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NEWSCONの気になるNEWS(2022年12月第1週)

英国で2023年1月1日から生産者又は主要な流通業者が包装廃棄物に関するデータを収集する義務を負う事が環境・食糧・農村問題省(Defra)により明確にされました。1ヶ月以上前に同件に関するガイダンスは発行されていましたが、Defra主催のウェビナーで詳細が明らかにされ、何を、いつ、どのように行うかを説明しました。EUでも包装及び包装廃棄物指令の改訂により拡大生産者責任の範囲が広がる事で現在大きな論争となっています。EPRにより、廃棄物管理のコスト負担は納税者が税金を払い自治体や第三セクターで民間企業がおこなっていたものが、生産者もしくは主要な流通業者に移管する事になります。EUでは電池、電子廃棄物、包装廃棄物の各指令の改訂で適用範囲を広げる事が始まっています。欧州の廃棄物産業協会であるEuRICは廃棄後も製品の所有権が生産者に保持されたままとなるEPRに反対しています。米国でもこの動きは活発化し出しています。
http://bit.ly/3F0UcRs

チリ最大の国営鉱山企業コデルコは銅の世界的な供給不足は2032年までに年間800万トンに達する可能性があると市場に警告をしています。これは急増する需要に新しい鉱山プロジェクトの数が足りず供給が追い付かない為です。複数のアナリストは2032年までに年間600万トンの供給不足が生じると予測していますが、それを上回るものです。銅需要は現在の年間2,500万トンから2032年には3,100万トン強になると予測されており、この量をまかなう為には世界最大の銅鉱山であるBHPのチリでのEscondidaと同じ規模のプロジェクトを今後8年間で8つ建設する必要があることを意味します。これは環境アセスメントや許可の問題、投資資金の問題等から現実的には不可能に近く、銅が次のスーパーサイクルでかなり価格が上昇すると見られています。
https://www.mining.com/codelco-sees-copper-deficit-at-8-million-tonnes-by-2032/

欧州政府が主導する使用済みタイヤ(ELT)のリサイクル・プロジェクトであるBlackCycleがスペインのサラゴサで開催されたイベントの内容を報告しています。このプロジェクトは先進的な技術とプロセスを開発する事で使用済みタイヤから新しいタイヤを製造する為のものです。最終的にはEUの使用済みタイヤの2本に1本がサーキュラーエコノミー(CE)のバリューチェーンに組み込まれる事を目論んでいます。現在、欧州の ELT の半分以上は非 EU 諸国に輸出されているという現状があります。タイヤのCEではELTから鉄、ゴム粒子、カーボン ブラック等の二次原材料をリサイクル材として抽出する事です。このイベントでは、TNU、AXELERA、ミシュラン、Collective Systems、Greenval Technologiesの各社の取り組みが紹介されました。
https://blackcycle-project.eu/

11月30日にEUの包装、及び包装廃棄物指令の改訂案が発表される予定です。発表される法案ではプラスチック包装に関して新しいリサイクル材の含有量目標が導入される予定です。2030年までに食品包装用PETが30%、食品包装用その他プラが10%、食品包装以外のプラ包装が35%となる予定です。再利用率目標も導入予定で2030年までに持ち帰り用カップは20%、ビールとソフトドリンクの容器は10%、食品以外のオンライン配送に使用される包装は10%となります。これらの数値は2040年の目標では大幅に引き上げられています。法案は、今後の法律制定プロセスで修正が入る可能性があります。しかし、これ程の量のリサイクル材の含有量を満たす為には、ある程度のケミカルリサイクルが不可欠になると思われます。
http://bit.ly/3GRILNm

EV用のニッケルの争奪戦が本格化しています。韓国のSK On は、韓国の二次電池材料企業EcoProと中国の前駆体メーカーGreen Eco Manufacture (GEM)と共同でインドネシアにニッケル中間体(ニッケル化合物)の生産会社を設立する覚書を締結しました。ニッケルの産地であるインドネシアでニッケル混合水酸化物沈殿(MHP)製造プラントを建設し、2024年第3四半期から本格稼働します。ニッケル換算で3万トンMHPを生産します。これは、約60万台の電気自動車用のバッテリーを生産する量となります。インドネシアはニッケルの埋蔵量が世界1位の2,100万トンと言われています。
http://bit.ly/3AQAohw

