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NEWSCONの気になるNEWS(2023年1月第3週)

マレーシアが欧州へのパーム油の輸出を禁止する可能性がある事が報じられています。この措置はEUが制定した森林保護法によるパーム油販売の規制強化に対抗したものです。EUの森林保護法は企業がEUに商品を販売する前に、自社のサプライチェーンが森林破壊に関与していないことを示す「デューデリジェンス・ステートメント」を発行することを企業に要求しています。この法律に対し、パーム油の生産国であるインドネシアとマレーシアが抗議しています。インドネシアとマレーシアはアブラヤシのプランテーションに持続可能性認証基準を設定していると主張しています。しかし欧米の環境保護団体やメディアはパーム油製造の為に東南アジアの熱帯雨林が伐採されていると度々非難しています。西欧TV局は、マレーシアやインドネシアのアブラヤシ・プランテーションでの強制労働や森林破壊に焦点を当てた番組を制作しています。しかし中米で超大手多国籍食品会社(Doleのような)が行っている、ほぼ同等かそれ以上の労働実態や森林破壊のTV番組を作成する事は殆どありません。
https://www.reuters.com/markets/commodities/malaysian-urges-palm-oil-producers-boost-cooperation-after-eu-rules-2023-01-12/

全米廃棄物・リサイクル協会(NWRA)が「プラスチックのリサイクル神話を払拭する」というレポートを発表しています。このレポートは、プラスチックリサイクルの問題について「現実的な視点」で解説している有意義な内容となっています。現在、プラスチック廃棄物の多くはリサイクルし再利用できないものが多く、その問題点にも焦点を当てています。このレポート内では環境保護団体グリーンピースが2022年に主張した「プラスチックリサイクルは成功しない」という主張や、ニューヨークのCity JournalとNPRが掲載している「プラスチックリサイクルはほぼ不可能」という主張も引用し問題点を解説しています。世界ではPET, PP, PEはリサイクル率が比較的高い傾向にありますが、その他は低いままです。これは、この3品種がリサイクル材としても比較的高価で売買できる事と、リサイクル性の高さ、廃棄物回収率の高さが起因しています。
https://wasterecycling.org/press_releases/nwra-issues-white-paper-dispelling-myths-about-recycling-plastics/
https://wasterecycling.org/wp-content/uploads/2023/01/Dispelling-Plastic-Recycling-Myths-NWRA-White-Paper-2023.pdf

包装材の世界的大手企業Amcorが二酸化炭素排出量を80%削減した、肉・乳製品用の熱形成フィルムを発表しています。食品包装用の軟質フィルムはリサイクル性能を高める開発が進められています。改正EU包装及び包装廃棄物指令では、リサイクル性と炭素削減を重要な要求事項としています。発表されたフィルムは一般的に市場に出回っている PAやPEフィルムと比較して二酸化炭素排出量を 80%削減し、更にリサイクル可能です。耐熱温度は90度で厚さは85~200μでカスタムが可能です。
https://packagingeurope.com/news/amcor-releases-recyclable-forming-films-for-meat-and-dairy-that-offer-80-carbon-footprint-reduction/9262.article

フランスの大手化学メーカーTotal Energies が、食品包装用のリサイクルPP材の製造を目的としたイニシアチブであるNextLooppに参加しました。NextLooppはプラスチック廃棄物から主に機械的リサイクルによる廃PPを更に除染して厳格な食品品質基準のリサイクルPP材を製造する為に多国籍企業とリサイクル機器メーカー計48社が行う技術開発のイニシアチブです。昨年10月、NextLoopp は世界各国の食品衛生当局(欧州(EFSA)、米国(USFDA)、英国(UK FSA))に、使用済み包装用PP材の汚染に関する研究レポートを提出しています。2025年にはプラスチック廃棄物の国際条約が発行される予定で現在草案作成作業が進められていますが、内容は欧州の法規制の枠組みに強く影響を受けるものとなる可能性が高く、欧米の多国籍企業は一斉に動きを加速させています。
https://polymers.totalenergies.com/latest-news/totalenergies-joins-nextloopp-accelerate-development-food-grade-recycled-polymers

