstimes.com.sg/companies-markets/energy-commodities/nickel-price-crash-seen-strengthening-indonesias-grip-supply

中国政府は株式市場の低迷を受け、2,780億ドル規模(約400兆円)の株式市場救済策を検討していると報じられています。資金は中国政府が保有する国有企業のオフショア口座から引き出す2兆元から捻出し「市場安定化基金」を設立する模様です。早ければ今週にも政府が救済措置を発表する可能性があります。中国の株式市場は、2021年初頭から既に時価総額で6兆3000億ドルを失っています。政府は大株主による株の売却を禁止する事で低迷する株式市場を支えようと試みましたが、何故か今月初めに規制を緩和しました。中国では人気のレバレッジ付きデリバティブによる投資家の損失が急増しており、推定元本残高約500億ドルの内、40%は株式の下落で被害を受けていると言われています。既に株式市場はかなりのダメージを負っている様で対策は急務となっています。中国経済はデフレ、需要低迷、不動産市場の危機が重なり、海外投資家が敬遠しているだけで無く、国内からの資金の流出も問題となっています。この巨額の救済策は歓迎されていますがGDPの2%未満である事から不十分との懸念もあります。モルガン・スタンレーは先週の報告書で主に欧州のアクティブファンドと香港のパッシブマネーによって海外ファンドが今年これまでに約16億ドルの中国株を売却したと記載していました。
https://uk.finance.yahoo.com/news/xi-plots-emergency-intervention-shore-112916552.html

既にこの発信で繰り返していますが、英国にあるタタスチールは、2つの高炉を閉鎖し2027年までに電炉に切り替える事が確認され、英国内でのスクラップ使用量が70%増加すると見られています。この2基の電炉以外にも追加で1基、更にブリティッシュスチールが2基の電炉を計画している事から2030年迄に最大で800万トンとも言われる鉄スクラップの利用が予測されています。800万トンは現在の英国の総スクラップ発生量の80%に達する事から、国際市場での鉄スクラップの入手性に影響が出る可能性が高いと見られています。
https://www.mrw.co.uk/news/uk-steel-says-port-talbot-can-increase-domestic-scrap-use-by-70-23-01-2024/

ポーランドとバルト3国はEU政府に対してロシア産のアルミニウムとLNGの禁輸を要求しました。この要求によりアルミニウム価格が反応しています。これは新たなEUの対ロシア制裁パッケージに関するもので、アルミニウムの供給懸念から市場が反応したものです。EUは第13次制裁パッケージの策定を開始しており、ロシアへの制裁強化を訴えるポーランドとバルト3国はロシアからの入手に頼らざるを得ないアルミとLNGにも言及しています。現在、逆にEUからロシアに出荷禁止となった対象商品の60%は中国経由でロシアに渡っていると言われており、中央アジアも迂回路の1つとなっています。その為、今回の第13次パッケージではそうした迂回路の阻止に動くようです。他のコモディティも一斉に上げていますが、これは中国政府が株式市場の救済措置に出ると報道があった事で先物が買われた為です。この様に需給バランスとは異なった政治方針による反応でコモディティが敏感に動いており、少し注意が必要かもしれません。今後はこの様なケースが増えると思われます。
https://uk.finance.yahoo.com/news/poland-baltics-want-aluminium-lng-145953134.html

銅のサプライチェーンに関しては、既に南米の鉱山の政治問題による供給懸念が一般化しています。しかし世界のファンドはそんな中でも「銅の売り」を加速しています。これはファンドがサプライチェーンのストレスよりも世界的な銅需要の低迷を予測している事が要因です。ファンドは昨年12月末時点でCME銅の買い越し額が約1万5000枚に達しており、ロングが積み重なる状況でした。しかし新年を迎えて一転、1月前半にはネットポジションがショートにシフトしました。1週間前の取引終了時点でのネットショートは2万5309枚で2022年7月以来最大の弱気相場となっています。銅の供給混乱はコンセンサスですが、欧・米・中の「銅爆食い」は非現実的と見られており、ファンドが銅の買いに戻るには更らなる供給の混乱が必要なようです。
https://www.reuters.com/markets/europe/funds-sell-copper-weak-demand-trumps-supply-pressures-2024-01-23/

