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世界の環境関連ニュース(2022年09月第3週)

Recycling Todayが米国カリフォルニア州で可決された複数のリサイクル法について詳説しています。法律は、SB 1013、AB 2784、SB 1046、SB 1215、AB 2440 の5つです。AB 2784は、熱可塑性プラスチック製品におけるリサイクル材の利用率を2025年1月1日までに10%、その後20%、2030年までに30%と上げていくものです。SB 1215は、既存の電子廃棄物リサイクル法にバッテリー内蔵製品を追加し、取り外し不可能なバッテリーが搭載された製品も対象となります。これらの製品は、廃棄時に消費者が廃棄物処理料金を負担します。この料金はカリフォルニア州の消費者物価指数に基づいて毎年調整されます。AB2440は、「責任あるバッテリー・リサイクル法」です。アルカリ電池及び充電式電池メーカーが管理を確立し、電池を販売する全ての小売チェーンが消費者に無料回収を提供することを要求する、というものです。
https://www.recyclingtoday.com/article/california-passes-recycling-related-legislation/

国連が掲げる、飢餓、貧困、気候変動問題の目標を達成するための費用は、昨年25%増加し、176兆ドルに達したと伝えられています。「Force for Good Initiative (FFGI)」の報告書によると、費用の増加だけで無く、資金不足も顕著となっています。国連の2030年の持続可能な開発目標(SDG)への資金不足は、昨年30%増加し、135兆ドルの不足となっています。これは主にインフレの急増と、ネット・ゼロの炭素排出達成に関連するコストの上昇によるものです。景気の悪化によりいくつかのSDGの進捗が悪化、1億人が極度の貧困に陥り、2億1000万人が食料不安に直面している状況です。また、世界には持続可能な開発目標 (SDG)に向けて、約450 兆ドルの流動資産がありましたが、その多くはSDGsと関連付けられていない、単に投資リターンを望む年金基金やその他の投資に向けられていました。
https://www.hellenicshippingnews.com/cost-to-hit-u-n-sustainability-goals-rises-to-176-trillion-report/

コモディティに関する分析データを提供する「Independent Commodity Intelligent Service (ICIS)」が現状の欧州のコモディティに関する状況を「トピック」形式でまとめています。既にガスやエネルギーに関しては、多く情報が流通していますが、肥料と化学製品に関する分析も行っています。肥料の製造には原料となるアンモニアや尿素が必要ですが、ガス価格の上昇により、製品生産コストに占めるガスの割合が最大 80%に達する恐れがある、という事です。8月下旬にはアンモニアの製造コストはトンあたり1,200ドルでしたが、現在は約 3,100 ドルに暴騰、尿素の製造コストも大幅に上昇しています。ICISの肥料部門の専門家は、天然ガス価格の高騰により肥料やその原料の生産者が一時的に操業停止や工場閉鎖となっていると伝えています。肥料の主成分である窒素の生産は、現在通常生産の50〜60%にまで減少していると推定しています。世界的にも肥料価格が上昇している事から、今年の春に米国では作付け時に肥料の消費が多いトウモロコシから大豆に切り替えた農家が続出しました。来年にかけての市場価格に影響が出ると見られています。化学薬品では、ガスを原料とするメタクリル酸メチル(MMA)やメラミンの生産が大幅に削減されています。これらの影響は、今月になってロシアがドイツ向けのガス(ノルドストリーム1)を無期限停止している事で、顕著になっています。本格的な影響はこれらより大きく出ると見られています。
https://www.icis.com/explore/resources/news/2022/09/09/10733319/topic-page-war-in-ukraine-gas-crisis

政治や軍事戦略的な情報を提供する研究機関であるジェームズタウン財団が、現在のロシアの戦争状況を概説しています。過去6ヵ月間の戦闘で武器の消耗が激しく、特に長距離ミサイルはロシアの防衛産業が補充する能力を超えており、消耗戦でロシア国内の経済が悪化、ロシアは(西側諸国と)ウクライナへの対抗チャンスが少ない事を伝えています。戦争への経済と社会の動員がエスカレーションしている事で、脆弱なロシアの安定性を崩壊させる大きなリスクを抱えています。また核兵器を利用するという脅しまでエスカレーションする事は、米国とNATO、更に核兵器使用を容認しない中国によって裏目に出る可能性がある、としています。また、プーチン大統領による積極的なエネルギー輸出禁止のカードは、既に西側諸国との関係が壊れて苦しんでいるロシアの石油・ガス産業に更なる問題をもたらしているという事です(それぞれチキンゲームの様相のようです)。
https://jamestown.org/program/putins-choices-in-ukraine-retreat-attrition-or-escalation/

