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NEWSCONの気になるNEWS(2025年6月第2週)

米国上院共和党はインフレ抑制法(IRA)の未使用気候基金廃止を提案しています。 クリーンエネルギー基金の削減・メタン税10年間停止・エネルギー事業者向け手数料導入を含む内容です。 下院では関連法案が可決されましたが、上院共和党内では州税控除の維持をめぐり意見が分かれています。
https://impakter.com/esg-news-us-senate-cuts-climate-funding/

欧州委員会は海洋保護と持続的経済発展を両立する「欧州海洋協定」を採択しました。 6つの重点分野を設定:①沿岸生態系の回復支援、②ブルーエコノミー強化のため若手人材育成、③離島・沿岸地域の新戦略策定、④沿岸警備隊連携による海上保安強化、⑤海洋観測網拡充による研究推進、⑥違法漁業対策の国際連携。 2027年迄に海洋法整備し進捗をダッシュボードで管理します。 生物多様性保護と漁業・エネルギー産業の持続的成長を統合的に推進します。
https://commission.europa.eu/news-and-media/news/commission-adopts-ocean-pact-protect-marine-life-and-strengthen-blue-economy-2025-06-05_en

米国鉄鋼大手クリーブランド・クリフスがオハイオ州ミドルタウンの5億ドル水素製鉄プロジェクトを正式中止します。 CEOは水素供給不足と米国政権の政策変更を理由に挙げ、「水素なしではプロジェクト全体が破綻する」と説明しました。 前政権下でエネルギー省から5億ドル助成を受けましたが、追加11億ドル投資が必要で総額16億ドルに達する見込みです。 グリーンスチールの高価格を支払う買い手確保も困難となっています。 同社は既存石炭高炉の延命に方針転換し、トランプ政権と助成金再交渉中です。 2基の電炉と水素対応直接還元鉄工場建設計画も白紙化。 米国のクリーン製鉄推進に大きな打撃となり、産業用水素普及の課題が浮き彫りになりました。
https://fuelcellsworks.com/2025/06/04/energy-policy/hydrogen-based-steel-plan-at-cleveland-cliffs-officially-abandoned

希土類スクラップ市場は高水準で安定を維持しました。 酸化物市場価格上昇に牽引され、スクラップ市場価格も上昇し、今週は同水準を継続しました。中国ではスクラップ価格が高水準に達したことで市場の問い合わせ活動が活発化し、実際の取引量も改善、スクラップ流通量が増加しています。 しかし、一部の磁性材料企業は将来価格に楽観的で在庫保持を継続、様子見姿勢が強い状況です。 現在、希土類産業の上流・下流間で膠着状態が続き、スクラップ価格は一時的に安定しています。 ただし鉱石価格上昇により希土類原材料コストが高騰し、下流部門は高コスト受け入れが困難。 短期的には価格変動が予想されています。
https://news.metal.com/newscontent/103361472/rare-earth-scrap-prices-remain-stable-at-a-high-level-with-increased-trading-volume-in-the-market-smm-weekly-review-of-recycled-rare-earths

中国経済は2025年5月に深刻な課題に直面しています。米国の関税措置により対米輸出が前年同月比34.5%急減し、2020年2月以来の大幅な落ち込みを記録しました。全体の輸出成長率も4.8%と3ヵ月振りの低水準に鈍化し、輸入は3.4%減少しています。デフレ圧力が深刻化しており、消費者物価指数は4カ月連続で0.1%下落し、生産者物価指数は前年同月比3.3%低下と過去22カ月で最大の縮小となりました。自動車等の激しい価格競争により物価下落が続いています。一方で、5月12日に米中は関税引き下げで合意し、米国の対中関税率は145%から30%に、中国の対米関税率は125%から10%にそれぞれ引き下げられました。6月9日にはロンドンで2回目の米中閣僚協議が開催される予定です。中国政府は金融刺激策として政策金利の引き下げや5000億元の低金利融資プログラムを実施し、経済への打撃緩和を図っています。
https://www.asiafinancial.com/deflation-getting-worse-in-china-amid-the-spike-in-trade-tensions

