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世界の環境関連ニュース(2021年6月第3週)

ユニリーバ―が史上初の紙ベースの洗濯洗剤ボトルを発売する事を発表しています。現在プロトタイプを開発、2022年初頭までにブラジルでデビューする予定です。ユニリーバは紙ベースのヘアケアボトルの製造にも同じ技術を試験的に導入しています。製品開発はユニリーバ―、Diageo、Pilot Liteを中心に、Pulpexコンソーシアムとのパートナーシップで行われています。以前より何度か繰り返しお伝えしていますが、ユニリーバは世界の二酸化炭素サロンの中心メンバーであるポール・ポールマン元CEO時代にプラスチックリサイクルのロビーを強力に主導したメーカーで、欧州指令が出る1年以上前に欧州指令を踏襲したプラスチックロードマップを企業戦略として出しています。
https://www.unilever.com/news/press-releases/2021/unilever-reveals-world-first-paper-based-laundry-detergent-bottle.html

英ケンブリッジ大学内の企業で100%植物性タンパク質から作られたポリマーフィルムを開発している「Xampla」が、製品を商業規模で生産するブレークスルーについて述べています。既に今年1月には9億円近い資金を、Facebook、Zoom、Waze、Spotify、Siri、DeepMind、Improbable 等世界の大企業や投資家から集めています。日本とドイツは特殊素材では世界でも突出していましたが、プラスチック代替材料の開発では欧州が知財や特許、資金調達で圧倒し始めています。サーキュラーエコノミーへの社会的影響の差だと思います。
https://www.xampla.com/?page_id=29

リチウムイオン電池リサイクルの北米大手「American Manganese Inc.」が、研究機関「Kemetco Research Inc. (「Kemetco」)」の特許技術を利用して、リサイクル材のNMC (リチウム-ニッケル-マンガン-コバルト酸化物) から(前駆体として)製品利用可能な純度のカソード前駆体材料を開発した事を発表しています。開発製品は粒子形態、サイズ、分布など、従来のリチウムイオンバッテリーの正極前駆体材料と同じ高品質の技術仕様を達成した、としています。浸出金属の比率を調整することで、NMC-111等の古いカソード化学物質をリサイクルし、リサイクル製品をNMC-622や NMC-811等のカソード化学物質に変換することができる、としています。同社は生産バッチでテストする予定です。メーカーのギガファクトリーと協力してリサイクル工程を統合、ライン不良/廃棄品を直接、バッテリーの再製造に使用する正極前駆体材料にリサイクルすることを想定する、としています。これは全てのLiBリサイクラーが現在目指す所なので、量産ベースで商業利用可能なコストならば、かなり画期的な事です。
https://americanmanganeseinc.com/american-manganese-produces-cathode-precursor-material-directly-from-recycled-lithium-ion-battery-nmc-cathode-waste/

カーボンオフセットの次に来る可能性のある「プラスチックオフセット」のニュースです。下記リンクのプログラムはベトナムのものです。プラスチック投棄の多い地域で投機された棄プラスチックを回収する事で、企業が排出するプラスチックの量を相殺する、というシステムです。カーボンオフセットとほぼ同じタイプの金融商品です。カーボンオフセットの次に来る、と言われているプロジェクトで、何故ユニリーバがインドネシアでケミカルリサイクルのパイロットプラントを始めたのか、その理由が分かります。プラスチックのサーキュラーエコノミーは脱炭素と並び、金融商品になる「金の生る木」でもあります。
https://www.forbes.com/sites/davisbrett/2021/06/10/innovative-program-to-rescue-tons-of-orphan-plastics-along-vietnams-coastline/?sh=31da4469472e

欧州委員会が欧州グリーンディールの一部として研究及びイノベーションの為の11の新しい欧州パートナーシップ(プログラム)を立ち上げ、投資を発表しています。2021年から2027年のHorizon Europeから80億ユーロ以上を拠出し、更に民間と加盟国からを含め、総額は約220億ユーロになります。特に関係のありそうなものは、低炭素製鋼であるクリーンスチール製造、産業用バッテリーの革新技術開発、ゼロエミッショのン水上輸送、そしてゼロエミッションの道路輸送、です。
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_21_2943

