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NEWSCONの気になるNEWS(2023年5月第5週)

欧州最大の経済大国であるドイツが2四半期連続でGDPがマイナスとなり、本格的に景気後退に入る気配を見せています。25日にドイツ統計局が発表したデータによると2023Q1のGDPは前四半期比でマイナス0.3%、前年同期比でもマイナス0.2%でした。一般家庭の消費は、食料品、飲料、衣料品、家具への支出が減少しました。また新車購入も減少しています。新車購入の減少はプラグインハイブリッドに対する補助金の打ち切りと、電気自動車に対する補助金の削減が原因と考えられています。更に政府の最終消費支出も-4%と大幅に減少しました。景気後退の大きな要因は、インフレと金利の上昇です。ドイツは4月にインフレ率が7.2%に達し、エネルギーコストの上昇も加速しています。消費者物価は2022年末にピークでしたが、下げ幅はほんの僅かで物価高は解消されていません。専門家は期待されていた主要市場である中国の景気回復、新型コロナウイルスのパンデミック後のサプライチェーン問題の緩和は何れもドイツ経済を景気後退の危機から抜け出すには十分ではなかった、との見解を示しています。
https://www.destatis.de/EN/Home/_node.html

アムステルダムで行われたBIRの年次会議の鉄部門会議の内容が26日にBIRのサイトからリリースされています。2022年に欧州ではウクライナ戦争を機にGDPの10%に相当する金額をエネルギーに費やし、大幅な急増となった事を挙げています。それ以前には約4%でした。パネラーの1人はこの支出は、当面増加し続ける可能性が高いとの見解を示しています。鉄鋼業はエネルギー集約型産業として、2022年には生産削減や施設閉鎖を行った産業の1つです。この会議では「数字で見る世界の鉄鋼リサイクル第14版」が発表されました。最新版では「スクラップ」という用語が、「リサイクル鉄」という用語に置き換えられています。この表現変更は、金属リサイクルが「国民や政策立案者の共感をさらに効果的に高める為に行った、という事が示されています。2022年時点でも、中国は世界最大の鉄スクラップ消費国であり、2億1530万トン以上を溶解しています。これは前年比で4.8%減少したにも関わらず、その消費は膨大な量となっています。世界1位の鉄スクラップ輸入国であるトルコは、前年比で輸入量を16.5%も減少させています。このパターンはしばらく続く可能性がある事が示唆されています。
https://www.bir.org/news-press/news/item/bir-amsterdam-convention-ferrous-division-terminology-and-energy-costs-dominate-at-amsterdam-meeting

欧州理事会がEU廃棄物輸送規則の交渉に先立ち、基本原則を合意した事を受けて、欧州廃棄物リサイクル産業協会(EuRIC)が早速プレスリリースを発表しています。リリースでは現在提案が行われている2つの規則案について一貫性を求めています。2つの規則とは、廃棄物輸送規則(WSR)と、包装及び包装廃棄物規制(PPWR)となります。このリリースの主旨は2021年から既に規制となっている「リサイクルが困難な非有害なプラスチック廃棄物(EU48)」のEU域内への輸送に「事前通知及び同意手続き」が適用された事に加え、新たな廃棄物輸送規則では、OECD諸国へのプラスチック廃棄物の輸出にも事前通知が必要となる等、手続きが大幅に煩雑化する事に懸念を示すものです。また、もっと本音を言えば議論となっている包装及び包装廃棄物規制(PPWR)では、リサイクル材の利用率が決まっている為、PPやPET等の価値のあるプラスチック廃棄物が、メーカーがデポジットシステム等を通じて特定の業者が抑えてしまい、多くのリサイクル業者にはリサイクルが困難なプラスチック廃棄物が回って来るという事態が発生しやすくなる為です。今までは(今でも闇で)、海外に輸出したり、EU域内で移動する事でリサイクル業者は利益を得ていましたが、今後はその道が正式に断たれる事になります。法律はその為に制定されているものですが、EuRICとしては歓迎できない為、表向きの理由をつけて反論しているという図式になります。この問題は既に欧州で始まっていますが、2025年に始まるプラスチック汚染に関する国際条約で他国にも必ず同じような影響が出ると思われます。
https://euric-aisbl.eu/resource-hub/press-releases-statements/press-release-recyclers-call-for-a-waste-shipment-regulation-that-promotes-plastics-circularity-in-europe

