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NEWSCONの気になるNEWS(2022年11月第4週)

2030年のカーボンニュートラル宣言を鉄鋼メーカーとして世界で最初に出し話題となった英国のLiberty Steelが債務危機から脱して債権者との合意に達した事を発表しています。ソフトバンクGのビジョンファンドが出資し倒産したGreensill Capitalから最も資金提供を受けていたLiberty Steelをめぐる金融問題は、元英国首相デビッドキャメロンの関与やクレディスイスを巻き込んだ今年Q1の欧州鉄鋼業界の最大のスキャンダルでした。Libertyのオーナーであるインドのグプタ家は強引な買収で鉄鋼金属業界をのし上がった事でも有名です。英国内では評判が悪く、カーボンニュートラル宣言もグリーンウォッシングと疑念を持たれています。
http://bit.ly/3V9Eb12

Investor’s Chronicleがチリの銅鉱山への投資に関して記事を上げています。この記事によると、チリの鉱山企業は投資の低迷にもかかわらず、価格の上昇から今後も十分な利益を得られる事が示されています今後12ヶ月で銅の需要は確実に増し、その後も継続して需要が伸びるとみられています。しかし、大規模な設備・開発投資が行われず既に影響が出ています。干ばつなどの天候要因と米国を含む南米諸国での開発許可の難しさが、供給不足を悪化させる、としています。
http://bit.ly/3hSVjtF

カナダ政府が中国鉱山企業のカナダへの出資を規制する事が報道されています。重要な鉱物資源が安全保障に影響する為の措置で、カナダにある3つの中国資本の鉱山会社の所有権を直ちに売却するよう命じています。金属専門サイトのAG Metal Minorは、この動きが「国家安全保障を再優先する新たなトレンドになる可能性がある」と掲載しています。G20で習近平国家主席がカナダのトルドー首相に面と向かって「非公式会談の内容を漏らすな」と警告した映像が世界に拡散されていますが、こうした伏線が色々あるという事です。
http://bit.ly/3AmH1rx
https://www.bbc.co.uk/news/world-asia-china-63654337

米国の鉄鋼製品の供給が過剰気味で価格が下がる見込みである事が伝わっています。圧延鋼、熱間圧延コイル、冷間圧延コイル、溶融亜鉛めっき共に価格が下落トレンドのままです。米国の鉄鋼メーカーは厚板鋼については価格維持に取り組んでいるようです。スクラップへの影響が懸念されます。
http://bit.ly/3AqFCA6

欧州委員会が発表したばかりの自動車の排出規制案ユーロ7をめぐって欧州自動車業界で不満の声が噴き出ています。欧州自動車製造業者協会ACEAは「環境上の利点は非常に限定的だが車両コストが大幅に増加する」との見解を示し、トラック大手のMANのCEOブラスカンプ氏は「技術的に実現可能な限界に達している」と不満を述べています。内容を見る限り大幅なコスト増は避けられず、政策側が狙う早急なEV化は原材料価格の暴騰を招き、車の価格に反映されます。
http://bit.ly/3UOWBEu

G20でインドネシアがカナダやオーストラリアに対しニッケルのカルテル組織を提案した事が話題となっています。この提案に対してカナダもオーストラリアも賛同していない模様です。これは先日報道されたインドネシアがOPECに似たカルテル組織をニッケルで設立する目論見の現れと見られています。埋蔵量ではオーストラリアとならび世界最大と言われるインドネシア政府のこの動きは、ニッケル市場のボラティリティに影響を与えそうです。
http://bit.ly/3U2fhj2