リチウムイオン電池製造の大幅な増加が予測される中、米国政府は同盟国と協力してニッケル精製能力に投資する必要がある事を伝えています。バイデン政権が発足して100日間の重要なサプライチェーンのレビューが発表され、その旨が記載されている、という事です。米国は高品質のクラス1のニッケルを輸入に依存しており、供給の68%は「同盟国」であるカナダ、オーストラリア、ノルウェー、フィンランドなどから来ています。ニッケルに関しては、唯一の稼働しているミシガン州のイーグル鉱山が2025 年には廃止予定で、米国内の鉱床は小さく低品位のものしかありません。更に国内のニッケル処理能力は限られており、今後数年間で最も需要が増加する可能性が高い金属である為、「今後3〜7年でクラス1のニッケルが大幅に不足する市場の兆候」がある、としています。自動車メーカーはコスト削減の為にハイニッケルの実用化を目指しており、3年後を目途に市場のニッケル価格にも影響が出る可能性があります。
https://www.reuters.com/business/energy/nickel-refinery-tops-us-battery-metals-wish-list-andy-home-2021-06-14/

生活用品最大手の1社である「ユニリーバ」が食品用のrPP製造プロジェクトに参画しています。「Nextek」の国際プロジェクトである「NextLoo PP」には既に多くの企業が参画していますが、サーキュラーエコノミーを企業戦略の柱の一つとしているユニリーバ社が参画します。食品グレードに品質が合致するrPPはリサイクル製造が難しく、欧州指令に対応する為にはハードルになっています。解決策は4通りあり、かなりのコストを掛けて機械リサイクルを行うか、ケミカルリサイクルを行うか、代替材料を開発するか、後はプラスチックのオフセットを利用するか、になります。何れにしても前者の3択がメーカーにとって目標となっています。
https://www.nextloopp.com/auto-draft-2/

既に様々な市場で同じような動きになっていますが、特に鉱業セクター企業の評価や業績、株価が銅と亜鉛価格によって大きな影響を受けるようになりました。鉱業大手グレンコアについて、株式や金融市場での評価が銅需要=銅価格をフォローする動きになっており、海外では銅が投機マネーにもかなり影響を与えるようになっているようです。今後EVと再生可能エネルギーが普及する3-5年後には、銅需要が急増する事は予測されており、リサイクルも大きな商圏になります。
https://ukinvestormagazine.co.uk/glencore-share-price-could-depend-on-the-price-of-copper-and-zinc-in-the-coming-months/

世界資源フォーラム(スイス)が主導する「CEWASTEコンソーシアム」がレポートを発行し、特に重要な原材料を多く含むIT系の電子機器のリサイクルをEUで義務化するよう推奨しています。このコンソーシアムのレポートは、国連が支援しEUが資金提供しているものです。現在は希土類を主とした重要な原材料(欧州の重要な原材料リストにある鉱物)はリサイクルコストが高い為リサイクルされ原料として戻されず、更に電子機器がEU域外に流出しているものもあります。CEWASTEプロジェクトの推奨事項は下記のリンクで参照できますが、「電子廃棄物の特定の重要な原材料をリサイクルするよう法制化する」というものが含まれています。恐らくこれはEUだけでなく、各国でも同じ事が起きる可能性があります。
https://envirotecmagazine.com/2021/06/14/recycling-e-waste-should-be-a-legal-requirement-in-the-eu-says-report/

米国プラスチック協定(US Plastics Pact)が「2025年へのロードマップ」を発表し、プラスチック包装が2025年までに再利用、リサイクル、又は堆肥化できるようにする為の国家戦略としています。米国プラスチック協定は、英エレンマッカーサー財団のグローバルプラスチック協定ネットワークに参画の「ザ・リサイクル・パートナーシップ(The Recycling Partnership)」と「世界自然保護基金(WWF)」が主導するコンソーシアムです。「2025年へのロードマップ」戦略は、およそ100の企業、新興企業、研究機関、非政府組織、及び州政府と地方自治体によってサポートされています。
https://usplasticspact.org/roadmap/