2024年にはメーカーによる新車販売の22%をゼロエミッション車(実質EV)にする義務がある英国では、保険会社がEVの保険料金を僅か1年でガソリン/ディーゼル車の2倍に引き上げています。事故時のコストが要因として挙げてており、今後、普及が進む他地域にも影響が出る可能性があります。現在、欧州政府は中国EVを排除する為に中国政府によるEVメーカーへの補助金の調査を実施しています。欧州政府は中国EVメーカーの視察を計画しています。この問題でEVに関する欧州と中国の関係悪化が進みつつあり、懸念が強まっています。
一方、テスラは価格競争が激化している市場に廉価版の大衆EVを発売すると発表し、今後更に価格競争に拍車がかかる見込みです。市場の急激な変化もあり、ボルボからスピンオフしたEV振興メーカーのPolstarは上場維持への懸念が上がっています。今後、資金の無い新興メーカーへ出資する投資家が減る可能性も指摘され始めています。
それに反して、資金のあるアップルは2028年に自社製EVを発売する計画がリークされています。このプロジェクトはAppleにとって過去10年間で最も高額なプロジェクトの1つであり、同社は給与、クラウドベースのシステム、非公開路上テスト、車両部品やチップのエンジニアリングに年間数億ドルを費やしているようです。また豊田章夫社長が出版物で語った内容は海外で大きく取り上げられています。
https://www.dailymail.co.uk/yourmoney/consumer/article-12997589/Apple-reportedly-set-launch-EV-early-2028.html
https://www.greencarreports.com/news/1142087_toyota-exec-says-evs-won-t-top-30-wants-new-engines

欧州委員会はEUの経済安全保障を強化する為に幾つかの提案を提出しました。EU域外からのEU投資の審査の強化、軍事目的に利用可能な民生品の輸出規制、EUの海外投資に伴う潜在的なリスクの分析、の3つを挙げています。今後グリーン化に伴う原材料や技術だけでなく、経済安全保障に伴う投資や物品の輸出等に影響が出るものと見られています。
https://commission.europa.eu/news/new-tools-reinforce-eus-economic-security-2024-01-24_en

インドとロシアはデジタル化への戦略的協力を発表しています。両国はデジタルのトレンドに追従するだけでなく、従来のアプローチを超えたデジタル化のリーダーとしての地位を確立することを目指しています。これはBRICSのテクノロジー分野における大きな権力の動きを表しています。この戦略的な動きはBRICS同盟内での立場を強化し、インドとロシアがデジタル分野で主導権を握る事を望む事が根底にあります。将来的にはブロックチェーン通貨の実現を目指すものと考えられています。BRICSというのは各国が「自国主義」の為、「共通の価値観」が存在しません。既に様々な問題を抱えています。中国とインドは昨年ロシアからの化石燃料の輸入が急増し、サウジアラビアからの原油輸入が急減しました。サウジはこの一件でBRICSからの離脱を仄めかすという一幕もありました。中国はBRICS内ではITで先行しています。しかしインドは西側のIT投資を受け、デジタルで主導権を握りたいという思惑があります。インドとロシアのこの協定はインドに対する西側のIT投資への冷や水になりかねません。インドと共通のデジタルプラットフォーム上の情報がロシアに筒抜けになる懸念がある以上、今まで増加していたインドへの西側のIT投資は確実にスローダウンすると思われます。
https://myind.net/Home/viewArticle/india-and-russia-join-forces-to-develop-indigenous-digital-economy

米国保険福祉省の国立衛生研究所(NIH)は一般的に販売されているボトル入り飲料水の中のプラスチック粒子の画像解析結果を公表しています。新しく開発された技術では1μm未満のプラスチック粒子を迅速に検出可能で、AIアルゴリズムを利用して7種類のプラスチックを解析する事ができます。その技術を使い検証した結果、水には7種類全てのプラスチックの粒子が含まれていました。最も一般的なのはポリアミドでPETも大量に検出されています。他にはポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、水の浄化にも使用されるポリスチレンなどが含まれていました。この方法により7種類のプラスチック以外の数百万の粒子が特定されました。これらの小さな粒子がナノプラスチックなのか、それとも他の物質なのかはまだ明らかになっていません。実際にこれらが健康に及ぼす影響は別問題ですが、ナノプラスチックの検出技術は各段に進歩しており、今後マイクロプラスチック規制へと繋がるデータが多数出てくる可能性があります。
https://www.nih.gov/news-events/nih-research-matters/plastic-particles-bottled-water