リチウム不足に対する新たな動きがありました。塩水から99.5%のリチウムを抽出する特殊技術を持つカナダのSpey Resources Corpが資金調達、及び取締役にアルゼンチンとチリのリチウム鉱山の専門家を招き入れています。同社のCEOであるPhillip Thomasはリチウム塩水の地質学者で、蒸発池を必要としない直接抽出技術を開発しライセンスをしています。Spey社は既にパイロット工場で抽出試験を実施しており、アルゼンチンのサルタ州の幾つかのリチウム塩水プロジェクト権益のオプション契約を保持しています。新たなリチウム田の開発は、膨大な量の水質汚染を理由に許可を得る事が困難な状況となっています。リチウム1トンの生産に必要な水は約190万リットル(主に地下水)で、ほぼ全てを蒸発させ、残った汚染物質が汚濁水として流れます。国連開発計画によると、世界のリチウムの約 60%がラテンアメリカで発見されており、アルゼンチンは21.5%を占めています。実はリチウム採掘、抽出による環境汚染も深刻なのです。
http://bit.ly/3tL5Ycn
http://bit.ly/3u5Auy1

発電用のベトナム産輸入木質ペレットがFITの要件を満たさないFSC虚偽申告品である事が日本で大問題となっています。ベトナムの地元紙では木材業者が木質チップや木質ペレットの販売と輸出にシフトし、今年の輸出総額が前年比14%増の169億ドルになると予測しています。特に日韓の需要が急増している木質ペレット輸出額は今年10ヵ月で前年比81%増の6億300万ドル以上に増加しています。又、製材と木材チップの価格差が1トンあたり20,000ドンまで縮小しており、木材生産者は急いで木を伐採しチップ工場に売却している、という事です。物理的にも全量FSC認証を取っているとは考えづらく、今回判明する以前も認証の正当性には既に疑問の声が有りました。
http://bit.ly/3AzrFzT

ガス供給に問題を抱えるドイツが浮体式液化天然ガス貯蔵ターミナルの購入と維持に計画された予算の2倍以上を支払う事が報告されています。計画では約30億€(約4500億円)でしたが、実際には65.6億€が必要で、陸上に施設を設置する際はこれ以上の費用が掛かる、という事です。ガス自体も多くがスポット価格での購入となっており、暫くはエネルギー高を緩和する事は困難なようです。
https://www.brecorder.com/news/40209842

再生可能エネルギーを利用した英国資本最大のLIBギガファクトリーを計画しているブリティッシュボルト社が資金難から倒産の危機に直面している事が伝わっています。11月に入り既に資金難が伝わり、今年1月に英国政府が約束した1億ポンドの支援の内、3000万ポンドの支払いにも応じてもらえず、債権者への支払いに向けて借り換え交渉を行っている事が伝わっています。同ギガ工場は総投資額38億ポンドで再生可能エネルギーを利用した運営を目指して計画が進められていました。欧州のLIBギガ工場の計画は、高騰するコストにより相次いで「ステルス」延期が続いています。
http://bit.ly/3GD59Ki

中国資本のGotion High-tech が、ベトナムVinグループの子会社であるVinESと合同でLFPバッテリー工場の建設を開始した事が伝わっています。投資額は2億7500万ドルで、 生産能力は年間5GWh、約3,000万個のバッテリーセルを製造可能としています。工場はブンアン経済圏にあるVinESのバッテリーパック工場の隣に建設します。この工場はベトナム初のLFP工場で、生産開始は2024年の第3四半期を予定しています。EVはバッテリー、半導体、ソフトによって競争力が決まる為、各国で国を上げて誘致に取組んでいます。
http://bit.ly/3TRID3q

欧州委員会が11月30日に「炭素除去認証スキーム」の法律案を提出する予定である事が伝わっています。立法案に対するフィードバックは5月に終了しています。炭素除去認証とは、農業、林業、産業によるCO2の回収、リサイクル、貯留を革新的なソリューションで達成したものに与えられる認証システムです。認証は信頼できる透明性の高い評価を使用して炭素除去が長期にわたって監視できる基準を定めるものです。欧州政府は2050年にネットゼロを達成する為には炭素回収技術が不可欠と考えており、先行して政策を進める目論みです。
http://bit.ly/3EUWq5a

韓国のLG化学が米国のテネシー州に30億ドルを投資してバッテリー用カソード材料の生産工場を建設する事を発表しています。商業生産の開始は2025年を見込んでおり、2027年までに生産能力を年間120,000トンまで増やす予定です。米国で今年成立したインフレ削減法の要件を満たす為、鉱業会社やリサイクル会社との協力を推進する予定です。同工場では、ニッケル、コバルト、マンガン、アルミニウム化合物(NCMA)を使用したカソードを製造します。
http://bit.ly/3Opwa5X