ポーランドでLIBのリサイクル工場設立を昨年発表した金属リサイクル企業のElemental Holding SAが国際金融公社(IFC)、 欧州復興開発銀行(EBRD)、ポーランド開発基金SA(PFR)から2億9,000万ドル(370億円)の転換優先株による資金調達を完了した事が伝えられています。その内、9,000万ドルは国際金融公社(IFC)からのものです。現在Elementalは本社をポーランドからルクセンブルクに移しています。Elementalは自動車触媒(SAC)からの白金系金属(PGM)の回収、廃電子機器からの貴金属の回収を行う大手リサイクル業者で35ヶ国に55社の子会社を持ち、ヨーロッパだけで30ヶ所のサイトがあります。雇用人数は世界で1,100人以上です。貴金属回収、LIBリサイクルへの投資家の資金注入としては大きなものです。それだけこの分野が投資先として注目されているという事です。
https://www.recyclingtoday.com/news/elemental-holding-poland-metal-recycling-ifc-world-bank-investment/

先週、インドが日本を抜き世界第3位の新車(自動車)販売市場になる事が確実視されていましたが、正式に数字が出ました。インド自動車製造業者協会は2022年にインドでの乗用車及び商用車の販売台数が前年比26%増の473万台に達したと伝えています。インドはこれで中国、米国に続く世界第3位の市場となり日本を抜きました。日本自動車販売協会と日本軽自動車・二輪車協会のデータによると、2022年の日本での販売台数は約420万台で、2021年から5.6%減少しています。日本の自動車販売台数は1990年が777万台でピークでした。今後のインドでの販売の伸びを考えると鉄鋼や非鉄需要も順調に伸びる市場となる事が予想されます。
https://www.argusmedia.com/en/news/2409843-india-topples-japan-to-become-thirdlargest-auto-market?backToResults=true

ウォーレン・バフェットのバークシャーハサウェイが出資する中国のEVバッテリー及びEVメーカーのBYDはベトナムに2億5000万ドルを投資して部品工場を計画している事が伝えられています。部品工場がバッテリー工場なのかは明らかにしていません。BYDは2024年から年間生産能力15万台のEV車輛工場をタイに建設すると発表しています。
https://www.asiafinancial.com/chinese-ev-maker-byd-planning-250m-vietnam-parts-plant

本日からスイスのダボスで世界経済フォーラム(WEF)の年次会議が始まっています。世界中からトップの政治家をはじめ政府の要人、多国籍企業幹部、NGO、国連機関の代表、欧州政府主要閣僚が集まります。WEFの創設者で会長のクラウス・シュワブがこの会議(WEF)を起こしたと「表面上」は言われていますが、1971年当時、一介の単なるスイスの大学教授が多国籍の企業幹部と欧米政治家を初回の会議から450人も集める事自体が通常は不可能で、国際的な代表組織を垂直立上げできる事自体が不思議です。そこには、れっきとした背景があり、殆ど知られていないので少し「ネタ」になりますが、記載します。
WEFの第1回目会議は「欧州経営シンポジウム」としてスタートし、その後1987年にWEFの年次総会になっています。WEF創設者のクラウス・シュワブは米ハーバード大学のジョンF・ケネディ行政大学院時代にヘンリー・キッシンジャーの講座で彼とコネクションを作り、カナダの富豪で現在の気候変動運動の「発明者」「ゴッドファーザー」(Telegraph紙より)と呼ばれたモーリス・ストロング(Maurice Strong)ともスイスに帰国後強いコネクションを作っています。シュワブ自体も自身の「メンター」としてヘンリー・キッシンジャーとモーリス・ストロングの名前を過去のインタビューで何度か挙げています。モーリス・ストロングは日本では全く無名ですが、欧米社会では、カナダ国際開発庁長官、国連環境・人口会議事務局の創設者で初代局長、世界銀行総裁、国連環境計画初代議長、世界経済フォーラム財団理事、グローバリストとして知られる大物中の大物です。ストロングのキャリアはロックフェラーが持つスタンダード石油との関係で始まり、ナイロビ時代にスタンダード石油のブランドである「CALTEX石油」で富豪になり、その後にカナダ政治のキングメーカーであるPower Corpのトップに上り詰めます。当時は石油利権をバックにした彼のような人物が後に世銀や国連環境計画総裁をやるのですから、隔世の感があります。そして第一回目のWEFの「欧州経営シンポジウム」会議を内部でサポートしたのはモーリス・ストロングです。WEFの初回の会議に欧(米)ビジネスの大物と政治家が444人もいきなり集まったのは、事実上、ストロングを通してロックフェラー財団の大きな影響力がある会議だったからです。
ハーバード大学院の後、スイスに戻ったシュワブは、Centre d’Etudes Industrielles (CDI)(後の国際経営研究所 (IMI))の当時所長であったウクライナ生まれのボフダン・ハウリシン(Bohdan Hawrylyshyn)の元で働きます(大学教授兼任で)。これが「欧州経営シンポジウム」の先駆けとなります。後にハウリシンは1989年にIMIのウクライナ支部を設立し、この資金をサポートしたのが、ジョージ・ソロスです。ハウリシンはソロスの財団であるオープンソサエティ財団のウクライナ版インスティテュートの代表であり、ソロスの国際ルネッサンス財団の監査役会会長でもありました。先程のモーリス・ストロングも、ボフダン・ハウリシンも両方とも「ローマクラブ」の正会員で、ビルダーバーク会議の常連でもありました(ストロングが、シュワブをハウリシンに繋いだと見られています)。 過去、WEFの主役級の参加者にはモーリス・ストロング、ヘンリー・キッシンジャー、ジョージ・ソロス、マイケル・ブルームバーグ、ビル・ゲイツ、チャールズ国王、マーク・カーニー、等が居り、彼らが持つ巨額な経済的背景を通じて掲げられた世の中の問題を「アジェンダ」として国際的な共通テーマにする手法が定着してきました。これはWEFの先駆けが設立当時だった頃にキッシンジャーとデビッド・ロックフェラーが外交で行った手法と似ていると言われています。そして今でもその方法がグローバリズムの中で活かされています。
余談ですが・・・大物投資家のジョージ・ソロスがウクライナでの組織を資金面でサポートした背景を知ると、今の戦争の見え方も多少変わるかと思います。ウクライナはソ連崩壊後、長い間西のお金をマネロンして東に流す中継基地でしたので・・・・。
https://nwobroadcastcorp.wordpress.com/2021/02/18/maurice-strongclimate-change-and-the-global-governance-agenda/