リチウム価格は今後2年間不安定な状態が続くという予測が出ています。過去2年の価格の急騰は、供給源が限られている中で中国市場の需要が増し、新たに形成されたスポット市場での価格が上昇した事が大きな要因です。しかし、その後の在庫調整で価格が急落した事は実際には需要と供給の不均衡があるという事を示しました。その為、今回起こった中国のスポット炭酸リチウム価格の突然の下落が市場の安定性に疑問を投げかけています。現在こうした需給バランスからくるボラティリティを解消する為、米国、オーストラリア、中国、インドが、それぞれリチウム鉱山権益へのアクセスを行えるよう急速に動いています。自動車メーカーのFordも最近3社とのリチウム供給の長期契約を締結したばかりです。こうした鉱山からの権益確保やリチウムの長期供給契約という戦略的な動きが活発化している事から、将来中国のスポット価格の影響が現在よりも少なくなると見込んでいます。長期的には安定方向に向かうと見られていますが、その間の今後2年は引続き不安定な状況が続くと分析しています。
https://agmetalminer.com/2023/05/25/lithium-battery-market-volatility/

環境団体のグリーンピースが、プラスチックのリサイクルが安全な解決策にならないという声明を発表し、それが様々な一般紙で取り上げられています。グリーンピースは、これだけでは無く、プラスチックのリサイクル施設から放出されているマイクロプラスチックの問題点にも焦点を当てています。グリーンピースは基本的に、プラスチックは循環経済と両立するとは決して考えられないと主張しています。リサイクルする度に、プラスチックは人間の健康と地球の健康に害を及ぼすとのキャンペーンを実施しています。プラスチック廃棄物汚染に反対する環境グループは、汚染に対処する方法としてのリサイクルの有効性を疑問視する大合唱となっています。これは来週末から始まるプラスチック汚染に関する国際条約交渉を前に大々的に行われているもので、石油化学の業界団体がプラスチック廃棄物の汚染に対してリサイクルを推進する方針を取っている事への大きな抵抗となっています。
https://www.theguardian.com/world/2023/may/26/friday-briefing-why-recycling-plastic-may-not-be-as-good-for-the-planet-as-we-thought

プラスチック廃棄物汚染の国際条約締結に向けた多国間交渉が始まりました。会議早々にプラスチックの循環性を高めるリサイクルを推進するよう求める石油化学の業界ロビーと、更なるプラスチックの生産制限を望む国々とで議論が起こっています。国連環境計画(UNEP)は2040年迄にプラスチック廃棄物を80%削減する為の報告書を今月初めに発表しています。再利用、リサイクル、代替素材への転換、という3つの重要指針を示しています。この報告は生産総量の削減が含まれてない為、一部の環境団体は石油化学業界への譲歩である、と考えています。UNEPの報告書ではプラスチックに関連する1万3000種の化学物質が特定されており、その内3000種以上が有害と考えられています。現時点では、一部のプラスチックを禁止すべきかどうか、また廃棄物管理を改善する方法等、条約の中核目標についてまだ何も決まっておらず、決定を下す過程の段階です。今週は色々とありそうです。
https://www.reuters.com/business/environment/plastic-recycling-focus-treaty-talks-get-underway-paris-2023-05-29/