中国の2025年5月の鉄鋼輸出量は前年同月比9.9%増の1,058万トンと大幅に伸びています。これは7ヵ月振りの高水準となります。関税引き上げへの懸念から、鉄鋼メーカーが前倒しで安定供給を行っていることが輸出増加の主因とされています。一方、鉄鉱石の海上輸送量は前年比3.8%減の9,813万トンとなり、港湾在庫も2024年2月以来の最低水準まで減少しました。5ヶ月累計では鉄鋼輸出が前年比8.9%増の4,847万トンに達する一方、輸入は16.1%減の255万トンとなっており、中国の鉄鋼業界における輸出重視の姿勢が鮮明になっています。
https://www.reuters.com/markets/commodities/china-may-iron-ore-imports-fall-expectations-seasonally-slow-demand-2025-06-09/

米国におけるEV(電気自動車)への関心が大幅に低下しています。AAAの2025年調査によると、次の車としてEVを購入する可能性が高いと答えた米国ドライバーは僅か16%で、2019年以来の最低水準となりました。これは2022年の25%から大幅な減少です。主な阻害要因として、バッテリー修理費用の高さ(62%)、購入価格の高さ(59%)、長距離移動への適合性への懸念(57%)、充電インフラの不足(56%)が挙げられています。また、ガソリン価格の低下、EV税額控除の不透明性、政治的要因も影響しています。興味深いことに、10年以内に殆どの車がEVになると信じる米国人の割合も2022年の40%から23%に急落しました。一方でハイブリッド車やプラグインハイブリッド車は、航続距離の不安を軽減しながら環境に配慮した実用的な代替手段として人気が高まっています。過去4年間で75種類以上のEVモデルが導入されたにもかかわらず、消費者の躊躇は根強く残っています。
https://newsroom.aaa.com/2025/06/aaa-ev-survey/

シャネルがリサイクルビジネスに進出します。シャネルは、低迷する高級品市場と増加する繊維廃棄物問題に対応するべく、新プロジェクト「ネヴォルド(決して古くならないという意味)」を立ち上げました。このプロジェクトは布の切れ端、未使用繊維、売れ残り製品の回収・リサイクルに焦点を当てた循環型経済の取り組みで、廃棄物管理・リサイクル会社の買収を通じて実行されます。同様の動きは他の高級ブランドでも見られ、LVMHは昨年20万ユーロ、今年は30万ユーロを投資してクローズドループリサイクルシステムを開発しています。ケリング・グループもフランスのリサイクル会社に投資を行っています。シャネルファッション部門社長のブルーノ・パブロフスキー氏は「素材と原材料に対する考え方を見直す必要がある」と述べ、この取組の戦略的重要性を強調しました。ヨーロッパでも繊維廃棄物に関する法規制が厳格化される中、高級品業界の持続可能性への転換が加速しています。ただし、一部の批評家はこれらの取組がグリーンウォッシングではないかと懸念を示しています。
https://www.nssmag.com/en/fashion/41463/chanel-investment-recycling-textile-anti-waste

カナダはEVバッテリーリサイクルの推進を掲げていますが、現時点で全国的な規制や政策枠組みは存在せず、専門家は「無法地帯」だと警鐘を鳴らしています。最大手リサイクル企業Li-Cycleの破産は、政府によるインセンティブや規制がなければ業界の持続が難しいことを示しています。カナダでは600,000台以上のEVが走行しており、今後大量の使用済みバッテリーが発生しますが、連邦規制はなく、唯一規制導入を発表していたブリティッシュコロンビア州も計画を撤回しました。一部の州や企業による自主的な回収やリサイクルの取組は進んでいるものの、業界や専門家はリサイクル市場の安定や資源循環の確保には政府による明確な規制が不可欠だと指摘しています。
https://batteriesnews.com/canada-had-big-ev-battery-recycling-plans-but-without-regulations-its-the-wild-west-expert-warns/#google_vignette