英国資本で初めて英国にLIBギガ工場を計画しているブリティッシュボルト(Britishvolt)が複数の投資家との交渉に失敗し、破産裁判所に管財人を任命する通知を提出した事が伝えられています。このままスポンサーが表れない場合は倒産する可能性があります。ノースボルトはノルウェーからの再生可能エネルギーの供給場所であるグレードノースリンクと英国最大の洋上風力発電ドガ―バンクのリンク先である英国北東部のブライス地区に工場の設立を計画してきました。しかし資金繰りが悪化し過去数か月間投資家との交渉を進めてきました。従業員およそ300人は解雇される予定です。欧州では中韓以外の資本のLIB新興企業は計画の大幅な遅延となっており、実態は報道されるものとはかなり乖離している事が伺われます。
https://www.theguardian.com/business/2023/jan/17/britishvolt-expected-enter-administration-tuesday

中国の2023年の原料炭の供給予測が出ており、生産量は5億860万トンとなり伸び率が鈍化する可能性が伝えられています。これはコークスと鉄鋼メーカーの石炭需要が弱まる可能性が高い為です。本日国家統計局が発表した2022年の中国の粗鋼生産量は合計10 億1300万トンで前年比2.1%の減少でした。2020年から2021年に掛けても粗鋼生産量は2.8%減少していました。2022年の中国の固定資産投資額は57.2兆元で前年比5.1%増加しましたが、国内の不動産市場への資金調達は前年比10%も減少し13.3兆元でした。中国は開発を開始したが完了していない不動産プロジェクトへの投資を再開しましたが、国内での鉄鋼需要が大きく回復するとは見ていないようです。
https://www.mysteel.net/news/all/5035322-mysteel-chinas-coking-coal-supply-may-rise-marginally-in-23

今月もしくは来月に欧州議会で採択が予定されている改正欧州廃棄物輸送指令に関連して、欧州会計検査院が発表したデータが一部で波紋を呼んでいます。これは有害廃棄物の処理・処分に関する公式統計を調査したものでEUで発生する有害廃棄物の5分の1以上が行方不明であると警告を出しています。この調査は有害廃棄物に取り組む為のEUの行動に対して行われました。EUでは有害廃棄物が2004年以降増加し続けていますが 50%以上が適切にリサイクルされず処分されています。その為、分類の改善、最終処理までのトレーサビリティ、リサイクルによる廃棄制限、違法な密売への対処が求められています。廃棄物輸出の大幅な規制を伴う改正欧州廃棄物輸送法は欧州議会でどのような修正があるのか注目されています。
https://www.eca.europa.eu/en/Pages/NewsItem.aspx?nid=17560
https://www.eca.europa.eu/en/Pages/DocItem.aspx?did=63242

