NEWS

NEWSCONの気になるNEWS(2024年9月第2週)

アルミをめぐる欧米と中国の攻防が激しくなり始めています。鉄鋼と同じく国内での需要減とシェア競争から、中国の主要なアルミニウムメーカーは記録的な量を生産し輸出しています。国際アルミニウム協会によると、中国の一次アルミニウム生産量は7月に369万トンと月間最高を記録しました。2024年の最初の7ヵ月間の生産量は前年比で4.9%増加しています。このままでは中国国内での規制量を超える年間4,350万トンに達する可能性があります。国内市場の余剰分は現在、半製品として海外に輸出され、国際市場を歪め始めています。欧米は中国の過剰生産能力が世界市場を圧迫しており、その原因が政府によるアルミニウムと鉄鋼部業界への不当な補助金であると繰り返し非難しています。鉄鋼に続き、アルミを軸にした保護貿易と対抗措置の連鎖への懸念が強まっています。カナダ政府の関税に対して、つい最近、中国政府はキャノーラ油の輸入制限につながる調査を開始したばかりです。
https://www.reuters.com/markets/commodities/west-plugs-defences-china-cranks-up-aluminium-output-2024-09-04/

英国のチェスター市は世界最大級となる炭素回収、利用、貯蔵 (CCUS)施設の計画を承認しました。計画されている新工場では年間最大 380,000 トンの CO2 を回収する予定です。この施設はエネルギー回収(ごみ発電)施設の一部となります。英国では炭素回収施設の計画が盛んに行われています。最大の理由は新たな補助金獲得の為です。CCUSは多くのグリーン産業が行き詰まりを見せる中、新たな補助金獲得戦争の1つのツールとなりつつあります。
https://www.biffa.co.uk/biffa-insights/biffa-protos-carbon-capture-cheshire?srsltid=AfmBOoqx-VwJ5Bzxsq0O3zEXFvz4RdbRwEclDZlMsBA8y-CwtJnDe5_v

欧州最大の廃棄物管理会社ヴェオリア(Veolia)は、ドイツ・ツァプフェンドルフのバイオマス発電所を12月31日付けで閉鎖することを決定しました。理由は補助金が2021年末で終了し、その後の交渉でも補助金を得られる見込みが無くなった事です。この閉鎖は欧州の木質バイオマス発電事業の栄枯盛衰を端的に反映しいています。廃木材のみの利用では原料が安定せず、他の木質バイオマスの利用許可と補助金を交渉してきました。しかし地元政府が承認せず、同バイオマス発電所が閉鎖されることになりました。この発電所は6MWの電力を出力し、有害物質を含むあらゆる種類の廃木材を年間最大64,000トン燃焼し、約5,000世帯に熱原を供給してきました。また近隣の工場や下水処理場に熱と処理蒸気を供給しています。南ドイツでは特に汚染度の高い廃木材を処理する信頼できる施設として、多くの建設・解体業者がこの施設を広く頼りにしてきました。
https://www.energate-messenger.com/news/247080/veolia-closes-biomass-power-plant-in-zapfendorf

韓国政府はEV電池の事前安全性検査を実施し、EVメーカーに電池メーカーの開示を義務付ける規制を発表しました。また電池に対する賠償責任保険に加入していないEVメーカーを政府補助金から除外し、EV充電事業者に賠償責任保険の加入を義務付ける法整備を進める事も併せて発表しています。更にEVメーカーと充電事業者の説明責任も強化する予定です。計画では来年2月に施行予定のEV電池の認証制度を今年10月に前倒しで試験的に導入します。国産・外国製を問わずEVの製造前に電池の安全性を事前に検査することを義務付けます。EVメーカーは容量、定格電圧、最大出力に加え、電池メーカー名や主成分等、電池に関する重要な情報の開示も求められる事になります。中国製の電池を搭載したベンツが火災を起こした事から厳しい規制となっています
https://thesun.my/world/s-korea-gov-t-to-mandate-disclosure-of-ev-battery-brands-conduct-prior-safety-checks-ON12970943

