NEWS

NEWSCONの気になるNEWS(2023年7月第1週)

中国の今年の鉄鋼製品輸出量は最大7,700万トンに達する可能性があります。不動産需要の低迷から国内鉄鋼価格が低迷する中、人民元安もあり、輸出トレーダーが活発に動いているようです。中国の税関データによると、最初の5ヵ月の鉄鋼輸出は前年比で41%も増加しています。人民元は年初来、対米ドルで5%近く下落しています。5月の鉄鋼輸出量は836万トンに達し、2016年9月以来の高水準でした。しかし出荷額は前年同月比27.5%減の77億ドルに留まりました。平均では1トン当たり922ドルでした。つまり安値で大量に輸出しているという事になります。アジアで中国鋼材が安価で大量に流通すれば、スクラップの上値にも影響が出そうです。中国の粗鋼生産能力は過去に過剰な国内不動産投資を基に増加し続けてきた為、今後、膨大な余剰生産能力が輸出を出口にし続けると、スクラップ価格への中期的な影響が出る可能性が高くなります。
https://www.asiafinancial.com/china-steel-exports-heat-up-on-weak-yuan-set-for-7-year-high

欧州理事会は「EU重要な原材料法」に関する理事会の立場を採択し発表しています。欧州委員会から提案されたものから幾つか変更があり、特に処理とリサイクルに関する数値が引き上げられています。リサイクル能力の目標は当初の提案の15%か20%となっています。これは元々の提案であったEU重要な原材料リストの34品目の内、「EUの年間消費量の少なくとも15%を国内リサイクルから得る」という目標を引き上げるものです。提案では「重要な原材料」の含まれる製品を各国がリサイクルする為のスキームを作る必要があります。この法律はスクラップトレーダーにとっては厳しいもので、重要な原材料リストに含まれるリサイクルした金属スクラップは域外に自由に輸出しにくくなるというものです。
https://www.consilium.europa.eu/en/press/press-releases/2023/06/30/critical-raw-material-act-council-adopts-negotiating-position/

世界銀行は、インドの低炭素エネルギーを発展させる為に15億ドルの融資を承認しました。この融資は再生可能エネルギーの拡大、グリーン水素の開発、低炭素エネルギー投資の為の気候変動金融の刺激等により、インドの低炭素エネルギーを推進するものです。インド政府は2030年迄に再生可能エネルギー容量を500GWにまで高める事を目標にしています。政府は23-24年度から27-28年度にかけて、毎年50GWの再生可能エネルギーの入札を行う予定です。これにより2026年迄に年間4,000万トンの炭素排出を削減します。再エネには銅、アルミを含めた主要な非鉄金属が欠かせません。インドの再生エネルギー投資は、少なからず市場に影響を及ぼすと見られています。
https://www.reuters.com/business/energy/world-bank-approves-15-bln-financing-indias-low-carbon-energy-sector-2023-06-30/

SMMが中国での炭酸リチウムの短期予測を出しています。下流のバイヤーは購入意欲が低く、価格はやや低下気味だが膠着状態であり、変動幅は少ない、との見通しです。様子見ムードもあり、短期的なスポット価格の変動は小さいと見ています。
https://news.metal.com/newscontent/102271983/SMM-Forecast-For-Short-Term-Lithium-Carbonate-Price/

欧州最大の鉄鋼メーカーであるアルセロールミタルが全ての長尺製品の価格を1トン当たり30ユーロ(約33ドル)引き上げる予定です。欧州の現在の鉄筋価格は2021年第1四半期以来の最低水準です。欧州の国内鉄スクラップ価格も2021年第1四半期のレベルに戻りました。しかし、スプレッドに最も影響のあるエネルギー関連のコストは、2021年第1四半期を大幅に上回っています。つまり今回の値上げは、エネルギー関連とそれに付随するサプライチェーンでのコスト増によるものです。今後スプレッドもエネルギーコスト増で変わって来ると思われます。
https://www.kallanish.com/en/news/steel/market-reports/article-details/arcelormittal-lifts-longs-offer-prices-sources-0623/

欧州委員会は5日、遂に繊維製品に対する拡大生産者責任(EPR)制度を導入する提案を発表しました。2025年から繊維を個別に収集し、生産者が費用を負担する事で分別収集、選別、再利用、リサイクル能力への投資を加速します。欧州からアフリカに流れている古着の貿易だけでなく、衣類の耐久性や設計にも大きな変化が生まれる可能性のある規制となります。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_23_3635

欧州委員会は、2030年迄にEUの食品廃棄物を30%削減する為の提案を発表しました。
(食品ロス=事業者、加工工程で発生するもの。食品廃棄物=消費者や消費者に提供するレストラン等で発生するもの。)
予定より1ヶ月遅れで発表となった改定案は、2008年以来施行されているEUの廃棄物枠組み指令の改訂の一環として、食品廃棄物を削減する提案が含まれたものです。計画では、加盟国は2020年に対し、店舗、レストラン、家庭での食品廃棄物を2030年末迄に1人当たり30%削減する事が法的に義務付けられます。更に食品の加工及び製造中の食品ロスに取り組み、こちらも2020年に対し10%削減という法的拘束力のある目標が設定されました。
https://www.euractiv.com/section/agriculture-food/news/commission-tables-proposal-for-30-cut-in-eu-food-waste-by-2030/

欧州議会は今月(7月)、持続可能な製品のための「エコデザインルール」を採択する予定です。このルールは今後、製品開発に環境への配慮を組み込む事に加え、ライフサイクル全体を通じて環境への影響を最小限に抑えた製品を作る事を目指すものです。EUのメーカーは既にヒーター、冷蔵庫、掃除機、コンピューター等のエネルギー関連製品のエコデザイン規則に則り製品を設計しています。設計段階でエネルギー消費と環境への悪影響を軽減する事が求められています。今回のエコデザインルールでは更に一歩進んで、略全ての製品にエコデザイン規則を導入する計画です。
https://www.europarl.europa.eu/news/en/headlines/society/20230629STO01708/ecodesign-rules-to-ensure-sustainable-products-on-eu-market

中国が半導体生産に重要な金属であるガリウムとゲルマニウムの輸出規制に乗り出します。現在、中国は低品質ガリウムの独占的な地位を確立しており、影響は避けられないと見られています。欧州でも対応を急ぐ動きが報道され始めています。
https://www.scmp.com/tech/tech-war/article/3226548/tech-war-chinas-move-impose-controls-gallium-and-germanium-mixed-blessing-countrys-exporters




NEWSCON Inc. TEL. 03-3528-6223

営業時間 09:00-18:00
(土日・祝日・年末年始を除きます。)

CONTACTお問合せフォーム