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NEWSCONの気になるNEWS(2022年12月第5週)

欧州鉄鋼協会が、欧州議会交渉担当間で合意に至った「炭素境界調整メカニズム(国境炭素税)」に関する懸念を表明しています。既にフランスのアルミニウム産業組合は「国境炭素税がEUの金属の価格を上昇させる為、産業に致命的な打撃を与える」とする反対表明をしていました。更に自動車部品などの「加工品」は対象外となる為、欧州の製造業者は国際競争に完全に晒される事になり、素材業界だけでなく、様々な業界が反対意見を出しています。今回の欧州鉄鋼協会の声明では「2026 年までに具体的な輸出解決策が見つからなければ€450 億相当の EU の鉄鋼輸出の大部分が失われる危険性がある」と警告しています。
https://www.eurofer.eu/press-releases/ets-revision-sets-stronger-incentives-for-clean-technologies-uptake-but-45-bn-eu-steel-exports-are-still-at-risk-says-eurofer/

2月29日よりEUで残留性有機汚染物質 (POPs) に関する新しい規制が発効します。POPsは、廃棄物に含まれる有害化学物質のリストで、法的拘束力のある履行義務となります。この新規定の殆どは、12 月 29 日に発効してから 6 ヶ月後に適用されます。このリストはスクラップに含まれる残留化学物質に関するモノである為、リサイクル業界には影響がある内容です。
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=OJ:L:2022:317:TOC

Mining.comが「4,300億ドルのリチウムイオン市場を支配する3種類のカソード」というタイトルで特別レポートを掲載しています。IDTechExによると、過去10年のカソード材はNMCとNCAが市場を占有しており、欧州と北米では今後も NMCとNCAが継続されるが、原材料の価格上昇圧力からLFPが他市場での占有率を獲得していく見込みであると推測しています。NMCとNCAは今後5年間で年率19%の伸びにとどまりますが、LFPは年率31%に上昇する見込みです。今後、技術の発展で高マンガンカソードやコバルトフリーのLNMO (リチウム ニッケル マンガン酸化物) カソードへの期待が高まり本格的な研究と投資が行われると見ています。今後5年間は、NMC, NCA, LFPの3種類が市場を占有していく事に間違いありません。
https://www.mining.com/three-cathode-chemistries-to-dominate-430bln-li-ion-market-report/

同じくMining.comがリチウム生産国を可視化したグラフを掲載しています。豪州が世界供給の50%以上を占め、その90%は中国に輸出されています。中国は、電池グレードの精製リチウム生産の世界シェアの60%以上を占めています。さらに、中国企業は過去 10 年間で、チリ、カナダ、オーストラリアで約 56 億ドル相当のリチウム権益を獲得しています。リチウムの需要は 2025 年までに炭酸リチウム換算 (LCE) で150 万トン、2030 年までに300 万トン以上に達すると予測されています。2021 年、世界は540,000トンのLCEを生産しました。LCEの需要は 2025 年までに 3 倍、2030 年までにほぼ 6 倍になる見込みで、生産量によっては価格に影響が出そうです。
https://www.mining.com/web/visualizing-25-years-of-lithium-production-by-country/

セルビアとコソボの緊張が一段と高まっています。プリシュティナ政府とコソボの国家機関を認めていないセルビア人は、コソボの人口 180 万人の 5% を占めています。一部のセルビア人は、コソボの電力会社への支払いを拒否し、逮捕を試みる警察を頻繁に攻撃して敵意を表してきました。セルビアとの緊張が高まる中、28日にコソボ政府は国境検問所を閉鎖し、セルビアは軍に厳戒態勢を敷くよう指示をしています。コソボは、NATOの平和維持軍(KFOR)が緊張関係の障害を取り除かない場合、事態は自らの手に委ねられるだろう、と警告しています。ここでの紛争が発生すると、一段と欧米に緊張が走りそうです。
https://www.bbc.co.uk/news/world-europe-64099388

中国でハイニッケル、コバルトフリーのLIBを搭載したEVが市販され、工業情報化部 (MIIT)の推奨モデルとなっています。今後、中国ではコバルトフリーのバッテリーを搭載するモデルが増えることが予想されています。コバルトフリーのバッテリーはSVOLT Energy の主力製品で中国でSVOLT Energy のシェアを押し上げる可能性があります。今年、コバルトの需要は三元系の電池の需要で改善されていますが現時点ではハイニッケル、ロー・コバルトの電池開発が進められておりコバルトの消費量が減少しています。中国での硫酸コバルトは今年3月11日の最高値が 120,000 元/トンでしたが、12月29日時点では48,000元/トンまで約60%下落しています。韓国のSKグループのバッテリー製造子会社であるSK Onも3年以内にコバルトフリーバッテリーを開発する計画を既に発表しています。中国ではコバルトの需要が低迷し始め、2022 年にはコバルト市場が供給過剰となり、この状況は 2023 年まで続く可能性があります。ただし、これは中国市場での傾向であり、他市場が必ず市も追随するものではありません。
https://news.metal.com/newscontent/102051755/smm-analysis-on-the-impact-of-development-of-the-cobalt-free-battery-on-the-cobalt-industry