欧州の統計データを扱うEurostatが欧州のグリーンエネルギー製品の輸入額が152億€と伸び、輸出額を大幅に上回っている事を伝えています。輸出額は半分以下の65億€でした。輸入が大幅に超過しているものは、ソーラーパネル(112億€)、液体バイオ燃料(34億€)で、輸出が超過しているものは風力タービン(輸出33億€、輸入6億€)だけとなっています。これは米国でも言われていますが、グリーンエネルギー化は輸入額の超過となり、エネルギー自給率を上げる目的としては矛盾している部分です。米国では補助金は自国の産業を育てる為にも自国製品のみを対象にすべきという動きもあります。
http://bit.ly/3ilxBGo

負債総額が3,000億ドル余りで今年債務再編プロセスを開始している中国最大の不動産ディベロッパー恒大集団が、来年3月初旬までに債務再編の提案を固める予定である事が伝えられています。
http://bit.ly/3XHml7q

船、トラック、列車用の燃料であるディーゼルの不足が世界で顕著になっています。先週ブルームバーグが「世界のほぼすべての市場で供給不足がインフレを悪化させ、成長を阻害し、数ヵ月以内にディーゼル不足の危機に直面するだろう」と警告しました。米国ライス大学ベーカー公共政策研究所のマーク・フィンリーは、ディーゼル価格の上昇は米国経済に1,000億ドルの損失をもたらす可能性がある、と述べています。欧州も北西地域でディーゼルの供給不足に直面しています。今後、ロシアの原油と原油製品の制裁が発動されると、不足に拍車が掛かると予想されます。現在、世界のディーゼル輸出市場は非常に逼迫している為、パキスタン等の新興国市場は工業用燃料の購入から締め出されています。イタリアの石油精製会社サラスのCEOは「今まで見た中で最大のディーゼル危機だ」と述べています。新たな石油精製施設への投資も無くロシア産が欧米市場から締め出されると、一層の混乱になると見られています。この問題は2-3ヶ月前からかなりのトーンで伝えられていましたが、新たな制裁を前に大きな話題となっています。
http://bit.ly/3F4b495

Davis Indexが11月下旬に行った調査によると、12月に米国で一部の鉄スクラップ品種の価格が上昇する可能性がある事が示されています。12月にスクラップの需要が必ずしも増加する訳では無いが、供給が制限される可能性が高く、米国の一部では12月初旬に1トン当たり10ドルから30ドル上昇を予想しています。ただしSHRやMHSのグレードは12月初頭にて横ばい推移の可能性を予測しています。この価格変動は輸出市場にも反映される、としています。
http://bit.ly/3EGTgR0

既に複数のメディアで伝えられていますが、世界貿易の減少に伴い、コンテナの過剰供給状態が続いています。中国を始め一部の欧州の主要港でも空コンテナのデポでの保管数が増加し再配置され始めている所もある、という事です。コンテナの供給過剰が輸送価格の下落を促しており、コンテナ料金を追跡するDrewryのWorld Container Indexは、1年前の同時期と比較して72%も下落しています。バルク貨物船も同様で、海上貨物料金は過去1ヵ月間圧力を受けており、2022年の最低水準に近づいています。
http://bit.ly/3F7HikN

格付会社のフィッチレーティングによると中国から欧米への輸出が10月に落ち込んでいるというデータが出ています。米国とEUは中国の最大の輸出先であり、2022年の10ヶ月でそれぞれ国の輸出先金額全体の16.5%(米国)と15.8%(欧州)を占めており、フィッチは来年、米国とユーロ圏の両方で同時に景気後退が起こると予測しています。ただし、中国からの電気自動車とバッテリーの輸出に関しては、今後も明るい見通しであると報告しています。
https://bit.ly/3ViVJIz

中国の景気低迷の影響が2023年の金属価格に波及する可能性が高い事をAG Metal Minerが掲載しています。小売りの低迷、不動産の下落、輸出の減少が重なり、影響が来年まで続くとみており、金属需要の減速から比較的ボラティリティーの高い非鉄金属でも低迷が指摘されています。中国の不動産セクターは地方政府融資機関(LGFV)によって積み上げられた7.8兆ドル規模の債務問題が大きく響いており、中央政府は大企業で存続可能なところを支援するために融資を増やし統合と合理化も進めています。ただし、不動産不況は数年間続く可能性が指摘されています。新たな政府支援も新しい開発ではなく、既存のプロジェクトの完了のみをサポートする可能性が高いためです。FTはこのような中国の不動産不況を「ゆっくりと深く起こる危機」と題してコラムをあげていました。中国のGDPに占める不動産業は15~30%で、このセクターの不況はかなりの影響を持ちます。日本のバブル期の十数倍の規模の不良債権とも言われており、LGFVの債務はGDPの半分に上るようで、言われているより悪い可能性が欧米経済紙で伝えられています。
http://bit.ly/3OIuN2l

