NEWS

NEWSCONの気になるNEWS(2023年4月第2週)

2022年の国別LIB生産容量が発表され、1位が中国の893GWh、2位にポーランドが上がり73GWh、3位は米国の70GWhとなっています。中国は2位のポーランドの約13倍近い生産容量を持ち、世界の他の国々を圧倒しています。日本は8位の12GWhで、これは7位の韓国の15GWhに次ぐ生産容量となります。10年前には電池大国であった日本の容量は、ポーランドの6分の1になっています。ポーランドはバッテリーハブとしての地位を築く為に、政府をあげて勧誘をしており、韓国メーカーの進出が大きく貢献しています。インフレ削減法以降、米国への投資が加速していますが、欧州も対抗措置としてグリーンディール産業計画を出し、この分野への投資を加速させたい意向です。しかしエネルギー高とインフレにより、欧州での新興LIBメーカーは相次いてプロジェクトを延期しており、数年前に発表した計画通りには進んでいません。トップ3は何れも政策的に国を上げて取り組んでいる結果となっています。
https://notesfrompoland.com/2023/04/06/poland-overtakes-us-to-have-worlds-second-largest-lithium-ion-battery-production-capacity/

2021年11月20日にフィンランドは繊維廃棄物の分別収集を定めた法律を制定し、施行は2023年1月1日からとなっています。欧州は2025年より繊維廃棄物の分別収集が義務化されますが、その動きに先行した規制となります。フィンランドでは法律が可決されてからテスト収集が行われてきました。Resourceがその中でも2つの異なる結果を示した収集施設の例を上げています。1つは消費者がショッピングセンターに設置された回収ボックスに消費者が品質を自己申告して繊維廃棄物を捨てる際に一定の料金を受け取るという方法で、こちらはリサイクル率が非常に低い結果となりました。これはボトルの回収によるデポジットシステムの応用ですが、結果は良くありませんでした。理由は自己申告の為、汚れや品質に問題が多く、僅か16%のリサイクルに留まりました。もう一方は専門の業者が選別を行い、その程度によって支払いをする方法で、こちらは高いリサイクル率を示しました。今後EUでは法律により繊維廃棄物に拡大生産者責任(EPR)が導入される可能性が高く、その場合は収集箇所や収集スキームの構築の責任は生産者に課される事になります。リサイクルには専門性が必要という端的な例となりました。
https://resource.co/article/helsinki-trial-ahead-eu-mandatory-textile-recycling

世界経済は今後5年間で平均約3%の成長に留まる見込みで、これは1990年以来の最も遅いペースである旨を国際通貨基金(IMF)のトップが発言し、情報が拡散されています。先進国ではインフレにより中央銀行が金利を大幅に引き上げ資金調達のコストが増した事で約90%の先進国では成長率が低下すると予想されています。また低所得国では輸出先の先進国経済の減速で輸出が減ると同時にドル調達コストが上がり、景気を悪化させる要因となります。世界経済の成長の半分はインドと中国に依存する事も加えられています。IMFは2023年の世界経済の成長率が3%を下回ると予想している事も示唆しています。
https://www.bbc.co.uk/news/business-65206409

パキスタンは、昨年の大洪水によって経済に甚大な打撃を受けデフォルトの危機になり、今年IMFが介入した事は記憶にあると思います。6日にボストン大学のグローバル開発政策センターが発表したレポートでは既に債務危機に陥っているか、そのリスクが最も高い国の内、61ヶ国は債権者に負っている債務をカットする事が「連鎖的なデフォルト」を回避する為に不可欠である事が示されています。一見すると何の事か分かりにくいですが、その金額がコロナや戦争で既に最大5200億ドル膨大な額に上り、この金額の債務を帳消しにする必要がある事が示されています。債権者と債権の仕組みは複雑で、これらが帳消しになる事で受けるショックが懸念されています。それらの61ヵ国の国々は、気候変動による洪水や干ばつ等の影響を最も受けやすく、危機の連鎖を生み出す可能性が指摘されています。ロシアのウクライナ侵攻による食糧と燃料ショックは、それらの国々の財政に負担をかけ、インフレによる金利上昇やドル高で借入コストが急上昇した事で、より一層苦境に立っています。この調査では、債務問題と気候の脆弱性との間に相関関係がある事が判りました。パキスタン、エチオピア、マラウイ等の一連の債務不履行に陥っている国々は、同時発生の異常気象と戦っており、政府財政への圧力が強まっています。これは途上国の事であまり話題に上がりませんが、世界経済を下方向に引っ張る要因になる可能性が指摘されています。
https://www.reuters.com/business/finance/half-trillion-debt-haircuts-essential-sustainability-study-2023-04-06/