Business Insiderが先週のECB(欧州中央銀行)による0.75%の利上げについて、「知っておくべき事」として記事を載せています。まとめると、今後も欧州ではインフレ期待が強い中で、その「期待」を減速させる為に今後も利上げが継続される。景気後退局面での利上げの為、総需要が減少する事が予測される。その為「欧州経済のソフトランディングが本格的な減速に変わる可能性が非常に高い」としています。米国は先行して利上げし、需要を減速させて景気後退でもインフレを抑える方向を示しましたが、欧州でも同じ方針に転換してきました。現在のインフレの根本原因はエネルキー供給不足であり、代替が無いので、インフレを抑える為には景気をある程度冷やすかしかないようです。
https://bit.ly/3L7ZkVl

欧州再生可能エネルギー指令の修正案(RED III)の欧州議会での議決が14日に行われる予定です。現在、焦点の1つになっているものが「バイオマス修正案」で、概要は「森林バイオマスから生成されたバイオ燃料、バイオ液体、及びバイオマス燃料は廃棄物を考慮し、一次木質バイオマスに由来してはならない」というものです。一次バイオマスとは、森林から樹木を切り取る幹や枝が含まれ、燃料の為だけに植林して成長した木を伐採、加工、燃料化する事が事実上禁止されるという事に繋がります。Euracitiveによれば、欧州議会の3大政治グループ:欧州人民党 (EPP)、社会民主党 (S&D)、Renew Europeが、修正案を支持しており、本会議で過半数を取る、すなわち修正案が可決される可能性が高い事を伝えています。ただし、バイオマス・エナジーヨーロッパや木質ペレット業界の猛反発により、最終的に議会に提出される修正案は7回の修正が入ったもので、元々の原案よりかなり妥協したものとなっています。廃止も段階的なものとなる予定です。その為、2030年までに利用されるバイオマスは倍増する、と見られています。一次バイオマスを持続「不可能」と定義する事で、他国のバイオマス発電政策に与える影響が出ると推測できます。
https://bit.ly/3L9k1QI

電子透かし技術をプラスチック包装に利用するニュースです。元々、エレン・マッカーサー財団がバックアップして進められた電子透かし技術を包装容器に利用する「HolyGrail」プロジェクトが完了し、その後、この技術を利用するプロジェクトが欧州でも進められ、P&GグループがLenor、Unstoppables、Fairy のブランドに採用する事を発表、先月末に英国のPFFグループが容器包装に利用する事を発表していました。電子透かし技術を容器包装に複数埋め込む事により、リサイクルでの選別を容易にし、精度を上げる事が目的です。
https://pff.uk.com/news/pff-introduces-digital-watermark-technology-to-labelling/
https://bit.ly/3B8N9Dk

欧州鉄鋼協会(EUROFER)が9月9日に声明を発表し、欧州で深刻化するエネルギー危機への政策当局への対応を求めています。ガス価格の高騰によるエネルギー危機の為、欧州では鉄鋼工場の閉鎖、生産削減、人員削減が始まっています。9月に入り、大手では「ArcelorMittal」がポーランドの一部工場を閉鎖、US Steelはスロバキアの工場を60日間のメンテナンスで閉鎖すると発表しています。ヨーロッパの鉄鋼産業の売上規模は約1,250 億ユーロ、雇用人数は約310,000 人、年間平均鉄鋼生産量は1億5,300万トンで、EU域内の22ヵ国に計500以上の生産拠点があります。エネルギー価格の高騰により輸入品と価格で対抗できなく、政策当局による援助が必要と訴えています。
https://bit.ly/3d4b2UJ

Oilprice.comが、米国の大手金属関連メディアサイト「AG METAL MINER」による金属価格の分析を掲載しています。内容は中国経済の躓きや欧州景気の悪化、ドル高による国際的な金属需要の低迷、それらの要因について分析しています。中国の産業活動指数は9月第2週に公式にマイナスに転じています。主にコロナ政策と干ばつによるもので、製造業が停滞しています。電力制約は緩和していますが、建設部門が依然として負債に悩まされており、多くのデベロッパーはプロジェクトを完成させることが出来ずにいます。また、ドルは他通貨に対し上昇しており、ドル以外の通貨建ての商品価格が上昇する事で、コスト増を招いています。ユーロ/ドルがパリティに近付き、ポンドも対ドルで下落している事から、不況を織り込み始めた投資家が欧州と英国への投資から遠ざかり始めました。また、短期的な銅の(テクニカルでなく)ファンダメンタルズも悪化しています。アルミニウム、亜鉛はLMEとCMEの在庫レベルが低下しています。ただし、銅は中期的には物理的な不足と新しい採掘プロジェクトへの投資不足が供給に深刻な影響を与える為、価格は上がると見られています。
https://bit.ly/3La1owc
https://agmetalminer.com/