世界の鉄スクラップの消費量は2024年上半期に前年対比で約2%減少し、3億2,500万トンになると予想されています。減少はメキシコ(▲17%)、韓国(▲12%)、カナダ(▲2%)、米国(▲2%)、日本(▲2%)、ロシア(▲2%)でした。韓国は設備のメンテナンス等によるもので下半期には若干の伸びが見込まれています。日本は鉄スクラップ消費が名目2%減少し、粗鋼生産も3%減少となっています。最大の増加はインドで14%増加しました。トルコは11%、ベトナムも19%増加しています。いずれも鉄鋼生産量の増加に伴うものです。中期的な見通しに最も影響を与えるのは欧州の炭素国境調整メカニズム(CBAM)で、インド、中国、トルコ等の主要輸出国は影響緩和の戦略を急速に実行に移し始めています。CBAMは欧州の鉄スラップの需給バランスを大きく変えると考えられています。

前イタリア首相であり、前欧州中央銀の総裁でもあるマリオ・ドラギは「EUの競争力を高める計画(報告書)」をEU政府に向け発表しました。報告書はEUのグリーン推進の根本的な見直しを求め、気候目標を支持しながらも「グリーン」を減らして「成長」を増やす方向に大きく転換しています。同氏は欧州が低生産性と低成長の谷から抜け出す為には年間8000億ユーロの追加投資が必要で、これを「存在をかけた挑戦」と述べています。追加投資は欧州が第二次世界大戦後の復興に投じた年間金額の2倍となり、ハイテク企業や通信企業の合併を認め、防衛費に抜本的な対策を講じる事に向けられるとしています。特にEUグリーンディールについては「EUグリーンディールは新たなグリーン雇用の創出を前提としていた。脱炭素化が欧州の産業空洞化につながる場合にはグリーンディールが政治的に消滅する恐れがある」とも指摘しています。EU委員長のフォンデアライエン氏は就任後100日以内に「クリーン(グリーン)産業計画」を策定するという公約を発表していますが、今回のドラギの報告書は大きな影響を与えると見られています。ロシアの資源、中国という巨大市場、そして中東のオイルマネーを起源とするユーロダラーの運用先としての地位を利用した欧州の「グリーンのからくり」は既に崩壊しつつあり、遂にEUの政治経済の大幹部自らが方向転換を示唆するものとして、綻び始めているようです。
https://www.euractiv.com/section/energy-environment/news/draghis-pitch-to-save-green-growth/

欧州資本では最大のEV用電池メーカーで、大規模な資金を確保しているスウェーデンのNorthvolt社(ノースボルト)は予定していたカソード材料の生産工場予定地を売却し、更に人員を削減する事を発表しました。同時に生産の一時停止の可能性と「戦略的パートナー」を探す事も併せて発表しています。「戦略的パートナー」と言えば聞こえは良いですが実質事業の一部を切り売りする方向を示したと言えます。ノースボルトは事業を拡大する為にこれまでに€150億を株式と負債により確保してきました。同社は2023年に毎月2-3億ドルの投資を行っており、同社史上最も多額の投資が行われた年となりました。しかし、先日2023年の純損失が12億ドルにまで膨れ上がると発表していました。
https://uk.finance.yahoo.com/news/northvolt-cut-costs-explore-strategic-123149594.html

インド政府は先週末にグリーン水素認定制度の草案を発表しました。グリーン水素を戦略の1つとして掲げているインド鉄鋼省はニューデリーで「グリーン化鉄鋼:持続可能性への道」というイベントを主催します。イベントにはインドの各省庁、中央公営企業、シンクタンク、学界、機関、鉄鋼業界の主要企業の代表者が集まります。イベントの目玉は、インド鉄鋼省が作成した総合報告書「インド鉄鋼部門のグリーン化:ロードマップと行動計画」の発表です。この報告書は同省が結成した14のタスクフォースの調査結果に基づいており、インドの鉄鋼部門の脱炭素化への道筋を概説しています。インド鉄鋼省は持続可能な鉄鋼生産への移行を促進する為にエネルギー効率の向上、再生可能エネルギーの利用、材料の効率的使用、グリーン水素、バイオ炭などの戦略を提案し、タスクフォースの設置と併せ、取り組んでいます。
https://www.constructionworld.in/steel-news/green-steel-focus-ministry-to-launch-roadmap-for-steel-production/62141