予定通り、11月30日に欧州委員会が「包装および包装廃棄物に関するEU法の改正案」の内容を発表しました。事前にリークされた草案内容とほぼ同じで既にお伝えした通りです。正式な提案では1人当りの包装廃棄物を2018 年比で、2030年までに5%、2040年までに15%削減します。現在「包装廃棄物」はEUの一般廃棄物の36%を占めています。リサイクル率は、2025年に65%、2030年に70%で包装材料毎に別途特定な数値を設定しています。飲料ボトルに含まれるリサイクル材の比率は、2030年で30%、2040年には65%となります。お店やカフェで使用されるバッグやネット、ホテルのミニシャンプーボトルなどの使い捨てプラスチック製品も段階的廃止を提案しています。再利用の最低数値目標は、持ち帰カップが2030年に20%、2040に80%、配送用の包装は20230年に10%、2040年に50%となっています。この規制はEU内製造品と輸入品に等しく適用されるため、EU以外の生産者は、同じ要件を満たさなければなりません。欧州のプラスチック廃棄物規制は先進国の法制度に多大な影響を与えている為、注目されていました。
http://bit.ly/3GVvK5B
http://bit.ly/3VcDC6Z

WWFの最新の調査レポートによると、欧州排出権取引制度による無償のCO2排出枠の提供額は2013年から2021年の間に€985億(約14兆5000億円)にのぼり、同期間にEU加盟国が制度から得た€885億を€100億(1兆4500億円)上回る事が伝えられています。排出量の53%が無償割当となっており、排出権取引制度の半分以上が実は炭素クレジットを購入する必要が無い無償枠で行われていた事が判明しています。エネルギー集約型産業と航空部門からの排出量の大部分は免除されており、電力部門と重工業の約10,000ヶ所の工場は無償排出枠が与えられてきました。無償排出枠は今後EUの気候目標に沿って時間と共に減少する予定です。調査の著者は、「加盟国のレポートの質は低く提供されたデータは加盟国間で安定しておらず、欧州委員会は、これらの不正確さを報告していません。更にEU加盟国による「気候変動対策」への支出についてもほとんど精査されておらず、誤解を招くような報告につながっています。」と述べています。欧州企業によるグリーンウォッシングの横行と同様、欧州からのカラフルな情報は第三者評価が殆ど無い為、鵜呑みにできない例と言えます。
http://bit.ly/3FggOhi

ストックホルムの国際民主主義選挙研究所が世界で起きている民主主義の衰退に関する最新の報告書を発表しています。民主主義の崩壊が最も深刻な後進国の数はピークに達しています。衰退は、米国の民主主義にも及び、政治的分極化、制度の機能不全、市民の自由への脅威の問題を引き起こしている、と伝えています。世界的に権威主義に向かっている国の数は、民主主義に向かっている国の数の2倍以上です。欧州でも民主主義国家のほぼ半分(合計17ヶ国)が過去5年間で影響を受けています。これらの国の民主主義の衰退は、その他の民主主義国にも影響を与えています。この調査では民主主義が衰退している「根本原因」については全く触れられておらず、「民主主義の衰退」というある主の恐怖感を煽っている意図がある事が問題点と思われます。
http://bit.ly/3AX2N5z