BIRが自身のサイトに会議のセッション内容を掲載しています。非鉄部門、及びステンレス鋼・特殊合金委員会の報告が掲載されています。非鉄部門では政府による政策介入が自由貿易を脅かしているという懸念を繰り返し、更に世界経済の低迷が需要や企業投資を冷え込ませている為、ヤードへの物質の流れが減少している事を伝えています。インドは今後アルミニウムとアルミニウムスクラップを指定する国の基準が制定されます。提案されている不純物の閾値とサンプリング手順はリサイクル業者から厳しい批判を浴びていますが、近い将来にこれらの基準が実施される予定です。ステンレス鋼に関しては、欧州の市況は2023年初めに改善しましたが、新たな価格圧力と生産の急激な減速に苦しんでおり、生産能力の内、現時点の稼働率は僅か50%です。一方で米国のステンレススクラップ輸出は、インド、台湾からの需要改善を受けて、2023年最初の2ヵ月で前年同期比120%増の7万3000トン以上増加しました。業界にとってプラスの提案は、フラウンホーファー研究所の教授が提案した政策で、炭素削減を含む環境コスト削減を「スクラップボーナス」として価格設定メカニズムに組み込む事です。具体的には現在は製品にしか適用される予定がない、原材料と中間製品も「EU炭素国境調整メカニズム」に適用させる事です。スクラップの利用は炭素削減の割当よりも優れている政策手法であると主張しています。また教授はEUのスクラップ輸出の規制は欧州内のスクラップ価格が下がる事でスクラップ業者に影響があるだけでなく、EU外でのスクラップ利用量が少なくなる事で、全体的には気候変動政策の取り組みを損なうことになる、と業界側に沿った主張をしています。
https://www.bir.org/news-press/news/item/bir-amsterdam-convention-non-ferrous-metals-division-environmental-issues-are-global-and-so-require-a-collective-solution
https://www.bir.org/news-press/news/item/bir-amsterdam-convention-stainless-steel-special-alloys-committee-under-threat-european-stainless-steel-industry-no-longer-cost-competitive

プジョー、クライスラー、フィアット、オペル、シトロエン、ダッジ等の自動車ブランドを持つ世界最大の自動車メーカーグループの1社であるステランティスが、EV用のリチウム硫黄バッテリー技術に投資する事を発表しています。ステランティスベンチャーズを通じた戦略的投資で、リチウムイオンの2倍以上のエネルギー密度を供給できる可能性があり、ニッケル、マンガン、コバルトを使用しない代替正極材を利用する、リチウム硫黄電池の開発に向けられています。これは米国カリフォルニア州のLyten, Inc.社の技術(Lyten 3D Graphene™)を利用するもので、同社への投資を行う事で開発を加速します。リチウム硫黄電池は、製造時までの二酸化炭素排出量がNMC-LIBに比べ推定60%低く、原材料を北米又は欧州で調達する事で、サプライチェーンの地政学的な問題を回避する事が目的となっています。地政学と資源ナショナリズムが短期的な問題でないと認識したここ半年で、代替材料や新しい化学組成のバッテリーへの投資が益々加速し始めています。
https://www.stellantis.com/en/news/press-releases/2023/may/stellantis-invests-in-lyten-s-breakthrough-lithium-sulfur-ev-battery-technology

フランスでは初の欧米資本によるEV用バッテリーギガ工場の竣工式がありました。このギガ工場はフランスのトタルエナジー、自動車メーカーのステランティスとメルセデス・ベンツが共同出資しているAutomotive Cell Company社で、投資額は70億ユーロ、フランス、ドイツ、イタリア政府から計13億ユーロの国家援助を受けています。この計画はマクロン大統領の「再工業化」計画の一環で、フランス北部の産業衰退地帯の復興を兼ねています。フランス政府はこの地域を「バッテリーバレー」とする事を計画しており、最近、台湾の電池メーカーProLogiumもこの地域に誘致する事に成功しています。フランスによるバッテリーバレー構想はマクロン大統領の肝いり政策で、「再産業化」計画による雇用創出に向けて、数十億ユーロの投資を呼び込む事を目的としています。政府はEV補助金を含む多くの環境対策と税額控除を発表しています。フランスでは既にEnvision AESCが工場を建設中で、2025年からフランスの自動車メーカー、ルノーに電池を供給する予定です。フランス政府による補助金漬けの産業政策がどのような結果になるのか、欧州でも他国は冷静に見ているところもあります。
https://www.acc-emotion.com/node/2469