ロンドン証券取引所に上場している大手15社は科学的根拠に基づいた目標イニシアチブ(SBTI)が支援するカーボンニュートラル計画を放棄しました。ユニリーバ、ディアジオ、M&S、British Airwaysの親会社IAGなどのFTSE100企業の中には、同制度のネットゼロ誓約を撤回した企業も含まれています。2015年に開始され、アマゾン創設者のジェフベソスが創設したベゾス・アース・ファンドの資金援助も受けているSBTIは、企業に対して、現在の気候科学に沿った排出削減目標を設定するよう求めています。これらの目標は地球温暖化を1.5℃に抑える目標に沿っているか、同基金によって検証されています。この制度の開始以来、世界では9,000社を超える企業がこの制度に署名もしくは署名の意向を示してきました。SBTIについては先日も報告したように内部での問題を抱え、企業が排出目標達成の為に炭素クレジットによるカーボンオフセットを利用出来るかどうかの最終決定を2025年まで延期しましたばかりです。
https://www.msn.com/en-gb/money/other/ftse-100-companies-ditch-jeff-bezos-funded-climate-change-pledge/ar-AA1qbY72

日本に最も発電用木質ペレットの長期契約を持つ米国のEnviva社は連邦破産法11条(チャプター11)の申請後に最初の再編計画の資金確保をしたと伝えられています。8月30日に破産裁判所に提出されたエンビバの再建計画にはその概要が記載されています。この計画は裁判所の承認が条件の為、チャプター11からの脱却は最終決定に至っていません。しかし、今後この計画が承認された場合には新たな財務基盤によりチャプター11のプロセスから脱却できる可能性があります。
https://uk.investing.com/news/company-news/enviva-secures-financial-backing-for-restructuring-plan-93CH-3676313

インドの物品サービス税(GST)の監督機関GST評議会は、金属スクラップ取引に対するリバースチャージメカニズム(RCM)の導入を発表しました。この措置はGST(物品税納税業者)に登録されていない個人や小規模事業者がGSTに登録された企業に金属スクラップを販売する場合、購入者側が税金(GST) を支払うというものです。通常は代金を受け取る側が物品税を支払いますが、支払側がリバースして税金を納めます。この措置は多くの金属スクラップの回収業者の売上高が小さくGSTに登録義務のない小規模な経営が大半という背景があります。インドのスクラップ業界は、小規模業者に対する現金&売買実績を残さない「非公式」な取引慣行があり、税金の徴収に問題がありました。昨今、金属スクラップの重要性が増し価値が上がっている事が理由でRCMの導入となりました。これにより国内スクラップは若干ですが値上がりする可能性があります。GSTに登録された企業同士(B2B)での金属スクラップの取引には2% の源泉徴収税 (TDS)が適用されます。
https://pib.gov.in/PressReleasePage.aspx?PRID=2053233

米政権が日本製鉄によるUSスチールの買収に反対の意向を示した直後、クリーブランド・クリフスはUSスチールの一部資産買収に関心を表明しました。クリフスの意向にはUSスチールと日本製鉄の取引が成立しない場合に閉鎖される予定の工場も含まれます。クリフスの発表はカマラ・ハリス民主党大統領候補がUSスチールを国内所有のまま維持することへの支持を表明した事で弾みが付けられました。同社は合併を阻止する用意があるというホワイトハウスの主張を歓迎しました。このニュースが重要なのは同盟国が相手であっても自国のナショナリズムを優先するという米国の政治状況を端的に表している事です。今年7月にクリーブランド・クリフスはカナダのライバル企業ステルコ・ホールディングス社を25億ドルで買収すると発表したばかりです。この買収は今年Q4に完了する予定です。
https://www.cbsnews.com/news/cleveland-cliffs-wants-to-buy-mills-us-steel-is-threatening-to-close/