欧州委員会や議会の依頼で化学的調査を専門とする「共同研究センター(Joint Research Centre)」が化学産業と繊維産業の工場からの排出物に関する新しい環境基準について解説しています。これは、改定されたEU産業排出指令(IED)により欧州統合汚染防止管理局が利用可能な最善の技術(BAT)に基づいて許可を出す参照データの概要を説明するものです。繊維業に関しては今年中にサーキュラ―エコノミーに関係する規制強化が計画されており、大きな転換の年となりそうです。
https://joint-research-centre.ec.europa.eu/jrc-news/new-eu-environmental-norms-make-chemical-and-textile-industry-plants-greener-2023-01-13_en

今年のダボス会議は内容よりも誰が来て誰が欠席したか、という事が一部で話題になっています。52の国家元首がダボス会議に出席していますが、実はG7のトップはドイツのシュルツ首相のみの出席で、欧州からはウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員長が出席していますが多くの国家元首は一部に参加するのみです。フォン・デア・ライエン欧州委員長は今日、保護的政策である米国のインフレ削減法に対抗する為にネットゼロ産業法を欧州提案すると、発表し話題を呼んでいます。長年WEFを支えたジョージ・ソロスが主席しない事や、ジャネット・イエレンも出席しません。今回多く集まっているのはCEOで、これは記録的な数になる可能性がありますが、ビックテックのトップの数名は出席していません。
もう一つの話題はタブー視?されてきたクラウス・シュワブの後継の話です。これはPoliticoが追いかけている話題で3月に85歳になる彼の後に何が(そして誰が)来るのでしょうか、という記事を載せています。WEFは非営利団体として登録されていますが、実はファミリービジネスでもあります。 シュワブの子供のNicoleとOlivierはWEFの組織内で高位の地位に就いており、妻のHildeはダボスで財団と授賞式を主宰しています。WEFのガバナンスルールでは家族に取締役会の権利を与えています。WEFは非営利団体ですが、そのビジネスは3億9,000万ドル(約520億円)規模の価値があります。 https://www.politico.com/newsletters/global-insider/2023/01/17/the-race-to-succeed-klaus-schwab-00078057
https://www.politico.eu/article/succession-has-nothing-on-davos-elite-conclave-mulls-next-leader/?utm_source=RSS_Feed&utm_medium=RSS&utm_campaign=RSS_Syndication

欧州のリサイクル産業にとって最も注目されていた「EU廃棄物輸送指令」の改訂案が議会で採択されました。欧州委員会の提案から若干の修正が入りましたが、ほぼ概要は同じです。今年後半に欧州理事会(加盟国代表)との協議を経て最終的に指令として発行される予定です。最大の懸念は、下級プラ廃棄物と金属や紙の「リサイクルされたスクラップ」に同じルールが適用される事です。欧州リサイクル産業協会(EuRIC)やドイツ金属貿易業者・リサイクル業者協会(VDM)はリサイクルされた「スクラップ」の種類を区別するように求めてきました。今回の改訂では「輸出制限に対する画一的なアプローチ」がより強化される事で、プラ廃棄物もリサイクルされた金属スクラップも同じルールが適用される事になりました。具体的には「限定的かつ正当性がある場合を除き、EU 内で処分される全ての廃棄物の輸出を基本的に禁止する」という事です。限定的で正当性がある場合とは、廃棄物が非有害であり(スクラップも含まれる)相手国が同意し、更に該当廃棄物を相手国側で持続的に処理する能力を実証した非OECD諸国にのみ輸出が許可される、という事です。OECD諸国への廃棄物(スクラップ)輸出は可能ですが、監視システムが構築され、目的地の国で環境問題を引き起こした場合は停止されます。プラ廃棄物に関しては非OECD諸国への輸出は禁止、OECD諸国への輸出も4年以内に段階的に廃止となります。またバーゼル条約の付属書IIのリスト(改正でWEEEが含まれる予定)の輸出は原則禁止となる事も改正テキストに入っています。欧州議会の採択に対しEuRICは「落胆」の声明を発行し、VDNは非難をしています。EUからの鉄スクラップの輸出は74.4%がOECD諸国向けで、25.6%が非OECD諸国向けです。これはトルコ(OECD加盟国)向けが圧倒的に多い事が理由ですが、逆に非鉄スクラップは28.9%がOECD向けで、残りの71.1%は非OECD向けです。これは低品位でそれ以上純度を上げるとリサイクルコストが掛かる「非鉄ミックス品」が多い事が要因の1つとなっています。非鉄業者にとってこの指令の改変で大きな影響が出る可能性があります。プラの輸出も同じ理由で28.7%がOECD諸国で、70.3%は非OECD諸国向けです。EuRICは輸出業者の売上の80%、雇用の50%が危機に晒される可能性がある、と懸念しています。しかし欧州議会は資源確保とグレーな廃棄物輸出の一掃に向け大多数が賛成で改正案が通っています。 少なくともG7 にはこの動きが展開される可能性があります。
https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20230113IPR66627/waste-shipments-meps-push-for-tighter-eu-rules