航空機の国際線で出されるケータリングの廃棄物である国際ケータリング廃棄物(ICW:International Catering Waste)に関して見直し圧力が強まり始めています、現在の規制ではICWを焼却または埋立て処分する必要があります。航空業界の組織は、ICWを「バイオハザード」リスクとして分類する事は、現在の厳格な食品衛生管理を考えると不釣り合いである為、ルールを見直す必要があると考えています。現在の規制ではICWはリサイクルや再利用を行う事がでない為、食品と使い捨てプラスチックや紙の廃棄物を大量に生み出しています。国際フライトサービス協会(IFSA)のCEOも、規制見直しの業界の機運の高まりに同意しています。国際航空運送協会(IATA)は汚染の無い、再利用可能、もしくはリサイクル可能な使用済み品の分離・分別回収を大規模に実証する為に、EUと米国の関係者の連合を主導しています。今後この分野にもCEが適用される可能性が出ています。
https://www.foodingredientsfirst.com/news/come-recycle-with-me-airlines-warn-eus-international-catering-waste-law-stalls-circular-economy.html

以前より良く言われてきた事で、「経済アナリストの予測」か「鉄屑相場」や「銅相場」のどちらが近未来の経済を正確に予測するか、という問いに、投資家向けのサイトが過去2年の銅相場分析を例として上げています。多くの経済アナリストが2021年はコロナにより世界的に景気が落ち込むと予測した中、銅相場は強気基調を見せ経済は下期にかけ好転、逆に2022年はコロナ後の景気回復をアナリストの多くは予測していたが、銅相場は下落、戦争だけでなくサプライチェーンやインフレ等多くの経済問題があり、経済は下期にかけ低迷。今年初頭からの銅相場は強気の可能性の高い相場チャートを示し始めています。銅が唯一の経済指標でない事は事実ですが、産業用として広く使われる銅は、将来を見る1つの指標である事を記事では示唆しています。銅相場の「テクニカルチャート」は、参考にしたい指標の1つと言えます。
https://investinghaven.com/commodities-gold/is-dr-copper-as-concerned-about-the-economy-as-experts/

イースター中の大きなニュースの1つは破綻した暗号通貨取引会社のFTXの最初の調査報告書が9日に提出された事です。この報告書ではFTXはガバナンスが全く無い組織で、何千万ドルという損失について幹部グループが冗談を交わしたり、経費を絵文字で承認したり、内部監査が全く機能しておらず外部の監査を欺く行為が報告されています。数千万ドルの送金の承認もショートメッセージで行い、送金の記録を残さないものも多数あったという事です。集めた資金の一部は幹部の個人口座に振り込まれた疑いもあり、様々な事案で刑事訴訟に発展しています。何故このような事が可能になったかは、報告書では一切触れていません。しかし創設者のSam Bankman-Friedは遂1年前まで暗号通貨の神童とまで呼ばれ、多くのメディアが取り上げ、その世界ではスターでした。わずか30歳で米国民主党に対する2番目の超大口寄付者になり、昨年の米国中間選挙には1億ドルを寄付しています。また暗号通貨業界を米国の銀行規制当局に受け入れられるものにする為にロビー活動を行っており、破産前は政府の一部は仮想通貨を米国の証券法に準拠させる事を目指していました。
https://www.businessinsider.com/ftx-collapsed-due-to-hubris-incompetence-and-greed-debtor-report-2023-4?r=US&IR=T
https://www.theguardian.com/business/2022/nov/12/i-fd-up-the-rise-and-fall-of-us-ftx-crypto-king-sam-bankman-fried