6月の議会選挙後に長いEU政治のバケーションが終わり、本格的に再始動した欧州ですが、選挙前とは全く様相が変わりました。EU加盟国では難民の受け入れを政治的に先導してきたドイツは遂に国境検問所での検査を導入すると発表しました。また、不法移民の入国を拒否するシステムを開発する事も併せて伝えています。国境検査の導入は9月16日から始まります。EUのシェンゲン協定規則では通常、国境検査は禁止されています。しかし例外規定があり、ドイツはこの措置に踏み切りました。
一方で、最近まで母国ポーランドの野党からは「ベルリンの召使い」とも呼ばれ、親ドイツ派のポーランドのドナルド・トゥスク首相は、ドイツでの式典を欠席するという事態に至っています。ノルドストリームパイプライン爆破の犯人を巡る事件でドイツとの不和が表面化し、ドイツでのM100メディア賞の受賞式を欠席するという事になりました。ドイツ政府もこれに対抗しており、両国関係は急激に冷え込み始めています。
現在、欧州政府は「脱中国依存」を目論み対中政策にタカ派になっています。その様な中、親EU主義で知られるスペインのペドロ・サンチェス首相は中国の習近平国家主席を訪問し、関税紛争が続く中、スペインが仲介役として「建設的な努力」をすると約束しました。ほぼ同時に中国側からの要請(とドイツの強い要請を受け)を受けて、EU政府は中国製EV車の関税率を下げる予定とも伝えられています。
https://www.euractiv.com/section/politics/news/germany-introduces-checks-at-all-borders-moves-to-refuse-entry-to-migrants/

EV化を推進してきたルノーCEOのルカ・デ・メオ氏は2025年から施行されるEUの排ガス規制ユーロ7への対応が難しい為、EUの自動車業界は150億ユーロ(約2兆4000億円)の罰金を支払うか、250万台以上の自動車の生産を断念しなければならないかもしれない、とEU政府を痛烈に批判しました。同氏はEV化に向けても「電力供給の拡大スピードは、(排ガス規制で)罰金を支払わずに済む目標を達成する為に必要なスピードの半分だ」として、政府のEV充電網の拡充の遅さを批判しています。これは業界とEU政府との会合を前に行われた発言でした。会合後、逆にEU政府の域内市場担当委員であるティエリー・ブルトンは気候目標と競争力を調和させることが不可欠との前置きをしつつも「EV化に対する自動車業界の対応が不十分である」旨の発言をして暗に自動車業界を批判し、物議を醸しています。現在ドイツで開催されるEVの展示会にはEV化を推進した欧米メーカーで無く、中国のEVメーカーが殺到し始めています。今後いつ妥協案が示されるか、という見方も出始めています。
https://www.gbnews.com/lifestyle/cars/major-car-brands-fines-eu-electric-vehicles-renault

AG Metal Minorは、中国の鉄鋼価格の下落が世界市場に今後も継続して波紋を引き起こすという記事を掲載しました。既に国内建設需要の停滞に起因する輸出は国際市の場歪みを起こして久しいですが、この傾向が長引くと予想しています。中国の不動産業は、政府の融資制限により急速に回復する可能性は殆ど無く、既に鉄筋やH鋼の価格下落が続いています。中国産の鉄筋価格は8月から9月初めにかけて約7%下落しました。供給過剰状態は解消されていません。米国では予想される金利引き下げで米国内の建設需要が増す可能性があり、一時的に需要の増加が見込まれていますが、中国産への高関税による内外価格差が問題となり中国産の利用増に至るかは疑問視されています。何れにしてもアジア近隣諸国ではこれが「常態化」する気配が濃厚となっています。中国国内では鉄筋だけでなく、あらゆるものが供給過剰でデフレスパイラルが顕著化していると伝えられています。
https://agmetalminer.com/2024/09/10/construction-mmi-steel-prices-dip/