中国は2023年1月1日から1,020品目に対して暫定的な輸入税率の適用を開始します。また、産業の転換、高度化、発展を促進するため、アルミニウムおよびアルミニウム合金の輸出関税を引き上げます。
EUのセンチメントを表す面白いデータが発表されています。2022年にEUが輸入した花火の量は29,200 トンで、2019年の105,000 トンから大幅に減少しました。パンデミックが始まった2020年には79,700 トンが輸入されましたが、わずか2年でその半分以下になっています。99%は中国からの輸入で上位3ヵ国はオランダ 6,900トン(24%)、ポーランド 5,300トン(18%)、デンマーク 5,200トン(18%)となっています。パンデミックと戦争とインフレで人々の生活様式とセンチメントが明らかに変わりつつある事が伺えます。
https://ec.europa.eu/eurostat/en/web/products-eurostat-news/w/EDN-20221229-1

相互海上保険の一部を提供するP&Iクラブがロシア、ウクライナ、ベラルーシでの戦争リスク補償を来年からキャンセルすると発表しています。同クラブは世界の外航船の約90%をカバーする最大のP&I保険会社の1つです。通常、船舶にはP&I保険が適用されており、環境破壊や傷害を含む第三者の賠償請求をカバーしています。船体と機械は個別の付保により、物理的損傷が補償される仕組みとなっています。エネルギー、木材、原料や非鉄にも影響が出る可能性があります(今まではインド、中国、ベトナム等を経由していたが、今後は保険が掛けられなくなる為)。既に日本のメディアでも報じられていますが、日本政府は、保険会社に対し、ロシア水域での液化天然ガス(LNG)輸送の海上戦争保険の提供を継続するよう要請しています。
https://www.reuters.com/business/finance/ship-insurers-cancel-war-cover-russia-ukraine-jan-1-2022-12-28/

今年S&P500指数が20%近く下落する中でウォーレン・バフェットが率いるバークシャーハサウェイの株価が3%上昇し、そのポートフォリオの38%が1社の株式で構成されている事が伝えられています。バークシャーのポートフォリオの2位はバンク・オブ・アメリカ(11%)、3位はシェブロン(10%)ですが、この2つを足した以上の構成比(38%)は米国のAppleです。Appleの株価は過去5年で200%以上上昇しています。またバークシャーは過去10 四半期でAppleのポジションを10%以上売却し売却益も出しています。SECに報告する同社のデータは常に注目を集めています。
https://uk.finance.yahoo.com/news/1-stock-makes-38-warren-120258337.html

欧州最大の鉄鋼メーカーがまた鉄スクラップ企業を買収しました。世界第2位の鉄鋼メーカーであるアルセロールミッタル(ArcelorMittal)がポーランドの鉄リサイクル企業でアルセロールミッタルのサプライヤーでもあるZlomex社を買収した事を発表しています。Zlomexの昨年の鉄スクラップ取扱量は約400,000トンです。買収は2023年前半に完了する予定です。アルセロールミッタルは3 月に英国のJohn Lawrie Group、 5月にドイツのALBAグループからスクラップヤードを10ヶ所、つい最近12月にはオランダのRiwald Recyclingを買収したばかりです。EU ETSからの無償枠が無くなる2032年までに脱炭素化を行い欧州鉄鋼メーカーは垂直統合を加速しています。
https://corporate.arcelormittal.com/media/news-articles/arcelormittal-acquires-polish-scrap-metal-recycling-business-zlomex

SMMが非鉄金属業界年次会議に関するアルミ市場の予測レポートを掲載しています。同会議はSMM が主催し最近開催されました。SMMは2023年の中国のアルミニウム生産量は年を通じて増加し続けると考えています。大きな懸念点は中国の不動産市場の不安定さです。ただし建築需要の減少は輸出、太陽光発電、新エネルギー車での消費によって引続き補われると予測しています。
https://news.metal.com/newscontent/102053219/Key-Takeaway-from-SMM-Nonferrous-Metals-Industry-Annual-Conference:-Domestic-Aluminium-Output-in-2023-to-Increase-Further-with-Demand-Returning-to-Positive-Growth-/

2023年1月1日からクロアチアが通貨ユーロを採用しシェンゲンにも加盟します。クロアチアはユーロを利用する20番目の国となります。同国は1991 年に独立し人口が 400 万人に満たない小国で、EUに加盟したのは2013 年です。通貨ユーロは今年1年間で米ドルに対し16%価値を下げ、10月には2002 年 12 月以来の安値に下落しました。
https://www.express.co.uk/finance/city/1714686/euro-news-failure-collapse-analysis-spt

特に先進国の経済が今後10年間低成長に向かう可能性がある事をCNBCが報じています。Tressis Gestionの著者兼チーフ エコノミストの見解として掲載しているもので、先進国はインフレの上昇によって苦しみ、2020年と2021年に実施した大規模な景気刺激策は期待した程の潜在成長をもたらさず、その反動としてインフレを引き起こし市民を苦しめています。現在の市場は世界経済の成長と発展を評価しているのではなく、あくまで金融危機を回避する環境を評価し始めています。2023年の景気浮揚の最大の要因は中国経済の回復であると結論づけています。
https://www.cnbc.com/2022/12/28/global-economy-is-heading-into-a-decade-of-low-growth-economist-says.html

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