EU政府が主導するHorizon Europeが資金を提供し、AIとロボットにより廃電気電子機器 (WEEE)に含まれるバッテリーを除去する取り組みが開始されました。このプロジェクトはGrinnerと名付けられており、X 線検出器とAIソフトにより識別を行ない、その後ピッキングロボットでバッテリーの含まれたWEEEを除去します。リチウムイオン電池による火災が大きな問題となっている現場に対応するもので、破砕前のコンベアに装着する事を目的に開発が進められています。主催はソフトウェア開発企業LYNQで、その他のプロジェクトのメンバーはWEEE Forum、TWI Ellas、GreenWEEE International、Erion、エセックス大学です。NGOのMaterial Focusが今年夏に調査した結果によると、英国ではWEEEから取り外されていないバッテリーが原因で、ごみ収集車やごみ廃棄場で過去に600件以上の火災が発生している事が報告されています。火災の発生が多い事から、廃LIBの貨物保険は付保されますが、損害賠償保険への付保のハードルが高くなっています。
http://bit.ly/3VpjLBB

12月1日に欧州議会の環境・公衆衛生・食品安全委員会(ENVI)が「廃棄物輸送に関するEUの手続きと管理措置の改革」に関する報告書を採択しています。これは欧州委員会から昨年末に出され論争となっている欧州廃棄物輸送指令(WSR)の改訂案を指します。
https://bit.ly/3VFTYF8

WSRの改訂案は2023年1月に欧州議会全体での投票が予定されており、その段階で採択されても、更に欧州理事会との協議があり最終的な指令の採択までには修正が入る可能性があります。ENVIで支持された内容は、ほぼ欧州委員会の案で廃棄物輸出を大幅に制限する事と、中古品と廃棄物を区別することによって規則が回避されないように、廃棄物の分類に関する統一基準を策定する予定となった事です。また十分に正当化された場合を除いて、EU内で処分する予定の全ての廃棄物の輸出を禁止するという欧州委員会の提案を支持しています。
一方、朗報はOECD諸国への金属くずの輸出に対して、非OECD諸国同様の制限を課さない方針となった事です。EUから非OECD 諸国への金属くずの輸出は、持続的な処理能力を実証し事前に同意を得る事が要求されます。トルコはOECD加盟国ですので、今まで通り鉄くずは輸出が可能です。しかし鉄・非鉄金属の主要輸入国である中国、インド、パキスタン、その他東南アジア諸国はOECDに加盟していません。また欧州委員会は、OECD諸国への廃棄物の輸出をより綿密に監視する、としています。欧州のリサイクル関係者の緊張はまだ続いています。
https://bit.ly/3OQWMwG

この問題で11月30日には、欧州リサイクル産業連盟(EuRIC)と欧州廃棄物管理協会(FEAD)が現在の欧州委員会案に反対する共同書簡を発行しています。WSRの改訂を巡ってリサイクル業界は一貫して反対を訴えています。それに対し、NGO、政策立案者、鉄・非鉄メーカーは改正案を支持しています。この改定が実施され、今までのように欧州の規制が世界に波及した場合、廃棄物由来の原料の流れは多少変わると思われます。
https://bit.ly/3OVqZL9

11月30日に発表されたEU包装及び包装廃棄物指令案についてEUの食品業界が一部は肯定しつつ「実行不可能」との反対意見を表明しています。欧州の食料飲料の業界団体であるFood Drink Europeは提案発表と同時に声明を出し「この提案は食品事業者に持続可能な包装と循環経済を達成するための”大幅な改善”を要求する」との懸念を示しました。Food Drink Europeの事務局長Dirk Jacobs 氏は、「この提案にはいくつかの肯定的な側面がある一方で、インフラと手段を備えた業界のサポートツールが不足している。再利用と詰め替えの目標は適切な条件が揃わなければ非現実的であり、目標を強化するどころか妨げる可能性がある」と警告しています。
https://bit.ly/3H5aM4b

既に複数のメディアで大きく取り上げられていますが、欧州排出権取引制度に世界ではじめて「海上輸送」が含まれる事になりました。EU内を航行する船舶は排出量の100%が炭素クレジットの支払対象となり、EU以外の目的地への、またはEU以外の目的地からの移動の排出量の50%が対象となります。対象となる排出量の割合は2025年に40%から始まり、2026年に70%に移行し、2027年までに 100%に達するまで、時間の経過とともに増加します。また、メタンや亜酸化窒素などの非CO2排出量が2026年から含まれるようになります。総トン数5,000トン超の船舶が対象ですが、法律を回避するために4,999トンの船を企業が生産しないようにするための措置も取られる模様です。ちなみに大金持ちが所有する超大型クルーザーは対象外です。これは、国境炭素調整メカニズムといい、事実上の非関税障壁?となる可能性が高いです。
https://bit.ly/3HjiEiT

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