欧州委員会のトップがWEFで「グリーンディール産業計画」を発表しました。これは、米国と中国がグリーン産業へ多額の補助金による援助を行う事でグリーン産業の強化を図っている事への欧州の対抗策です。米国では、昨年から3,690 億ドル規模のインフレ削減法 (IRA)というグリーン政策が議会で承認され実施されています。欧州の政策は2つの柱からなり、1つは許可や手続きを簡素化し迅速にクリーンテクノロジーが実現できるようにする事と、補助金による産業への援助となります。ただし補助金については、裕福な国には余裕があり可能ですが、EUの小国には十分な資金が無い事が問題となります。
https://www.euractiv.com/section/energy-environment/news/eu-commission-announces-green-deal-industrial-plan-but-no-fresh-money/

米国のワイオミング州議会の共和党議員6名が2035年までワイオミング州で「EVを段階的に廃止する」という共同決議案を提出して話題になっています。共同提案者であるエド・クーパー州上院議員 はワイオミング州の石油産業とその雇用を守る為としており、「EVの禁止はばかげていると思うが、ガソリン車の禁止ほどばかげていない」と発言しています。これは、NY州やカリフォルニア州を含む全米 15州で2035 年までにガソリン車の販売を禁止するという動きへの「生産的な議論」を起こす為の行為としています。特に電力網構築の技術的課題について、良い議論ができることを願っている、と言及しています。カリフォルニア等では気象条件によっては送電網への負荷によりEVの充電を控えるよう州政府が依頼を出す等、電力グリッドの技術的問題はまだ完全に解決していません。
https://thehill.com/policy/energy-environment/3816093-wyoming-lawmakers-say-they-got-what-they-wanted-with-proposal-to-ban-evs/

米鉄鋼メーカーのCleveland-Cliffsが圧延鉄鋼製品のスポット販売を即日で50ドル値上げする事を顧客に通知しています。これは、同業のNucor の50ドル値上げに続くもので、自動車向けの量の確保からスポット向けが不足している事を理由としています。北中部から北東部でスクラップ流通が低いレベルである事も関係している可能性があります。
https://www.spglobal.com/commodityinsights/en/market-insights/podcasts/focus/011123-apac-copper-concentrate-cathode-prices-covid-china-supply

MIT の研究チームが開発を進め起業した鉄空気電池(Iron-Air Batteries)の開発製造を行うForm Energy社が2024 年に商業生産を開始する為に米国ウェストバージニア州に工場を建設する事を発表しています。鉄空気電池は鉄を利用する為重く充電時間も長い為EVには適していませんが、価格がNMCリチウムイオン電池の10分の1程度で安価な為、電力網でのエネルギー貯蔵に向け開発が進められています。Form Energyにはビル・ゲイツのブレイクスルー・エナジー・ベンチャーズや鉄鋼大手メーカーのアルセロールミッタルの脱炭素XCarbイノベーション ファンド等が資金を提供してきました。投資額は7 億 6000 万ドルです。同社はあまり技術開発のマイルストーンを公表しませんが、投資家からは注目されています。
https://formenergy.com/newsroom/#news