世界最大の資産運用会社である米国のブラックロックが、自社が発行するWeekly commentaryの中で、欧州の景気が「深刻な後退」に入る可能性が高い事を指摘しています。この内容はBusiness Insiderによってまとめられています。エネルギー価格の高騰がインフレを悪化させており、それがECB(欧州中央銀行)の積極的な利上げに繋がっています。しかし、そのタカ派性(積極利上)は経済成長を押し潰すように設定されており、市場はまだその事を十分に織り込んでいない、という事です。欧州のインフレ率は8 月に9.1%に達しました。その為、ECBは0.75ポイントの利上げを行いました。このレベルの金融引き締めは、エネルギー危機にある欧州の経済活動を押し潰す恐れがあります。現在、欧州のエネルギー支出はGDPの11.7%を占めています(米国は5.3%)。この冬は、暖房需要がエネルギーの供給不足を悪化させ、エネルギー価格の更なる上昇を招き、最悪のエネルギー危機がヨーロッパを襲うと予想しています。ECBがタカ派性を解消するのは、景気が本格的に悪化した後になる可能性が高い、と見積もっています。英国では発表済みですが、欧州でも家庭の電気やガス代金の上限を設定する政策当局の動きが出ています。電気やガス代に上限が設けられる事で、かえって皆がエネルギーを節約せず使う為、エネルギー危機時の政策として疑問視されています。
https://bit.ly/3Lbk26W
https://bit.ly/3La7cWw

欧州再生可能エネルギー指令の改定案(RED III)の決議が欧州議会で行われています。注目されていました、主に発電用に利用する木質ベレットの材料となる「一次バイオマス」については、再生可能エネルギーとしての補助金の廃止、及び使用量の上限を設けるという事が賛成多数で可決されています(ただし、欧州の制度上、法律にする為に、この後に欧州理事会との交渉が始まります)。一次バイオマスとは、燃料用に伐採された健康な立木及び(健康な状態から倒れた)倒木です。これらへの補助金を終了することを可決しています。ただし、最終的に議会に提出された案は7回の修正が入り妥協したもので、廃止も段階的なものとなる予定です。段階的な廃止についての日程は、結局決まっていないようで、幾分、玉虫色の決着となっています。
https://www.theguardian.com/environment/2022/sep/14/eu-limits-subsidies-for-burning-trees-under-renewable-energy-directive
https://www.wwf.eu/?7546791/REDIII-revision-EPPlenary-vote

またグリーン水素製造に利用する電力に関する大きな変化がありました。元々、水素ヨーロッパ(Hydrogen Europe)が欧州議会に要求していたもので、委任法として内容を修正する事を含んでいました。委任法とは、欧州委員会によって採択された非立法行為で、法律の本質的でない要素(部分)を修正または補足する役割を果たします。内容的には、現在グリーン水素を生産する為に最も厳しい規制である「専用の」再生可能エネルギー電力から全ての電力を確保することを義務化しているものを、電力グリッド(通常の送電網)から再生可能エネルギーの電力購入契約(PPA)を確保することにより、再生可能電力であることを確認できれば、専用施設からの給電でなくても良いという修正となります。これは、かなり画期的な妥協の修正です。欧州が米国のグリーン水素とコストで競争できるようにする事と、水素へのより大きな投資を呼び寄せる狙いがあります。ただし、グリーン水素製造には膨大な電力を使う為、再生可能エネルギー電力の「奪い合い」が他の産業との間で起こる事が懸念されています(元々その為に専用が必要であった)。グリーン水素に関しては宣伝と現実が大きく乖離しており、今後も妥協案が出てくると推測します。
https://bit.ly/3BzWnZF

食用作物からバイオ燃料を製造する事を禁止する EU の燃料法 (再生可能エネルギー指令) の変更は議会で否決されています。貧困と不正を終わらせるために活動する「OXFAM International」によれば、現在、欧州で1日に使うバイオ燃料の量は、パンに換算するとおよそ1,500 万個、ひまわり油と菜種油の農作物に換算すると約 1,900 万本のひまわりと菜の花に相当し、それらの膨大な食用植物が自動車やトラックの燃料として燃やされている、という事です。これにより、最貧国での飢餓が助長されるとの懸念が増していました。昨日、EUは森林破壊防止法を議会で議決しており、森林破壊により生産された物の製造や輸出入が禁止されました。主に、肉、パーム油、大豆、コーヒー、ココアが含まれています。ただし、これらのデューデリジェンスは、第三者機関が行う事を義務付けておらず、企業が自ら行う事で良いという自主規制のような制度となっている事から、拘束力の点で大きな問題があり、グリーンウォッシングが横行する可能性も指摘されています。
https://bit.ly/3xr89UH
https://bit.ly/3qA4EHI