プラスチック汚染に関する国際条約の多国間交渉が2日目となっています。2日目の交渉の詳細はまだ一部ですが、ここまで交渉自体の進展はあまり無いようです。交渉委員会のジョティ・フィリップ事務局長は、多国間交渉が2023年内にもう1回、2024年に2回開催され、条約の採択は2025年半ば迄に終了するというタイムスケジュールを伝え、この条約制定が非常に早急に行われる事を述べています。世界のプラスチックの使用量は20年間で2倍以上の4億6,000万トンに増加し、今後40年以内に3倍に増加する見込みです。現在の生産量の3分の2は、1回または数回使用された後に廃棄され、実際にリサイクルされるのは10%未満で5分の1以上が不法投棄または焼却されています。昨日始まった交渉の優先事項は、プラスチックの生産量を削減し、使い捨てプラスチックを出来るだけ早い時期に禁止する事ですが、交渉の初日からリサイクルを優先する国々と、生産量削減を推進する55ヵ国近い国々との分裂が鮮明になっています。中国、米国、サウジアラビア、OPEC諸国等、大規模な石油化学産業を持つ国々は、生産量削減に消極的な態度を変えていません。
https://www.sustainableplastics.com/news/plastics-treaty-talks-paris-round-2-kick

2022年の世界の廃棄物発電施設建設が大幅に減少しました。2022年に世界のごみ発電用の新規プラントの建設や既存プラントの大幅な更新の為に受発注した契約は僅か56件でした。2021年に比べ、約60%も減少し、年間処理量の増加としては2014年以来最低となりました。最大の要因は長年活況を呈してきた中国の市場が急激に落ち込んだものです。しかし契約金額では依然として世界の60%近くのシェアを占めています。ごみ発電に関しては、英国でも条件が揃う事で補助金の対象になりましたが、不況と燃焼による炭素排出への風当たりから、PJTへの投資が一時期より減っています。
https://www.euwid-recycling.com/news/business/report-volume-for-new-waste-to-energy-plants-takes-a-tumble-300523/

中国政府が実施した最新の調査では、5月1日から21日までの3週間、主要50都市の新築住宅販売面積は週平均430万平方メートルで、4月の週平均と比べて17.7%と大幅に減少しました。中国の不動産市場は未だ回復の勢いに欠けており、国内の不動産企業は引き続き多額の負債に苦しんでいるという事です。ロシアの増産による安価なビレットの流通、中国国内市場の低迷(特に鉄筋)等が重なり、暫く影響が続きそうです。
https://www.mysteel.net/news/all/5039417-chinas-property-market-still-under-pressure-in-may

米国とEUの貿易技術評議会(TTC)の閣僚会議がスウェーデンで行われています。最大の議題はAIで、その次が中国関連と伝えられています。AIについてはChatGPT等のAIアルゴリズムの基準の設定に関する協議となっています。また特にEVで使用される両地域での「重要な鉱物原料」に関する協定に向けて米国の対応を求めています。最近欧米ではロシア、中国、AI規制、更に重要な原材料の4つが政治テーマとして常に議題に上がります。重要な原材料は欧米では地政学的な要因から本当に重要な政治テーマになってきました。
https://www.reuters.com/technology/eu-us-weigh-china-ai-trade-strains-high-level-sweden-talks-2023-05-30/

英国でプラスチック包装品を追跡する為の取組が徐々に実装され始めています。英国のPolytagが開発製造している包装や容器に利用するラベルシステムは、QRコードに加え、複数のUV印刷されたQRコードを包装用フィルムの内側等に印刷する事で、廃棄物になった時にUVセンサーで読み取る事ができます。それにより包装や容器を回収したリサイクル施設でモノを特定できます。英国では自社でプラスチック包装を製造小売店チェーンがこのシステムを利用し始めており、ディスカウントスーパーの大手AldiがPolytagと組んで、自社の小売店で販売するプラスチック容器包装のトレースを行う取組を始めました。英国ではプラスチック包装税が開始されており、一定のリサイクル材が利用されていないプラスチック包装材には税金が掛かります。今年は生産者や流通業者が利用量の申告を行う最初の年となっており、既に昨年10月より開始されています。取扱量の少ない輸入者や製造業者は課税が免除されていますが、大手企業は対応をしなければなりません。プラスチック包装税のような制度が本格化し、更にリサイクル材の利用率が上がると、こうした技術が本格的に必要になる時期が来ると思われます。
https://www.polytag.co.uk/
https://www.kamcity.com/namnews/uk-and-ireland/supermarkets/aldi-becomes-latest-retailer-to-seek-more-recycling-information/