先週、中国が希土類磁石製造技術の輸出禁止を検討しているニュースが日本発で世界中に配信され、大きな反響がありました。この件についてInvestor Intelが世界の専門家からの意見を分析したレポートを掲載しています。西側の希土類の専門家の多くは、中国による今回の決定をあまり心配することでは無いと考えています。影響があるとすれば、中国が更に厳しい措置を講じ、希土類と希土類磁石の輸出を全面禁止した場合です。現在報道されている措置は、まだそこには至っていません。既に高度な希土類磁石の製造拠点が西側諸国に存在し、商業的に行われている事と、それぞれ独自の鉱物サプライチェーン構築に向け既に動いている為です。ただし環境対策を含めた製造コスト面を考えると、短期的には影響が出る可能性はあります。
https://investorintel.com/critical-minerals-rare-earths/is-chinas-reported-potential-ban-of-rare-earth-magnet-technology-a-paper-tiger/

プラスチックリサイクルに関する新たな技術開発が報告されています。地球上で生産されるプラスチック製品の約50%はポリオレフィン系のプラスチックです。ポリオレフィンは炭素結合が安定し強い為、簡単に分解できません。自然で分解するには数百年掛かる場合もあります。ケミカルリサイクルでは高温や高圧で分解を行ったり、亜臨界水を用いて分解したりする等、様々な方法が実用化されています。ただしコストも高く、拡張性の面での課題も多く残っています。今回開発されたものは、ジルコニウムベースの触媒を利用して「水素化分解」を行うもので、同じ分解方法ではプラチナ触媒を利用する研究は存在しました。高価なプラチナに代わり、豊富に存在するジルコニアを使う事で低コスト化を図る事が可能です。ジルコニアは単体では反応性が低い為、2つのメソポーラスシリカとアルミナをプレート状にしてジルコニウムアルコキシドナノ粒子をサンドイッチする触媒システムを開発しました。研究者はポリオレフィン系プラスチックの分解をこの触媒で行い、強い炭素結合の分解に成功し、プラチナ触媒と同等の分解速度を達成した事を報告しています。
https://www.zmescience.com/science/news-science/this-catalyst-can-upcycle-plastic-waste-in-ways-that-almost-seem-too-good/

2月5日にロシア産のディーゼル燃料の輸入禁止を行ったEUの措置に対し、ロシアがトルコやラテンアメリカに輸出先を変えている事が判明しています。欧州各国は禁輸措置前の2022年第4四半期にロシアからディーゼルの「買いだめ」を行い、前年同期で約19%増の輸入を行いました。その為、禁輸措置後も大きな混乱は起こっていませんが、在庫が減るにつれ価格に影響が出る事が予想されています。ロシアは元々欧州向けであったディーゼル燃料をアジア、アフリカ、中東、ラテンアメリカに輸出し始めています。特にトルコは過去7年で最大量のロシア産ディーゼル燃料を輸入しています。中東では、サウジアラビアがロシアからのディーゼルの輸入量を増やしていると同時に、大量のディーゼルをヨーロッパに輸出しています。UAEとサウジアラビアは3月にロシア産ディーゼルを買い在庫を増やし、同時に欧州とアフリカ向けの輸出を増加させています。過去ゼロであったUAEとサウジアラビアの両国で約50万トンのロシアのディーゼル燃料が輸出されています。欧州ではインドを経由したロシア産の原油の購入があったりと、結局割高となる方法でエネルギーを調達しており、制裁の本当の効果と影響については意見が割れています。エネルギーコストの増加は欧州の産業、特にエネルギー集約型の鉄鋼、セメント、肥料等に影響を与え続けています。ロシアからのガス不足を補なう為にドイツでは石炭の利用が昨年8%増加し、ドイツの電力生産の3分の1を占めました。
https://oilprice.com/Energy/Energy-General/Russian-Diesel-Exports-Find-New-Home-In-Latin-America.html