また1つ欧州でESG規制を現実路線に戻す動きが出ています。欧州議会の法務委員会は特定産業に対するEU企業サステナビリティ報告指令(CSRD)の開始時期を2年延期する提案を圧倒的多数で合意しています。延期となる産業は石油/ガス産業、鉱業、道路輸送業、食品産業、自動車産業、農業、エネルギー生産業、及び繊維業です。元々はEU金融サービス委員からEU企業報告諮問機関に実施時期の順位付け要請が行われた為に提案となったものです。委員は「欧州の企業は新型コロナウイルスからインフレに至る長年の危機の中であまりにも官僚的な欧州政府の仕事に我慢してきた」と苦言を呈しています。CSRDはEU非財務報告指令(NFRD)に代わり大企業の脱炭素とデューデリジェンスを加速する「本丸」の1つとして世界に先駆けて実施される予定でした。しかし欧州内部から延期案が出る事態となり、欧州政府の信頼性や一貫性に大きな疑念が湧く方針となっています。
https://www.esgtoday.com/eu-lawmakers-approve-2-year-delay-of-sector-specific-non-eu-company-sustainability-reporting-standards/

イーロン・マスクは、「中国の安価なEVによる競争破壊を阻止できるのは保護主義だけだ」という趣旨の発言を行い、一斉に取り上げられています。実はこの発言自体が重要ではなく、米国の大統領選挙運動で両候補が中国回避を強調する中、EVもその対象とするよう暗に期待しての発言と見られています。24日のテスラの決算会見での発言で正確には「率直に言って貿易障壁が確立されなければ、世界中の殆どの自動車会社は(中国のEV企業に)潰されてしまうだろう」と言ったものです。テスラの収益(自動車部門)は2023年第4四半期に予想を下回る総額216億ドルとなり、前年同期比からの増加は僅か1%でした。現在、確立したサプライチェーンによってコストを抑えられる中国のEVメーカーは、国内での価格競争と過剰な生産能力により、海外進出の急拡大に取り組んでいます。バイデン大統領は「中国はEV市場を支配する決意をしており、それを許さない」との発言をしており、トランプ候補も「当選した場合、関税強化を倍増させ、米国へのすべての輸入品に一律10%の関税を課すと共に中国の最優遇関税を撤回する」と繰り返しています。欧米共にEVのサプライチェーンを自国内で確立する時間が必要というコンセンサスがあり、中国排除は徐々に固まりつつあります。
https://fortune.com/asia/2024/01/25/tesla-ceo-elon-musk-warns-china-evs-competitive-protectionism-demolish-competition/

欧州では昨年末から今年に掛けて「炭素国境調整メカニズム」「デューデリジェンス指令」、「経済安全保障提案」が相次いで発表されてきました。これらは特に中国を念頭に新興国との競争から欧州産業を守る政策となっています。しかし、こうした方針に対してドイツ機械工業協会(VDMA)はプレスリリースを連続して発行し、非常に過激な言葉を使い大反対の姿勢を鮮明にしています。ドイツの産業機械セクターは中国の顧客無しでは成り立たない程、中国への輸出に支えられてきました。その為、中国や新興国が対抗措置を取る事で短期的な利益に大きな影響が出ます。既にその傾向が顕著化しており、更に欧州内でそれらの規制に対応する為の様々な官僚的手続きが必要な事から反対論が急浮上しています。逆に欧州改革センターの上級エコノミストは一連の欧州の改革は実は中国や新興国を怒らせない為のソフトな調整に終始したとして「失敗」との評価をしています。サプライチェーンを再構築する為にはどうしても時間がかかりますが短期的な利益を追求すると、再構築が実現出来なくなります。VDMAの一連の発表はそのジレンマの象徴となっています。この傾向は中ロ依存を享受したドイツで鮮明になっています。
https://www.vdma.org/home




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