温室効果が二酸化炭素の約28倍あるメタンは、過去20年で排出量が12%増加し、その内、人間活動による増加は10%との統計が最近発表されています。グローバル・エネルギー・モニター(GEM)は中国が計画する10億トン規模の石炭拡張計画がメタン排出を大幅に増加させる恐れがあるとの懸念を発表しました。中国では石炭鉱山の拡張計画があり、今後3~5年で生産量が追加で年間10億トンを超える化可能性があります。報告書によると年間12億8000万トンの追加生産能力の内、35%は既に建設中で、2027年から生産量が大幅に増加する予定としています。過去20年間で約12%増加した世界のメタン発生量により、パリ協定による2050年までに地球の平均気温を1.5℃以下に抑えるという目標は、既に2倍の3℃にまで達する可能性があると指摘されたばかりです。
https://globalenergymonitor.org/report/chinas-coal-conundrum-examining-coal-mine-production-proposals-and-methane-emissions/

世界最大の廃棄物管理会社であるフランス・スエズの英国法人は、英国政府に書簡を提出し、廃棄物ゼロ経済を実現する為に政府に廃棄物改革を加速するよう求めました。英国では廃棄物及び資源部門に明確な政策の道筋が必要との認識が続いてきましたが、様々なステークホルダーからの要望により、前政権下ではそれを実現できませんでした。その為、スエズは政府全体で連携したアプローチが緊急に必要と訴えています。欧州ではこうした業界の主要プレーヤーや業界団体が政治的なロビー活動を行う事が通常で、今回の書簡は英国の廃棄物管理行政の改革を早めるキッカケになると思われます。
https://www.circularonline.co.uk/news/suez-calls-for-urgent-government-action-on-zero-waste-economy/

ウクライナの鉄鋼業界専門コンサルティング及び調査会社のGMKセンターのCEOのStanislav Zinchenko(スタニスラフ・ジンチェンコ)がLinkedInに上げた投稿に欧米各方面の専門家が反応しています。
「EU経済の重要な問題は、ドイツ経済に代表される『巨人の没落』ではなく、成長の原動力の欠如です。近年、EU諸国は個別にもEU全体としても、成長要因を提供していません。若い家族が住宅を購入できないのに、不動産市場への支援はなく、これが社会問題になっています。自動車産業への賭けはありません。EVへの強制的な移行や、中国自動車産業との負け戦は説得力がありません。石油とガスの生産への賭けはありません。供給源の多様化にはガスと石油の掘削と生産を少なくとも10倍に増やす必要があります。そしてグリーン移行への『オールイン』の賭けには多額の投資が必要ですが、付加価値をもたらさず、経済成長も生み出しません。エネルギー資源をより高価にし、納税者の負担を増やすだけです」。
同様の内容は、ジンチェンコだけでなく、最近多くの各方面の専門家が指摘し始めています。1年前にこのような投稿をすれば「汚染者」や「地球温暖化否定論者」等のレッテルを貼られて、欧州では徹底的に批判されていましたが、今やこうした意見の方がより受け入れられるようになってきました。グローバリズムもグリーンムーブメントも結局は「失業の移動」(某有名経済学者)という厄介な結末になりそうです。
https://www.linkedin.com/feed/update/urn:li:activity:7238793398252392448/

中国政府は、国内の自動車メーカーに対して、先進的なEV技術の海外漏洩を防ぐ為、海外ではノックダウン生産(車両を完成部品で組み立てるのみ)を奨励し、主要な工場は国内に留めるよう強く勧告している事が判明しています。この指示はBYD社や奇瑞汽車社がスペイン、タイ、ハンガリーに工場を建設する計画を固める中で出されました。また中国商務省は今年7月、10数社の自動車メーカーと会合を開き、インドで自動車関連の投資を行わないよう指示しました。トルコへの投資にも制限を設け、希望するEVメーカーは中国工業情報化省とトルコの現地中国大使館に通知する義務を負う事になりました。これは事実上、中国政府がインドとトルコへの投資を避けるよう要請していると伝わっています。将来のライバルとなる事を危惧している事が理由です。しかし ノックダウン生産では現地雇用が伸びず、現地で技術者の育成も出来ない為、誘致する意味が薄れます。欧州が中国製EV関税を削減するかどうかの投票前にこのニュースが出てくるあたり、かなりきな臭い匂いがします。
https://www.business-standard.com/amp/world-news/china-asks-its-carmakers-to-keep-advanced-ev-technology-within-country-124091200133_1.html