先週、アルミリサイクルとアルミインゴットを製造する英国資本のRomcoは、銅屑リサイクルへ進出し、銅インゴットの製造事業を本格的に行う事を発表しました。既にリサイクル材からの銅インゴットは中央アジアに輸出を開始しており、今後製造を拡大する予定です。同社は更に銅リサイクルを同社のアフリカ工場で行う事も発表しています。同社は昨年末にナイジェリアとガーナの工場のアルミリサイクルの生産量を5倍以上に拡大する計画を発表し、5000万ドル資金調達を進めていました。更に後5年間でアフリカに7つの新しい工場を開設する計画で、銅リサイクルを自社ポートフォリオの1つの柱にする目論見です。銅は3月に欧州の重要な原材料リストに入るなど、その価値が一層高まっています。先進国でなく、これからリサイクルシステムの確立が必要なアフリカでの事業拡大は、先進的な動きと言えます。
https://romcometals.com/fastmarkets-romco-expands-into-copper-recycling-in-africa-amid-push-for-circular-economy/
https://www.recyclingtoday.com/news/copper-aluminum-recycling-ingots-nigeria-uk-romco/

ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウェイが昨年8月より継続してきた中国EVメーカーBYDの株を売却しています。本日判明した情報では、3月31日の売却により、BYDの発行済み株に対するバークシャーの保有率は11.13%から10.9%に低下しました。BYDは第4四半期の利益が11倍に増加し、粗利益率が20.4%で前年の3.7%の利益率を大幅に上回っていました。しかしバークシャーは米中による経済・技術対立での金融部門への懸念の高まりの中、売却を継続していると見られています。相場と市場の読みでは定評のあるバークシャーですので、中国投資への懸念をあらためて示唆するものとなりました。
https://www.asiafinancial.com/buffett-sells-69m-byd-shares-halves-stake-in-under-a-year

リサイクル工場向けのエンジニアリング企業STADLER が選別機器製造の大手TOMRA と協力して繊維廃棄物の自動仕分けシステムを開発した事を発表しています。これはスウェーデンによるイノベーション資金支援SIPTexプロジェクトにより開発したものです。このシステムは軟質な繊維廃棄物に合わせ、 コンベア ベルト、ホッパー、シューター、NIRセンサー、光学センサーを組み合わせた技術によって構成されています。繊維廃棄物の大きな問題は使用される原材料に天然繊維、合成繊維、プラスチック、金属が複合して存在している為、連続かつ安定的に分別処理することが困難であるだけでなく、コストに見合わない事です。過去15年間で衣料品の生産量は2 倍になりましたが、衣料品が着用される時間は30%以上減少しました。低コストのファストファッションが流行し、素材品質が低下、その為再利用やリサイクルがより困難になっています。毎年推定約1億1,400万トンの繊維廃棄物が発生しています。リサイクルの為の回収は僅か12%で、断熱材等の価値の低い用途にダウンサイクルされています。実際にクローズドループで新しい衣料品の材料になるのは、 1%未満です。欧州では繊維業界向けの規制が準備されており、ファッション業界のビジネスモデルそのものに影響を与えると言われています。
https://stadler-engineering.com/company/news/detail/textiles-recycling-the-sorting-challenge

韓国の首都であるソウル市が、GSカルテックス、HD現代オイルバンク、LGケム、SKジオセントリックと業務協定し、プラスチック廃棄物の熱分解リサイクルに乗りだす事が報じられています。協定ではソウル市が地区事務所と協力してプラスチック廃棄物を収集し、石油化学会社に提供します。業務提携した化学メーカー各社はプラスチック廃棄物を原料とした熱分解オイルの生産工場を運営する予定です。ソウル市は家庭ごみの約18%はリサイクル可能なプラスチック廃棄物であると推定しています。ソウル市は昨年11月、コンビニの使い捨てレジ袋を禁止し、飲食店での紙コップやプラスチック製ストロー、更に雨の日に使用する使い捨ての傘用ポリ袋の使用も禁止しています。公共団体である地方自治体が、国内の大手化学メーカーと共同でプラスチックのケミカルリサイクルに乗り出すという珍しい例と言えます。
http://koreabizwire.com/seoul-city-partners-with-petrochemical-firms-to-recycle-plastic-waste/245065