EUROFERによると、EUの自動車生産は2025年に前年比2.6%減少し、2年連続の減少となる見通しです。背景には消費者需要の低迷、インフレ、実質所得の減少、電気自動車や環境基準の不確実性、米国の関税、中国メーカーの圧力等があり、業界の回復を妨げています。2024年の新車登録台数もパンデミック前を大きく下回り、2025年第1四半期も販売減が続いています。2026年には部分的な回復が見込まれるものの、安定成長にはマクロ経済や消費者信頼感、貿易摩擦の改善が必要です。また、EUの鉄鋼消費も2025年に4年連続で減少する見込みです。
https://www.eurofer.eu/press-releases/trumps-tariffs-hit-steel-market-hard-as-recession-and-weak-demand-persist-into-2025

中国はEUとのEV関税交渉でレアアースのカードを切りはじめました。2025年4月以降、中国はサマリウムやジスプロシウム等、7種の中・重希土類元素に対する輸出管理を強化し、輸出には許可申請が必要となりました。この措置はEUによる中国製EVへの追加関税への対抗策の一環とみられ、欧州の自動車部品業界ではレアアース不足により複数の工場や生産ラインが停止し、供給網に深刻な影響が出ています。中国政府はEU向け輸出承認の迅速化や「ファストトラック」導入の意向を示していますが、実際の承認率は低く、今後も影響が続く見通しです。
https://oilprice.com/Energy/Crude-Oil/Chinas-Rare-Earths-Weapon-Could-Kill-Europes-Auto-Industry.html

中国では、走行距離がゼロの「中古車」として新車を販売する慣行が広がっています。これはディーラーやメーカーが在庫圧力を緩和し、販売台数を水増しする為に用いられていますが、市場秩序を乱し、財務不正の温床ともなっています。人民日報はこの手法を厳しく批判し、厳格な規制措置や監督強化を求めています。中国商務省も自動車メーカーを招集し、問題解決に向けた協議を開始しました。今後、登録後すぐの転売規制やライフサイクル追跡システムの導入等、制度強化が進む見通しです。
https://www.asiafinancial.com/chinas-top-paper-seeks-end-to-sale-of-zero-mileage-used-cars

中国では深刻化するデフレ圧力の中で価格競争が激化しており、消費者の行動変化が経済への懸念を高めています。 5月の消費者物価は前年同月比0.1%下落し、供給過剰と家計需要の低迷により、自動車から電子商取引、コーヒーまで多くの分野で価格競争が拡大しています。特に中古高級品市場では劇的な変化が見られ、賃金カットや不動産価値の下落により中流階級の消費者が中古品へとシフトしています。 北京の中古高級品店「スーパー・ジュワンチュアン」では、元々454ドルのコーチのハンドバッグが30ドルで販売される等、最大90%の値引きが行われています。この現象は2023年に年間成長率20%を超えた中古高級品市場の急成長と関連していますが、売り手の数が前年比20%増加する一方で買い手の数は安定しており、競争が激化しています。 経済学者は、このような価格競争は最終的に企業の廃業や失業を招き、更なるデフレを加速(デフレスパイラル)させる可能性があると警告しています。
https://www.msn.com/en-ca/money/other/price-wars-grip-china-as-deflation-deepens-30-for-a-luxury-coach-bag/ar-AA1GqkGB?ocid=BingNewsSerp

デフレによる中国のEVメーカーの過当競争は、鉄鋼業界にも大きな影響を与え始めています。中国鉄鋼協会(CISA)は、電気自動車分野の激しい価格競争が鉄鋼メーカーに深刻な打撃を与えていると警告しています。 自動車メーカーは鉄鋼メーカーに対して昨年より10%以上の鋼板価格値下げを要求し、支いが数ヶ月遅れるケースも発生しています。この価格戦争は、不動産危機や貿易戦争による経済成長減速に直面している中国の鉄鋼業界にとって新たな課題となっています。 自動車産業は中国の鉄鋼メーカーの主要顧客であり、昨年は鋼板製品4,000万トンを消費しました。中国の自動車生産台数は過去最高を記録している一方で、業界の収益性は2018年の7.3%から2024年には4.3%まで低下しています。 CISAは市場の公正な機能実現の為に自動車業界との協力を求めており、6月10日には主要自動車メーカー3社がサプライヤーへの支払期間を60日に標準化することを約束しました。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-06-10/china-s-main-steel-body-warns-ev-price-war-is-punishing-mills