ゼロ・ウェイスト・ヨーロッパが欧州再生可能エネルギー指令の改定に関するごみ処理(ごみ発電にも関係する)に関する声明を発表しています。全体としては改正案を「承認」する立場をとっていますが、都市から発生する複合廃棄物をエネルギーに利用する場合の「持続可能性の強化」には懸念を示しています。混合廃棄物が「再生可能エネルギー」に使用される場合、オペレーターは廃棄物を分別して化石物質を除去する必要があります(リサイクル用として)。更に生物由来廃棄物(バイオ廃棄物、紙等)の廃棄物焼却は、分別収集義務が完全に満たされている場合にのみ、持続可能としてサポートされます。
https://zerowasteeurope.eu/press-release/zero-waste-europe-approves-parliament-resolutions-on-red-iii/

欧州委員会は、強制労働により生産された全ての製品の製造とその輸入を全面禁止する提案を行っています。昨年末に米国が中国の新疆ウイグル自治区の強瀬労働による製品の輸入を禁止しましたが、それをより拡大しています。欧州委員会は、強制労働が製品製造時に行われたかどうかを確認するEU 機関設立を提案しています。更に税関当局を含めたウェブサイトを公開する予定です。禁止措置は、成分を含む全ての製品、抽出または収穫から製造までの全てのレベルに適用され、それらは EU 製品と輸出入品が対象となります。主に、中国製のソーラーパネルをターゲットにしている、と言われています。
https://reut.rs/3xoa7oL

欧州のリサイクル業者にとって大きなニュースです。9月14日に欧州委員会が新たにEU重要材料法(EU Critical Raw Material Law)を制定する事を提案しています。法律の主旨は、材料のバリューチェーンにおけるプロジェクトを支援し、採掘から精製、加工、リサイクルに至るまで、より多くの民間投資を引き付け、より回復力のあるサプライチェーンを構築する事です。EUには現在「重要な原材料リスト」というものが存在しますが、新しく提案された法律では、重要な原材料の供給を確保する戦略的な法律となる予定です。これは戦争や地政学的問題でサプライチェーンが寸断され回復不可能な状況を避ける事が狙いです。欧州アルミニウム協会は歓迎の声明文を掲載しています。基本的には重要な原材料(将来はガスや燃料を含むようです)を海外に過度に依存せず域内やパートナー国と回復力のあるサプライチェーンを構築していくというものです。既に廃棄物輸送法やバーゼル条約の改定、プラスチック国際条約等の今後始まる規制により、非鉄やプラスチック廃棄物のミックス材だけでなく、リサイクル金属そのものの国境を越えた輸出へのハードルが益々上がるものと考えられます。
https://bit.ly/3QKNcuP
https://bit.ly/3SaHkw9

欧州では、電気料金の上昇、原材料のコスト増と入手の問題、部品の慢性的な不足、一般市民の可処分所得の大幅な減少により、自動車の生産と販売に大きな影響が出ています。EVの充電コストがより高くなると、EV販売の順調な伸びに影響が出る事が懸念されています。ドイツの自動車研究センターの所長であるヘレナ・ウィスベルト氏は、経済日刊紙ハンデルスブラットの最近の論評で「電気自動車は魅力を失いつつある」と、で書いています。特にドイツでは政府資金の問題から、国内で販売されるEVへの補助金が2023 年から 4,500 ユーロに大幅に減る予定です。また、現在6,750 ユーロの補助金が支払われているプラグイン・ハイブリッド車への補助金が廃止されます。更に補助金の総予算が25 億ユーロに制限されます。この予算はEV 40 万台分に当たりますが、ドイツ国内の自動車数の 1%未満しかありません。
https://www.theguardian.com/environment/2022/sep/12/soaring-energy-costs-could-threaten-future-of-electric-cars-experts-warn

欧州では今、自由貿易や移民を推進してきた中道左派や穏健派の政党の多くが選挙で敗北し始めています。今年のフランスの議会選挙を始め、先週行われたスウェーデンの総選挙でも極右を含む右派政党が巻き返して勝利を収めています。過去30年で国際化や自由貿易を推進してきた裏側で、先進国では失業の国を跨いだ移動、貧富の格差、犯罪の増加等のネガティブなものが顕著化してきた反動と、それがウクライナ戦争で更に噴出した、という事が理由のようです。
https://bit.ly/3qIjEn8

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