HSNWによると、今後、中国政府が鉄鋼製品の減産を要請する見込みである事が報じられています。鉄鋼需要の回復はゆっくりとしたペースにも関わらず、中国での鉄鋼生産は急速に伸びています。メーカーの利益率は下がっていますが、減産する兆候がありません。これは市場シェアを確保する為に損失状態でも自主的に生産を削減していません。中国の国家発展改革委員会は現在、今年どの程度の減産が必要か調査しています。情報筋によれば政府による減産命令は口頭で行われ模様です。政府が義務付ける減産は比較的小さい可能性が指摘されていますが、市場のセンチメントは急速な成長を抑制する方向に働くと見られています。
https://www.hellenicshippingnews.com/chinas-huge-steel-capacity-beleaguers-steel-market-government-to-order-output-cuts-soon/

エネルギーとして実用化の実績が全く無いにも関わらず、欧州と日本は水素に賭けています。特に欧州は、アフリカで再生可能エネルギーを利用したグリーン水素製造のプロジェクトを相次いで計画しており、これらの計画が新たな「別の植民地プロジェクト」に変わるリスクがあると警戒されています。これは過去の石油や鉱山開発で起こった事と同様に、先進国の投資による全ての利益と付加価値は最終的には先進国に還元され、地元には殆ど利益が残らないという問題です。特に輸出価格が上昇する事により、地元の再生可能エネルギーは水素製造に向けられ、殆ど地元では利用できなくなる可能性があります。水素ビジネスのアナリストは、アフリカの途上国は化石燃料で起きた事と同様、必要な保護手段を与えられず単なる輸出専用国になる、と警告しています。欧州からの投資を呼び込んでいるナミビアは2022年に電力を利用できる国民は僅か56%でした。ナミビアは電力需要の60~70%を輸入しており、その殆どは化石燃料源からのものです。欧州は2030年迄に年間1,000万トンのグリーン水素を生産し、同量を輸入するという目標を設定しています。しかし昨年の世界のグリーン水素生産能力は前年比で44%増加したにも関わらず、僅か109,000トンであった事を考えると、全く現実的ではありません。欧州でも冷静な科学者は水素への投資を政治的プロパガンダとして一蹴しています。
https://climatechangenews.com/2023/04/11/green-hydrogen-rush-risks-energy-cannibalisation-in-africa-analysts-say/

EU 包装及び包装廃棄物指令(PPWR)の改訂案が昨年末に発表されてから何度も取り上げていますが、包装製品の製造業とリサイクル業を含め、業界が激しい議論(反対論)を引き起こしています。問題の多くは野心的な数値設定にあり、実現するハードルが高いだけでなく、ビジネスモデルをある程度変更する必要が生ずる業種が出てくる可能性がある事です。Packaging EuropeがPPWRに対する業界人4人の見解を載せています。今回改定で問題となっている点をそれぞれが語っています。主な点は「大規模にリサイクル可能」という定義、「リサイクル性」に関する実現可能な目標の設定、リサイクルよりも廃棄物が作り出される事を防止し再利用を促進するという方針、更に過剰な包装の制限、デポジット返却システムの推進、拡大生産者責任、が含まれています。2030年迄に全ての包装品はリサイクル可能でなければならず、包装製品に含まれるリサイクル材料も規定されています。現在の欧州の、特にプラスチックリサイクルの容量では実現がかなり困難な為、代替材料への投資と大手化学メーカーによるケミカルリサイクルへの投資が増え続けています。
https://packagingeurope.com/features/experts-have-their-say-on-the-eus-packaging-and-packaging-waste-directive-revisions/9582.article