17日に議会で採択された #改正欧州廃棄物輸送指令 について、欧州廃棄物管理協会(FEAD)と国際リサイクル局(BIR)が相次いで「懸念」を表明しています。内容は欧州リサイクル産業協会が発したものとほぼ同じで、輸出品対するスクラップの規制強化について言及しています。この規制は廃棄物・リサイクル業界にとって、過去に例を見ない大変革を起こすものと言えます。世界のどこかでリサイクルされる可能性のある廃棄物やスクラップの輸出を大幅に規制する事は、気候変動とCEを阻害するもので、グローバルな循環経済での自由取引を保証する事が大切である、と訴えています。しかし、この要求が議会で殆ど受け入れられない最大の要因は統計に基づくデータがそれとは逆の事実を示しているためです。EUの有害廃棄物の20%は行方不明、廃車の40%も追跡不能で、特にプラスチック廃棄物は年間3,300万トンも域外に輸出されており、そのほとんどが、過去インドネシアやバングラディッシュ等の途上国に輸出され現地で劣悪な環境と社会問題を起こしてきました。2021年に規制が強化されると、今度はOECD加盟国であるトルコに1,400万トンを超えるプラスチック廃棄物が輸出され、トルコで社会問題化するなど、結局廃棄物管理業界だけでは問題を解決できない事が裏付けられた事が理由となっています。他の規制も増々強化されつつあり、確実に欧州のリサイクル業界が再編していくと思われます。しかし、現実問題として4年後に全てのプラスチック廃棄物の輸出が禁止になった場合、域内でリサイクルできる能力を大幅に超えている為、かなりの混乱が予想されます。
https://fead.be/

米国でプラスチック廃棄物汚染に関する規制が今年強化される見込みです。米議会は2023会計年度の連結歳出予算法で連邦機関へ下記の内容を指示しています。1)食品サービスプロバイダーと協力しプラスチック廃棄物の排除。2)海洋を含むプラスチック汚染削減の国際合意への資金提供。3)循環経済を支援する国立標準技術研究所への資金提供。4)マイクロプラスチックやナノプラスチックを含むプラスチックの研究。5)水道に含まれるプラスチックに関する 米国環境保護庁の研究。また政府は2032年までに連邦政府が管理する地域からのすべての使い捨てプラスチック製品を段階的に廃止するよう命じています。米国は埋立コストが安い為、大量の廃棄物が埋め立てられています。プラスチック廃棄物への規制は現政権下で大幅に強化されそうです。
https://www.jdsupra.com/legalnews/efforts-to-regulate-plastic-pollution-1979106/

ダボスで会議を主催しているWEFが「鉄スクラップとは何ですか?ネットゼロを達成するにはどうすればよいでしょうか?」という特別レポートを今週掲載しています。FRB議長がグリーンスパンであった時以来の出来事で、国際政治に影響を与えるような機関や人物が「鉄スクラップ」の役割について言及する事は非常に希だと思います。当時のグリーンスパンは、投機マネーの入りにくい鉄スクラップは現物取引が主で、更に産業で一番使われる鉱物資源なので、景気の先行指標と言及していました。殆どが我々としては既知の内容ですがWEFのような機関が「鉄鋼生産の脱炭素化には、鉄スクラップ回収の更なる最適化が不可欠です」と発信している事は、大きな変化です。外資の投資家が企業買収に走るキッカケにならない事を願います。
https://www.weforum.org/agenda/2023/01/davos23-steel-scrap-decarbonization/

次回のCOP28の議長がUAEのSultan al-Jaber(スルタン・アル・ジャーベル)産業・先端技術大臣で兼アブダビ国営石油会社(ADNOC)CEOになった事が論争を呼んでいます。ADNOCは世界第12位の石油会社で2020年に米国の Climate Accountability Instituteの調査では史上最大の温室効果ガス汚染企業20社にランクされています。彼は何年もUAEの気候変動担当特使を務め、過去10回のCOPに出席しています。また2006年に起業したUAE政府の再生可能エネルギー会社 Masdar の共同発起人兼会長で、同社は再エネに巨額の投資を行っています。環境活動家はジャーベルの議長指名を非難し、欧米政治家は彼を擁護しています。彼はWEF組織の人物紹介にも名を連ねシュワブとも何度か会談しています。最近ではエネルギー危機に苦慮しているドイツのシュルツも彼を訪問したばかりです。米国の気候特使であるジョン・ケリーやデンマーク首相など、欧米の政治家は今回の決定を支持しています。前回のCOP27では、石油関連のロビイストが過去最大の600人以上参加しCOP自体が弱体化し何も決まらないとう事があり「偽善の会議」(Telegraph紙)とも皮肉られていました。COPで日本は毎回「化石賞」を与えられ、史上最大の温室効果ガス汚染企業20社のCEOが欧米気候変動をリードする政治家から支持を受けるとは、気候変動が今や権力と利権の狭間で利用されているツールとなっている端的な証でもあるように映ります。
https://www.dw.com/en/why-is-potential-new-cop28-head-also-boss-of-one-of-worlds-biggest-oil-companies/a-64403298

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