欧州鉄鋼協会(EUROFER)はカンファレンスを開催しています。カンファレンスには政府の高官と持続可能エネルギー企業のトップが参加し、鉄鋼業がグリーンエネルギーに長期的にアクセスできるよう、早急に産業政策を策定するよう要求しています。カンファレンスは「欧州のネットゼロ産業の推進:化石フリーのエネルギーを求める競争が、製造業のバリューチェーンをどのように再形成するか」というタイトルで開催され、参加者は鉄鋼、風力発電、グリーン水素を含む再生可能エネルギー産業のトップ経営者、ビジネスリーダー、欧州のグリーン政策のEU各国の高官が含まれ、差し迫った問題に関する討論を行いました。詳細な結果は後日発表になると思われます。現実問題として、欧州では補助金が無ければグリーンエネルギーの使用によるコスト増は避けられず、差し迫った問題となっています。現在、景気低迷で原油や天然ガスの価格が下がっていますが、エネルギー高は継続している状況です。
https://www.eurofer.eu/about-steel/events/steel-event-2023

中国の国家統計局(NBS)が5月の中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)を発表しました。前月比で0.4ポイント下落して、48.8となりました。3ヵ月連続の減少ですが、減少幅は縮小しています。政府の首席統計官は結果にコメントし、中国経済の回復は勢いをいくらか失っており、強化する必要を言及しています。5月は中国製造業の需要と供給の両方が弱まった事が確認されています。欧州だけでなく、中国景気の減速もあり、資源やコモディティーが弱含みで推移しているデータが多数出ています。
https://www.euractiv.com/section/circular-economy/news/eu-pushes-alternative-model-to-china-in-global-race-for-raw-materials/

プラスチック汚染の国際条約の第2回多国間交渉でインドの独自路線が波紋を呼んでいます。COP26でも化石燃料の全廃に反対し、期限のない「段階的な廃止」と共同声明のトーンを大幅に落とさせたインドですが、今回プラスチック汚染に関する条約でも独自の路線を歩んでいます。インドは前回行われた政府間交渉委員会の第1回会合には代表団を派遣せず、オンラインでの参加でした。石油化学製品関連産業はインドに870億ドル以上の投資をもたらすと予想されています。人口増と経済発展が進むインドでは、現在計画されているこの分野の投資額は2021年当時に計画した総投資額171億ドルの約5倍に相当するほど急激に伸びています。インドの石油化学産業は本質的に寡占状態です。Reliance Industries Limitedとそのグループだけで、国内の石油化学ポリマー生産の70%を占め、低密度ポリエチレン(LDPE)等の一部のポリマーの生産を独占しています。Reliance Industries LimitedグループのオーナーはMukesh Dhirubhai Ambani(ムケシュ・ディルバイ・アンバニ)で、彼はインド最大の億万長者の1人です。2020年にアンバニはフォーブス誌の世界第6位の富豪にランクされていました。また同誌はアンバニを「世界で最も権力のある人物のリスト」に載っている唯一のインド人実業家として入れています。大富豪の強大な権力もあり、インド政府は理想だけでは動けないのです。この条約の結果次第ではインドの石油・化学産業は数十億ドルの投資を失う可能性が指摘されています。欧米と中露の政治的対立もあり、インドを取り込みたい欧米の政治家はインドに対して強硬路線を取れない状況が続いており、毎回インドの独自路線で思惑を変えられています。
https://packagingeurope.com/news/unilever-presents-its-vision-of-a-global-plastics-treaty-to-achieve-virgin-plastic-reduction-circular-systems-and-more/9869.article

Reutersが銅に関する特別コラムを掲載しています。投資ファンドは2020年6月以来凡そ3年振りに初めてLMEの銅契約を純ショートに転換しており、投資家が銅市場の短期見通に弱気になっている事が反映されています。GSは最近、銅の価格予想を下方修正しましたが、12ヵ月後の目標は1トン当たり1万ドルとしており、上昇に転ずる事を予想しました。しかし多くのファンドのポジションは、銅価格が反発する前に更に下落する可能性があると考えていることを示唆しています。中国の銅の輸入量は未だに低水準にあり、純輸入量は2023年第1四半期に前年同期比で12%減少しています。4月の貿易の弱い速報値は、このパターンに変化がない事を示唆しています。国際銅研究グループは今年第1四半期に世界の銅は332,000 トンの大幅な供給余剰を記録した、と計算しています。一部では安値を拾うという動きに出ているようです。
https://www.reuters.com/markets/europe/funds-keep-bear-pressure-copper-lme-stocks-rise-2023-05-30/