インドのモディ首相はインドを「グリーン水素の世界的拠点」にする目標を発表しました。これは11日から13日まで開催されているグリーン水素会議で発言したもので、同会議はインド政府によるグリーン水素の使用、需給動向、政策、規制の枠組みについて議論します。新たなグリーン水素制度の導入により、製油所、肥料、鉄鋼、大型輸送等が恩恵を受けるとし、更に過去10年間でインドの非化燃料発電能力は300%増加し、太陽光発電能力は3,000%以上増加したと付け加えました。
https://www.ndtvprofit.com/business/pm-narendra-modi-says-aim-is-to-make-india-global-hub-for-green-hydrogen

欧州中央銀行(ECB)は金利を0.25%引き下げ3.5%とし、更に成長予測も引き下げました。利下げは今年2度目で、既に8月のインフレ率が低かった事から今回の利下げについては、市場は織り込み済みでした。ECBはユーロ圏の成長に関して「今後数四半期、域内の需要が弱まる」と指摘し、2024年の成長率予想を0.9%から0.8%に引き下げました。次は12月に更に0.25%引き下げるかが焦点になってきました。注目されたのは織り込み済みの利下げではなく、その際の声明でした。今回の声明では主にインフレ見通しに焦点が当てられており、ユーロ圏の継続的な成長減速については少ししか触れられていませんでした。ユーロ圏の経済の変動(停滞)は、既に米国や英国でも見られ始めています。
https://www.cnbc.com/2024/09/12/live-updates-european-central-bank-interest-rate-september.html

バフェットが炭素除去に投資したニュースが出たばかりですが、今度はグーグルが炭素回収技術に取り組む新興企業と炭素購入金額に関する契約を発表しました。契約したのは米国加州のスタートアップ企業Holocene社で、契約金額は二酸化炭素1トン当り100ドルです。MSも似たような動きをしています。こうした動きには裏が有り、その事に触れているFact Checkは殆どありません。米国では現政権下で45Q Tax Credit(45Q税額控除制度)があり、炭素回収貯留(CCS)プロジェクト投資への税額控除が用意されています。またIRAによる補助金もあり、炭素1トンに就き、180ドルがサプライヤーに支給されます。かつて木質ペレットで見てきた税金(公金)を投資家の利益に還元する錬金術の一種と似ています。Holocene社のパートナーを見ると、そういった所ばかりです。
https://www.itpro.com/technology/google-is-spending-big-on-carbon-capture-technology-here-s-why

電子・電気機器廃棄物(WEEE)の次の「ホットスポット」であるインドでは、国立環境裁判所が中央汚染管理委員会(CPCB)に対し、州管轄及び連邦直轄領のWEEEの発生と処理の報告書を再提出するよう命じました。8月30日に提出された現在の報告書は、法律を遵守していない場合に対する措置や2024年の目標に向けた進捗状況が記載されておらず、再度報告書の提出を裁判所が義務付けました。インド政府はWEEEを公衆衛生と生態系の健全性に重大な影響を及ぼす「差し迫った環境問題」であると定義し、対応の緊急性を強調しています。インドでWEEEへのリサイクルが活性化される動きとなりそうです。
https://lawtrend.in/ngt-orders-cpcb-to-report-on-e-waste-management-across-india/



NEWSCON Inc. TEL. 03-3528-6223

営業時間 09:00-18:00
(土日・祝日・年末年始を除きます。)

CONTACTお問合せフォーム