東南アジアの自動車ハブであったタイの経済の悪化が顕著化しています。世界銀行は2025年6月11日に、世界的な不確実性の影響を受けてタイの2025年GDP成長率予測を1.1%下方修正し、1.8%に引き下げました。 同時に世界経済の成長率予測も前回の2.7%から2.3%に下方修正され、これは2008年以来17年振りの低水準となります。この下方修正の主な要因は貿易摩擦の激化と国際紛争による経済的不確実性です。 世界銀行の上級副総裁兼チーフエコノミストのインデルミット・ギル氏は、貿易関連の国際紛争が戦後の貧困削減と繁栄促進政策を混乱させていると指摘しています。タイを含む新興市場国・発展途上国(EMDE)は特に世界的な不確実性の影響を受けており、自然災害も経済活動の混乱要因となっています。 世界銀行はまた、米国の2025年成長率予測を0.9%引き下げて1.4%に、ユーロ圏を0.3%引き下げて0.7%に下方修正しました。ただし、現在進行中の貿易紛争が関税水準を半減させる合意で解決されれば、2025年と2026年の世界経済成長は平均約0.2%強化される可能性があると分析されています。
https://www.nationthailand.com/business/economy/40051094

世界鉄鋼協会(WSA)の発表によると、2024年の世界鉄鋼貿易量は前年比3.3%増の4億4,920万トンに達しました。中国が輸出国として圧倒的な地位を維持し、供給量を1億1,710万トンまで大幅に増加させました(2023年の9,430万トンから約24%増)。 日本は3,120万トンで第2位ですが前年比3.1%減少し、韓国は2,800万トン(前年比3.7%増)で続いています。 EUは2,780万トン(前年比6.9%増)、特に注目すべきはトルコで1,700万トン(前年比33.8%増)と大幅な成長を示しました。世界鉄鋼生産量は17億6,000万トンと前年比1%減少しましたが、総生産量に占める輸出割合は24%から25.5%に上昇しました。
https://worldsteel.org/wp-content/uploads/World-Steel-in-Figures-2025-2.pdf

米国環境保護庁(EPA)は、発電所の温室効果ガス排出規制の廃止を発表しました。EPA長官は、石炭・ガス火力発電所に対する二酸化炭素排出基準と水銀・有害大気汚染物質規制の撤廃を提案し、年間約12億ドルの規制コストを削減すると表明しました。この規制緩和により、既存の石炭火力発電所と将来のガス火力発電所に10年間で炭素回収技術の導入を義務付ける2024年の規制が廃止されます。バイデン政権の規制は2047年までに13億8000万トンの二酸化炭素削減を目指していましたが、これは3億2000万台のガソリン車を1年間運転することに相当する削減量でした。アメリカ鉄鋼協会(AISI)のケビン・デンプシー会長は「手頃で信頼性の高い電力供給に依存する鉄鋼業界にとって重要」として決定を歓迎しました。一方、環境団体は「発電所汚染に白旗を掲げる行為」と批判し、低所得地域や有色人種コミュニティへの健康被害を懸念しています。この措置は政権の「アメリカエネルギー解放」政策の一環で、約30の環境規制撤廃計画に含まれています。
https://www.powermag.com/epa-weakening-rules-on-power-plant-emissions-in-boost-for-fossil-fuels/

カナダも鉄鋼防衛に参加します。カナダ政府は、海外からの鉄鋼ダンピングに対抗し、米国関税の影響を受ける国内鉄鋼メーカーを支援する措置を近日中に発表する予定です。産業大臣は「カナダ市場における他国の不公平な行為は容認できない」と表明しました。カナダは昨年、米国との貿易政策を整合させるため中国の鉄鋼・アルミニウム製品に25%の関税を課しており、米国の50%関税に合わせた引き上げを検討している可能性があります。現在、鉄鋼会社幹部や労働組合との交渉が進行中で、政権は新たな貿易戦争を回避しつつ最も効果的な対策を模索しています。カナダ鉄鋼生産者協会(CSPA)は、米国製鉄鋼への報復関税の完全復活と、他国からの不公正取引鉄鋼製品への新規制導入を政府に要求しています
https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-06-11/canada-eyeing-further-moves-to-counter-foreign-steel-dumping



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