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世界の環境関連ニュース(2022年6月第3週)

グリーンウォッシングをめぐり欧米で2つの動きがあります。

1つはEU(欧州政府)、SEC(米国証券監視委員会)、ISSB(国際サスティナビリティ基準委員会)が異なるルールブックを提案しており、多国籍企業は複数の市場に上場する所在地でそれぞれに適用されるルールに従わなければならない為、コストが増加する事です。規制当局はこの問題を解決すべく動いている、としていますが来年にずれ込む可能性が高く、統一基準が制定されずに進められる可能性が指摘されています。
https://reut.rs/3xBVJJ2

もう1つは、英国のGuardian紙が伝えているもので、COP26のネットゼロ金融同盟(GFANZ)に所属する銀行に対する最新の規制基準が6月15日に公開され、石炭の採炭と石炭火力発電への投資が来年半ばまで無制限に継続する事が可能な事です。その後、段階的に廃止されていきます。GFANZは昨年11月のCOP26で元イングランド銀行総裁のマーク・カーニーを中心として立ち上げられ、450以上の大手銀行と国際的な金融機関がネットゼロを宣言に加盟しています。この問題は以前より言われており、実際に投資機関や銀行は化石燃料への投資を完全に停止していません。特に欧州が調達する為の天然ガスと液化天然ガスへの投資はむしろ増えています。
https://bit.ly/3tIrBu9

韓国のSKイノベーションの子会社「SKジオセントリック」は、フランス環境企業大手「スエズ(SUEZ)」と、カナダのプラスチックリサイクル技術開発企業「ループインダストリーズ」とMOUを締結した事を発表しています。この合意に基づき、フランスにプラスチック廃棄物リサイクル合弁会社を設立する予定です。年間7万トンの再生プラスチックを生産するケミカルリサイクル工場となる予定です。欧州ではプラスチックに関連する複数の欧州指令の実施以降、プラスチックリサイクルへの投資が大幅に増えています。しかし、リサイクル工場に持ち込まれる廃棄プラスチックの状態が悪いものが多いという事が最近問題視されています。これは今後、他の市場でも起きる事になると思われます。韓国のSKがフランスのスエズと提携してケミカルリサイクル工場を設立するという事が注目されています。
http://www.businesskorea.co.kr/news/articleView.html?idxno=94800

平和と非暴力に関するニュースを専門とする国際通信社のPressenzaが「新しい世界で私たちのリーダーは誰ですか?」という分析記事を上げています。内容は少し薄いですが、現在起こりつつある世界のリ・コンフィギュレーション(reconfiguration)を知る意味では少し理解する価値はあると思われます。ここでは記載されていませんが、購買力平価でみた場合、G20の中の「G7のGDPの合計」は他の13ヵ国の合計より低く、G7はルールブックと金融システムに支えられ世界をリードしており、これが戦争を機に分断されているという事が、上記のような記事を欧米で多くしている原因かと思われます。米国のCIAは以前特別のレポートをあげており、この経済格差の逆転を非常に憂慮しています。グローバル資源循環事業が過去の10年と全く異なる世界のコンフィギュレーションの中で「次の10年」を迎える為、この点の理解が結構重要なポイントかと思われます。
https://bit.ly/39BIBeL

欧州ではゴムのリサイクルが急激に増加すると見込まれており、リサイクルゴムに対するヨーロッパの需要は今後25年間で5倍に増加すると見込まれています。特にタイヤとゴムは、急速に「リサイクル業界で最もダイナミックなセグメントの1つ」とBIRの総会で述べられています。特にゴムだけでなく、タイヤに関しては再生カーボンブラック(RCB)も需要が増すと見られています。この情報が欧州のゴムジャーナルに掲載されたという事で、一段と様々なメディアでも報道されるようになりました。
https://bit.ly/3HDtrCj

世界で最も大量の木質ペレットを燃料に発電事業を行っている英国の「Drax社」が「ブリティッシュスチール」と共同で「二酸化炭素回収・貯留」(CCS)を開発・運用し、グリーンスチールを製造する事を発表しています。Draxは自社の技術を「バイオエネルギーを使う二酸化炭素回収・貯留(bioenergy with carbon capture and storage (BECCS))」と呼んでいます。BECCSの開発は、必要な材料とサービスの最大80%を英国企業から調達し、数千人の雇用に貢献する、としています。鉄鋼メーカーが「二酸化炭素回収・貯留技術」を使い、グリーンスチールを製造する試みは世界的にも稀です。Draxは、森林バイオマスを利用して補助金を得て事業を継続している事から、世界的に環境保護団体の標的となっており、この件のみならず(本当は量が少量なのですが)CCSの開発運用に積極的な面を強調しています。
https://bit.ly/3y3gjDo

クリーンエネルギーへの投資の動向を示すS&P Global Clean Energy Indexが、年次リターンが-18.19%、四半期リターンが-13.73%と変わらず冴えない数字となっています。安価なロシア産のガスのベースが無くなった事で、化石燃料調達やガスPJTへの投資が増えている事も要因の1つです。ドイツがロシアからのNord Stream 1パイプラインを通じた天然ガスの供給が減った事から、石炭をより利用して発電する事を伝えています。ドイツ政府は国内産業によるガスの節約を奨励するために、今年の夏に「ガス・オークション・モデル」を設定する意向を示しています。これはガスを使用しないで稼働できる産業が政府からの金銭的補償と引き換えに、ガスの消費量を削減する、というものです。節約されたガスは、冬の為に貯蔵されます。欧州ではロシアのガス供給の制限でエネルギー危機が深刻度を増しており、インフレを含む経済への打撃が深刻化、ECBのラガルド総裁が「欧州の金融および住宅市場が突然変化(abrupt correction)するリスクが高い」と発言しています。この発言は、欧州連合の金融リスク監視機関である欧州システミックリスク理事会の議長としての立場で述べています。システミックリスクにまで言及が行くようになっています。
https://bit.ly/3jVwomM
https://bit.ly/3zQh0Bu
https://uk.finance.yahoo.com/news/europe-faces-severe-risk-disorderly-151552454.html