エネルギーシンクタンクのEMBERがグローバル電力レビュー2023をHPに公開しています。この年次報告は2022年の世界の発電量の変化の概要を提供しています。世界の電力需要の93%を占める78ヶ国の電力データを分析し、それ以外は推定される変化を基にしています。更に世界の二酸化炭素排出量の80%以上を占める上位10ヵ国/地域についても公開しています。再生可能エネルギーと原子力の合計は世界の発電量の39%を占めて、太陽光発電は24%増加しています。この報告書では2023年にはEUの化石燃料が大幅に減少すると予測しています。計画によると2030年迄にEUの電力の17%が化石燃料に由来し、大部分の国は石炭を段階的に廃止します。この報告書は重要な鉱物や再生可能エネルギーへの移行における課題としてしばしば挙げられる風力発電と太陽光発電のバランスの取れた適正容量については言及していません。レポートの筆頭著者は2022年が化石燃料時代の終わりの始まりでクリーンパワーの時代に突入している事を強調しています。ただしクリーンエネルギーとその技術に不可欠な重要な鉱物資源(銅、リチウム、ニッケル、コバルト、希土類元素など先進国が輸入に大きく依存している鉱物)には全く触れておらず、一部からは報告書の信頼性に対する疑問の声も出ています。
https://ember-climate.org/insights/research/global-electricity-review-2023/

最近まで件数が多くなく問題となっていませんでしたが、英国でのEVの保険料が同サイズのガソリン車よりも50%近く高くなる可能性が指摘されています。少し前にも一部報道を提供しましたが、車種により軽量化やコストダウンの為に製造工数を減らし、部品点数を減らした一体成型部品を使う事で部品代が上がる事、電池パッケージが損傷した場合に廃車になる可能性が高い事、修理対応できる街のガレージや技術者が少ない事、等が理由になっています。保険料金は毎年発生する為、今後、どのような結果になるのかは注視が必要かもしれません。
https://www.thisismoney.co.uk/money/markets/article-11954681/Electric-car-insurance-blow-going-green.html

インドネシアのジャカルタ証券取引所は今年第1四半期に記録的なIPOを達成し、募集で調達された8億ドル余りは、同時期に香港やNYの証券取引所の金額を上回っています。ハリタニッケルとして知られているインドネシアのニッケル企業 Trimegah Bangun Persada は昨日12日に今年最大の上場で約6 億7200 万ドルを調達して取引を開始しています。ニッケルを中心にインドネシア政府が鉱物資源を戦略物資化している事が1つの要因ですが、それ以上に中国の産業投資を利用して急成長させている事が重要です。カーネギー国際平和基金は「インドネシアが中国の産業投資を利用してニッケルを新しい“金“に変えた方法」という32ページの特別レポートを発行しています。インドネシアのモロワリ工業団地(IMIP)を舞台に中国による膨大な投資とインフラ整備、インドネシア政府を動かしての資源ナショナリズムと戦略物資化は、かつてコンゴで起きた中国による欧米資本のコバルト鉱脈の利権奪取以上のものかも知れません。取り敢えずデヴィ夫人時代に日本が借款したレベルを遥かに超えるもので、電化による金属資源への素早い触手方法は、認識しても良いかと思います。
https://carnegieendowment.org/2023/04/11/how-indonesia-used-chinese-industrial-investments-to-turn-nickel-into-new-gold-pub-89500

米国の自動車メーカー2社がEV対応の為に、大型投資を計画しています。GMはリチウム採掘会社のエナジーエクスプロレーションテクノロジーズ(EnergyX)に5,000万ドルを投資します。EnergyXはリチウムを海水から取り出す直接抽出技術を開発する企業です。アノード向けの材料を安価に製造する事を目論んでいます。同社の開発中のLiTAS™技術は90%以上までリチウム回収率を高める事が可能で、実地試験では94%を達成しています。またフォードはカナダ・オンタリオ州の工場にUS13.5億㌦を投資して、EV組立ラインを構築する計画です。フォードは2023年末までにEV生産能力を60万台まで高め、2026年末迄に200万台を目指しています。
https://energyx.com/press-release/gm-leads-50-million-funding-round-in-energyx-to-unlock-u-s-based-lithium-supply-for-rapidly-scaling-ev-production/

NEWSCON Inc. TEL. 03-3528-6223

営業時間 09:00-18:00
(土日・祝日・年末年始を除きます。)

CONTACTお問合せフォーム