カナダのTyromer(タイロマー社)が欧州最大のタイヤメーカーであるコンチネンタルとのタイヤ to タイヤのリサイクルで協業し、実際にオランダの工場で原料の利用試験を開始していると発表しています。タイロマー社は化学薬品を使わず押出成形技術を利用してタイヤ破砕粉を脱硫する特許技術を持っています。今後のマイクロプラスチック規制を鑑み、タイヤのリサイクルは大きく動き始めています。
https://tyromer.com/media/

国際的な投資銀行各社が出した2023年の景気予測をReutersがまとめています。2023年には世界経済の成長が更に鈍化し、米国は景気後退の可能性が高いと予想しています。通貨ペアの2023年末までの予測も同時に載せています。ドル円は最安値予測が125円、最高値が140円となっています。またUBS銀行はFRBが利下げを検討する為、2023年末までに米国のインフレ率が2%に近づくと予想しています。
http://bit.ly/3EPO4vt

欧米の電炉を主体とした大手鉄鋼メーカー、業界団体、スクラップ業者団体、NGO等20以上の団体が鉄鋼業の低炭素化を目指しグローバルスチール気候協議会(GSCC)を設立した事を発表しています。同時にResponsible Steelや国際エネルギー機関の低炭素排出鉄鋼モデルである鉄スクラップの割合に基づく炭素計算「スライディングスケール」方式に反対の意見を表明しています。高炉等の高排出メーカーに有利に働くという事が理由となっています。
https://globalsteelclimatecouncil.org/

2日間延長して終了したCOP27が失敗であったという報道が続いています。世界の気温上昇を1.5°C以下に抑える為の新しい目標やコミットメントは無く、採用が決定した途上国向けの「損失と損害基金」も誰が支払い、支援がどのように提供されるかも先送りされて結局何も決まらずに終わったとの評価です。2009年に約束された先進国から途上国への年間1,000億円の気候資金の提供も全額支払われた事は1度も無く、あくまでも欧米先進国の都合で決まるという傾向が続いています。英国の有名な新聞The TelegraphがCOPを「偽善のキャラバン」と皮肉を言う理由がここにあります。
http://bit.ly/3XsPtiF

米国の金利上昇についてS&P Market Intelligenceが最新の予測をあげています。Fedファンド先物市場の投資家心理を測定する CME FedWatchツールによると、市場の約44%が2023年5月のFOMCまでに金利が5%から5.25%の間、22%が5.25%から5.50%になると予測しています。ただし、ある著名マーケット・ストラテジストによれば、今年の利上で2023年初頭に米経済が減速した場合は4.5%から4.75%になる可能性があるとの見解を示しています。今のところ住宅ローンの申し込みは金利上昇で急落しているが、賃金の伸びが鈍化したり、需要の抑制は起こっていません。ドルの独歩高がコモディティーや資金需要にも影響していますので米金利への関心は世界的に高い状況です
http://bit.ly/3Oyz7kB

ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが11月8日の時点で中国最大のEVメーカーであるBYDの株式578万株11億 4000万香港ドル分を売却していた事が伝わっています。BYDは材料価格の高騰もあり23日に3モデルの値上げを行いました。またWeChatで一部のEVやハイブリッド車に対する中国政府の補助金が12月31日に終了すると告げています。これとは別にアル・ゴアのGeneration InvestmentもQ3に米テック株を売却していた事がSECの報告で明らかになっています。IT株の値下がりを事前に察知していたような動きです。彼らの情報網は一番早いので、先行指標としては良いデータになると思います。
http://bit.ly/3i9m1yb