世界的な高炉の座礁資産リスクと将来の鉄鋼生産における電炉比率について、あらたな調査結果が報告されています。調査の原文は資産リスクに焦点を当てています。Recycling Todayが分かり易く要約しているので、そちらを合わせて読む事をお薦めします。環境調査会社Global Energy Monitorによるもので、脱炭素化の為に高炉から電炉へのシフトが進んでいますが、2030年代にはそのシフト(全体に対する電炉比率)が行き詰まる可能性がある、というものです。鉄鋼生産量における2022年の比率は69%が高炉で31%が電炉、2030年には68%が高炉で32%が電炉にシフトするが、その後2050年までほぼその比率が変わらない、との調査予測を出しています。これは、現在建設中や企画されている高炉のプロジェクトが年間3億4,530万トンの生産能力に達しており、電炉へのシフトが進んでも、高炉生産能力の拡張が行われる為です。更に問題なのは、これら計画中の全ての高炉プロジェクトが仮に商業生産を開始した場合、国自体が脱炭素目標を政策的に設定し規制が掛かる為、高炉が持つ将来の生産能力(量)と、実際に脱炭素規制で生産できる量に大きな差が発生する為、大規模な「座礁資産」が生まれる事です。これらの座礁資産リスクは中国が最大で2370億ドル(45.7パーセント)、次いでインドが1,840億ドル(35.5パーセント)となり、この2ヵ国だけでリスクの80%以上を持つ事になります。高炉にとっての資産リスクが今後世界の鉄鋼生産全体に与える影響までは言及していません。
https://bit.ly/3tTqMii
https://globalenergymonitor.org/report/pedal-to-the-metal-2022/

米国のワシントンを拠点とした独立系の政治ウェブサイトや新聞発行を行うThe Hill(ザ・ヒル)が、ツイッターのアルゴリズムによるセンサーシップ(検閲)を取り上げていますTwitterは、FBI、 CIA、 NATO、大西洋評議会(Atlantic Council)からIntelligent Agencies(機密を扱う専門家)を大量に雇用し、Shadow Ban(ステルスでツイッター上の特定の情報のみを拡散できないようする事)や一定の地域の使用者が特定の情報にアクセスできないようにするなどの検閲を行っている事を深堀しています。一見Free Speechのように見えるものが、Twitter社の作る検閲のアルゴリズムで情報拡散操作や閲覧制限が掛かっているというものです。(これを批判してきたのが、イーロンマスクです。)アルゴリズムにより、利用者は一見自由に情報にアクセスしているようで、利用者が見る事ができるものと、そうでないものは実は事前に選別されており、情報は操作された状態のモノにアクセスしているだけである、というものです。膨大な利用者数から、その影響力が既存のメディアをはるかに上回る(政治的な)パワーを持つために、1企業によるセンサーシップが公平性を担保できるのか、という事で以前より議論になっている話題でした(最近では、大統領選挙時にバイデン大統領の息子のハンター・バイデン氏のウクライナ・中国疑惑が完全にTwitterで拡散が削除される、という事があり問題を大きくしました)。

EV用のリチウムイオンバッテリーの分解を自動化するソリューションを開発製造している新興企業の「POSH(米国カリフォルニア州)」が、380万ドルの資金調達を完了した事を伝えています。同社の特徴は、リサイクル時に現在手作業で行い安全対策にもコストがかさむEVバッテリーパックの分解とグレード毎の選別を自動化する事です。EVに搭載されている多種多様なバッテリーパックの分解を自動化する為には柔軟なシステムの開発が必要で、このボトルネックに焦点を当てるというニッチですが重要なポイントを押さえているという事で評価されています。
https://bit.ly/39Qrzd5

6月23日にBRICsの首脳がオンラインでBRICsサミットを開催しサミット宣言を行いました。経済関連に言及する全文が中国新華社通信の記事として記載されています。特に「持続可能な開発のための2030アジェンダ実施の促進」での52項、53項、54項は読むに値する内容となっています。 52項では、(環境政策を最優先するのではなく)、経済、社会、環境の3つの側面すべてにおいて、バランスの取れた統合された方法を堅持する事、 53項では、先進国が地球規模の気候変動に対して歴史的な責任を負っているという立場を明記している事、 54項では「グリーン貿易障壁(いわいる国境炭素税等の措置など)」に明確に反対する立場 を明記しています。 気になった点は、BRICSシンクタンク金融ネットワークを設立する事、BRICSの新産業革命パートナーシップ(PartNIR)を強化する事、(西側先進国が主導する国際通貨基金(IMF)の対抗措置であると言われているCRA(BRICS Contingent Reserve Arrangement)を一層強化する事、今年後半にデジタルBRICSフォーラムの開催を決めた事、等です。G7が主導する世界のルールブックと対抗する独自のルールブックを、一定の距離を保ちながら構築する方向に加速する内容と理解できます。BRICS諸国の総人口は約32億人、世界のエネルギー消費量の約40%を占めています。購買力平価と経済成長率を鑑みると2030年代にはG7を上回る経済規模になる事が確実視されている為、分断は新たな貿易のルールとパワーバランスを生み出す可能性があります。戦争と制裁による分断が新たなルールブックの創出による新しい亀裂を生み出すという流れが確認できる内容となっています。
https://on.china.cn/39Rqz8I

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