英ユニリーバが英国内のスーパーマーケット(Asdaというスーパーマーケット)で大規模なリフィル(Refill)プロジェクトを開始します。これは中身を詰め替える自動販売機の様な専用機械を設置し中身だけを買うという方式となります。包装を減らす全国横断のトライアルになります。昨年、英国の都市リーズにあるスーパーマーケットでの「詰め替え試験」が成功裏になった事で、今年のユニリーバの新しい「テストと学習」試験と位置付けられています。英国では、この規模で行う初めての試験になる、としています。
https://www.unilever.co.uk/news/press-releases/2021/unilever-announces-plans-to-scale-up-refillable-packaging-trials-of-household-brands-across-the-uk.html

ケミカルリサイクル技術をライセンスする「英Muraテクノロジー」とそのグローバルライセンスパートナーの「KBR」が、ダウ・ケミカルに続き、三菱ケミカルに同社の「HydroPRS™」をライセンスする事を発表しています。
同社の技術は高温高圧の亜臨界に近い蒸気を使い炭素重合を加水熱分解する方式で、スケーラブル(拡張可能)な事が特徴です。最近BIのサイトで公開されている記事に技術の詳細は記載しています。
https://www.m-chemical.co.jp/news/2021/1211673_7471.html
https://muratechnology.com/news/mura-and-kbr-announce/

中国の国家発展改革委員会(NDRC)が、中国国内の鉄鋼需要にはまだ増加余地があると伝えています。但し引き続き現状での鉄鋼生産能力の能力増強は禁止し、よりグリーンな鉄鋼生産への移行を促進する、としています。

プラスチックの規制が厳しくなるにつれ、プラスチックニュートラルを提供する「プラスチックオフセット」プロバイダーが米国で増えています。プロバイダーに提供する為のプロジェクトがニュースでも散見されるようになりました。オランダの「Searious Business社」は、国際自然保護連合(IUCN)と協力してプラスチック廃棄物のない島(PWFI)と呼ばれるプロジェクトを開始しています。IUCN (国際自然保護連合) は、プラスチックフットプリントの標準化ツールの開発を進めている機関であると伝えられており、新たな金融商品(プラスチックオフセット)は、背景も含めてよく調べる必要があります。HPを見ると、ボランティアで投資を集めてプラスチック廃棄物(海洋が主)を収集してリサイクルしているようですが、その分をオフセットクレジットとして売っている、という事です。
https://www.seariousbusiness.com/

フィンランドのクリーンエネルギー開発の大手「Fortum社」がリチウムイオン電池のリサイクルの為に湿式製錬工場を建設する事を発表しています。フィンランドのHarjavaltaに最先端の湿式製錬プラントを建設する予定で、投資額は約2400万ユーロ(約30億円)です。リサイクルに使われるエネルギーを脱炭素化する事で、カーボンフットプリントのバリューを高める事が目的の1つです(北欧は小国で再生可能エネルギー比率が高い)。欧州では材料確保とカーボンフットプリントの2点がLiBリサイクルの大きな戦略の柱になりつつあります。
https://www.fortum.com/media/2021/06/fortum-makes-new-harjavalta-recycling-plant-investment-expand-its-battery-recycling-capacity

PETや繊維廃棄物のバイオリサイクル技術を開発するフランスの「Carbios社」が、世界経済フォーラムからテクノロジーパイオニアとして表彰された事が伝えられています。リサイクルしても価格の安い再生樹脂(ビニール袋等)やリサイクル自体が難しいプラスチックに関して、ケミカルリサイクルをするかバイオ分解する方法が検討されていますが、ケミカルリサイクルは投資金額が大きい事と廃棄物収集量を確保する事が課題で、バイオ分解技術のコストが下がれば、将来有望なソリューションの1つなると考えられています。
https://www.businesswire.com/news/home/20210615005882/en/Carbios-Awarded-as-Technology-Pioneer-by-World-Economic-Forum

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