EUの2,000万社以上の企業を代表する欧州商工会議所協会が25ヶ国42,000社を対象に行った企業信頼感の調査結果を発表しており、「2008/9年の金融危機とパンデミックよりも更に悪くなる」という結果が出ています。輸出は減少し、投資と雇用も縮小、あらゆる指標が「悪化する」と予想していることを示しています。ただし回答者の90%以上が「グリーン・エネルギーへの投資を維持、または増加させるつもりである」事が判明しており、非鉄金属需要は底堅い可能性があります。FTはこの調査を引用し、今後12から18ヶ月後に深刻な景気後退となり、米国は短期的で浅い景気後退が予想されると報じています。
http://bit.ly/3Xy3gVa
http://bit.ly/3Ox05cm

ビジネスコリアが「2023年の展望」を掲載しています。エネルギー安全保障、米国のインフレ削減法(IRA)、欧州のREPowerEU政策により2023年から欧米と中国で再生可能エネルギーの設置が増加するサイクルに入る。米国の利上げは徐々に緩和され、輸送と原材料コストの負担が減り安定すれば、再生可能エネルギー企業の営業利益率は上昇する。原子力のエネルギー利用に向け動き出す。生可能エネルギーと原子力への投資は今後も続く、と予想しています。景気後退を再生可能エネルギー投資がどこまで相殺するか、という事がカギになりそうです。
http://bit.ly/3GJswSz

OECD諸国間のWEEEの輸出入に対し「事前通知と合意(インフォームドコンセント)」を求めるバーゼルの改定に反対意見を示した欧州リサイクル産業連盟(EuRIC)が新たに政策当事者に対し、拡大生産者責任(EPR)スキームを確立する前に状況をより精査するよう求めるポジションペーパーを発行しています。EuRICは「EPR スキームは廃棄物流通が経済的価値を超える場合にのみ」確立されるべきだと主張しています。EPR スキームではなく、リサイクル業者が廃棄物(と流通の)所有権を保持し、リサイクルの投資と能力拡大を維持する必要がある、と訴えています。 これは非常に重要な問題で、欧州のリサイクル業界を悩ませている問題の1つです。欧州政府は資源確保と環境保護の点から多くの製品にEPRの拡大を制度化しています。EPRが対象となった製品は廃棄物となってもメーカーが責任を持つ事から、通常はメーカーが所有権を維持して管理します。その為、メーカーと提携できるような大手リサイクラー以外はスキームから外れて実質「商売上がったり」の状態になります。EPRは欧州だけでなく米国でも拡大する方針が決まっており、この流れは止めるのが難しい状況です。EPRが拡大すると、リサイクラーはループの中のファンクションになる事が要求され、所有権を有して自由に交易がしづらくなります。
https://bit.ly/3V6oxUm

LIB生産のコストを下げるため見落としがちな生産プロセスのイノベーションをMIT からスピンオフした24M Technologiesが開発した事を発表しています。バッテリーのイノベーションでは新しい化学物質と材料ばかりが注目されていますが、同社は今回の生産プロセスのイノベーションにより製造コストを最大40%削減できる、と発表しています。各セルの製造に必要な材料と工程が少ない新しい設計によりLIBの製造を簡素化しています。粘着性のある電極「SemiSolid」を設計に取り込む事により製造コストを大幅に下げる事ができる、としています。同社はこの方法により、バッテリーのエネルギー密度や安全性だけでなく、リサイクル性も向上させる事ができると伝えています。
http://bit.ly/3icnIel

中国の複数の商業銀行が不況の不動産業を支援するための協調的な取り組みとして、1,620億ドル以上の信用枠を約束しています。中国当局はここ数週間で債務不履行にて開発中止が多発している不動産開発業者を支援する措置を強化してきました。政策は規模が大きくより健全な国営の開発事業者を支援することに重点が置かれており、民間小規模事業者への支援が懸念されています。その為、今後も公的債務不履行に陥っている民間開発業者は苦戦すると見られています。この措置の発表で一部の不動産株は18%上昇しています。中国鉄・非鉄産業の大きな需要家である不動産セクターが再び動き出すと市場にも影響が出ると思われますが、債務超過が思ったより深刻らしく、欧州の報道では支援による回復は限定的と見る向きもあります。
http://bit.ly/3EYPvaP

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