LMEが一部のニッケル顧客の間で国際的な価格ベンチマークの地位を失いつつあるニュースです。フランスの鉱山会社Erametのトップの発言が広く伝えられており、ニッケルの一部についてLMEに代わり上海金属市場をベンチマークとして見ている事を伝えています。Erametのトップは上海金属市場が作成した指数がフェロニッケルの価格設定の「ベンチマークになっている」と述べています。理由は市場のファンダメンタルズとLMEの倉庫に物理的に保管されている製品との間の乖離が増大している事に加え、LMEが純粋な金属鉱石の価格だけを設定している事にあります。ニッケルは純粋な金属として使用されなくなっている市場の変化もあります。Erametの広報担当者は同グループのニッケル製品の殆どはLME価格に連動しておらず、インドネシアのニッケル鉱石だけがLME価格に追従していると述べています。
https://uk.finance.yahoo.com/news/lme-loses-benchmark-status-part-114836189.html

4月に欧州議会の環境委員会が賛成票を投じた、繊維製品に関するEU規制について欧州議会全体の採決が行われ、賛成600票、反対17票、棄権16で採択しています。繊維製品が持続可能で公正な方法で生産される為の措置で安価で大量に生産される「ファストファッション」を終わらせる事を求めています。欧州議会議員は今後改訂が行われる廃棄物の上位規制である廃棄物枠組み指令に、繊維廃棄物の防止、収集、再利用、そしてリサイクルに関する個別の具体的な目標を入れる事を要求しています。また欧州委員会に対し、マイクロプラスチックとマイクロファイバーの放出を最小限に抑えるための取り組みを遅延なく行うよう求めています。
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20230524IPR91913/parliament-wants-to-make-eu-textiles-and-clothing-industry-greener

英国では2024年から家庭用の包装廃棄物に関して拡大生産者責任が課される事になっており、関連企業は収集とリサイクル費用の負担が発生します。関連企業には小売業者と包装材を使う食品等の製造業者が含まれます。現在それらの業者が来年から始まる家庭用包装廃棄物の規制改革を遅らせるよう、政府へのロビー活動を強化している事が伝えられています。廃棄物削減に最も効果のある方法として総量規制や生産者責任の拡大がありますが、何れも企業の強力なロビー活動で実施迄に長い道のりが掛かっています。業界企業の幹部らは、この規制の開始により食品価格を更に押し上げる事になると警告しています。現在英国では食料品の単なるインフレだけでなく、ステルスインフレ、強欲インフレと呼ばれる、消費者に見えない方法で価格を上げる事例が後を絶ちません。政府は計画通り2024年4月からの規制を主張していますが、業界は猛反対しています。
https://www.gov.uk/government/news/businesses-urged-to-get-ready-for-reforms-to-cut-packaging-waste

中国の大手バッテリーメーカーGotion High-Techはアフリカ初、更に最大100GWhの超巨大工場をモロッコに建設する事を発表しています。このバッテリー工場ではEV用とエネルギー貯蔵システム用の両方の電池を製造する予定です。モロッコの自動車産業は急速に成長しており、年間生産能力は100万台に達する見込みです。約90%は世界75ヶ国以上に輸出されています。更にモロッコは米国、EUともFTAを締結しており、電池の材料となるマンガン等の重要な鉱山資源が採掘されています。米国やEUは電池材料の調達や炭素税による保護貿易を強化していますが、両市場での乗用車と小型商用車の年間販売台数は3,600万台程度で、今後伸びるインド、南米、東南アジア等で中国の安価なEVがシェアを伸ばすと、自動車産業そのものの勢力図にも影響が出そうです。保護政策というものは短期的には良さそうですが、長期的には結局国際競争力を低下させる要因にもなります。
https://northafricapost.com/68186-ev-battery-morocco-to-host-africas-1st-gigafactory-attracting-over-6-5-bln-investment.html

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